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第577回「修繕積立金の高い中古より新築がいい」その判断は正しいか? [マンションの管理問題]

★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツーをご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください★★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。


ご存知のように、修繕積立金は「30年間の均等積立方式」を導入している物件も例外的に存在しますが、大半は「逓増方式」です。5年後、10年後、20年後といった節目に増額され、20年目には初期の5倍になっていたりします。
 
 初期は70㎡で7000円(月額)が標準的ですが、築15年くらいになると20,000円くらいになってしまう計画が一般的です。これを負担に感じる人も多いらしく、そうなる前に売ってしまおうなどと考える人もありますし、「中古の修繕積立金は高い」という先入観を持ってしまう人も少なくないようで、「買うならやっぱり新築だ」につながってしまうのでしょうか。

新築か中古かを検討するときは、別の見方も働くはずです、まさか修繕積立金が安い(当面10年くらいだけ)というだけで新築に決めているわけではないと思いますが、それがネックで中古に目を向けることをやめてしまうのは、いかにも惜しいので、今日は中古マンションの修繕積立金について調べて新築と比較してみました。

ご相談では、「ある中古マンションを検討しています。購入後5年くらいで修繕積立金が毎月20,000円以上に上がるらしいので、その先が心配です。新築の方が負担は少ないので、中古はやめた方がいいのでしょうか」という声をたびたび聞きます。

購入者心理としてはもっともなことと思います。では、新築にしたら心配は消えるのでしょうか? 新築で購入し10年か15年住んだ場合と、築15年の中古マンションを購入して10年か15年住んだ場合の積立金の差はいくらになるでしょうか?

まず、新築マンションを調べてみました。モデルとして、タワー大型と小規模マンション、その中間と3種類を比較してみましょう。

●新築マンションの積立金10年

シティタワー国分寺ザ・ツインWEST 300戸・36階建て・平成30年2月竣工予定
73.33㎡の例・・・1~5年:7,450円・6~10年:17,380円・11~15年:27,310円・16~30年:37,220円/一時金:186,250円となっています。
一時金を合わせた10年間の合計は、1,676,050円。平均は13,967/月です。

グローリオ田園調布  23戸・7階建て・平成28年8月竣工
専有面積:65.48㎡の例・・・1~5年:7,200円、6~10年:12,440円、11~15年: 18,990円、16~30年:24,880円 /一時金:691,200円となっています。
     一時金を含めた10年合計は1,869,600円。平均は15,580円/月です。

ザ・パークハウス浦和別所 117戸・8階建て・平成26年11月竣工
専有面積:70.01㎡の例・・・1-5年:7000円、6-10年:10164円、11-15年:13319円
16-20年:16,473円、21-30年:19628円/一時金:711,340円
一時金を含めた10年合計は1,741,180円。平均は14,510円/月です。

この3例を見ただけでは、大差ないことが分かります。

念のため70㎡換算しておくと、シティタワー国分寺ザ・ツインWESTは13,333円/月、グローリオ田園調布が16,656円/月、パークハウス浦和別所は14,513円/月となります。

最高と最低では約3000円の差なので、15年合計では54万円の差となっています。これを僅かと見るか大きいと見るかは意見が分かれるかもしれませんが、まあ差がないと言ってよいのではないかと思います。


●中古マンションの積立金

築15年くらいの中古マンションを購入するとして、先入観としては「積立金の水準はかなり高いのではないか」というものでした。確かに、そのような例もあります。

最近遭遇した例では、ライオンズマンション飯田橋駅前(築17年)が51.3㎡で15200円、1㎡当たり@296円、70㎡換算では20,741円/月でした。しかし、これは例外的です。

古いマンションは修繕積立金の必要性について認識が薄かったためか、十分とは思えない例が多く、調査データがないので不確かですが、築15年くらいで10,000円程度(150円/㎡)が平均的のように思います。

現在売り出し中の中古マンションを少拾ってみました。

東京テラス1036戸(築12年):70㎡換算11,496円
桜上水レジデンス35戸(築14年):70㎡換算10,364円

クレストフォルム鶴見グランステージ138戸(築17年):70㎡換算9,799円
クレッセント千歳船橋98戸(築17年):70㎡換算10,892円
パルテール目黒青葉台62戸(築17年):70㎡換算13,440円
中目黒サニーフラット31戸(築19年):70㎡換算19,387円
コスモ用賀46戸(築19年):70㎡換算11,108円

シャリエ横浜ベイグランデ97戸(築20年):70㎡換算14,374円
三軒茶屋シティハウス91戸(築22年):70㎡換算17,468円
恵比寿ガーデンテラス壱番館(タワー)290戸(築23年):70㎡換算13,957円

築15年前後は、10,000円~11,000円、築20年未満が11,000円~20,000円、20年~14,000円~17,000円となっています。筆者が感じていた10,000円程度よりは少し高いようです。

これを新築の3例の16年目以降の数字と比較してみましょう。

シティタワー国分寺ザ・ツインWESTは37,220円、70㎡換算で35,530円/月、グローリオ田園調布が24,880円、70㎡換算で26,597円/月、パークハウス浦和別所は16,473円でしたから、現在市場に出ている築15年前後の中古の実態は新築マンションの計画値と比べると遥かに少ないと気づきます。
ただし、パークハウス浦和別所は近似です。

これでお分かりのように、中古マンションを買うと高い修繕積立金が重くのしかかるかもしれないというのは当たっていないのです。むしろ、物件によっては新築マンションの方が負担は多いかもしれません。

もちろん、これら中古もその先で段階的に上がって行くものと考えられるので、新築10年間の比較と、中古10年間の比較をしなければ正確ではありません。しかし、購入した中古の積立金が入居して程なく3倍、4倍になるようなことがなければ「中古の負担は大きい」とも「中古は損だ」とも言えないのではないでしょうか。


●修繕積立金は多いほど良い/見直しがある

誤解のないように補足しておかなければなりません。

第一に、修繕積立金はマンションの劣化を防ぎ、資産価値を長く維持するためのメンテナンス費用として不可欠な貯蓄です。多ければ多いほど、潤沢な財政基盤を持つ管理組合ということになり、歓迎すべきことであるという点です。

第二には、修繕計画は3~5年ごとに見直しを行い、それに伴って徴収する積立金の額も変わる可能性があるということです。実際に大幅な見直しの結果、当初計画が大きく変わった例もあるのです。筆者が知る武蔵小杉のあるタワーマンションでは、6年目に一度増額したのち、残りの25年は増額なしになったのです。

どちらが損か得か、一概には言えないものであること、少なくとも「中古は修繕積立金が新築より高いというわけではない」ことがお分かりいただけたのではないかと思います。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。



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第576回「間取り変更はよく考えて実行しましょう」 [マンションの売却]


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特殊な間取りはいざ売却というとき買い手を限定的にしてしまうものです。限定的ということは、一般受けしないことの裏返しになるわけで、それだけ売りづらいと考えなければなりません。

新築の場合では、期限を設けて間取りのバリエーションを選択できる「メニュー方式」を取り入れている物件が多数あります。

定番は、リビングルーム横にある寝室をやめてリビングを広く使うという形にするものですが、これくらいはさほど問題にならない場合が多いのですが、あまり個性的なプランを選んでしまうと後年「しまった」となりかねません。

●中古マンションの場合

中古マンションを購入してリノベーションする場合も同様です。

リノベーションとは、壁紙や床の張り替えや、せいぜい設備を更新する程度のリフォームに対し、間仕切りを変え、新たな設備を追加するなど、「初期の性能以上の新たな付加価値を付け加えて再生させること」を指します。

部屋の中を、一旦スケルトン(skeleton骨組み。コンクリート剥き出し)状態に解体した後に新たな内装を創って行くので、いわば真っ白なキャンバスに絵を描くわけですから、自由度が高く、オーナーとしては楽しい夢を見ることができます。

キャンバスの上に自由な発想で自己のこだわりを表現することができるリノベーションは、人間の究極の欲求「自己実現」を満足させてくれるものと言えます。

理解できない人から言わせると、浪費するだけの趣味を持つ人が世の中には少なくないようですが、それと同じ感覚で間仕切りを特殊な形にしたり、奇抜な室内デザインを施したりする人がいても不思議ではありません。

そうして完成したマイホームで暮らすことは楽しくもあり、快適な住まいは実行者に新たな活力を与えてくれるのかもしれません。それはそれで結構なことであると思います。筆者も、マンションを買ったときは、いずれも少しばかり間仕切りと造作に知恵を絞ったものでした。

究極は一戸建ての注文建築でした。土地は平屋を建てるほどの広さがないので2階建てにせざるを得なかったのですが、自分で概略の設計をしました。それをハウスメーカーの設計士に渡して進めたのですが、それだけでも実に楽しい時間でした。

多忙な筆者でしたが、取り組み始めると寝食を忘れて図面を描いたものです。打ち合わせも万障繰り合わせて参加し、妻に任せたのは色選びだけでした。

もちろん、出来あがった新居での暮らしは満足できるものでした。

マンションの場合は外枠の決まった中でのことなので、限度があります。しかし、それでも「こだわり」を実現することはかなりの幅で可能です。

但し、あまりに個性的なプラン、奇抜過ぎる内装や色使い、例えばガラス張りのバスルーム、バーカウンターなどのこだわりは、一般的なニーズとマッチしないために売却時に足が遅い(買い手がなかなか決まらない)というリスクを負うことになります。

サウナ付きバス、シャワールーム付き寝室など特殊な装備は次の住まい手から評価されることはないと覚悟しておく方がよいでしょう。「こうするのに1000万円かけたから」などと主張してみても、その分がリセールバリューのプラスにはならないのです。

●新築マンションの場合

新築マンションに戻りましょう。新築マンションで用意される変更間取りは1タイプに5通りものバリエーションを用意している物件に遭遇することがあります。興味を持って眺めてみると、中には特殊な間取りが混じっていることに気付きます。

マンションでは限度があるものの、また購入時期によってはメニューを選べないこともありますし、こうしたいという部分が限られるので夢は浮かびにくいのですが、それでも少しくらいは自己主張したいものです。しかし、細かな部分ではともかく、間仕切りでは大胆さを抑えた方が良いのです。

例えば80㎡の3LDKを1LDKにしてしまう、変形の引き籠り部屋を作ってしまうといったことは注意が必要です。仮に作っても、比較的簡単に元の姿に戻るとか、可変性のある改造を施すといったことが可能かどうか、カギはここにあります。

誤解のないように補足しますが、立地条件とマンション全体の性格やグレードなどによってニーズは変わるものであり、80㎡の1LDKがその立地、そのマンションの中心的な形なのかもしれません。その物件では3LDKではなく、多くても2寝室(2LDK)でいいのかもしれないのです。

その意味から、当該マンションの買い手の傾向をよく聞いておくことも大事です。新築マンションの販売スタッフならニーズの把握をしているはずです。

趣味でかけたお金だから戻ってくることは期待していないという人もあるかもしれませんが、人間は誰でも欲があるものです。できることなら半分でも戻らないかなあ、などと期待してしまいます。

それだけなら大事には至りませんが、全く買い手が付かないで苦労することもあるので注意しなければならないのです。

●リッチな感覚が持てるかどうか

筆者が最後に売却したマンションには洗面台がふたつありました。ひとつは普通に脱衣所の中に、もうひとつはトイレの中でした。

最近はトイレのサイド壁に手洗いカウンターを設けるのが定番となっています。水槽の上が手洗いになった形は影を潜めつつあります。

手洗いカウンターは文字通り手洗い専用ですが、筆者の住んだマンションは手洗い器のあるカウンターが大きく、ボウルも大きなサイズでした。筆者はそこで顔を洗い、ひげを剃るということができたのです。トイレの幅は普通サイズより広くしなければなりませんでした。その分、寝室の広さが狭くなったのです。その寝室のサイズがベッドも置けないようでは困りますが、そこまでのことはなく、筆者はトイレ内洗面所の存在を気に入っていました。

家族の話では、知人が訪ねて来てトイレを使うと、必ず感嘆の声を聞かせてくれるというのです。ちょっとリッチな気分を味わうことができる箇所が、我が家の場合、トイレでした。
(トイレに長く滞在することになるので困ることないかという疑問をお持ちの読者のために補足しますが、そうはならない我が家だけの秘密があったとだけ言っておきましょう)

広さの決まっている家をどうレイアウトしてみても、どこかを広くすればどこかが狭くなり、どこかをリッチなスペースに仕上げれば、別のどこかが犠牲になるものです。しかし、それが極端なアンバランスでない限りは、リッチな気分に浸れる箇所をひとつだけ作ることをお勧めします。

玄関を入ると、靴脱ぎ(三和土)があって、その先にホール、そして廊下と続きますが、ここの演出にこだわることは、将来の売却時も威力を発揮する場合があります。広さが無理なら、床をフローリングではなくタイル張りか天然石張りにするだけでも印象は随分違って見えるものです。

これらの素材は、古くなってもフローリングよりは耐久性が高く、かつ見映えも良いものです。

ホールや廊下の壁紙もこだわる方がいいでしょう。あまり奇抜なものではなく、上質感のある、そしてただのビニールクロスでない素材を選んで張るといいですね。腰の位置までと、その上で張る素材を変えるのも方法です。

新築マンションのモデルルームを見学するなり、インテリア雑誌を見て研究をしましょう。

リッチな気分を味わえるマンションは買い手の購買意欲を刺激します。中古になれば、買い手はリフォーム前提で見学にやって来ることも多いですが、リフォームなしで住める方が安上がりなのですから、リッチな気分に浸れる空間があれば、ここはこのまま残したいと思ってもらうことができるでしょう。

これらが、我が家を高く売るコツでもあるのです。

●改造間取り。売却時の対策は?

間数で言えば、首都圏では3LDKを希望する人が一番多いのですが、購入したマンションが3LDKであって、自分たちの好みで2LDKに改造したら、安全のためには3LDKに変更できることを次の買い手が理解できる、予め変更プランを用意しておくのが最善の策です。

新築マンションの場合は、自分たちが選択しなかったメニュープランも捨てずに置いておきましょう。

ついでに言うなら、費用の「概算見積もり」もあるといいですね。売却を決めたら、依頼する仲介業者の紹介するリフォーム業者に作ってもらいましょう。

本来は、販売員がするべき行動ですが、そこまで期待できる営業マンはいないと思った方がいいのです。我が家は自分が売るというくらいの気持ちで取り組んだ方が成功するはずです。

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第575回「大規模マンションは値崩れすると心配する人へ」 [マンション市場]


「このマンションは建物価値も良さそうだし駅にも近いので購入しようと思うのですが、心配なことがひとつあります。それは数が多いので、将来リセールのときに売り出す人も多く、お互いに競争しあって値崩れするのではないかという点です」

このようなことを心配する人があります。少数派かもしれませんが、当該マンションだけではなく、周辺に第2第3の大規模マンション計画があると、そのトータルでは膨大な数が供給されることが将来のリセールに悪影響を与えるのではないかという漠然とした不安を抱くようです。

今日は、局地的な大量供給という現象について考えてみました。


●局地的な大量供給がもたらす問題――売り手の不安

かつて売り手デベロッパーに属していた筆者は、つい売り手のことを今さらながら心配してしまうクセがあります。「Aマンションが売りだされたら、Bマンションは打撃だろうな」とか「どれも“帯に短かし・タスキに長し”の物件だから互いに足の引っ張り合いになるだろう」、「これだけの大規模物件が同じ駅に3つも出たら、総客数が足りなくて、どれも長期化は免れないだろう」などと考えてしまうのです。

先刻承知の売り手は、差別化に腐心します。ユニクロ的マンションにして「価格で勝負だ」とか、「室内の設備・仕様はライバル物件を凌駕するレベルに」とか、「駅まで3分の近さを最大限にアピールしよう」などと知恵を絞るのです。

しかし、その知恵も作戦も圧倒的な力には中々なりえないものです。

首都圏のマンション供給は全体で見れば、ひと頃の半分しかありませんから、供給過多ではないのですが、局地的には大量供給現象がときどき見られます。

例えば、武蔵小杉駅、今も「パークシティ武蔵小杉ザ・ガーデン」と「シティタワー武蔵小杉」が販売中ですが、合計で1800戸もあります。今後も大規模タワーが複数建設される予定です。

品川シーサイド駅では「グランドメゾン687戸」と「プライムパークスシーサイドの2件335戸+687戸」が妍を競っています。国際展示場前駅では、1社だけで1539戸(3棟)も販売を開始しています。

国分寺駅でも、少し前まで販売中だったものを含めると「シティタワー国分寺ザ・ツイン584戸」、「ザ・パークハウス国分寺四季の森494戸」、「ザ・パークハウス国分寺緑邸82戸」、「プラウド国分寺125戸」など、大小合わせて、総戸数で1200戸余も供給されています。

中央区の月島や勝どきという駅も、過去を辿り、今後の予想をすると大量供給が続いて来ましたし、続く見込みです。

千葉県では、津田沼駅の「奏の杜」と名付けられた一角を中心に大量供給が続きました。横浜では、みなとみらい地区が典型的な大量供給エリアでした。


●大量マンションの買い手はどこから来るの?

局地的な大量供給は、何をもたらすのでしょうか?

大量に売るには、大量の顧客を動員する必要があるので、それを可能とする宣伝広告が必要になります。

定番のインターネット広告、無料の住宅情報誌SUUMOの配布、大量のチラシ配布、電車内の“中吊り広告”、駅張りポスター、TVコマーシャル、新聞刷り込み広告などを使って大々的なキャンペーンを行います。これらが首都圏中に露出され、発信されて広く知れ渡ります。

新築マンションを購入する人は、首都圏全体では昨年だけで4万人弱、買わなかったが近々買うつもりの人も入れると6万人くらいはあるので、少なくとも、それくらいの人が注目します。

それら広告に触れた人のうち、条件に合う(少なくとも候補エリアにある)物件と思えた人が資料を請求したり現地を訪問したりするわけですが、もともと考えていなかった場所だが、魅力的な物件に見えたので資料請求しました、見学に来ましたといった反応を見せます。

魅力的な物件は多くが大規模物件です。その集客パワーが、首都圏各地から関心客を呼び集めるのです。大規模物件の場合、売主がHPで高らかに謳う「資料請求10万件突破」とか「来場者5000組突破」などに、多少の水増しはあるものの、極端な誇張ではないはずです。

中小規模のマンションは広告予算が少ないので、大量広告も高額の新聞広告やTV-CMも実施できませんから、顧客動員数は限定的です。簡単に言えば、建設地周辺「地元需要」と呼ばれる顧客が大半です。遠くから来る人も、昔その辺に住んでいたからとか、親が地元だからといった「準地元需要」で、その数はしれています。

要するに大型マンションは大量の宣伝広告によって首都圏中から買い手を集めているのです。「シティタワー武蔵小杉」を建設した住友不動産の来場者アンケートによると、契約者の7割は川崎市中原区外からの転入者だと聞きました。

集まるのは、広告の分量のおかげだけではありません。物件の魅力こそが、遠くまで足を運ばせる原動力になっているのです。広告予算がたっぷりと取れる大型マンションは、ただ図体が大きいだけではなく大型なりの付加価値があり、かつ立地条件に優れているものです。

話題の新商品の発売やイベント開催、スポーツの試合があると聞くと、朝早くから並んで買いに行く、観戦に行くといった行動を取る光景をよく見ますが、魅力のない商品やイベントは広告費をいくらかけても客は集まりません。

かつて、武蔵小杉駅の周囲は工場・倉庫・研究所・駐車場といったエリアで、夜間人口が少ない街でした。豊洲もそうでした。大正時代まで海だったこの土地で、1923年に発生した関東大震災のがれき処理で埋め立てられて誕生した街ですが、かつては典型的な工業地帯だったのです。今では、住宅地や商業地、オフィス街へ転換が進みました。NTTデータや日本ユニシスといった大企業の本社もあります。

生活する街としては魅力に乏しかった街でも、そう遠くない将来、きっと生活インフラも整い、暮らしやすくなると信じるに足る情報や計画があったので、遠くからやってきて購入したのです。

地元の人は、生活に慣れています。買い物が少し不便でも最低限度の施設はあるので、何とかなっているので、抵抗なく買ったかもしれませんが、地元住人はそもそも少ないので、大戸数を売り切るには方々から顧客を集めて来る必要がありました。売り手はそう考えたのです。

こうして、商業施設(ららぽーとやグランツリーなど)を同時開発し、建物に中小規模のマンションではあり得ない付加価値を用意するととも、タワーの魅力である「眺望」価値を加えてダイヤモンドの輝きを持つ商品に仕立てて販売を始めたのです。

その結果、豊洲は10年で3倍に人口が膨れ上がり、武蔵小杉のある川崎市中原区の人口は、再開発が始まった約10年前から毎年1000人から5000人超の勢いで増加。川崎市7区の人口順位で2005年から1位を続け、人口密度も2016年6月1日時点で1平方キロメートルあたり1万6901人の1位。2015年の国勢調査では10年と比べた人口増加率が5.8%と県内市区別で1位だったと市の広報が伝えています。

増えた人口は、言うまでもなく他の町からやって来た人たちです。急に子供が多数誕生する「自然増」ではなく、「社会増」によるものです。


●成熟した街の未来は?

街の魅力は、そこに何があるかで決まります。もちろん通勤の便が良い、言い換えれば都心へのアクセスが良いことですが、それ以上に「賑わい」や「自然環境」、「街並みの美しさ」などが挙げられます。

リクルート社が毎年調査している「住みたい街ランキング」で関東圏1位に毎年輝くのが「吉祥寺」ですし、争うのが「恵比寿」です。上位に武蔵小杉や豊洲が入っているのもご存知のとおりです。

こうした街の魅力的なマンションは、人気上昇の過程で多数の商業施設・飲食店・教育施設(学習塾・英会話教室など)が増加して人びとを引きつけます。洒落たカフェや雑貨店、インテリアショップ、有名レストラン、ファミレス、コンビニエンスストアなどが軒を連ねて、休日にはよその町からもたくさんの人々がやってきます。料理店は、週末ごとに回っても1年では回り切れないほどの多種多様な店が増えて行きます。カフェもスターバックス、タリーズコーヒー、エクセルシオール、珈琲館、ドトールコーヒーなどが勢ぞろいします。

人口が増えると、採算が合うと見た新規出店が続くのです。それが好循環を生みます。こうして街の魅力が一段と増し、多方面から「あの街に住みたい」と評価されるわけです。魅力ある街は、マンションが新たに供給されても地元以外のエリアから新たな客を集めることができます。そうして人口がさらに増えると、商業店舗、エンターテインメント施設が新たに加わり、となるのです。

魅力的な街は、マンションの買い手に事欠かないのです。言い換えると需要が多いので、いざ売却というときも心配は少ないものです。もちろん、物件個別に見れば格差はあるので、なんでも心配ないというほど短絡的ではないのですが・・・

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。


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第574回「マンション用地がない」 [マンション市場]

★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツーをご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください★★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

新築マンションの供給戸数がひと頃の半分に減ってしまったことについて書いたことがありますが、簡単におさらいしておくと、10年前の前後5年は平均8万戸(首都圏全体)も供給されたが、直近5年は平均4万戸と半減しているのです。

この現象は、一時的なもので東京五輪後は価格も下がって供給戸数は再び増えると、どなたかが書いていましたが、筆者は意見を異にしています。

●マンション用地がない
数年前から「新築は伸びない。これからは中古の時代だ」と予測して来ましたが、その根拠は土地がないことにあります。

マンション用地の希少性が急に薄らいだのは2000年代初頭でした。あり得ないほど貴重な一等地が多数放出されたからです。法人所有者の土地に対する考え方が激変したためでした。

社宅、運動場、学校、倉庫、工場などの大量放出が始まったのです。歴史ある企業が保有していた社宅は、その多くが取得時は田舎・郊外だったかもしれない場所にありましたが、近年は住宅地として最高の条件を有する、将に「一等地」に変貌していました。それが雪崩をうったように市場に出たのです。

学校跡地が売り出されたのは、郊外への移転によるもので、都心の本部ビル・校舎は残しながら一部を切り売りした資金で、売った土地の10倍の広さを郊外に買ったのでした。廃校になったためという売却例も確かあったはずです。

ある製造業の会社は、製造拠点の海外移転によって不要になった工場を売却しました。倉庫を売却した例も多数ありました。それらは工場・倉庫なのに市街地にあったので、マンションにとっては適地だったのです。

こうした企業・団体の土地放出は、景況の悪化で資金繰りに窮したというような理由ではなく、新時代を迎えての積極的な「リストラクチャリング」の一環でした。創業から100年にもなろうかという老舗企業でなくても、戦後誕生した50年企業は「含み益」のある優良な土地資産を数多く保有していました。

今も、毎年少しずつ社宅を整理統合したり単純売却を計画的に実施したりする企業はありますが、2000年初頭に始まった社有地放出の潮流は7~8年くらいで一巡し、もはや売地は底を着いてしまったのです。

●2017年9月1日の新聞報道で明らかに

このような経過が最近5年ほどの供給戸数の少なさにつながっているのですが、実は筆者にもこの動向にかすかな疑問を感じていました。

それは、新規の供給戸数が増えないのは着工と発売を遅らせているだけで、用地は多数保有しているのではないのかというものでした。

ところが、2017年9月1日の日経新聞に「販売用不動産2年ぶり減・大手5社の保有高・用地確保難しく」の文字が躍っていました。筆者の疑問は解けました。やはり、大手業者も用地確保に苦労しているのだと確信めいたものを感じたのです。

記事によれば、ホテル建設などの不動産投資が活発で用地確保が難しくなっているとありました。ホテル建設はオリンピック目当てなので、あと1年もすれば峠を越えるかもしれませんが、オリンピック後も訪日客の増加傾向は続くから建設ラッシュはなくならないという向きもあります。

交通利便性の高さを条件とする点など、ホテル用地とマンション用地は類似点が多いのです。このライバルがマンション適地をさらってしまうらしく、マンション業者は土地不足に嘆くことになりました。今後も競争は続くのでしょうか。

マンションは開発時間を考慮し、少なくとも2年先の販売商品用に早めに用地を買収して行くのですが、大手が扱う大規模敷地は5年先を見越しているものもあります。再開発案件になると10年先のプロジェクトが普通です。

●今後注目されるのは再開発物件か?

用地難はおそらく長く続くだろうと見ています。

需要がある以上、マンションデベロッパーは用地を求め続けるでしょう。しかし、無理な仕入れをしても利益を削るだけのこと、売り上げだけ増やしても意味はない。だから、販売が確実に成功する立地条件の良い土地を厳選して仕入れると語るデベロッパーも増えています。

先頭を切ったのはライオンズブランドで一世を風靡した(株)大京でした。かつては供給戸数でナンバーワンを長く続けた業界トップ企業でしたが、10年前にはトップの座を明け渡し、数を追うことは止めたようです。

郊外に目を向ければ、マンション用地になりそうな売地はあるので数を追うことは可能だそうですが、都心から遠い物件は販売に苦戦するので積極的には取り組めないと多くのデベロッパーは語ります。

今後デベロッパーはどこへ向かうのでしょうか?

1棟リノベーション物件の開発、郊外の駅前マンションに絞る、木造密集地の再開発、建て替え事業など、メニューは揃っています。しかし、柱になるほどのものはありません。それぞれに高いハードルがあるためです。

そんな中で注目できるのが「再開発」です。戦後の焼け野原から無計画に家が建てられた街は東京中に数多くありますが、そんな中の「木造密集地」は、災害の危険度が高いとされます。

巨大地震などによって火災が発生すると、道が狭いために消防車が入って行けず、延焼して被害が広がるという心配があるのです。すなわち、新潟県糸魚川市で起きた大火のようなことが現実味を帯びているのです。木造密集地は、下町だけでなく世田谷区などにも見られます。

最近販売が始まった密集地の再開発マンションが注目を集めています。大井町と武蔵小山のことですが、少し前の国分寺、竣工済みの蒲田や大泉学園なども駅前の再開発案件だったはずです。

再開発は地権者が数多くいるので、合意形成に時間がかかると言われ、成功事例も少ないのですが、最近はスピードアップしているような気がしています。少なくとも、分譲マンションの建て替え事業より早いのは間違いないようです。

糸魚川大火のような規模ではなかったものの、実際に火事が発生し、鎮火に苦労した事態を目の当たりにして危機感を持った住民は、デベロッパーの提案に全員が賛同するのに長い時間を要しなかったという話も聞きました。

行政側も積極的に協力する姿勢を見せていると聞きます。

武蔵小山駅前の再開発計画は第2弾、第3弾と続くとあります。連鎖なのでしょうか?古くからの地元住民が街の活性化に前向きに取り組んでいるということでもあるのでしょう。

東京の古い駅前商店街などが、街の衰退を未然に防ぎ、魅力ある街づくりに取り組もうとする波は本格的にやって来る気配を感じます。

武蔵小杉や豊洲など、最近10年くらいで急発展した街は、もともと夫人所有の大規模敷地が多数あった場所なので、開発を進めやすかったという背景がありますが、個人住宅や商店が密集する場所の再開発は合意形成に時間がかかるため、デベロッパーも取り組みに消極的だったのですが、用地不足に悩む中で最近は姿勢が変わってきたようです。

ゼネコンも将来の工事量確保のために再開発プロジェクトには昔から積極的でしたが、最近は拍車をかけているのかもしれません。デベロッパーとゼネコンが地元住民とタッグを組んで街づくりを行う、災害予防のためにも結構なことです。

とはいえ、再開発で生み出されるマンションの戸数は1カ所で500戸~1000戸です。用地不足を補うまでには至らないでしょう。しかも、再開発マンションは決まってバカ高い売値になるのが普通です。最近の国分寺も大井町も、また間もなく売り出される武蔵小山でも、ものすごい人気だそうですが、購入できる人はごく一部です。大変な数の関心客が集まるものの、価格を聞いて大半が諦めると聞きます。

どれとは言いませんが、再開発マンションの価格は、それまでの相場の5割高であったりするからです。価値あるマンションには違いないけれど、そこまでも価値があるのでしょうか?買えないこともないという人から、その種のご相談が筆者の所にもよく届きます。

●新築は数がなく、買いたくても買えるものがないと思いましょう

今後は魅力的な駅前再開発マンションが続々と登場してくるかもしれません。しかし、価格は驚くほど高いので、それでも値打ちあるものと、価値に見合わない高値のものとを見極めなければなりません。

うかつに高値で買えば、将来の資産価値は期待外れとなりましょう。駅前マンション、再開発マンションというだけで飛びつかないことが大事です。

ともあれ、マンションを買ってみんなで喜べる時代ではないので(少なくとも、あと10年は)、マンション選びの難しさもしばらく続きます。少なくとも、新築にこだわったらよい物件には巡り合えない、そう思った方がよいでしょう。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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第573回「優良マンションから売り物が大量に出るわけは?」 [マンション市場]

★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツーをご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください★★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています



昨今(2015~2017年)、有名・優良マンションに売り物がどっと出て来る現象に遭遇します。

「勝どきザ・タワー」「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」、新豊洲の「SKYZタワー&GARDEN」、同「BAYZタワー&GARDEN」、汐留の「東京ツインパークス」、「富久クロスコンフォートタワー」といった物件がとりわけ目立ちます。

共通点は「大規模タワーマンション」だということです。

これは異常事態です。平時は、有名マンションほど売る人は少ないものです。売るのは惜しいと考えるためです。戸数が多いので、売り物も多くなって当然とも言えるのですが、筆者の印象では多過ぎるのです。

ちなみに、「勝どきザ・タワー」はSUUMOせ検索すると、2017年8月29日現在、13件の売り出し中物件が見られます。汐留「東京ツインパークス」では、リハウス店だけで売り出し中の物件が14件もあります。44㎡のワンルームから198㎡の3LDKまで、内11件が億を超える(最高5億円)売り出し期価格となっています。

「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」は45.65㎡4580万円から71.23㎡7800万円まで6件、「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」では16件(5400万円~1億5900万円)も売り出されています。

湾岸を離れて、チェックしてみましたが、「富久クロスコンフォートタワー」にも野村不動産アーバンネット店だけで14件の売り物がありました。1LDK5580万円~1億4500万円とあります。

これらは、現在売り出し中の戸数に過ぎないので、過去1年を遡ったら全部で一体どのくらい売り出され、取引が行われたことでしょうか?

●「住んでみたら問題が見つかった。だから売る」のではない

中古マンションの検討者から、「何か問題があって売り物件が多いのでは」というご質問がよく届きます。同一マンションの中に検討中の住戸以外にも多数の売り物があることに気付くためでしょう。つまり、欠陥や何らかの問題点があるマンションなのではないかの心配からのお尋ねなのです。

ここに掲げた物件は、おそらくそんな欠陥や建物外の問題は何もないはずです。

仲介業者でない筆者でも、売却の希望理由を知る機会はありますが、それぞれに「なるほど」と思わせるものが窺えます。

上記の物件と離れて少し紹介すると、「転勤命令が出たため」、「距離があるので大丈夫と思ったが住んでみると高速道路の音が意外に近いので不快である」、「子供が大きくなって手狭に」、「営業マンの押しに負けて買ってしまったが、駅の周囲に店が少ないので不便と気付いた」、「環境重視で買ったが通勤時間が長く苦痛である」、「前のビルがどのくらい迫って来るか心配だったが予想以上に近いので住むことなく売ってしまうことにした」、「子供が独立したので都心の便利なマンションへ住み替えたい」等々。

こうした一般的なもの以外には、「欠陥マンションだった」という理由も考えられますが、欠陥マンションかどうかは最近なら全てインターネットの掲示板に書き込まれてしまうので、事前に検討者は直ぐ気付くものです。

騒ぎが収まるまでは売るに売れずということもあります。欠陥であることを隠して売却することはできないので、売りに出す人は少ないのですね。騒ぎが収まって問題が解決してから嫌気していた人が売りに出すということはあっても、ずっと後のことですし、その数も多くはないというのが過去の欠陥マンションの経過を見ていた筆者の実感です。
そうでないマンションがあるかどうかは寡聞にして知りません。

●ミニバブル現象

少し前まで、湾岸エリアを中心に「マンション投資ブーム」が起きました。中国人の爆買いの一種で、国際的に割安とされた東京のマンションに投資する外国人が増えた(流行した)ことに加えて、2015年から税率が上がった相続税対策として日本人富裕層がタワーマンションの高層階は有利という情報を得て買いまくったからです。ある種の「バブル」状態になったようで、世間は「ミニバブル」と呼びました。

この間に東京オリンピックの誘致が決まった2013年秋以降、会場になる湾岸エリア(晴海・有明エリア)はマンション購入者の注目を集めました。そして、販売中だったマンションの売れ行きが急に伸びて事業主を喜ばせたのです。

「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」は、2012年4月の発売で、しばらくの間は売れ行きがぱっとしなかったのですが、竣工間際の2013年秋以降は販売スピードが急速に伸びました。そして、竣工の2013年11月には883戸完売のメドが立ったのでした。

2013年8月に売り出した隣地の「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」も予想外のスピードで完売したと聞きます。

ミニバブル現象は湾岸に留まらず各地のタワーマンションに波及しましたが、このとき投資目的ではない人も将来の値上がりを期待して各地の駅前タワーマンションなどに向かったのです。

価格は売り主の強気を誘うこととなり、初期の計画を上回る値上げを決めたり、販売途中で値上げしたりした企業もありました。その当時、投資対象にされた物件においては自己居住狙いで真剣に検討していた買い手から、「検討中に値上げすると半ば脅されながら慌てて買った」という声も多数聞きました。

ともあれ、ある種の熱狂の中で購入したマンションの多くは今から見れば安い買い物であったことは確かです。投資目的で買った人は、賃貸目的というよりは、「キャピタルゲイン(転売利益)」が狙いだったのです。それが僅か3~4年で、引き渡しから2~3年で売却し利益を狙っているというわけです。売り物が多いのは、そのせいです。

中には「オーナーチェンジ」の売り物件も散見されます。賃貸してしまったからです。賃貸していた人でも、たまたま空き家になったので売り出すことにしたという話も聞きます。

当初はもっと長く持つ予定だったが、思いのほか値上がりしたこと、ピークアウトが近いことから売るなら今だと考えて売り出す人が次々に出て来たとうことらしいのです。

筆者の知人は、賃貸にも出さず機をうかがっていたようで、「新築未入居」のキャッチフレーズで売却にかけ利益を得たのです。仲介業者の中にも、5戸、10戸とまとめて購入して転売したという情報も伝わって来ました。

その昔、「土地ころがし・マンション転がし」が大流行したことがありましたが、そのミニ現象が直近で起きていたということです。もう沈静化したようなので他人事ながら筆者も休心しています。バブル的な動きで被害を受けるのは、いつの時代もマイホームを求める人たちだからです。

ともあれ、有名・優良マンションから売り物が続出している現象の原因は「投資ブーム」にあったと言えそうです。

●家は売らなければ損も得もないのです

値上がりして喜ぶのは投資家だけです。一般居住者は自宅が値上がりしても何も関係ありません。

バブル期のことですが、購入した物件・場所によって差はあるものの、短期間に我が家が2倍、3倍になったことで驚いた人も少なくなかったのです。しかし、現に住んでいる家の値段が何倍になろうと、何の得もありませんでした。

一方、売却した人は、高値に驚くとともに手にした金額に喜び一杯だったことでしょう。ただし、その資金でもっと良い住まいを手に入れようとすると、郊外のまだ値上がりの波が及んでいない街へ行くほかにありませんでした。

売却した場所の近くは同じように値上がりしていたからです。売却して得た金銭に(新たなローンなどで)プラスしなければランクアップした家は買えなかったのです。

反対に、バブル期に高額な住まいを購入した人は、その後の値下がりを体験して悲哀を味わうこととなりました。何かの事情で売りたいとなったとき、現実の厳しさにぶつかったからです。売却して得る金銭では住宅ローンの残債を清算できないことを知ったのです。いわゆる追い銭が必須でした。

その金額の大きいこと。結局、売却を断念した人も多かったはずです。これは含み損を抱えてしまったものの、損失が確定しないで済んだというケースです。

つまり、売却しなければ損も得も表面化しないことを意味します。

●「利益確定売り」という居住者の大胆な判断

最近のご依頼で急に増えた「将来価格の予測サービス」に、筆者は嬉しい悲鳴を上げています。もともと休日に無縁な筆者ですが、最近の作業量は半端ではなく寝る暇もないほどです。

多くは、従来通り「買ってよいマンションか」と「それを10年、15年先に売るかもしれないが損(利益)はどのくらいになるか」というマイホーム検討者からのものですが、中には3年前に購入した人、居住して2年しか経っていない人などからのご依頼も増えています。この現象に、時代を感じます。

購入して間がないのですが、「今売るのがいいか。それとももう少し先がいいか」ということを考えているので、先の予測数字を知りたいというご依頼です。売却動機が書いてあって「思いがけず高値で売れそうなので売ってしまおうか」というお考えを持つ人が少なくないのです。

売ったあと、住む家はどうするのだろうか?そんな疑問を抱きますが、ひとつの答えがありました。それは、売って当分実家で暮らすという単身者の行動でした。独身寮に入るという人もあったかもしれません。ファミリーの場合の答えはありません。

湘南ライフに憧れているという人が都心のマンションを売却し、茅ケ崎のマンションを購入した人にもお会いしました。価格差が大きいだけに、ひょっとすると多額の現金を手元に残しつつ買い替えを成功させたのかもしれません。これは例外的です。

結局、一時的な利益に目がくらむのかどうか、「利益確定売り」という行動に出る人もありそうです。売った後に別のマンションを買うのでしょうか?我が家が高く売れても、同時期の買い替え先も(地方や郊外に移住する場合を除けば)高いはずで、そうする意味があるのかどうか、理解に苦しむところです。

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老婆心ながら、こうした売却では譲渡益が多額に発生したはずなので、譲渡所得から3,000万円の特別控除(自身で居住していた場合)を受けたとして、新たに購入する住宅をローンで購入したとき、住宅ローン控除が使えなくなる場合があるのです。大丈夫だったのかどうか。

後になって何人かのご相談者に「大丈夫か」とメールを送ったのですが、連絡がないままなので、今も気がかりです。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。


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