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新築未入居マンションという選択 [マンションの値引き販売]

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

完成してから5年も6年も経て未だに売れ残っているマンション、今も少なからずあることをご存知でしょうか?

地方都市や超郊外の物件の話ではありません。23区内にある少しも悪くない物件のことです。中には、最寄り駅から徒歩1分といった利便性において文句のつけようのない物件さえあります。

筆者の知る限り、最も長い例は築9年を経過した物件で、今も10戸以上の在庫を抱えています。このペースなら築10年で分譲中という稀有な新古マンションとなることでしょう。

売れ残っている原因は、ほぼ例外なく価格にあります。売主で多いのはS社とG社です。この2社は価格が高いと分かっていながら値引きを一切せずに販売活動を持続しています。

買い手は売れ残っている物件なら値引きしてくれるだろうと期待しますが、頑強に拒み続けるのです。

筆者も関わった江東区のある物件で経験したのですが、現場の営業マンは値引きしてでも早く完売して新しい物件を担当したいと本音を語っていました。しかし、上司は一切耳を貸さないのだそうで、結局のところ値引き交渉は埒(らち)が開かなかったのです。

その物件は、完成後4年を経過していましたが、そのときから2年後にようやく完売に至った有名マンションでした。

当該デベロッパーのポリシーはよく分かりませんが、とにかく5年も6年も流れに任せるのです。財政的にもバランスシート上も、大した問題ではないのでしょうが、不思議でなりません。

ところが、最近「時価販売」が会社の方針だとかで、8000万円から6000万円に2000万円もの値引きを実施しているG社の物件に遭遇しました。

首都圏のマンション価格は、3年前から平均で20%以上も上がったので、割高だった売れ残り物件も相場に近づいたはずでした。ところが、調べてみると、25%・2000万円も値引きしたに関わらず、まだ現状の相場に並ぶレベルではありませんでした。いかに当初の価格が高かったかが分かるというものです。

新古物件で、かつ●年を経た物件、買い手から見れば心理的にも価値の下落感があるので、現相場に並んでも「高い」となるケースもあります。その一方で、例えば8000万円が6000万円になると聞くと、お買い得と感じる買い手もあるのでしょう。

販売状況はいくぶん好転し、在庫は少しずつ減って行きます。


●売れ残った新築マンションの最後は値引き処分が常識

築5年、6年を経ても強気を通し営業を続ける売主は稀有な存在です。殆どのデベロッパー(売主)は、全体的なビジネス効率を考えて、長期間の在庫を嫌います。

細かなことでデメリットを挙げると、未販売住戸の管理費を負担しなければなりません。在庫品の維持管理に手間と費用も掛かるものです。売れても、壁クロスがめくれてしまったり、ドアの建て付けが狂っていたりするので、補修費用も必要です。

無論、広告費とモデルルーム経費、営業マンの人件費が大きな出費となります。

一番の問題は、物件のイメージダウンかもしれません。いつまでも売れないマンションを買ってしまったことに落胆している入居者の心理と不信感も見えない損害です。

こうした点を計算すると、長期にわたって売れ残ることに益はないのです。

別のデベロッパーの役員から聞いた話です。仮にX社とします。

「当社は、売れないようなマンションを建てたことによる社内外のマイナスイメージを恐れます。X社たるものが売れないようなマンションを造ったと思わせてはならない。だから、値引きしてでも早期完売を目指せ」と、売れ残った現場に檄を飛ばすとのこと。


●売れ残りの要因

X社に限らず、必要なら予算を超過しても広告を増やし、必要なら家具や諸費用をサービスし、必要なら本体値引きも辞さず、建物完成から半年か長くて1年以内に完売させるのが業界共通の考え方です。

ところで、売れ残りの原因はどのようなところにあるのでしょうか?

売れない原因の中で一番多いのは「立地条件」の悪さです。 駅から遠いか、駅には遠くないものの環境が悪い、坂道がきついなどの物件が最も販売に苦労しています。

他には、間取りが悪いとか、設備・内装が安っぽい、売主が無名、施工会社が心配、天井が低い、梁が目立つ等々、挙げればキリなく出て来ます。百点満点のマンションはないと知りながら、買い手は可能な限り理想像を求めるものです。

最後は、予算を睨みつつ妥協して購入することになるものですが、高額マンションになると予算に余裕を持っている人が多いので、価格だけでは動きません。

高額なマンションは、大体が好立地にあり、建物も大規模で超高層で、共用部分が豪華にできており、加えてコンシェルジュが入居者をに対して「うやうやしく」接するといった付加価値があるものです。

このような、購買層を満足させ得るの品質を誇る物件が売れ残るとしたら、多くの場合、販売戸数が多いことに起因します。しかし、全体的には優良な物件であっても一部の住戸に限って良くない間取りであったり、そこだけが眺望を阻害するものがあったりすると、最後まで売れ残るということもあるのです。


●残り物に福はあるか?

書き出しが築5年も6年もの長い期間、売れ残った物件の存在についてでしたので、誤解を招きそうですが、今日の記事は建物が完成していて販売中の物件(完成売れ残り)について語ろうとしています。

「完成売れ残り」の中に、隠れた逸品がないこともないと述べるつもりでした。

先に述べたように、高級マンションでも条件の良くない住戸ができてしまうのがマンションです。 

なにしろ土地が高いので、容積(建設可能な平面積)を100%使い切ることがデベロッパーにとって不可欠な設計指針として設計者・企画担当者に立ちはだかります。

結果的に、変形間取りや凸凹の天井、暗い部屋、狭いバルコニー、プライバシーが侵害されてしまいそうな住戸位置、その他の好ましくない住戸が誕生してしまいます。

プロの設計士やデベロッパーの経験豊富な企画担当者が懸命に知恵を絞ったにも関わらず、できてしまった「感心しない商品」が送り出されてしまう。これが現実です。

売主は当該住戸の価値の低さを知っています。そこで最後は価格の安さで勝負に出ます。

条件の良い住戸との差を大きくし、割安感をアピールしようとするのです。ところが、その価値判断を誤るためか、買い手は反応しません。 何割かは、その価格戦略が奏功して売れますが、売りきれずに何戸か何十戸かが残ってしまうというわけです。

売れ残り住戸には、やはり福はないのでしょうか?

そうとも言いきれません。

条件が悪いから安いのですが、売主は「もっと下げておけばよかった」と悔やみます。

価格が安くても高級・高額マンションの購買層は動かないと書きましたが、もう二段も三段も下げると別の購買層が表れるからです。

例えば、高級マンションが建つにふさわしい都心のアドレスではあるが残ってしまうケースがあります。例えば、北向きで眺望も良くない住戸、裏のマンションから覗かれる住戸。

そんな家は、いくら安くても欲しくないという購買層が集まるからでしょう。案の定、売れ残ってしまったのです。

そんな住戸でも、安くすれば、「寝るだけのセカンドハウスだからとか、個人事務所として使いたいので気にしない。ただ予算に限界があるので、この価格なら文句ない」と語るような買い手が表れます。

このようなニーズの人にとっては、残り物から福を見つけたことになるのでしょう。


今まさにマンションを買おうと探している人が、このようなニーズでないとしても、安く買っておけば、売却の際には安く手放す余裕があることになり、上述のような需要層をキャッチできるかもしれません。

ごく一般的なファミリーマンションを探している人が、ときどき次のようなメールを下さいます。

「設備のグレードも高く、間取りも角部屋で、階も8階なので、とても気に入りました。ただ、価格が高い気がするのです。適正価格を教えて下さい。交渉の材料にしたいので」と。

全体の価格が高い物件でよく取られる価格戦略の結果、異常に高くなった角部屋の売れ残り事例です。

常識的なバランスで値付けすると、数の多い中部屋の価格に魅力がなくなり、大量に売れ残る危険が高い。そこで、中部屋の価格を可能な限り安くし、そこで減った売り上げ・利益を角住戸にONして売ろうとしたケースです。

ところが、ONする先の角部屋の数は中部屋の数に比べて少ないので、結果的に「角部屋で条件は確かに良いが高過ぎる」という住戸が誕生し、市場の厳しい評価を受けたというわけです。

条件が良く、問題のない角部屋でしたが、高過ぎて中々売れないので、仕方なく竣工後は値引きやむなしという販売方針となったようです。

このような例は多くはありませんが偶に見られます。


●価格交渉を頑張りましょう

関西人や名古屋の人は価格交渉が上手と聞きます。「おまけして。勉強して。なんぼにしてくれる?」の類の言葉が平然と口から飛び出すシーンを筆者も何度か目撃したことがあります。店側もいつものことと予想しているのか、少しも慌てず返す言葉も上手。そんな印象を受けたものです。

これに対して、関東の人は値引き交渉が下手とされます。 というより、値引きを要求する習慣がないのです。 

しかし、売れ残りマンションに遭遇し、物件としてのネックはあるが妥協の範囲にあるとした場合、最後はできるだけ安く買う交渉は非常に重要です。思い切った値引きを要求し、それを勝ち取ることです。

独りごとでも言うように「〇〇〇万円くらいは安くなるかしら」などとつぶやいてみましょう。

担当営業マンは「〇〇〇万円ですか、それは無理です」とか「当社は、値引きはしない方針です」などと拒絶するかもしれませんが、「〇〇〇万円ならどうですか」などと勇気を出して声にしてみることです。

値引き額の根拠など、全く不要です。根拠を示すと、売主に反論のきっかけを与えるだけだからです。

売れ残りなのだから、そのくらいは当然でしょという感じで、しかも業界の常識とか、値引きの限界とか、そのようなものは何も知らない顔をして、あっけらかんと言うのがコツです。

言いにくければ、「私たちにとっては大きな買い物なので、少しでも安くしてほしいのです」とか、「いくらくらい勉強してくださるの?」と言うのも悪くないでしょう。

 値引きやむなしという状態にあれば、売主はあらかじめ値引きの枠を現場に与えている場合もあります。そうでない場合も、過去の値引き決裁事例から「いくらくらいならOK」を現場の営業マンは知っています。

その範囲を超えるくらいの大きな要求であれば、「とても無理です」とか「売れ残りではない。売り出し時期が遅かったからだ」などと抵抗するに違いありませんが、そこで引き下がっては交渉になりません。

「出してみないと分かりませんが、お客様のご要望の〇〇万円は無理ですが、〇〇万円くらいならOKが出るかもしれません」という答えを引き出すまで先ずは頑張ることです。

その先は展開次第ですが、「もうひと声なんとかなりませんか?」などと粘ることが成功の必須条件です。







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高くつく中古マンション。「やっぱり新築」の声に思う [中古マンション]

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「中古マンションを購入してリノベーションする事も考えましたが、築年数がたっている物件は修繕費が高い事もあり、毎月の支払い総額を考えると、中古で購入するリーズナブル感があまり無さそうなので新築がいい」――このような考え方をする方にネット上で遭遇しました。

「新築と中古、どちらがいか」、その経済性のみを検証してみます。


1)物件代金:言うまでもなく新築の方が高いわけですが、稀に中古でも新築並みというケースがあります。しかし、ここでは平均像で比較して行くことにします。

※平均像を設定した方がよいので、70㎡の新築が6000万円、70㎡の中古が4500万円とします。 (これは、新築なら6000万円の予算が組めることは組めるが、先行きの不安から予算をもっと減らしたいと考えて中古物件を探してみたところ、築年数が新しいものは中々見つからないので15年までと妥協した結果の4500万円の物件を発見するに至ったという設定)


2)物件代金以外の購入時におけるイニシャル費用(登記料・不動産取得税・ローン保証料など):新築には修繕積立基金(一時金)が必要ですが、一方、中古には仲介手数料がかかります。

新築は修繕積立基金を除くと約200万円、中古はローンの利用額(後述)を減らせるので、約170万円で足りるとします。

これに修繕積立基金として50万円を加えて新築のトータルは250万円とします。中古は物件代金の3%+6万円(+消費税)の仲介手数料が必要なので、約150万円を加えてトータル約320万円の諸費用が必要となります。

築15年では、リフォーム費用がかかる中古も多いですが、設備はまだ交換の必要がないので、壁紙の張り替え・洗面所とトイレの床材の交換程度とし、費用は50万円とします。

中古はトータルで370万円


※物件代金を加えたトータルの購入費用は、新築が6250万円、中古は4870万円となります。


※頭金が1000万円出せる買い手だとした場合、住宅ローンの利用額は新築なら5000万円、中古は3500万円ですが、35年返済の10年固定金利0.8%で融資を受けたとすると、10年間の金利負担は次のようになります。

(10年としたのは、10年後に売却することを想定=後述=しているためです)

10年間の金利は、新築は350万円、中古は240万円となります。しかし、ここから住宅ローン控除を差し引くと、5000万円の借入が可能な買い手の所得は500万円以上であることは確かなので、10年間の金利負担は、新築も中古も実質ゼロとみてよいでしょう。

3)毎年かかる固定資産税土地+建物):新築マンションの場合、建物部分の課税は5年間に限り半分に軽減されます。尚、建物は完成後に課税されるので引き渡しの翌年からの納税となります。中古の場合は、軽減措置がない代わりに建物の課税価格が安いので、トータルでは大差ないものとします。


4)毎月の修繕積立金:新築の場合、初年度の設定は安く、5年か10年ごとに増額される計画になっています。70㎡の標準的な物件では、初年度が6000円、6年目7500円程度です。中古は、築15年クラスの標準的な積立金が12,000円なので、それぞれの10年間で比較してみます。  新築は81万円、中古はその後の増額がないもとすると10年で144万円となります。その差は中古が63万円多いだけです。

※ここまでの総費用(10年合計)で新築が6331万円、中古は5014万円となりました。中古は約1200万円少ない費用で住むことができるというわけです。


5)10年後に売却するとしたときの損失額:ここまでの試算で、10年間の総費用は中古の方が1200万円も少ないわけですが、問題は資産価値の差です。 

新築は10年後に築10年となります。築15年の中古は築25年となります。 どのくらいで売れるのかは、市況や物件の立地条件と建物価値などによって大きく変わるのですが、平均的なデータを用いて比較してみます。

23区の平均では、築10年マンションは新築相場の80%程度になっています。築15年マンションは同75%程度です。25年マンションは同55%程度です。

新築は10年で100から80へ20%ダウンし、中古は10年後に75から55へ27%ダウンするという理屈です。

ただし、これは10年後の新築相場が購入時とレベルだった場合です。新築相場が上がれば中古も連動します。 過去のデータは新築相場が10年で20%以上上がったために、上記のような値下がりは起こっていません。しかし、ここでは10年後も相場が変わらないもとして試算します。

6000万円の新築は×80%で4800万円となります。中古は4500万円×27%ダウンなので3285万円に値下がりします。損失額は、新築が1200万円、中古も約1200万円です。つまり差はありません。

ここまでの計算で欠落しているのは住宅ローンの元本返済金です。借入額に1500万円の差がありますから、毎月の返済額で13万6千円と9万5千円、差額4万1千円の120か月分、合計で約490万円が中古の負担軽減額となります。

一方、中古は25年に達する間に設備の交換が必要になるかもしれません。その分を200万円と見積ったら、負担軽減額は290万円になります。

以上から、10年間の総費用の差は、1200万円+290万円、計1490万円となり、中古の方が明らかに少ない負担で居住することができると分かります。冒頭に掲げた「中古で購入するリーズナブル感」は十分にあるわけです。

しかし、購入物件が築15年でなく、築30年を超える物であった場合、全面的なリフォーム、つまりリノベーションを要することでしょう。その場合は数字が変わって来ます。

リフォーム費用を当初の50万円と後の200万円を計上していましたが、ここがプラス500万円としたら、それでも中古は約1000万円もの負担軽減になるのです。さらに、購入時のイニシャル費用も大きく減るはずです。

中古購入にはやはり「リーズナブル感」はあるのではないでしょうか?

鍵は、売却額が握りそうです。 この試算では新築も中古も約1200万円の損失としましたが、ここに差が出るほど「リーズナブル感」は変動します。

詳しくは割愛しますが、筆者が提供する「将来価格の予測サービス」の経験値から言えることは、新築も中古も物件次第で損得の数字は大きく変わって来ます。 新築であっても、選択を誤れば総費用は無論のこと、売却損も大きくなるのです。




 
中古は到底考えられないという人もありますし、反対に積極的に中古から選ぼうとする人もあります。 

新築がいいと思っているが中々見つからないので、次善の策として築浅の中古を検討している人もある一方、築年数にこだわらずに中古を探している人もあるのです。


 新築にこだわるか、中古も検討するか、あるいは中古に絞って探すか、どれにするかは個人の価値観になるのでしょう。その意味では中々微妙な問題です。

購入時のイニシャル費用は中古の方が負担感が軽いとしても、また毎月の負担感も同様としても、売却時に大きな損失が出るようなら、元も子もないということになります。

とはいえ、筆者は新築にこだわるべきでないと考えています。


関連記事:「基本の新築VS.中古」http://mituikenta.blog.so-net.ne.jp/archive/20160320

「築30年のマンションに10年住んで売却の構想」http://mituikenta.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25


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マンション ブランド力と品質の関係 [マンション設計]


ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

「品質は高いが価格は高くない」商品がある一方で、「品質は高いが価格も高い」ものもある、それが経済の実態というものです。

「品質の割には価格が安い」ことで売れ行きを伸ばし、企業として大発展を遂げたのがユニクロブランドを展開するファーストリテイリング社ですが、その反対の「高価格だが、裏切らない品質。英国王室の御用達としても知られる」ブランドバッグとか、「世界中のセレブに愛される」宝飾の最高級ブランド、中古でも高いブランド時計といったものが世界には少なからず存在します。


 高級ブランド品はブランド戦略と言われる企業の商品戦略、広告戦略によって高いブランド価値が作られ保たれています。

決してディスカウントセールはしない。その厳格なポリシーを守るために、直営店でしか販売しないというブランド商品も少なくありません。

分譲マンションにもブランド戦略は存在します。


●マンションの品質と立地条件がもたらすブランド価値

マンションは、建物品質だけで価値判断をすることができない特殊な商品です。高い品質の建物を作っても、立地条件の良し悪しによって評価が変わるからです。場所が良くないと市場が判断するマンションの場合、建物品質を高くしたところで、価格を低く設定できなければ販売は難しいのです。

消費財との大きな差がここにあります。

立地条件の価値を押し上げる要素、例えば地域ぐるみの開発・再開発などが伴わければ、建物だけを高品質にしても価格の高さに市場は理解を示さないのが実態です。

逆に、新設の鉄道路線、新設の駅、その前に大型SCなどとともに建設されるようなとき、そのマンションの建物品質を上級にし、価格もそれなりの高さに定めても市場は評価するというケースがあります。

このような特別な場合を除けば、立地条件の劣るマンションは建物品質も価格抑制のために中級以下にするしかないのです。

一方、別格とされる高級住宅地や駅に直結しているような立地条件では、土地の取得費も高いため、分譲価格が高くなるのは必定です。加えて、高額商品の買い手を満足させるための建物品質が必須となります。良い場所には良い建物というのが定石なのです。結果的に分譲価格はそれなりに高くなります。


高級マンションは、モデルルームを見ると、設備も建具・ドアハンドルも、また床や壁、天井の仕上げ材もハイグレードですが、それだけではありません。

共用玄関やロビー、廊下の床や壁、規模の大きい物件であればラウンジやゲストルームなどの共用施設の仕様も含めて中級以下のマンションとは明確な差別化が図られます。

場所が良いというだけで建物は中級マンションと大差ないという商品もないわけではありませんが、高級マンションと言われる物件は、建物品質はも高く、価格も飛び抜けて高いものです。

そして、そのような高級マンションの多くが、年月を経て資産価値を維持し、やがて「ヴィンテージマンション」と呼ばれるようになるのです。


工場生産品と異なり、マンションは手作りの一品生産品です。しかも、高級住宅地では限定生産品(稀少価値がある)だけに、資金調達が可能な買い手にとっては比べるものもなく、3億円と言われれば3億円を、5億円というなら5億円をそのまま受け入れて購入契約を結ぶことになります。

高級住宅地と言われる街として知られる千代田区の三番町や港区の麻布・青山・三田綱町・白金渋谷では広尾、・代官山といったアドレスのマンションでは、2億円から5億円もする高額住戸が複数用意されます。



●マンションメーカーのブランド戦略

数億円の部屋も含まれる高級住宅地のマンションを商品化できるマンションメーカー(デベロッパー)は多くありません。ご存知のように財閥系の大手業者と、それに続く大手業者、全部で5社か6社を数える程度です。

高級マンションには、ふさわしいブランドネームを用意し、同じ業者が販売する他のエリアの中級マンションのブランドと区別するのが普通です。買い手の優越感を満足させることが必須と考えるためです。

三井不動産レジデンシャルを例に引くと、最高級ブランドは「パークマンション」ですが、中級マンションは「パークホームズ」で、これが販売商品の大半を占めます。

タワー型を「パークシティ」というブランドにしていますが、「パークコート〇〇タワー」という高級タワーマンション」もあります。

明確なブランド戦略が見て取れます。


●ブランド名より企業名

しかし、マンションメーカーの場合、ブランド名より売主の知名度を優先しているように感じます。複数のブランドを持っている三井不動産レジデンシャルても、広告では「三井に住んでいます」というのがメインコピーです。

パークホームズだけのPRもたまに見たような気がしますが、印象に残るのは「三井に住んでいます」の方です。

三井は、最高級ブランドであろうと中級ブランドだろうと、また、都心・郊外を問わずに確かな品質のマンションを供給していますとアピールしているようです。

三菱地所レジデンスも、「三菱地所を見に行こう」のキャッチコピーが有名です。こちらは、親会社の三菱地所のビジネスまでを包括的にPRしていると感じます。


東急不動産は「ブランズ」を、野村不動産は「プラウド」を、東京建物は「ブリリア」をCMでアピールしていますが、こちらは複数ブランドを持たない企業なので単純です。それでも、広告ではブランドと企業名を同時に謳っています。

(注)野村不動産は、3年くらい前に「オハナ」という新ブランドを郊外の大型マンションを廉価で展開していますが、「プラウド」のブランド価値が低下することを恐れたためでしょうか、物件広告以外では一切登場して来ません。


ユニクロがCMで企業名のファーストリテイリングを同時にアピールすることはありません。そのせいかどうか、ユニクロを展開している企業がファーストリテイリング社であることを知らない人が多いのも事実です。

マンション業界は対称的です。マンションのブランド戦略は、ブランド名より売主名を意識したものなのかもしれません。


郊外の普通の住宅地には高級マンションは建てないものですし、数少ない高級住宅地の高級マンションのブランドを浸透させたところで、その商品開発が簡単でなく滅多に販売できない以上、あまり意味はないのです。

かといって、数が多い中級品のブランドばかりPRしても、そのイメージが定着すれば困るわけで、結局のところ、高額マンションであろうとなかろうと、「わが社のマンションの品質は確か」、または「どこで開発したマンションでも高級品」というイメージ作りをして行かざるを得ないのです。

「プラウド」という野村不動産のマンション名に対するイメージを何人かの人に尋ねたところ、「高級な感じがする」という答えが返って来ました。東急不動産の「ブランズ」も、最近1~2年の集中的なCM投下が効いてか、「何となく高級な感じがする」と言います。

野村も東急も、立地条件を問わず、すべての販売商品に高級なイメージが浸透したらCMは成功と言えるわけです。

そして、買い手がイメージ通りのマンションと感じて満足できれば、それはそれで結構なことです。


●同じブランドでも品質は違う

しかし、現実はどうなのでしょう。「ブランド名」は同じでも、品質(グレード)には差があるのも事実です。先述のように、立地条件によって変えざるを得ないからです。

ところで、マンションメーカー各社は、自社の品質基準・設計基準のようなものを持っています。 

廊下幅やパイプシャフトの寸法から、設備のグレードなどについて、細部に渡って内部基準を設けているのです。

しかし、基準を順守しているか疑わしい物件もあります。

基準が緩いのか、基準に一定の幅があるのか、内部に通じているわけではないので確証はないのですが、間取りや設備などの資料を見ているだけでも、一定ではないように感じるケースによく遭遇します。

建物が完成し内覧会に立会いさせてもらうと、その感は一層強くなります。

ともあれ、同じブランドなのに「先月見た物件はディスポーザー付きなのに、こちらは付いていないのですね」といった声や、「ミストサウナが欲しいのに、今度の物件は付いていない」といった声を聞きます。

ディスポーザーは多額のコストを要するので、設計基準書の中では採否が柔軟に扱われているのでしょう。

これらは目に見える部分の差異ですが、見えにくい点では「二重床と直床が混在したブランド」があります。

同様に、住戸の玄関に「アルコーブがあったり、なかったり」も最近はよく見かけます。

設計基準は事実上、形骸化してしまったのか、そんなことも感じます。とまれ、買い手の立場で考えてみると、ブランドに騙されないことが大事です。

得難い高級住宅地や駅直結マンションなど、差別化が明白はっきりした物件であれば、価格が高くても売れるはずと売主は強気です。そのような物件は、「さすがは〇〇社の〇〇ブランド」と、買い手を喜ばせる標準以上のスペックで設計されているものです。

ところが例外もあることを知っておかなければなりません。 都心の高級住宅地に建てられた大手A社の内覧会で実物を見たとき、大きく下がった天井がやたら目立ち、閉塞感のような違和感を覚えたことがあります。

大梁が下がり天井となっているほか、排気ダクトがキッチンからバルコニー方向へ走っているのですが、その両方の下がりが天井に凸凹状態を作り出し、大きな抵抗感をもたらしていたのです。早い話が、「高級マンションの割には随分天井が低いなあ」と思わせるものだったのです。

こうした例は挙げればキリがありません。モデルルームは欠点が少ないタイプを展示しているので、気付かない買い手も少なくありません。契約完了後に気づいて失望するのです。

購入するタイプがモデルルームでない場合は気を付けなければなりません。しかし、平面図だけ見ていても、頭の中で3D化することは難しいものです。

そこで、ひとつだけコツをお伝えすると「下がり天井=2150とか、同=2050などといった表示と、その範囲を表す点線に注目します。

下がり天井の範囲が分ったら、そこにマーカーか色鉛筆で着色します。これだけでも、天井面にスッキリ感があるかどうか、圧迫感がないかどうかの見当をつけることができます。

それでもピンと来ない場合は、当該住戸の断面図を売主に要求することをお勧めしたいと思います。


 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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※「買ってよかった」を再確認したい方もどうぞ。物件サイトが閉鎖されている場合は、建築概要・住戸専有面積(正確に)・階・向き・価格・管理費・修繕積立金などの情報をご提供いただきます。

※中古物件の場合は、物件の掲載WEBサイトのURLを必ずご記入ください。



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平均の2倍もする管理費。これをどう見るか? [マンションの管理問題]

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管理費は地域によって差があります。人件費の違い、電気代などの違いからです。しかし、それらに2倍もの差はありません。 ところが、マンション1住戸あたりの管理費を比較すると、2倍もの差が普通に見られます。

高くなる理由を考えてみましょう。

エレベーターを例に採ると、1基より2基にすれば、その保守点検費だけでも2倍になるわけですし、電気代も2倍かかるはずです。管理人を1人置くだけよりコンシェルジュと併用すれば、2倍の人件費が必要です。エントランスホールやロビー、ラウンジといった共用部の面積が広いと、清掃費用も共用灯の電気代も増えることは間違いありません。

ところが、戸数が2倍あればエレベーターが2基になっても1住戸当たりの費用は変わらない理屈です。共用部分の面積が大きくても住戸数に比例して大きくなる分には1住戸当たりの管理費は高くならないはずです。

ところが、現実には管理費が高いマンションとそうでもないマンションが存在します。なぜでしょう?

その理由を述べる前に、管理費の相場を見て頂きます。


●住戸面積1㎡当たりの管理費の標準は?

国土交通省の調査によれば、首都圏のマンションの平均戸数は131戸、1住戸当たりの管理費は16,127円、専有面積1㎡当たり@238円となっています(平成25年マンション総合調査)。

筆者の知る高級マンションに、平均の2倍弱、@450円/㎡という例があります。いわゆる100㎡を超える住戸ばかりで構成された全戸億ションの超高級物件です。全戸が管理費だけで毎月50,000円以上になるようです。

そこまでの高級物件ではないが億ションも混在する30戸ほどの物件で、@390万円という例もあります。

一方、湾岸エリアの大型マンション(300戸余)に、@155円/㎡という格安の事例があります。

また、湾岸の500戸余のタワーマンションで@280万円/㎡という例もありますし、文京区の40戸台の小型物件で@250万円/㎡という例があります。

このように、戸数、高さ、グレードなどによって管理費の多寡が決まって来ますが、不動産経済研究所が2010年に分譲された新築マンションを対象に調査したデータから見えて来るものがあるので、それを次に紹介します。

◆首都圏全体の1㎡当たり管理費:@211円
  中古を含めた全マンションを調査した先の国土交通省の@238円より安くなっています。理由は不明です。

◆規模(戸数)別の管理費

49戸以下:256円/㎡・50~99戸:211円/㎡・100~299戸:205円/㎡・300~499戸:209円/㎡・500~999戸:234円/㎡・1000戸以上:311円/㎡
 
50戸未満から300戸未満までの3分類では、戸数の多いマンションほど割安になることを窺わせますが、300戸を超えるとスケールメリットは消えて、逆に戸数が多い物件ほど高い傾向が見られます。

理由は、次のように分析されます。

大型マンションは、24時間有人管理体制にしたり、共用施設を多種多様に用意したりしているため、スケールメリットを帳消しにしているのです。


◆高さ別の管理費

5階以下:227円/㎡・6~9階:209円/㎡・10~19階:204円/㎡・20~39階:293円/㎡・40階以上:306円/㎡

   5階以下の低層から20階未満までの3分類も、階数が高いほど安い傾向が見て取れます。しかし、20階以上の超高層マンションは20階未満の1.5倍もの高さになっています。階数が高いほど戸数も多くなる傾向があるので、規模別の方と重なる点です。
    
  超高層マンションは管理費が高くなると言われていますが、例えば中低層にはない「窓の掃除」という費用負担がありますし、郊外の広い敷地の大型マンションなら自走式の立体駐車場が設置できるのに対し、都心や湾岸部のタワーマンションはタワーパーキングなので、保守費用もかかるうえに電気代が嵩みます。


●小規模マンションの管理費

小規模マンションほど管理費は割高になってしまう傾向は調査データからも明らかになりましたが、小規模物件の中には、平均値の2倍にもなる高い例があります。

小規模マンション同士の管理費比較で、決定的な差につながるのが管理人を置くか置かないかの差です。

管理人を置かない「巡回方式」の管理体制では、管理員人件費が不要となり、週5日以上の日勤と比べると大きな差になるのです。

30戸のマンションで試算してみましょう。管理員の賃金を月額24万円とします。30戸で割ると、1軒当たり8000円ずつ負担する計算です。70㎡平均の面積としたら、1㎡当たり114円もの差ができてしまいます。

巡回管理の小型マンションAの管理費が@250円/㎡であるとき、同規模のマンションBは管理人を日勤させているので@364円/㎡という高い管理費になってしまうのです。

70㎡の住戸なら、マンションAは17,500円、マンションBは25,480円となります。

月々8000円、年間96,000円、10年間で96万円と馬鹿にならない費用です。

試算は1.5倍の差ですが、現実の比較はもっと大きな差異があるようです。








●管理費の高いマンションは物件価値も高い――本当か?

タワー型の大規模マンションであろうと低層の小規模マンションであろうと、管理費の高いマンションを購入する人はどのような思いで購入を決めているのでしょうか?

管理費が高いことが購入断念の理由になった人もあるかもしれません。しかし、筆者の知る限り、その割合は低いのです。

管理費が高いと販売のネックになると踏んだ物件の場合、売主は管理費を抑えることを企画段階から模索します。

大型物件では、できるだけ共用部を多く(広く)しない、エレベーターの数も減らせる限り少なくする、駐車場は台数が減っても機械式でなく平面式にする、管理体制は極力省力化する、手入れの費用が馬鹿にならない植栽スペースは最小限の面積に抑えるといった工夫を凝らすのです。


反対に、差別化された価値ある建物を目指した物件の場合、大型マンションならエスカレーターでコンシェルジュの待つロビーやラウンジにアクセスするとか、ペット同伴エレベーターは専用として設置、3階まで吹き抜けのエントランスホールはガラス窓の清掃だけでも大変そうな大きさとし、ガラス越しに見える豪華な庭園は剪定費用がかかるとしても、敢えて企画に盛り込むのです。

大型マンション定番のゲストルームは、ラグジュアリーホテルのスイートルームと見まがうほどのグレード感で仕上げたりもします。


小規模の低層マンションでは、駐車場は地下格納式で「愛車の保護と防犯も万全」とアピールします。しかし、敷地に余裕がないので自走式にはできず、機械式の地下3階までなどとします。このため、当然ながら管理費に影響を与えるのです。

エントランス周りやロビーなどの仕上げは、床も壁も天井も、手抜きなく高級素材で仕上げています。共用廊下は当たり前のように絨毯張りの内廊下方式とし、エレベーターの広さはマンションの規模に不釣り合いなほどの大きさ、そして籠の内外の表面材、照明などのスペックは高級シティホテル並みにしたりします。

全体として高級感や上質感、センスの良いデザインなどを誇る高級マンションは、その種の建物が似合うブランド住宅地や、それに次ぐ高級住宅街などに建設されます。

このような物件は、販売価格も高いものです。当然ながら、購入予定者のニーズを把握した上で企画するので、管理費も高くつく建物となります。 しかし、買い手の資金力を推定し、管理体制も手抜きはしないのです。


●高級・高額マンションは管理費が高くても問題にならない

管理費が高いマンションは、その立地条件とともに高級物件、高い価値を持つ建物である場合が多いものです。

そのような物件は、資金力(購買力)の高い、所得も多い人が購入する物件となります。

それを購入した場合、次の買い手も同じような階層と考えられるので、売却するとき管理費がネックで売れないなどという懸念は持たなくていいのです。

言い換えましょう。価値あるマンションは将来価格も高値を維持できるので、管理費を多く支払って来た分くらいは元が取れてしまうということになるのです。


 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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「ご購入マンションの将来価格をズバリと予測」 [購入マンションの将来価格]

筆者は、他では見られない!!「ご購入マンションの将来価格 予測サービス」を提供していますが、サービスメニューでは「無料マンション評価サービス」に次ぐ人気となっています。

将来の予測ですから、絶対そうなると保証できるものではありませんが、ライフプランを立てるに当たって資産価値がどうなるか、買い替えは可能か、損が出るとしてもどのくらいかを知っておきたいetc. のご希望は共通のようで、今後も多くの方にご利用いただきたいと考えています。以下、サービスの内容をご案内しておきたいと思います。


将来の価格を当てるのは簡単なことではありませんが、三井健太のマンション相談室では、あなたの購入マンションの価値及び価格の妥当性を評価したうえで、将来価格をズバリ予測、損得シミュレーションを行います。無論、根拠とともに精緻なレポートとして提供しています。

マンション選びで大事なことは、購入価格の妥当性もさることながら、リセールバリュー(将来価格)の視点を外さないことです。

長く住むつもりでも、いつ売却の必要が起こるか分からないからです。そのとき、我が家は売れるのだろうか、売れるとしても購入価格を上回る可能性はあるか、下がるとしても、どのくらいを見込めばいいのか、住宅ローンの残債を超える価格で売れるだろうか。賃貸の方が良かったという結果にならないだろうか。損得計算はどうなるだろうか。

・・・・・こうした点を検討項目に加えておきたいものです。

 将来価格を決する要素は、建物価値とそれを維持する管理・改修、そして立地条件、加えて市況なのです。これらを客観的に評価・分析し、将来を予測してお答えするのが本サービスの骨格です。

 具体的な数字で我が家の将来価格を知っておきたいと思いませんか? 

 その予測レポートは、購入を後押しするのか、それとも慎重な再検討に向かわせるのか、いずれにせよ、マンション選びの羅針盤となる価値あるサービスと確信しています。

●転勤の可能性があるので、そのときは売却も視野に入れている。そのとき、いくらで売れるかを知りたい。 ●高い倍率の抽選を突破して人気マンションを購入したが、高値掴みなのではないか? 従って、将来価格は期待するほどにならないのではないか? ●タワーマンションの下層階を購入しようと思っているが、眺望は良くない。この場合、将来価格はどのようになるのか? ●都心の高級マンションではないので、将来価格が気になる。10年後に売却しようと考えているが、どのくらいになるだろうか? ●同駅圏では新築マンションの供給が過剰に思える。リセールバリューが心配だ。 ●駅から近く、建物スペックも悪くないと思っているが、売主が無名であることや規模が大きくないことも気がかり。10年後はいくらくらいになるだろうか?


※このような疑問をお持ちの方は、是非このサービスをご利用下さい。ご契約済み住戸でも可能です。

「高いときに買ってしまったが、売却時に損は出ないか」にも答えるサービスでもあるのです



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特定の中古住宅。ローン金利は驚愕の年0.3%台へ [住宅ローン金利]

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日銀が2月に打ち出したマイナス金利政策のおかげで住宅ローンは空前の低金利になっていますが、驚くのは、35年固定の「フラット35」の金利が、とうとう1%を割ったことです。

1年前には1.6%だったフラット35ですが、その頃3000万円を借りると35年返済の場合で毎月93,331円でした。今は0.95%に下がったので、83,988円と約10,000円も減りました。

これだけでも驚きですが、住宅金融支援機構はこの度「フラット35リノベ」という新たな制度を打ち出しました。

中古住宅を購入し、「省エネ」、「耐震」、「バリアフリー」、「耐久性」のいずれかの基準を満たすリフォーム工事を施せば、フラット35の金利から0.6%引き下げるというのです。

マンションで個人的に可能なのは、「省エネ」、「バリアフリー」のどちらかになりましょう。

これまでも、性能の差によって5年または10年間に限って0.3%引き下げる制度(フラット35S)はあったのですが、「フラット35リノベ」は、引き下げ幅を0.6%とするという画期的なものです。

0.6%引き下げられると0.35%となるので、3000万円を借りた場合、5年間に限るというものの、75,903円となります。 

建築士による住宅診断やリフォーム工事の記録保存などが義務になるようですが、これを利用して質の高い中古住宅が購入できるということになると、初めてマイホームを購入する若年層などには強力な支援となるに違いありません。


性能を確認する手続きが必要なことや、融資が受けられるのはリフォームが終わってからになるので、一旦売買代金を決済するために購入資金を別のローンでつなぐ必要があるなど、手続きが少し面倒に感じるかもしれません。

また、求められる性能や必要な書類などについては、専門的な知識がないと分からない点も多いので、仲介会社と相談しながら進めたいところです。


2016年度の「フラット35リノベ」の受付期間は、2016年10月から2017年3月までとなっています。一定の枠があって満杯になったら締め切るということなのでしょう。

このブログでは、再三にわたり新築の品薄感について述べて来ましたが、「フラット35リノベ」の導入をきっかけに「中古の検討」を始める人が増えて来るなら、それも結構なことと思います。

初めてマイホームを購入する若年層などには強力な支援となるに違いないと述べましたが、買い替えの人であっても、リフォーム予算を増やすことには役立つでしょうし、発想を換え、思い切って自分好みの間取りやインテリアによるリノベーションを計画するのも悪くないですね。

ただし、室内が新築同様になり、かつ好みの間取りやインテリアに包まれ、マンションライフを楽しむことができるとしても、マンションの価値は別の要素によって判定されるということを無視するわけには行きません。

フルリフォームをする中古物件となると、普通に考えれば築年数は20年~30年となります。資産価値という視点を持ち込むと、選択は簡単ではないかもしれません。ここでの詳細説明は割愛しますが、昨年4月に書いた記事「築30年の中古に10年住んで売却の構想」を再度お読みいただくとよいかもしれません。

URLはこちらです。http://mituikenta.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25


 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。


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2年先に完成のマンションに警戒感。ミニバブル崩壊か? [マンション市場]

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小規模マンションでは建物が完成してから販売を始める例も見られる一方で、完成が2年後というタワーマンションの販売例も少なくありません。

大規模で競争力の高い人気マンションで、最近ちょっとした異変が見られます。完成までの2年間に社会・経済環境がどう変化するか分からないので購入の決断ができないと、申込みキャンセルが相次いだというのです。


●経済変動とマンション市場。歴史を辿ると・・・

経済がグローバル化した今日、世界のどこかで何か事件が起こると、たちまち「〇〇ショック」という言葉が一人歩きを始め、動揺が起こります。

日本国内でも、他国で大きな事件や経済変動が起こると、安全資産と言われる円が買われ、急激な円高になります。 円高は国内の輸出型企業の採算悪化を招くことから、日本株の多くが売られて大幅な下落となり、連日TV・新聞紙面を賑わせます。

昨年の「中国ショック」、つい最近の「英国ショック(EU離脱)」、少し遡ると8年前の「リーマンショック」が記憶に新しいところです。

これからも、私たち国内に住む者には想像もできない大事件が突然に起きて驚かされ、たちまち株価や為替の急激な変動を巻き起こすことでしょう。

問題は、それらが一過性の投機的な動きに留まらず、景気後退や先行きの不安感を募らせ、日本国民の縮み志向を助長することにあります。


今、田中角栄ブームなのだそうですが、角栄さんが首相の職にあったころ(1972年~)、角栄さん持論の「日本列島改造論」が全国各地で不動産価格の上昇を招き、土地バブルを引き起こしたことをご存知でしょうか? 

それこそ山の中の土地までが値上がりすると信じられ、土地投資ブームが起きたのです。その頃は、一国の総理がビジョンを示せば国民はそれを信じ、そこに便乗した関連業界の商魂が各種のブームをけん引した時代でした。

土地バブルも将にそうでした。全国に新幹線網を張り巡らせ、高速道路が日本を縦断するという未来予想図は、地方の工業化を促進し、過疎と過密の問題と公害問題を同時に解決するという構想によるものでした。 

それが、国民を「1億総不動産屋」と言わしめる土地ブームに巻き込み、山林原野に至るまで地価の暴騰をもたらしたのです。

直ぐあとの19373年、第四次中東戦争をきっかけとして起きたオイルショックは、物価と経済に決定的な打撃を与え、「狂乱物価」と呼ばれるインフレを招きました。

オイルショックは日本中にパニック状態を引き起こしました。

トイレットペーパーや洗剤など、ほとんどの物資の買占め騒動、デパートのエスカレータの運転中止などの社会現象も発生しました。また、省エネ対策の一環として深夜の電力消費を抑制しようと、ネオンの早期消灯やテレビジョン放送の深夜放送休止などの処置が取られたのです。

物価上昇は建築資材にも及びました。地価の高騰に加えて建築費も急上昇したため、マンション価格は暴騰しました。筆者の記憶では、都区内の新築マンション価格は僅か1年で20%以上も高くなるという異常事態でした。


1980年代に入ると、日本製品の脅威にさらされていた米国が円高誘導を画策します。当時,アメリカは巨額の財政赤字や高金利を背景にドルの独歩高を通じて膨大な貿易収支の赤字を発生させ、世界的な対外不均衡が問題になっていたのです。なかんずく、日本の円は安過ぎるとやり玉に挙げていました。

そして、ニューヨークのプラザホテルで開かれた先進5ヵ国蔵相・中央銀行総裁会議 G5で討議されたドル高是正のための一連の合意事項をG5声明として世界に発信しました。「プラザ合意」と呼ばれました。


プラザ合意によって、急激な円高ドル安に市場は大きく動きました。日本の輸出産業は大打撃を被りました。

そこで、日本政府・日銀は国内景気の冷え込みを懸念し、大幅な金融緩和政策を採りました。その結果、お金が市場にあふれ、金融機関は不動産と株式投資に貸し出しを増やすほかなく、貸し出し競争が激化しました。

こうして生まれたのが「バブル経済」でした。

設備投資が増えて物がたくさん生産され、その販売によって企業も個人も潤い、企業はさらなる設備投資を増やす。個人は消費生活を楽しむ。この連鎖は「右肩上がり」の経済を形つくるとともに、それが永遠に続くと錯覚するに至ります。

これを「楽観の錯誤」と言い、英国の経済学の書物に登場して来る言葉だと聞いたことがあります。

日本国民は1980年代後半、まさに「楽観の錯誤」に陥り、我が世の春を謳歌しました。当時はやった若者文化、「お立ち台パフォーマンス」に象徴されるディスコダンスのように、誰もが踊り狂った時代でした。

輸出産業が不振に陥り景気が後退することを懸念した中曽根内閣(1982年~1987年)は、これを打破する内需拡大策に「民活」という手段を使います。

国有地の活用に民間資金を使う、言い換えれば国有地を提供するから不動産業者、建設業者はうまく活用しなさいと指令を発したのです。

開発に伴う各種規制を緩和するとともに、民間の活力を導入して都市開発を目指したのですが、これにより都区内の一等地にあった国有地を民間に払い下げました。民間企業はマンションを開発、これを分譲して大いに利益を上げたのです。

一等地のマンションが安く分譲されるというので、山手線の駅そばのあるマンションでは、分譲開始初日、何千人もの購入希望者が長蛇の列をなし、その写真が週刊誌に掲載されるなど大いなる話題となりました。


●アベノミクスとマンション市場

バブル経済が崩壊してから約25年、デフレに悩む日本経済の転換を意図して、黒田東彦・日銀総裁は就任と同時に物価上昇率2%の目標を掲げて大胆な金融緩和策を打ち出しました。

一方、安倍内閣が打ち出したのは、アベノミクス(経済重視政策)と呼ばれ、三本の矢で表されます。

三本の矢とは、?日銀との連携による異次元の金融緩和策、②国土強靭化策と称する公共投資の増加策(機動的な財政出動)、そして③成長戦略(規制緩和など)ですが、政策発表から3年以上経過しました。

しかし、国民を熱狂させたでしょうか?2016年に打ち出したスローガン「一億総活躍社会」のフレーズに国民は踊り出したでしょうか?

一時期は、株価が上がり資産効果も表れましたし、円安が進み輸出産業は利益を増やしました。景気は上向きになったのは確かです。税収も増えました。効果を踏まえて、政府は大企業に圧力をかけ、賃上げを誘導しました。賞与が増え、ベースアップを実施する企業が増えました。

また、円安は外国人の訪日旅行者を増やし、インバウンド消費を伸ばすことに貢献しています。

しかし、日本人の消費は伸び悩み、GDPはめざましいプラスの数値を示すに至っていません。金融機関も貸し出し先がなく、金融緩和の効果は限定的です。

消費はGDPの6割を占めますが、「消費より貯蓄」の傾向が強いのです。国民が将来に希望が抱けないことに原因があると分析されています。先行きが不透明というより、先行き不安ということなのでしょう。

日経新聞2016年7月9日には「消費 再びデフレ色」の見出しで、デフレ脱出を図る政府・日銀を失望させています。

デフレが続く経済、その中にあってマンション・土地の不動産だけは最近3年余、インフレ色をくっきりと見せました。 2年前にタワーマンションの購入契約を結んだ人は、2年後の建物完成期に5割も値上がりしたと喜んでいます。ちょっとしたバブルがマンション市場では起こったのです。

この3年、マンション価格は首都圏全体で20%も上昇しました。ただ、供給戸数は増えず、2005年頃に比べると半分です。これは、需要のすそ野が広がらなかったことを意味します。極論すれば、特定の少数派によって市場を形成されていたのでした。

筆者は、アベノミクスが成功して景気回復が着実に進み、先行きに光明が見えなければ需要は伸び悩むと考えていました。端的に言えば、賃金上昇が中小企業まで拡大することがマンション市場の本格回復の条件と見ていました。

しかし、期待は淡いものでした。「上がるから買う。買うから上がる」のバブル期に起きた循環に至らないうちに、失速しかけています。


●価格の下落が起こっても・・・

今買うのは2年後に逆のことが起きるかもしれない。そう考えているわけでもないようですが、2年先の完成マンションを契約することにタメライを覚えるという声も聞こえて来ました。

世界経済と無関係ではない国内景況、漠とした不安心理、そのようなものが模様眺めに態度を変化させているのでしょう。


バブル末期、高値のマンションを契約した数百人が、2年後の建物完成の直前に手付金を放棄して大量解約したという事件がありました。

バブル崩壊によって高値売却が叶わないと知ったためか、それとも手付金を捨てても、それ以下の価格で買える優良な物件が近所で発売されたからか、今となっては正確な理由が分からないのですが、この先そんなことが起きないとも限りません。


何が起こるか見通せない世の中ですが、大事なことは「住まい購入の目的は何か」を忘れないことです。マンション選びは、資産価値の視点も重要ですが、優先する条件は「住まいの快適性」です。

通勤の便、生活環境、便利な住宅設備、心地よい室内空間、耐震性能やセキュリティシステムがもたらす安全性と安心感などが豊かなマンションライフに結びつきます。

マンションの資産価値が目減りしても、売却しなければ含み損を抱えるだけですみます。つまり売らなければ損も得もないのです。転居の必要が起こっても、売らずに賃貸でしのぐこともできるでしょう。

売却損を出すことになって「経済的な利益」は得られずとも、マンションライフが「精神的な利益」をもたらしてくれたら、その買い物は間違いではないはずです。

蛇足ですが、売却損が出ても賃貸マンションで暮らすことに比べれば実は損でもないボーダーラインがあります。そんな試算が「高値買い」になりがちな購入の決め手になることも多いのです。

 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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中古マンション見学。管理状態はこうしてチェックする [中古マンション]

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ご相談者からいただくメールの中には、中古マンション見学時の感想が含まれていることが少なくありません。

その感想のひとつに、「清掃が行き届いており、管理状態も良さそうだ」というものがあります。

そのコメントを読むとき、いつも「どこまで観察しての所感だろうか?」という疑問を禁じ得ません。

マンション管理という業務の実態は、管理会社に勤務したか、管理組合の役員にでもなって管理会社の担当者などと接するまでは、本当のところよく分からないものです。

そもそも「マンション管理」とは何をするものか、どこが重要なのか、分かっているようで分かっていない人の方が多いのではないでしょうか?

管理人さんがいて、管理人室に詰めていること、ときどき館内を巡回しているらしいこと、ゴミ収集車が来たときは、ゴミ置き場付近で見かけること、ときどき掲示板に何か張り紙をしていること、管理人さんとは別に清掃員が来て掃除をしていることなどです。

一言で表せば、「マンション管理とは綺麗に保つこと」ですが、綺麗に保つためには、日常管理において清掃をするだけでは足りません。

植栽の手入れ、床や共用トイレの清掃、キッズルーム・ゲストルームなど共用室の清掃、共用部分の壁や玄関ドアのガラス、エレベーター内外の拭き掃除と磨き、共用電灯の交換、、共用室の備品等の補充・交換、といった作業・管理項目が実にキリなくあります。

建物は完成したその日から劣化の道を歩み始めるので、それを踏み留め、寿命を長く維持することが管理という仕事の目的です。清掃だけで見た目を新築同様に保つことはできないので、新品と交換することによって若返りを図ることも必須です。

外壁や鉄柵などの塗装、破損した郵便受けの全面交換、機械式駐車場の交換、ロビーに置かれたソファの交換、共用室の畳の表替え、共用廊下の蛍光灯・白熱灯のLED電球への交換、共用廊下の床の表面材の張り替え、バルコニーの床の防水工事、屋上の防水工事、バルコニー天井(軒裏)の塗装などの工事を実施することによって、めざましく綺麗になるとともに若返るのです。

しかし、中古マンションを見学したとき、管理状態の良し悪しを一目で判断するなどということは可能なものでしょうか?

たまたま大規模修繕が行なわれた直後に訪問した場合なら、築〇〇年も経たマンションとは思えないという感想を抱くことでしょうが、工事が始まる前に行けば「古ぼけているなあ」とか「汚いなあ」などと感じるかもしれません。

清掃は行き届いているが、メールボックスにチラシがたくさん投げ込まれ、はみ出しているものもあって見栄えが悪いとか、自転車が所定の場所にきちんと置かれていないということもあるはずです。

また、壁に地震でできた亀裂があって、補修(埋め)の跡が太いミミズのような形で残っているが、内覧時には気付かなかったという場合もあることでしょう。補修してあれば問題はないものの、見栄えが悪ければ資産価値は下がるのです。

では、中古マンションの管理状態の良し悪しを見分けるにはどうしたらいいのでしょうか?そのヒントとなるものをご紹介しましょう。


➀管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「整理・整頓・清掃状態」

先ず誰でも気付くこととして清掃状態を挙げることができます。

多言を要しない問題ですが、床が綺麗に磨かれているというだけでなく、集合郵便受けの周囲にごみが落ちていないか、ゴミステーションはきちんと分別され整頓ができているか、自転車が指定通りに置かれているか、植栽周りの落ち葉などが片付いているか、掲示板の張り紙がめくれていたりしていないかといった点検は内覧時でも可能です。

これらの細々とした作業はマンションの見てくれを悪化させないための必須の管理員業務(一部清掃員)ですが、これは1週間に1回か2回の巡回方式で完璧にこなすことは困難なものです。


②管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「管理費の滞納」

中古マンションを検討するとき、仲介業者から「管理に関する重要事項説明書」が交付されます。これは、管理会社から発行されるもので、そこには管理費の金額、修繕積立金の残高、大規模修繕の履歴といったもののほかに、管理費・修繕積立金の滞納状況(滞納期間や滞納額など)が記載されています。

管理費を滞納する人には、のっぴきならない事情があると考えられますが、ルールはルールなので納めてもらうことが不可欠です。

管理会社は何度も督促するなど、納めてもらう努力を続けますが、それでも未納が続けば管理組合に報告することに加えて、「管理に関する重要事項説明書」にその旨を記載しなければなりません。


国交省のマンション総合調査(調査対象地域:全国。平成25年度。以下「同調査」という)によれば、築年数に比例して滞納者の発生率も上昇する傾向がはっきりと見て取れます。

管理費・修繕積立金を3ヶ月以上滞納している住戸が1世帯でも「有り」という管理組合は37.0%もあるのですが、完成年次が古くなるほど、また戸数規模が大きくなるほど、滞納住戸のある管理組合の割合が高くなる傾向にあるようです。

また、6ヶ月以上滞納している住戸がある管理組合は22.7%であり、1年以上滞納している住戸がある管理組合は15.9%もあるのだそうです。

特に築30年以上のマンションにおいては、5割以上の管理組合で3ヶ月以上の滞納者が、3割以上のマンションで6ヶ月以上の長期滞納者がいる、と回答しています。

管理費の滞納者が多ければ多いほど管理費が不足し、日常管理はおぼつかなくなります。管理会社は、清掃回数を少なくするなどの対策を提案して来ることでしょう。

その提案に管理組合が従わなければ、他の方法で管理費用の節減を図ることとなります。その内容次第では、長い間に資産価値の下落につながらないとも限らないのです。


③管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「賃貸比率の高さ」

同調査によれば、賃貸比率0%のマンションは約10%、20%以下は約18%、20%以上が約60%もあるのだそうです。

一方、管理組合が抱えるトラブルの第1位は、①「居住者間の行為・マナーをめぐるもの」が55.9%と最も多く、次いで②「建物の不具合に係るもの」が31.0%、③「費用負担に係るものが28.0%」となっています。

「賃貸比率の高さ」と「居住者間の行為・マナーをめぐるトラブル」との関連は同調査にはないのですが、想像に難くありません。

モラルの低い居住者が賃貸住戸に多いという分析も出ていません。しかし、大いに関連があると管理の専門家は言います。

とするなら、「このマンションの賃貸比率は?」と尋ねてみることも有効になるはずです。賃貸比率は、マンションの立地条件、住戸面積の大小、さらには築年数などにょって異なります。

これらを掛け合わせて、比率が高いと思えたら、トラブルが多いマンションと想像できますし、それが管理の悪さとも結びつく危険を内在するマンションと言えるかもしれません。


④管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「エントランス前の自転車」

マンションのアプローチ部分(玄関前)に何台も自転車が置いたままになっている光景にぶつかることがあります。

その状態が何時間も続いており、いつも同じ自転車が置いてあることもあるのだとか。
誰も注意しないのを良いことに、1台が2台になって、とうとう10台に増え、常態化してしまったマンションもあるというのです。

別のマンションでは、各住戸のエントランス前、つまり玄関ポーチにベビーカーとともに置いてある例を見たこともあります。

こうした光景を見ると、「管理がよくないマンション」と感じざるを得ません。


➄管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「長期修繕計画書の作成日」

仲介業者を通じ、管理会社から「長期修繕計画書」を取り寄せることができますが、その書面で注目すべきポイントは、「作成日」です。

一般に、長期修繕計画は3年ごとに見直すことになっていますが、入手した計画書は何と15年前の新築分譲時に策定したものだったという例があります。確認したところ、一度も見直しを行っていないというのです。

管理組合が見直しを管理会社に依頼していなかったのか、計画書は目安に過ぎないから最初のものでも問題ないと管理会社が作業を嫌ったのか、理由は不明ですが、考えられないことだと、管理会社の知人は言いました。

何にしても管理組合の関心が薄い証拠なのです。


⑥管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「大規模修繕の履歴」

仲介業者に頼んで管理会社から「修繕履歴」を取り寄せましょう。小修繕から大規模修繕まで、できるだけ細部に渡っての記録を欲しいと言ってみましょう。それが何を意味するかはお分かりいただけることと思います。


⑦管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「管理組合役員会の開催頻度」

同調査では、「月に1回程度開催している」が48.5%と最も多く、次いで「2ヶ月に1回程度開催している」が20.7%となっているとあります。

「月に1回程度開催している」の割合は、完成年次が古くなるほど、また、総戸数規模が大きくなるほど高くなる傾向にあると分析しています。

古くなればなるほど老朽化に伴い、大規模修繕以外の応急措置的な部分改修も必要になるからです。ルール違反者の対応策を話し合う回数も増えるのかもしれません。

開催頻度を知るのは難しい場合もあるのですが、頻度が少ないと分かったとするなら、管理に関する当事者意識の弱さが疑われるマンションだということになるでしょう。



⑧管理状態の良し悪しを見分ける糸口―「修繕積立金の残高」

積立金残高が潤沢にあれば、着実に必要な改修工事を実行できるわけですが、潤沢かどうかの判断は簡単ではありません。過去に何もしなかったために多額に残ったのかもしれないからです。

大事なことは、適切な時期に適切な修繕を実施して来たかどうかにあります。⑥番の履歴のチェックの方が大事です。しかし、その上で潤沢な残高があるとすれば、良い管理を成し得ることは確かです。

残高を聞いたら、それを総戸数で割って1戸当たりの残高を算出します。その金額が毎月の積立金の何十倍(何か月分)になるかを見ます。それが10年分(120か月)と出れば、潤沢と見てよいでしょうが、1年分しかないとしたら、とても少ないとなるでしょう。

ただし、12年目、24年目などに行われる大規模改修工事が終わったばかりの年に当たれば底をつく状態もあり得るのです。

もっと正確に知るには、やはり「長期修繕計画書」の「収支計画表」に実績を入力したものが必要ですが、上述のような方法でも大まかには分かるものです。


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新築マンション市場は悪化の方向。選択肢せばまる!! [マンション市場]

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このほど2016年上半期(1~6月)の市場動向について、不動産経済研究所から恒例のプレス発表がありました。そのデータを元に、筆者の分析を述べたいと思います。

●発売戸数が激減

首都圏全体の1~6月の発売戸数は、14,454戸で前年同期比20%減となりました。

同研究所は、年間トータルの予想を37,000戸としていますが、果たしてそこまで行くでしょうか?単純に2倍すれば30,000戸にも達しないことになるのです。

30,000戸を割り込むということになると、バブル末期の1992年の26,248戸以来のこととなります。

1993年以降、発売戸数は急速回復し、1993年が4万4千戸台、1994年7万9千戸台、1995年~2006年までは1998年を除き7万~9万戸台と高水準の供給が続きました。

同研究所の2016年「年間予測値3万7千戸」は、10年前の2006年が74,463戸でしたから、その頃に比べて丁度半減するということになります。

2007年以降の経過もおさらいしておきましょう。 

2010年にかけて価格が急騰したことから売れ行きが悪化し、発売戸数は減少傾向にありましたが、この間に世界的事件が起こります。

リーマンショック(2008年秋)です。

この事件を契機に、世界金融危機が起こり、而して100年に一度と解説された「世界同時不況」が2009年に表面化します。

その後、マンション価格は下落しましたが、供給戸数は伸びません。2009年の3万6千戸台を底に、2010年以降も4万5千戸前後と低迷しました。

2013年は回復基調かと思わせる56,478戸に増加しましたが、2014年は44,913戸、2015年も40,449戸でした。つまり最近数年は再び停滞気味なのです。


●低迷の原因は急激な価格高騰にある

リーマンショックの2008年を挟む2006年~2010年の価格(坪単価)は、2006年@183万円、2007年@203万円、2008年@214万円、2009年@212万円という推移でした。

底値だった2006年の@180万円台(2004年、2005年も@180万円台)から見て2009年の212万円は、僅か3年で16%弱の上昇でした。

その後、2010年には@219万円まで上昇しますが、2011年には@214万円に下落、2012年も@213万円となりました。

しかし、2006年の@180万円台に戻ることはなく、再び上昇に転じます。2013年@230万円、2014年@235万円、2015年@257万円と急騰したのです。2012年(@213万円)の3年後、2015年には20%も高くなりました。

首都圏の中でも特に東京23区の値上がりは急激でしたが、価格高騰による販売への影響を吸収する背景がありました。住宅ローン金利の低下とアベノミクスの効果で株価が上昇し、景気回復が期待されたのです。

株高とともに円安も進みましたが、円安効果は新たな需要を生みました。国際的に見て一段と割安になった東京の不動産を外国人が買いにやって来たのです。

これらが、マンション価格の高騰をものともせず、販売は好調を維持する要因となりました。

株価上昇で資産を増やした人、加えて2015年に施行された相続税の強化策が富裕層を都心のタワーマンション、人気高額マンションに向かわせましたが、これらの需要階層は多数派ではありません。

大部分を占める買い手は一般勤労者です。この需要階層は、金利低下の恩恵が得られる範囲に価格がとどまっているうちは、販売不調の大きな要因として表面化しなかったのですが、その限界を超えてしまったのでしょう。昨秋9月の契約率に異常値が表れました。

年初来、初月契約率が70~80%台を維持していたのですが、好不調の目安と言われる70%を割ったからです。

秋は通常なら契約率も上がり、契約戸数も伸びるものですが、9月は発売戸数を絞ったにも関わらず契約率が低下したのです。発売戸数は前年同月比で27.2%も少なく、夏枯れと言われる低調な8月との前月比でも6.9%も減らしたのですが。

その後、一進一退を続けましたが、年明けの1月には、とうとう50%台に下落しました。初月契約率50%台は、2008年7月以来7年ぶりのことでした。

2月以降も、70%台を回復した月もありましたが、60%台に低迷という基調となっています。


●価格高騰の原因は1に建築費の高騰、2に地価の高騰

建築費の高騰は、東日本大震災の復興需要やアベノミクス関連の公共工事の増加に起因します。

建設労働者・技能者の不足が人件費の上昇を招き、建築費を高騰させたと言われます。その建築費は、首都圏内なら都内も埼玉県も大差はありません。

一方、マンション用地はどうでしょうか? 詳細のデータは割愛しますが、マンション用地の争奪戦は都区部ほど激しく、競争の結果、高値で取得したものが多いのです。


簡単にまとめると、郊外マンションの価格高騰は建築費の上昇によるものですが、都区部のマンションは土地代と建築費の両方の上昇によるのです。

このため、マンション価格の上昇率は都区部ほど激しくなっています。


●価格高騰がもたらす今後の展望は?

価格高騰は予算内に収まる物件の減少をもたらします。 金利低下が一段と進んだおかげで価格高騰分も一定程度の吸収効果を発揮したものの、限度を超えました。このため、予算に収まる物件を探し求めて郊外マンションに辿り着く人もあります。

そのような買い手が多ければ、郊外マンションは販売が好調を持続するはずです。しかし、その郊外マンションも供給量が増えていないため、選択肢が広がるとまでは行かないのです。

バブル期を思い起こすと、都心の便利なマンションは都区部の土地が投機買い(土地ころがし)にあってデベロッパー各社は取得できず、供給が激減しました。僅かな販売物件も途轍もない高価格でした。

当時はマンションを含む不動産も株、あらゆる資産価格が右肩上がりで、それが永遠に続くかのような「楽観の錯誤」に総国民が陥ってしまった時代でした。

いま買わないと一生買えなくなるとの強迫観念に陥ったのか、通勤圏なら何でもいいというくらいの買い手心理が蔓延しました。 中には、新幹線通勤の可能な静岡の「三島」や群馬県「高崎」といった街の物件を選択した人もありました。

しかし、多くの人は限界と見て購入を諦めてしまったのです。


当時と現在では、様々な条件が異なります。時代背景もはっきりと違います。値上り率も今の方がバブル期よりは緩やかな方です。また、金利水準がまるで違います。

こうした点を考え合わせると、この先が同じ流れとなるかは予断を許しませんが、品不足であることだけは確かです。


買いたいと思う人が、買い時にうまく遭遇することはないのでしょう。今はとても難しい時期ですが、中古も含めて広く売り物件を見つめ直し、可能な限り価値ある物件を探し当てられることを心から願います。


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新築マンションで選択するべき住戸はこれだ [マンションの間取り]


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50戸とか100戸とか、メガマンションなら500戸もの多数の部屋の中から選ぶべき住戸で迷う買い手は少なくないはずです。

ただ、予算に上限があるので、本当はこれがいいと思う住戸があっても対象から外さざるを得ない場合もあることでしょう。

いずれにせよ、「あちら立てればこちらが立たず」で、しばし判断に迷うのが住戸選びです。一定の予算の枠の中で、階数、間取り、向き、周囲の建物等の関係などを睨みながら、「ああでもない、こうでもない」と思案します。

今日は、住戸選びにおける重要なポイントについてお話ししようと思います。これは将来の売却において強みとなる住戸の条件を述べるものです。

初めにお断りしておかなければならないのは、「理想と現実のギャップ」があるからこそ悩み、迷うのであって、本稿が理想論に過ぎないとお叱りを受けるかもしれないという点です。

できるだけ現実論を踏まえながら筆を進めようとは思いますが、限度があることをご理解いただきたいと思います。


●高層階ほど値打ちがある

高層マンションは、上に行けば行くほど価格が高くなっています。上層階と下層階では住戸面積が異なる場合もあるので比較がしにくいかもしれませんが、1㎡または業界の慣習である1坪(3.3㎡)当たりの単価を出して見れば一目瞭然です。

タワーマンションでは、下層階が坪単価@200万円なのに、トップ階は@400万円もするケースさえあります。2階の住戸が15坪(約50㎡)で3000万円であるのに対し、30階の30坪(約100㎡)住戸は1億2000万円といった例は珍しくないのです。

トップ階(しばしばペントハウスと言ったりします)や、その下の何層かを「プレミアム住戸」と呼び、内部仕上げ・設備も上級グレードにして差をつけたりしますが、その特別な仕様の差以上に価格は高く設定されることが多いようです。

それでも、特別であることに購買意欲を刺激された買い手は多く、早い段階で完売してしまうのです。

優越感を覚えるのは、仕様もさることながら、価格差を納得させ得る価値があるからです。言うまでもなく、それは「眺望価値」です。

10階から見える景観と30階からの景観では大きな差があるはずです。そして、その眺めを我が物にできる特権こそが価値であり、プレミアムプライスとなっているのです。

新築マンションは未完成の段階で販売されるため、売主が眺望価値をアピールする方法は、専門業者に撮らせた階数別の眺望写真を見せることです。

新築マンションのモデルルームを訪問経験のある読者の中には、パソコン画面に映し出された写真を見た人もあると思います。

晴れた日には富士山が、夜は銀座のネオンが、〇〇公園が、夏には花火大会を、等々。これらが入居初日に(実際には内覧会で)想像通りのものであるとき、居住者は歓声を上げることでしょう。

その感動は、友人を招いたときなどに共有することになるのです。同時に優越感に浸れる瞬間なのかもしれません。

友人を招く習慣はないという人でも、高層階に住み圧巻の景観を楽しむ暮らしは密かな自慢となるだけでなく、自身を癒す空間として価格以上の価値を与えてくれるということかもしれません。

新築マンションの価格表を一覧すれば明らかですが、中高層マンションの場合でも1階上がるごとに50万円ずつ高くなるとか、下の方は30万円程度の差でも10階から上は100万円の差を付けてあったりします。

この差は妥当なものかという議論があります。5階と10階で500万円の価格差があるケースで、そこまでの価値の差があるとは思えない物件も少なくないのですが、売主は分かっていながら大きな差をつけたりします。

新築マンションの価格決定は、売主の販売戦略と密接な関係があり、敢えて実質価値と合致しない価格を設定するのは普通のことです。人気タイプ、人気住戸ほど価格を吊り上げ、そこで浮いた利益を売りにくい住戸の価格引き下げ原資としています。

実質価値以上の高値かもしれないとしても、高層階は人気が高い証拠です。大勢の人が眺望の良さを買ってくれると予想しての強気の価格なのです。

分譲時の人気の高さは、いざ売却というとき、内覧者を感動させる要素を持つ我が家であることを表しています。圧巻の眺望価値は、言ってみれば希少性、つまりダイヤモンドの輝きを持っているようなものです。

購入時は高いと感じたかもしれない我が家は、輝きを失わないゆえに、市況によって多少の差はあっても高値で売却できる可能性が高いのです。


●東南の角住戸が最高

東南の角住戸が良いと思う人は多いのですが、予算の関係から対象とできない人も少なくありません。角住戸と中住戸という分け方をすると、中住戸が70㎡の3LDKであるのに対し、角住戸は80㎡の3LDKなどと広めにするのが普通なので、これだけで価格差は広がりますし、単価も上げるので、価格差はますます拡大してしまうからです。

しかし、少し無理すれば買えないこともないという人は、ぜひ角住戸を選んでおきましょう。間取りも日当たりもいい、我が家の玄関前は誰も通らない端の住戸の価値はやはり高いのです。

売却の際、見学者はそこを気に入り「欲しい」と感じることでしょう。商談はきっと前に進むはずです。そのような価値ある間取りなら見学者も多く、買い手間で競争が生まれることでしょう。それが価格の下振れを防ぐに違いありません。

中でも東南の角住戸が一番人気なのですが、その理由は日当たりの良さにあります。しかし、その住戸が2階にあって、お隣さんが切迫しており、日当たりは大丈夫でも壁のようになって見通しが悪いとか、プライバシーが侵害されそうな場合は、角住戸の価値が相殺されてしまうかもしれません。


●ルーフテラス付きは極めて稀少価値が高い

東南の角住戸は縦にずらりと並んでいますが、ルーフテラス付き住戸は数えるほどしかありません。ご承知のように、建物は法律が定める制限の中で作られています。

「容積率」と「建蔽率」の基本的な制限のほか、「絶対高さの制限」、「日影規制」、「道路斜線」といったものがあります。

その結果、いわゆる「セットバック」ができてしまうのです。階段型の建物に誕生する屋上部分がルーフテラスです。マンションの中の数少ないテラス付き住宅は、その希少価値から常に高い人気を博します。

狭いマンションでは、バルコニーやルーフテラスはリビングルームの延長のように見えるのでしょう。思い切り体を伸ばしたり、休日にブランチを楽しんだりと夢が広がる住戸なのかもしれません。何より、テラスに出れば少なくとも三方を眺める開放感が魅力です。

100戸のマンションに1戸しかないようなケースも多いので、テラス分の価値が価格に大きくONされて販売されます。階数にもよりますが、強風のために物が置けないのです。そもそもテラスは「共用部分」であって「専用使用権」を与えられているものの、勝手なことはできないのです。

それでも競争率は高く、発売とともに複数の買い手が購入を申し込み、抽選で契約者を決めるのが普通です。

価格ほどの価値はない、売却するとき、思ったほど高くは売れない。このような指摘もあります。しかし、稀少価値は高値を呼び、一般住戸より人気を集めるのは確かです。


●ワイドスパンなら北向きでも価値は高い

バルコニー側から見た横幅寸法は、殆どのマンションで縦よりはるかに短い長方形ですが、反対のケースも稀に見られます。

反対とまでではないとしても、横寸法(スパン)がワイドな住戸は、バルコニーにに面して普通は2室しかないところ、3室をレイアウトできることから、人気を博します。

南面3室ならいうことなしですが、仮に北方向に3室であってもワイドな窓が取れることから、明るく開放的な住まいになります。

南向きの間取りでもスパンの短い住戸では、北向きにある2室は窓面積も狭く、昼間から照明が必要な暗い部屋になりがちなので、ワイドスパンとの差は大きいのです。

幅の広い大きなバルコニーとともに、ワイドスパンの間取りを気に入らないという人はありません。売却のとき、とりわけ「ワイドなリビングと1室の個室という形」の間取りは、内覧者を大いに喜ばせること請け合いです。


●1階住戸は付加価値の大きさで選択したい

一般に、1階住戸は嫌われます。眺望が楽しめないことに加えて、セキュリティの問題、プライバシーの問題がありそうに思われるからです。

嫌われる住戸を販売するには価格を大幅に下げる以外に、なんとか短所を補う付加価値はないものかと事業者は考えます。

最もポピュラーで効果が高いのは専用庭とテラスを設けることです。これが子育て世帯の関心を呼びます。室内を走り回ることで下階の住民に迷惑を掛けるという心配がないことに加えて、庭で遊ばせておけば、けがなどの心配をせず家事に専念できるからです。

専用庭の一角を専用駐車場にし、テラスから出入り可能としたプランもあります。

そのほかでは、和室を設け、そこに堀こたつを作るという策です。昔は随分あったものです。

また、キッチンに床下収納を設ける策が流行したことがありました。その収納も、階段で体ごと降りるような大型のタイプも珍しくなかったのですが、最近は殆ど見かけません。

掘りごたつにせよ、床下収納にせよ、採用例が減った理由はコストカットのためです。そこまでのコストをかけても高い人気を得られないからです。効果が薄いなら、大してコストの要らない専用庭とテラスだけに留めようというわけです。

その庭も猫の額ほどしかないのでは、買ってくれる人はありません。元気な男の子を抱えているか、近々そうなりそうな心配のある世帯だけに限られてしまうのです。

売却のときも同様です。限定ターゲットになる物件は、それだけ競争が働かないので、高く売れる確率は低いのです。

従って、1階住戸は「短所を補って余りある付加価値があるかどうか」で選択の是非を判断することが望ましいと言えるのです。


●価値ある住戸は10年程度で売却を想定しても間違いはない

70㎡くらいの3LDKを条件に探しているが、予算の関係で中住戸の、しかもスパンの狭い「ぱっとしない」中住戸で、かつ下層階しか選べないというようなときは、発想を転換しましょう。

例えば、60㎡の2LDKで価値ある住戸がないかどうかを検討することです。または、北向き住戸を敢えて選択することです。

長く住むという前提を置かなければ選択の幅は広がります。必要な時期が来たら、必要な条件を具備した物件に買い替えればいいのです。

価値ある住戸なら、売却も有利に運べるはずです。


●間取りに執着する買い手は実に多い

筆者が提供する各種資料の中で最大のヒットは「住んで気付くダメ間取りと名作間取り・特選50」ですが、その傾向から、買い手の間取りに対する関心の強さが見て取れます。

予算の中で選べる住戸は多くないという現実があるのかもしれませんが、逆転の発想も含めて可能な限り幅を広げながら、価値ある住戸位置(階・方位)を選択するよう努力したいものです。とりわけ間取りは重要と言えるかもしれません。


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