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売れ行きの悪さをひた隠しにする売主の意図 [マンションの値引き販売]

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

売れ行きが良いと、その品は良いものと思いこむ人間心理があると言います。

行列ができるラーメン店には「きっとおいしい」と思いこみ、次々に並ぶという状態を作り出すこともよく知られています。


マンションも同じで、モデルルームが「押すな・押すな」の盛況にあれば、売り手が説得を特に意識しなくても顧客は短時間に買うという結論に達してしまいます。

平日の比較的来訪者が少ないときに見学に行った人も、壁に掲示された大きな価格表に「申込」や「登録」のシールが張られ、価格が見えている部屋が僅かしかない状況を見れば、「あっ、もうこんなに売れている」と慌てることでしょう。

抽選方式の物件なら、価格表の各住戸に3とか5とかの数字のシールが貼られているのを見せられると、「すごい人気だ」と感じざるを得ないはずです。

新築マンションの売り手は、この顧客心理を利用しようと図ります。

一方、売れ行きのぱっとしない物件には、「売れないのは何か良くない所があるに違いない。慎重に考えなければ」という買い手心理が働きます。そこで、売れ行きが良さそうに錯覚させる戦術を講じる売り手が登場します。

中には戦術というより、ウソの演出で顧客の決意を誘う業者もあるのです。実際にあった話ですが、「50戸余のマンションで、あと10戸と聞いていたが、入居してみると10戸しか売れていないではないか。騙された」と一部の買い手が騒いだ事件があったのです。


●第6期販売と第3期3次販売は似ているが・・・

ウソはいけませんから、売り手は別の手を使います。分割販売(期分け分譲とも言います)という戦術です。

100戸のマンションをいきなり全部売り出さず、「第1期50戸・新発売」、日を置いて「第2期20戸・新発売」などと小出しにして行く方法です。

*プラウド新宿中落合 第3期
*シティテラス大森西 第4期 
*オーベル横浜白幡 第5期 
*プラウド日吉 第4期2次 
*プラウド国分寺 第2期5次 
*プラウドシティ志木本町 第6期3次 
*オハナ北習志野 第4期4次

これは住宅情報誌SUUMOの2016年9月20日号から分割回数の多い物件のみピックアップした事例ですが、第3期とか4期、5期というのは、単純に3回目・4回目・5回目の売り出しであることが分かりますが、第4期2次とか第6期3次というのは一体何回目の売り出しなのか分かりません。

いずれにせよ、売り出し回数が多いのは全体戸数が多いからという事情もありますが、売れ行きが良くないので、1回当たりの売り出し戸数を少なくせざるを得ず、結果的に売り出し回数が増えてしまったのです。

1回あたりの売り出し戸数を何故少なくするのでしょうか? 50戸売り出して10戸しか売れなかったら、売れないマンションという烙印を押されてしまうからです。反対に、10戸だけ売り出して10戸売れれば「完売」とアピールできるとともに「好調」のイメージを植え付けることができるので、後者を選択するのです。

そんな小手先の戦術も、しばらくすると「本当は売れていないのだ」と買い手の知るところとなるのですが、販売初期は有効なので採用を続けているのです。

蛇足ですが、回数が多いほど売れ行きの悪さを自ら白状してしまうことになるので、第6期よりは第3期3次などとする、つまり数字が大きくならないように考えたのが、●期●次方式なのでしょう。


●売れ残りは買い手の値引き圧力にさらされる

売れ行きを隠す理由はもう一つあります。それは、買い手が値引きを要求して来る確率が高まるからです。

筆者へのご相談メールにも、買い手の気持ちが出ている例が多数あります。

未だに3割超程度の在庫を抱えており、特に最近の成約ペースはスローダウンしているらしく、これだけ見ると値引きのチャンスもありそうだと思うのですが、営業さんは「値引きは絶対ない」と断言しています。この「値引きは絶対ない」というのは本当でしょうか?
 
これなどは代表的な質問例です。

「売り出してから随分時間が経つみたいだ。沢山の売れ残りを抱えているようだから、値引き要求に応じるはずだ」――こんなふうに買い手が考え始めると厄介だなと現場の営業マンは戦々恐々とします。

彼らは、その要求をかわす術を知ってはいますが、要求が来た段階で不快に思うらしく、そんな時期を迎えずに完売してしまいたいというのが本心です。

しかし、会社の方針は完成から何か月経とうが、値引きは一切受け付けるなという。値引きなしで短期完売へ。その目標(例えば竣工時完売)に向かって、現場の販売員たちは様々な戦略・戦術、あるいはセールスの技巧を凝らして日夜奮闘しているのです。


●売れ残りが隠せない状態になったときの言い訳

建物が竣工し、引き渡しが進むと夜は灯りが付かない部屋の数などから極端なウソはバレバレになってしまいます。

竣工直前の段階で、多数の売れ残りを抱え込むことになったマンション。なぜ売れないのか、疑問に感じた買い手は「良いマンションだと思うのですが、売れ行きが良くないのは何故ですか」と営業マンに尋ねました。

営業マンの回答は、「売り出してからの時間が短かったので」とか、「低層マンションなので、工期が短く、売り出してからあっという間に竣工を迎えたもので、本格的な販売はこれからです」、「台風が週末ごとに来たので客足が伸びなかったのが原因です」、「何しろ戸数が500戸もあるので、販売期間はどうしても長期に渡るものなんですよ」等。

これらの言い訳は、半分が本当で半分はウソです。「価格が高くて、客は来るが買ってくれない」が真相であるもの、「競合物件との差別化が不十分であったために客を奪われた」というもの、「客は来るが、現地を見て落胆し帰ってしまう物件」等。


●増える売れ残り・隠れ在庫に注目

最近数年間の価格上昇は、買い手の高値警戒感を生み、大型物件に限らず在庫を増やし続けているようです。

在庫とは売り出したが売れなかった戸数のことですが、未発売の隠れ在庫も相当数抱えるようになったようです。

分割販売を数回繰り出して、100戸のうち累計70戸を発売したが、そのうち契約に至ったのは60戸。従って、在庫は10戸となります。未発売が30戸あるので、真実の在庫は40戸なのです。

未発売在庫は隠れ在庫とも言われますが、その中には「目玉」となる住戸もあるものです。

買い手心理として、売れ残りは良くない物という先入観が働くので、売り手は買い手にそう思わせないための価値ある在庫(角部屋など)を僅かながら残しているものだからです。

何処が残っているのか、隠れ在庫も併せてチェックすることをお勧めします。売れ残りマンションの中から意外な掘り出し物をゲットできるかもしれません。ついでに、値引き要求をお忘れなく。


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ダイニング横の脱衣室をどう思いますか? [マンションの間取り]

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中古マンションを見ていると、なかなか結構な間取りに遭遇します。昨日も、評価依頼のあった都区内の古い物件で「おやっ」と思う間取りを発見しました。

【図➀】
hukinuke-madori.jpg
スパン(間口)は少し狭いものの、玄関前以外は他人が通らないので、寝室のプライバシーが確保された形になっていること、お洒落空間である洗面所に生活臭が出てしまいがちな洗濯機置き場がないこと、ボイド(吹き抜け)があるらしく、そこに向けて洗面所と浴室に窓を設けていること、キッチンが2WAYになっていることなど、最近の「田の字型」間取りとは随分違う印象です。

無論、短所もあるのですが、個人的には好きなプランです。

さて、その「田の字型」間取りについて、今日は気になる点を指摘してみたいと思います。


●パークホームズ板橋蓮根69.64㎡の場合

図②は、オーソドックスな3LDKタイプですが、注目点は洗面脱衣室の出入り口の位置です。
ご覧の通り、廊下にあります。これが一般的なタイプです。

長年、多数のマンションの設計に参画し、様々な間取りを見て来た筆者には全く違和感のない位置です。

【図② 洗面所の出入りが廊下にある】
parkhomes-itabasuhasune.png
●シティテラス東陽町73.28㎡の場合

一方、図③は洗面所の出入りがダイニング部分にあるタイプです。このような間取りは最近まで殆ど見たことがありませんでした。

いつ頃からか、1年前くらいか、もう2年か、記憶が定かではないのですが、このようなタイプが急に増えた気がしてなりません。

洗濯と食事の後片付けなど、主婦動線にはこの方が良いという意見もあると聞きますが、筆者は抵抗があります。 年頃の娘さんのいる家庭を想像してみると、家族の目に留まるところに出入口があるのはいかがなものかと思うからです。

最近の家族関係は昔と変わってしまったのかもしれませんが、読者の皆さんはどう感じますか? 

廊下に出入口がある図②のタイプが圧倒的に支持されない時代になったというなら話は別ですが、そこまでの変化はないと思いますし、販売中の他の物件を見ても図②タイプはまだまだ多いのです。

ちなみに、図③は長谷工コーポレーションの設計・施工物件です。

間取りに限らず、マンションの企画や設計に関しては売主主導で進められるのが普通です。

シティテラス東陽町の売主は住友不動産であり、企画立案に関しては他社と一線を画した特異なマンションが多いので、まさか長谷工コーポレーション任せで商品化したとは思えません。

実は、この物件の他の間取りタイプも見ましたが、殆ど図③型です。

【図③ 洗面所の出入りがダイニング部分にある】
cithiteras-touyoutyou.jpg
●間取りは大事な選択ポイントです

筆者は「間取りに惚れるな」などと極端な表現を使うことがあります。しかし、その意図は、優先順位として「間取りより立地」であることなどをお伝えしたいためです。

間取りは、快適なマンションライフを送る上で大事な要素であることは論を待ちません。
「立地は無論ですが、決め手は間取りでした」と語る購入者はとても多いのです。

筆者が提供する資料集「住んで気づくダメ間取りと名作間取り50選」が依然として高い人気を維持していることからも、間取りに対する関心度の高さを窺うことができます。

ときどき住宅情報誌SUUMOが特集する「人気の3LDKランキング」を見ていても、上位に来るタイプは大きく変わっていないようです。「キッチンと洗濯置場が近くていい」という間取りは、図③のようなダイニングを挟んだものではなく、キッチンと洗濯室(洗面所)がダイレクトにつながったタイプです。

マンション選びは常に「あちら立てればこちらが立たぬ」と悩ましいものですが、将来、自宅を売却するとき、見学者に間取りが気に入ったと言ってもらえるような家の方がいいに決まっているので、細かな点も見逃さないようにしたいものです。


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「今は買うと損」の声に反論するとしたら [マンションの資産価値]

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前回の記事で、「最近のような短期間に大きな価格上昇が起こると、その恩恵を受ける人が増えます。2010年~2012年頃に購入した人は、みなさんそうかもしれません」と書きましたが、反対に急激な上昇が起きてしまった最近1~2年に買った人、または間もなく買おうとしている人は損失を被ってしまうのでしょうか?

同じような条件のマンションを値上がり前夜の2012年に5000万円で買った人の方が、値上がりの進んだ2015年に6000万円で買った人よりお買い得だったのは確かです。

これは結果論みなたいな話です。価格動向を横目で見ながらタイミングを計って買うなどという芸当はしないものだからです。

とはいえ、高くなったことを報道や販売広告などで知ると、しばらく様子を見ようとか、高くて手が出ないから中止だとかの考えに至るのは仕方ないことかもしれません。

しかし、前向きに検討している人の意欲に水を差す周囲の声があるとしたら、それを跳ね返す信念を貫くことも大事です。今日は、そんな声への反論を書こうと思います。


●買ってしまった人へ

最近のマンション購入者は、急騰した状態を知らずに買った人、そうらしいと知りながら買えるから買ったという人、どちらにしても合計で何万人もいますが、この人たちの家の将来価値はどうなってしまうのでしょうか?

この答えを導くためには、今後のマンション価格がどのように動くかを先に抑えておくことが必要です。

急騰した相場は、いずれ調整の時期がやって来ます。ここでは、ケーススタディとして次のように前提を置くことにします。

2016年(現在)を100とし、今後も更に上昇して東京オリンピックの2020年が120になったとします。その後は値下がりして、10年後の2026年には100に戻ったとします。

今年、新築マンションを100で買った人の10年後を考えてみましょう。築10年の中古マンションは、その時点の新築マンションに比べると、地域や物件固有の条件で異なるのですが、平均すると東京都区内は8掛けくらいになっています。

10年後の新築が100としたケースでは、10年中古は80となるわけです。つまり、20%値下がりするということです。

ケース2として、15年後に新築相場が120になったときの中古価格を考えてみましょう。

15年中古は、その時の新築相場の7掛け程度というデータ(23区の場合)があります。としたら、120×0.7=84なので、100で買ったマンションは15年後に84で売却が可能という理屈になるのです。

10年後が80で15年後が84。 これを読者の皆さんはどう感じますか?15年で84はともかく、10年後が20%ダウンの80と聞いて、どう感じるでしょうか?

そのくらいなら損はないと思う人、そんなになってしまうのかと思う人、その割合は分かりませんが、ここで筆者が支持するのは、前者の「損はない」です。

詳しい計算は割愛し、要点のみ述べることにします。

10年間に支払った総費用、大きなものは住宅ローン返済ですが、ご存知のように金利はただみたいなもので、大半が元本返済に回ります。従って、10年後の残債は大きく減少しており、20%安で売却しても銀行清算後の手取り額は意外なほどに多いのです。

ちなみに、30年返済で1000万円を借りた場合、金利は10年固定0.8%として試算すると、10年後の残債は約690万円となります。つまり、31%も減るのです

結果として、イニシャル費用(頭金・物件代金以外の諸費用・不動産取得税)の100%回収どころか、150%となる人もあります。150%になった人の場合、イニシャル費用を投資元本と考えると、10年間で50%の金利が付く金融債を買ったようなものです。

一方、150ではなく、90%しか回収できなかった人は、損ということになるのでしょうか?

この場合も、一概に損とは言えないケースが多いことが分かりました。

資金内容、ローン利用額などの条件によって大きく変動するので、ここでは試算例を紹介しませんが、総支払額と売却による入金額のキャッシュフローを計算して行くと、マイナス(支払い超過)になります。これを120か月で割り、借りた場合の想定家賃と比較してみると、メリットがある方が多いからです。


●高値掴みの場合はどうなる?

ここまでの説明は、あくまで平均的な数字を前提としたものです。10年後なり15年後の価格が80なり84になるという話でした。ところが、「平均80」の統計を構成する数字には、60もあれば100もあるわけです。

60になってしまうものと、80や100になるものとの差異は、いくつかの要因によって生まれるわけです。立地条件、建物価値、ブランド価値、管理状態などですが、中でも立地条件は大きく左右します。

最寄り駅から5分と10分の差もありますし、同じ5分でも線路沿いの物件と公園前の物件では価値が違います。

しかし、条件の悪い物件は購入価格も安かった可能性があります。

その反対もあります。問題は、中途半端な立地で建物価値も「普通」でしかないのに、同エリアの平均を10%も20%も上回る高値で販売された物件を買ってしまった場合です。そのような物件は、この3年くらいでは多数見られました。

仮に新築時に相場の2割高という高値掴み(120で購入)してしまったらどうでしょうか? 10年後に新築相場が100とするなら、相場の80となるような平均的な中古物件は80となり、これは購入価格120から見ると、80÷120なので34%もの値下がりになってしまいます。

次に、この中古物件が10年後に新築相場に対して90%くらいに高く評価されるような優良なものだったとしたらどうでしょうか?購入価格120から90になるので、それでも25%の値下がりになるのです。

優良な物件を手に入れることができた。将来が楽しみだと期待していたとしたら、裏切られるということでもあるのです。

勿論、少し高いかなと思いつつも、大規模な再開発が進んでいるので、購入価格より高値で売れるはずだと期待する買い手も多いのです。実際、そうなることもあります。

つまり、広域の平均では10年後も現状と変わらない100の新築相場になっていたとしても、特定の狭域では10年前より高い150にバリューアップとなる場合があるかもしれません。

そのような期待が大きいエリアの物件を120の高値で買った場合は、10年後の新築相場が150に対し、8掛けの120となれば、買い値と変わらない計算です。

もしかしたら、そのエリア内で最も駅に近く、付加価値が高い大型物件で、50階建てのタワーマンションであるといった同エリア内でも圧倒的な差別感がある物件なら、10年後の新築相場を超える価値と見なされる可能性も高いのです。 そのような物件なら、購入価格が120でも、10年後の新築150を超える160で取引が成立するかもしれません。

このケースは高値掴みではなかったという結果論で語られることになるのかもしれません。

こうしたケーススタディを多数してみると、僅か3年で平均20%以上も急騰した東京圏のマンションですが、そんな時期に買ったら損をするとは断定できないことが分かって来るのです。

とまれ、物件固有の条件によるわけで、どれだけ競争力のある物件を買ったかがカギを握るということになるのです。



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築2年で手放す人が続出のマンション [マンション市場]

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購入を予定している中古マンションの評価を依頼され調べて行くと、同エリアの取引事例で同一マンションらしいものが一定期間(1年)に多数並んでいることに気づきます

その築年数は、何と僅か2年か3年なのです。

これは、転売益を狙って購入した人が時機よしと見て売りに出したということなのでしょう。
短期間で多額のキャピタルゲインを得たらしいことも推測できます。

このようなケースにときどき遭遇します。2年前まではなかった現象です。購入した人も、2~3年で利益を上げられると予想していたかどうかは別として、価値ある物件と見て「買っておこう」と群がったのでしょう。

最近のご相談者から、「友人のマンションですが、10年前の新築時と現在の売却価格が同じらしいです。また、築2年程の友人マンションは新築売り出し時よりも価格がかなり上がっています。なぜこのようなことが起こるのでしょうか」と質問されました。

お分かりのことと思いますが、マンション価格は新築も中古もこの2~3年に急上昇したためです。


●我が家が値上がりしても喜ぶのは早い

このブログでも何回か紹介して来ましたが、首都圏の新築マンションは過去3年で20%(坪単価)も値上がりしました。

わが家の値段が上がったと聞いて、嬉しくない人は少ないと思います。しかし、キャピタルゲインを狙って購入したわけではなく、あくまで自己使用のために購入し、実際今日も住んでいるのだとしたら、値上がりしても何の得もありません。

ただ、値上がりしたまま、あるいは一段と値上がりして数年ないし10年くらいを経過したら話は別ですね。つまり、数年先に買い替えのために自宅を売却しようとしたとき、高値で売れそうだと聞けば、瞬間的には喜ばしいことと思えるからです。

瞬間的と断った理由は後述するとして、買って2年もしないうちに10%も20%も値上がりしたという情報を得た人は、数年先の自宅の価値はさらに上がると錯覚してしまう、もしくは期待してしまうかもしれません。

しかし、中には「一時的なものだ」と冷静に受け止める人もあるかもしれません。そうです。これは一時的な現象なのです。

価格が同じ勢いで一直線に上がり続けることはなく、反対の値下がりもあり得るのです。問題は、売却を計画したときにいくらになっているかです。一時的に値上がりを喜べても、先では値下がり情報に触れて落胆するかもしれない。そう思うべきなのです。


●「中古は安い」が基本

千年も経過した骨董品や美術品の中で価値ありとされるのは、それが〇〇作の銘が残る芸術作品であるとか、稀少価値が高いことなどによります。 マンションでも30年以上を経過してなお、価値を維持し続けるヴィンテージと呼ばれるものがあります。

しかし、それは例外的なものであり、多くのマンションは建物の経年劣化によって、その価値を下げてしまうものです。 

事実、中古マンションは古くなればなるほど安い価格で取引されています。

見た目がよろしくないとか、室内のリフォーム代に何百万円もかかりそうだとか、リフォームの範囲が壁紙の張り替え等で済ませられる物件であっても、設備はひと昔前の型なので最新スペックと比べると見劣りします。

安くて当然です。ただし、マンションの価値は立地によって大きく異なるものです。都心のA駅から徒歩5分の築20年のマンションが、郊外のB駅から徒歩10分の築5年のマンションより高いといったケースはいくらでもあります。

ともあれ、同じエリア、同じような立地条件の中で比較した場合は、築20年マンションが築5年マンションより安いものです。


●中古になっても値下がりしないのは何故?

中古マンションは、新築価格との対比によって取引価格が決まる一面があります。その説明をしましょう。

同じような立地に同じようなマンションが建っています。一方は新築、他方は中古です。

新築が5000万円であるとき、中古は4000万円というふうに決まって来ます。

新築が2階で眺望が良くない、一方の中古は年数が浅くて14階で眺望がすばらしいといった差異があるとしたら、新築の5000万円に対し、当該中古は5500万円などと逆転する場合もあります。

上の例で、新築の14階は6000万円かもしれないので、眺望価値が並べば、やはり新築より中古は安いことになります。

同じ駅の徒歩10分圏内に、60㎡2LDKの新築が5000万円(坪単価@275万円)で分譲されているとします。

その新築マンションに70㎡の3LDKは存在しません。近所に築10年の中古の3LDK70㎡が売り出されました。何と価格は6000万円(坪単価282万円)です。

これも逆転の例です。物件の立地は、東京都下のM市で「「住みたい街ランキング」の上位によく入る駅が最寄りです。新築の供給は1年に1件あるかなしかの少なさで、たまに売り出される新築の間取りは広くても2LDKで殆どコンパクトタイプばかりです。M市に住みたい人は、中古を探すしかありません。

このような事情から、3LDKの中古は稀少価値が高く、新築並みの単価で取引されます。

話を戻しましょう。

新築より高い中古といえども、購入額がどのくらいだったかは不明です。元々が高値だったかもしれません。としたら、高値としても購入価格に上積みされた金額であったとは断定できないのです。

ここまでに述べた個別要因はさておき、エリア全体で購入時の価格から値上がりする中古が続出するというときがあります。値上がりする理由は、結論を言ってしまうと、新築相場が急騰したからです。

この3年(2013年~2016年上半期)、東京は平均で約20%(坪単価)も上昇しました。

2012年に5000万円であった新築相場は、今年は6000万円出さないと買えないということになってしまいました。

2012年に5000万円で新築マンションを契約した人が2013年に入居しました。それから3年の今年、同じマンションの同じ間取り・面積の家が売りに出されていることを知ったとします。

価格は、何と5500万円です。「階は違うが、こんなに高く売れるんだ」と驚くともに、「我が家も今売り出せば儲かっちゃいそう」などと、取らぬ狸の皮算用をして思わずほくそ笑んでしまいます。

実は、これでも近くの新築マンションより安いのです。築3年の中古だから500万円安いというわけです。新築が上がれば中古も上がる。この構図はデータで立証されています。

最近のような短期間に大きな価格上昇が起こると、その恩恵を受ける人が増えます。2010年~2012年頃に購入した人は、みなさんそうかもしれません。

●手放すと住む家がなくなってしまう?

短期間の値上がりを喜ぶとともに、利益確定のために売却したとしたら、投資家はともかく、住んでいた人は売却後どこへ行くのでしょう?

わが家がいくら値上がりしても何も得はないと述べましたが、売却すれば話は別です。

転勤命令が出た。さあ家の処分はどうする?貸すか売るかで悩むことになります。折角気にって買った家だし、転勤から戻ったら、またここに住みたい。その間は賃貸すればいいが、でも何年で戻れるか分からないしなあ。反対に、売ってしまうと、戻ったときに同じ予算で買えるかどうか分からないし、住宅ローンも年数が違って来る、などと。

それでも、あっさりと売却を決める人もあります。5000万円のマンションを頭金1000万円で買ったAさんは、3年後に5800万円で手放しました。ローン残債は大きく変わらない3900万円でした。さらに仲介料・約180万円を支払ったので、手にした金額は1720万円でした。 頭金1000万円が1720万円に化けた格好です。その他の費用・税金など厳密な計算をすると、もう少し減りますが、ざっくりと言えば3年で1.5倍くらいに増えるという利殖に成功したことになるのです。Aさんの場合、転勤先では会社が社宅を用意してくれるので、住む家に困ることはないのかもしれません。


そう言えば、筆者へのご相談者の中にこんな方もありました。東京都心のタワーマンションを買い、1年もしないうちに高値売却。今は千葉県の某駅の中層マンションに住んでいます。何でも、通勤には問題なのだとか。 購入予算は3000万円も少なく済んだと喜んでいます。物件価格の差と、売却によって得た利益のダブル効果の買い替え劇を演じたようです。1年ほど前(2015年秋)の話です。

売却を思い立ったきっかけは、投げ込まれたチラシだったそうです。チラシには「当マンションを買いたい人が外国人を含めて多数あり。できるだけ上階を望みます」と書き込んであったのだとか。


もう一例。日本橋のマンション2LDKを買った独身のOLさんのケース。今売るべきか、もう少し待って高値で売るべきか。それとも売らずに持ち続けた方がいいかというご相談でした。

筆者の回答レポートを読んで悩んだ挙句、OLさんは入居後1年少しで売却を決断しました。1年半くらい前(2015年初頭)のことです。元の狭い賃貸ワンルーム生活に戻るというのです。荷物の多くが実家に預かってもらうのだとか。

利益確定によって、OLさんは預貯金を大幅に増やしたことでしょう。それにしても随分思い切った決断をしたものです。単身だから身軽?そのような次元の話ではないと思いますが、本当にすごいと感心したものです。

次の購入タイミングを見計らいながら、今度はどこにどのような物件を購入なさるのか、何年か先のお便りが楽しみです。



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[黒ハート]「高いときに買ってしまったが売却時にいくら損する?」の答えを導く「将来価格の予測」サービス

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「マンションの寿命は人間の寿命より短い」としたら [マンションの未来]

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先週(2016年8月31日)NHKの「クローズアップ現代プラス」という番組で「老朽化したマンションを建て替えるか修繕しながら住み続けるか」という特集をしていました。
※放送をご覧にならなかった人は、以下でチェック
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3855/1.html

筆者がいつも考えていることであり、注視して来たテーマ「マンションはいつまで住めるのか」に関連があるかと思い、途中まで視聴したのですが、最後の方はチャンネルを切り替えてしまいました。つまり、番組は筆者の期待を裏切る内容だったのです。

番組のテーマはマンションの建て替えが円滑に進むようにマンション法(建物の区分所有等に関する法律)の改正が行われる見込みだが、その場合の影響(功罪)を問うものでした。

すなわち、マンションの建て替えには従来、全所有者の80%(5分の4)の同意が必要とされて来た法律を、3分の2の賛成があれば可能とする法改正が検討されているのですが、その効果は期待できるのか、また法改正について老朽マンション住民(所有者)はどう受け止めているのか、その辺りを番組は掘り下げようとしたようです。

法が改正されようとされまいと、建て替えには事実上100%の賛成がないと難しいのが現実です。その合意形成まで、早くても10年はかかるとされます。建て替えられたマンションの実例は全国でまだ200件余しかありません。

建て替えを要するような老朽化したマンションが全国で何件あるかの統計はないのですが、東京都内には24,254件の分譲マンションがあり、そのうち築40年を超えるマンションは2,288件で、1割弱に当るというデータがあります。渋谷区・港区・世田谷区・杉並区が、それぞれ200件強と多いようです。全国では56万戸だそうです。

これらのデータから、建て替えの件数がいかに少ないか、何となく想像いただけることと思います。

今日の本稿のテーマは、建て替え問題ではありません。古いマンションに長く住み続けることの難しさについて語ろうと思うのです。


●マンションの寿命は何年?

筆者へのお尋ねで多いことのひとつ、それは「マンションの最後はどうなるの?」です。

早い話が、マンションの寿命は何年かという質問です。これに的確に答えられる人は筆者も含めて見当たりません。答えられなくて当然とも言えるのですが、その理由は次のようなものです。

➀マンションの歴史が短い・・・日本に分譲マンションが登場したのは昭和30年代(1950年代)のことです。まだ60年の歴史しかないのです。

②黎明期の集合住宅は殆ど解体されてしまった・・・分譲マンションということでなく賃貸の集合住宅というくくりで見ると、関東大震災後の復興住宅として東京、横浜に20軒以上建設された「同潤会アパート」は、最後の上野の場合で80年後に解体され、分譲マンションとして生まれ変わりました。つい3年ほど前のことです。

➂存命の集合住宅は廃虚状態にある・・・同潤会より古い集合住宅も実はあるのです。長崎の端島(通称:軍艦島)という無人島に今は廃虚として存在しています。「世界文化遺産」として登録されたので脚光を集め、ご存知の読者も多いことと思います。

この集合住宅は建て増しを繰り返したので正確な年数は不明ですが、明治時代から昭和初期にかけて建てられたので、100年以上の歴史があると言えます。

④長寿命のマンションを建て始めて30年程度しか経っていない・・・戦後・高度経済成長時代」、後先考えずに量を追った国の政策が、「量より質」へ転換し始めたのは1980年代半ばでした。100年(3世代)住み続けられるマンションを目指そうとしたのです。センチュリーハウジングシステムという用語が生まれ、現在の「長期優良住宅」へと受け継がれています。

➄計画的な延命策を講じ始めたのも最近20年くらいのことである・・・マンションごとに「長期修繕計画」を策定しようという業界の動向、これを下に周期的な大規模修繕を実施して長く住めるようにしようという所有者の意識改革も生まれつつあるようです。


コンクリートの物体としては100年以上存在していますが、人が住んでいた期間で言えば、同潤会アパートが最も長くて約80年です。

しかし、その同潤会アパートも最後はとても住める状態ではなかったはずです。だからこそ建て替えに至ったわけです。同潤会アパートで最も有名なのは「青山アパート」で、今は安藤忠雄氏設計で有名な「表参道ヒルズ」に生まれ変わりました。建て替え前の姿をご存知の人も多いことと思いますが、同アパートは住まいではなく店舗になっていたのです。

さて、これからのマンションの多くは100年居住が可能になるのではないかと思いますが、特に2000年以降に建設された分譲マンションに期待できそうです。

耐久性の高い建物を設計・施工するという販売者(分譲主・事業者)の姿勢と管理会社の協力による住民の管理意識の高まり、それに伴う周期的な改修工事の実施などが奏功するに違いないと思うからです。


●60年程度の寿命しかないものも多い

100年耐久マンションが増えると述べたことを覆してしまうようですが、全てのマンションがそうだとは言えません。3分の1から半分くらいは50年か60年しか住めないマンションも出てくる可能性は排除できないからです。

正確に言えば、住んで住めないことはないが、50年を経過すると快適とは言えない状態になってしまうマンションがなくなるとは思えないのです。

住んで住めないことはない状態とは、どのような状態を指すのでしょうか?

一戸建ての場合、古くなると家は傾き、雨漏りが発生し、建具の変形がおき、すき間風が入り込むものという常識があります。そこで、あちこち修繕しながら建て替えを先延ばしして50年くらい住み続けるわけです。しかし、老朽化に伴い、たびたび修繕のための出費が嵩みます。ときには多額の費用がかかります。

これは、マンションでも同じです。木造と違って、すき間風は入らないでしょうし、よほど強い地震に何度も遭遇しなければ傾くこともないでしょう。しかし、設備は無論のこと、配管や建具、床材、壁紙などに機能不全、故障、変形、破損などが同じように起きます。

一戸建てにはないエレベーターや共用玄関のエンジンドア、パーキングシステムなど機械の故障になると、マンションならではのものです。

人間に例えると、骨密度が粗くなり、筋肉は衰え、耳は遠く、歯が欠け、噛む力も衰え、内臓機能は低下、食欲も減退するのが天寿を全うする直前の人間の姿です。

中には、持病に苦しんで病院通いが日課のようになってしまった高齢者も少なくありません。

運動や食事に配慮し健康的な生活を送り続けても、人間は120歳以上生きることはできません。

ご存知、日本人の寿命は90歳未満です。40歳で新築マンションを購入した人が、90歳を迎えるときに50歳のマンションに住んでいたとして、そのマンションが健康体でないというのは不快なだけでなく、ストレスの元になるかもしれません。

できれば、まだまだ何も問題なく快適に住み続けられる状態のマンションであって欲しいものです。



●ヒトの寿命が来る前にマンションの寿命が来る?

仮に40歳で築20年の中古マンションを購入し、90歳まで住むと仮定したら、マンションは築後70年です。築後50年くらいから、つまり自分が70歳のころから建て替えが話題に上ってくるケースもあることでしょう。

そのとき、「工事中どこかに仮住まいし、完成したら戻って来る。そんなのは面倒だ。いろいろ不具合が出ていることは承知しているが、このままでも十分住める。 私はもう自分の寿命も終わりが近づいているので、静かに暮らしたい」、そう言って建て替え計画に反対するかもしれません。

入居者の中には、築40年くらいの時点で購入して住む若い世帯もいて、建て替えに賛成する人もあるかもしれません。

何回も住人同士の話し合いが設けられ、合意を得るのに10年、長いと20年もかかるようです。

とすると、建て替え問題で話し合いが繰り返される途中、着工に至らないままあの世に行くことになる住民もあるかもしれません。

つまり、マンションの寿命の方が長いことになるわけです。

ところが、視点を変えると、逆のケースもあります。余命たっぷりの若い所有者もあるからです。若い所有者は、購入時に自分より余命が短いマンションであることを知っているのです。


●寿命が近づいているマンションにいつまで住むか?

築20年くらいの中古物件を購入した場合はどうでしょうか?
35歳のあなたが購入したとすると、30年住んで65歳のとき、築後50年に達したマンションは寿命が近づき、建て替えの話が出てくるでしょう。しかし、住人のあなたはまだ壮年ですから、そこからあと20年以上は住みたいと考えるかもしれません。

築50年のマンションの修繕費は嵩む一方でありながら、このままではスラムに発展する恐れもあるので、積極的に建て替え計画に賛同したとします。

しかし、建て替えには当然ながら多額の費用がかかります。これは積み立てられているわけではありません。入居者個々のふところ具合は異なります。どのようにして費用を捻出するのでしょうか?

マンションの建て替え費用を生み出す魔法があります。

それは「容積率の増加(緩和)」が前提となります。例えば最初1,000坪あった建物延べ面積が2,000坪まで建てられる条件(許容容積率の2倍増しなど)ができた場合に、増えた建物部分を売却することで費用を生み出すことが可能になるからです。

1,000坪のマンションを2倍の2,000坪に増やす、そんな魔法はどこでも通用する話ではありません。法律の改正、都市計画の変更などがあって可能になるのです。また、ここでは詳しく述べませんが、建築計画次第では容積率のボーナスがもらえることもあります。

しかし、容積が増えて建て替えが可能になったとしても、住民の合意形成(法律上、現在は80%以上の賛成を得ること)は困難で、1年や2年で簡単にまとまるものではありません。

もともと修繕費の高い中古マンションに住んで来たことでもあり、今後は更に上がる可能性もある。しかし、建て替えも面倒な話だ。そう考える人は、さっさと売却して存命中に同じ問題にぶつからないような、例えば古くても10年以内のマンションか、広さや場所などの条件が幾分悪くなっても「修繕費の負担が少ない新築マンション」を買って住む道を選ぶかもしれません。

または、自分一人の意思でどうにでもなる「古い一戸建て」でも購入し、メンテナンスやリノベーションを趣味のひとつにするくらいのつもりで移り住むといった道を選択することも考えられるわけです。

つまり、中古マンションを購入した場合は、新築マンションを購入した場合以上に、そこに永住することは難しいということになりそうです。

●住まいは、そのときの事情に応じてフレキシブルに!

自分の寿命が何年かなんて分かるわけではないですし、そのほかのことを含めて何十年も先のことなど予測がつきません。

もちろん現役でいる間は転勤や転職があるかもしれませんし、家族の誰かの事情で不都合な住まいになることはいつでもあり得るわけです。

その意味から、いつでもスムーズに売却できるマンションを購入しておくことが肝心です。

どんなマンションでも売れないことはありませんが、できたら高く売りたい、有利に売却したい。そう考えるのが人情というものです。

であれば、希望価格を大幅に下げなければ売れないようなマンションだけは掴まないようにしなければなりません。

とりわけ、建て替え問題を抱えているような古いマンションを買うのは、多分に冒険と言えるでしょうし、売却する立場でも高くは売れないと考えるべきです。

もっとも、再開発の区域にあり、業者等が買収に動いているような物件なら別かもしれませんが。


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中々売り出さない価格未定マンション。その心は? [マンションの売主]


ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。


分譲マンションの販売は、ご承知のように広告で関心客を「資料請求」の形で探知し、次の段階ではその関心客を「モデルルーム」に呼び寄せるところから始まります。

モデルルームに来訪した人が全部買ってくれるわけではないので、販売戸数の何倍もの集客を図ります。物件の魅力度によって差はあるのですが、平均的には販売戸数の10倍以上の集客数が必要とされます。

100戸のマンションを完売するには1000家族の来訪が必須となるのです。

1回の広告で1000家族がいっぺんに来てくれるわけではないので、例えば10回の広告で1回当たり100家族を動員するといった形になるわけです。

10回の広告を10日間で一気に露出しても効果はないので、広告媒体の特性や費用効果などを考えてバランスよく実施します。

テレビの30秒CMなら、1日10回くらいずつ1か月連続で出したりすることもありますし、インターネットの自社HPとSUUMOなどの検索サイトへの掲載と、ビルの壁面看板などは販売期間中ずっと出しっぱなしですが、新聞紙面広告やチラシの折り込み広告なら1週間に1回のペースで出したりします。

これらの広告は、初め「価格未定」となっています。これを「予告広告」と言います。これで顧客動員を狙うのです。

価格が未定でも、立地条件がとても良いとか、日本一の高さであるとか、人気物件ほど短期間にたくさんの顧客を動員できますが、並みの物件は反応が少なく、期待する顧客動員ができない状態が長く続いたりします。

筆者は、仕事がら住宅情報誌・SUUMOを毎週通覧します。すると、当然ながら物件は入れ替わりがあるものの、同じ物件を何度も目にすることとなります。

大規模マンションは、その販売戸数に見合う大量の顧客動員を必要とすることから、大量の広告を複数の媒体を使って実施します。3か月~6か月に渡り広告を流し続け、必要な顧客が集まったと見れば、そこで販売開始となります。

モデルルームの見学者は受け入れつつ、契約を要望する人には「待った」をかけ続けますが、機が熟したと見ると、「●月●日より受付開始」、もしくは「●月●日から●日まで」と期間を区切って「購入申し込み」の受け付けを始めるのです。

販売開始は、先着順受付、言い換えると「早いもの勝ち」という方式と、期間中の受付によって同一住戸に申込者が重なったときは買い手を抽選で決める方式(登録抽選方式と言います)とのどちらかで行われます。

どちらにするかは売主の任意で、反応の大きさや物件の戸数、その他いくつかの要素を考慮して決めて行きます。

どちらを選択するかは、広告の反応によります。まあ、簡単に言えば「先着順方式」は人気薄、「登録抽選方式」は比較的人気のある物件と言って間違いではありません。登録抽選方式でも期間が1週間タイプと2日か3日の短期タイプがあり、後者は人気薄と考えていいのです。



●プレ販売期間の意義

ところで、マンション業者は販売を開始するまでの期間を顧客動員という目的以外、どのような狙いを持っているかご存知でしょうか?

予定販売価格が受け入れてもらえるかを探ること、言い換えると、売りたい価格が通用するか否かを見定めることにあるのです。

その狙いを実のあるものにするためには、どうしても「予定価格」を提示しなければなりません。「まだ正式決定ではないのでお渡しするわけには行きませんが、一部を披露しますと、価格はこのとおりでございます」などと言いながら「予定価格表」をちらつかせます。

買い手は、希望の広さと間取りタイプ、階数などを睨み合わせつつ、「本当は角の〇〇タイプがいいのだけど、予算的に無理だわね。こちらの〇〇タイプが現実的な検討住戸ということになりそう。でも、ちょっと狭い。もう少し広い●●だと、2階か3階になっちゃうし・・・」などと感想を述べます。

そして「価格はいつ決まりますか」と質問しつつ、もう少し安くなることへの期待をにじませたりします。

一方、眺望の良い上階の特定住戸は価格が高いに関わらず、希望者は殺到する気配であったりします。

こうした顧客の反応は、会議の席などで「条件の良い上階住戸と角部屋は、もう少しアップしても大丈夫そうだが、80%を占める中部屋の中低層階住戸は、集まりが良くないうえに、申し込みは低額の下層階に偏ることが必至」などといった発言となります。

議論の結果、「では、次週は人気住戸を100万円ずつアップしよう。その分で中住戸を少し下げてみよう」などとなるのです。

しかし、この調整は全体の売り上げを変えない方法であり、単にバランスを調整するだけです。

20%の住戸を100万円ずつ上げても、80%の住戸は25万円下がるだけです。これでは、めざましい効果は出ないことが多いものです。

しばらく様子を見ますが、効果がないと分かると、仕方なく全体の売り上げを落とす、すなわち利益も圧縮して価格を下方修正します。

このようにして最終的な価格を決定するわけで、販売開始前の「予告広告」期間は適正価格リサーチ期間というわけです。



もう一つ、大きな狙いがあります。それは、売り出し戸数を決めることです。

短期間に大多数の戸数を売ってしまおうとするなら、それだけの大量動員が必要です。

しかし、実際に広告に反応した客の数は十分でなく、このままでは計画の100戸を半分に絞らないと売れ残ってしまうかもしれない状況にある場合、その悲観的な見込みが確実と見なされれば、販売戸数を計画より減らして売り出すことを決定します。

無論、その反対もあり得るわけで、その場合は計画戸数を積み増しして販売するわけです。

業者によっては、「価格が安過ぎだ。販売戸数はそのままで、値を上げろ」という指令が出されるケースも稀にあるのです。

マンション販売は、全部の戸数をいっぺんに売り出す企業もないこともないのですが、大半は「分割分譲(期分け販売)」という形式を採ります。

「第〇期○次販売 予告広告」という広告では、殆ど「販売戸数未定」となっています。この戸数未定表示こそが、売主に自信がない証拠で、どのくらいの数が成約に至るかが見えないからです。

ともあれ、予告広告の反応、商談してみての感触、「要望書」と称する、ある種の「仮申込書」の提出を顧客に出させ、その集まり具合を見るなどして販売戸数を決めるのです。


●いつまでも売り出さないケースは?

予告広告を繰り返しながらプレ販売を展開することで、価格決定と販売見込み戸数を読もうとするわけですが、思惑または計画から大きく乖離した結果(経過)であるとき、マンション業者はどうするのでしょうか?

先に述べた通り、売り出す戸数を減らすというのがひとつの選択肢です。プレ販売の途中で買い手に提示する「予定価格」を引き下げることにより販売見込み戸数をアップするという策もあります。

しかし、後者はスタートから敗北を認めるようなものなので、日本人の気質からか、この決定は容易ではありません。

SUUMOを毎週見ていると気付くのは、最初の広告から既に半年も経過しているのに、まだ「販売開始」されない物件の存在です。

広告予算も随分と累積したであろうと勘繰ってみたりしつつ、販売開始予定時期をときどきチェックしてみると、7月中旬とあったのがいつの間にか8月下旬に変わり、直近では9月にずれ込んでいたりします。

小規模物件では、予算に限りがあるので長く広告を繰り返すということはありえないので、上記のような例は大規模マンションの場合とご理解下さい。

大規模マンションは、付加価値も豊富で、魅力的な物件が多いとはいえ、集まりが悪いとする判断根拠は、初期で売ってしまいたい戸数自体がも多いからです。

例えば300戸の物件で、第1期で150戸は売りたいとする計画なら、少なくとも1500組の来訪者が必要になります。毎週末に100組ずつの来訪者があっても、1500組に達するまでに15週、約4か月の期間を要します。

実際に広告を開始したところ、週平均50組しか集まらないとなると、30週7か月以上を要することになるのです。

販売現場では、せっかく集めた顧客を競合物件に取られることを恐れ、早期の発売を望む声が高まります。しかし、「売れ残りを出したくないし、そうかと言って300戸の物件で第1期が30戸や50戸では先が思いやられるしなあ」などと悩みます。

立ち上がりからつまずくわけにいかないとの思いは全社共通なので、結局は予算を前倒しにして広告を増やす方向へと動きます。それまで以上の広い地域にチラシを配布したり、高額な新聞全面広告の実施に踏み切ったりするのです。

それでもめざましく効果が表れない状態が続きます。

いつまでも売り出さないでいれば、インターネット上の掲示板には歓迎できない書き込みが増えたりもします。 未定のはずの価格情報も洩れ始めます。それが、ライバル社の営業マンらしき匿名の書き込みで「高い」と批判されたりします。

長くプレ販売を続けることは、デメリットが大きいのです。しかし、完売までの道のりを考えるとき、「好評完売」や「第1期〇〇〇戸成約」などの好調ぶりをアピールするべきという思いに囚われるのでしょう。

その結果、発売を決断できず今日も広告は「予告」のままです。おそらくは、価格を見直そうと考えているのかもしれません。バランス調整などではない、抜本的なそれを。


●中々売り出さない物件・小出しの発売戸数は訳ありと思うべし

もうお分かりのように、販売開始が遅れている物件は客集まりが良くない物件と言えます。売り出したとしても第1期の戸数が全体の30%以下の場合も同様と見てよいのです。

また、分割回数が多い、既に何回かの売り出しを行なった物件のうち、第●期・第●次などの表示の数値が大きい物件は、1回当たりの発売戸数が少ないことを証明しているわけで、集客に苦労していることを示します。


●売れない物件の大半は「立地に問題があるか価格が高いか」どちらかである

規模を問わず、売れない物件の多くは、立地条件に魅力がないのです。

バス便がその代表ですが、バス便でも順調に売れるとしたら、徒歩圏物件を凌駕する魅力があるもので、例えば圧倒的なスケールの公園を眼前に見下ろすような位置関係にあるとか、圧巻の眺望が得られるといった別格の環境が備わった立地条件を持つ物件です。

それに加えて価格も安い(手頃な価格)ことが必須条件になります。

駅には遠くないが乗り換えを要する支線・枝線の駅が最寄りであることに加えて、もともと工業地域だったエリアにあり、当該物件の周りも特に環境が良いわけでない、そんな物件でも格別な安さであれば売れてしまうものです。

売れない物件は価格が割高なのです。利便性の高い物件は、よほど環境が悪くない限り、価格が少しくらい高くても売れてしまうことが多いのですが、駅から遠く、その弱点を補って余りある自然環境・眺望などの条件を併せ持たない限りは、中々売れません。

そのような物件の最後の手段は、価格を安くすることです。どのくらい安ければ適正な価格か、あるいは割安な価格と言えるのかは、個別に精査しなければ分かりませんが、一目瞭然、誰が見てもそう感じるといったインパクトが必須であることは確かです。

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どうせ買うなら、売れ行きの良い物件、すなわち大勢の顧客から支持される物件、評判の良い物件を買いたいと思うのが購入者心理です。やはり、売れ行きは軽視できません。


 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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長谷工とデベロッパーの蜜月は続く? [マンションの売主]


今日は作り手側の仕入れ事情に迫ってみることにしました。

というのも、この3年ほどの新築マンションの供給事情を俯瞰すると、施工会社である長谷工コーポレーションから土地情報が持ち込まれて事業化に踏み切ったと思われる物件と、その相手のデベロッパーが随分増えたと思うからです。

建築費の高騰のために、結果的に建築費の安い長谷工コーポレーションに発注するケースが増えたという背景があるのは確かですが、もうひとつの理由は同社の土地持ち込み攻勢が強まっているからではないか。そんな気がするのです。


●マンション用地はデベロッパーの生命線

マンション事業は、どんなに良い設計のアイディアがあっても、有能な建築デザイナーをかかえていても具現化するキャンパス、すなわち土地がなければ絵に描いた餅に過ぎません。


大手デベロッパーは、資金力と情報収集力に物を言わせて条件の良い土地を取得します。条件の良い土地とは、面積の大きな土地、利便性の高い土地を言います。

また、大きくはないものの、滅多に出ない高級邸宅地の中の億ション・スーパー億ションが似合う土地も大手ならではの仕入れ能力と言えます。

中小デベロッパーには真似のできない芸当なのです。

マンション事業が成功するかどうかは、土地の条件で80%は決まるとされます。どこにどんな土地を取得したかで先が見えてしまうとも言われています。

マンションデベロッパーにとって、生きるも死ぬも土地次第というわけです。

マンションを建てられる規模の広い土地は、便利な場所ほど少ないものです。鉄道が走り、駅ができると、駅の周囲から土地は開発されて店舗や住宅が立ち並びます。駅から遠い所から開発して駅前を空けておくという都市計画はまずありません。

駅前に公園や大規模スポーツ施設を配置する例はありますが、基本形は生活インフラを駅前に、その外に住宅を建てる。少なくとも過去はこの形でした。

戦後70年以上を経過し、焼け野原だった東京も空地はもはや見当たりません。

しかし、逆に70年を経過したからこそ、再建築という動きが増えたということになります。
古いビルを建て替えるか売却かで悩んだ所有者は、生業の後継ぎがいないなどの理由から売却を決断。企業は資産配分を換えるなど、リストラの一環として古い社宅や倉庫を売却。

都心から少し離れた世田谷区や杉並区、都下では、大手企業が所有していたグラウンドを手放すことを決定。同様に、住宅街に敷地面積で500坪もある邸宅を構えていた個人が相続税対策のために売却。

私学が都心の土地の一部を売却して郊外にキャンパスを移転。湾岸エリアでは倉庫や工場が、アジアへの移転に伴い不要になったので売却を決定。

このような土地所有者の事情からマンションメーカーに売り渡され、新しいマンションが建設されるのです。

稀な例では、団地の建て替えや商店街をまとめて再開発。こうした事例もありますが、これも戦後の歴史の長さゆえです。


 ●「土地がない」の嘆きはデベの常なる悩み

筆者がマンションメーカーの社員だった昔も、そして今も首都圏でマンション適地を取得するのは大変な仕事です。

デベロッパーによって差は当然あるのですが、1か月に数百件の売地情報が持ち込まれ、その中の5%か10%を選んで現地検分、その中の半分以下を購入の意思有りと持ち込んだ先(多くは仲介業者・銀行の不動産部門)へ返答。その中で実際に契約へ至るのはさらに半分以下となります。

「千三つ」と揶揄される低い確率で、やっとマンション用地は取得できるのです。

用地担当者は淡々と仕事をこなすのですが、本音は担当者自身も、また上司も社長も、土地がない、土地がないと嘆いています。

と言いながら、首都圏全体では、年間に100カ所前後のマンション開発を続けて来たのも事実です。 過去最高は年間に9万戸もの新規分譲を行ないました。その土地は、その2年か3年前に取得したものです。

その頃は、バブル後の企業改革(会計基準の変更が影響を与えたと言われる)がもたらした資産売却がマンション業者の用地取得を盛んにしましたが、それは用地取得の歴史的な取得合戦でもあったのです。

2000年代初頭のことでした。しかし、歴史的な合戦は短期間で沈静化しました。企業が売却する土地はなくなったのです。もちろん、今も出て来ますが、一大ブームは終わったということでしょう。

その結果、たまに出て来る土地は熾烈な争奪戦となってしまいます。マンション業者にとって用地は生命線なので、競争の果てに高値取得とならざるを得ません。

最近3年間にマンション価格は20%も上昇しましたが、その主因は建築費の高騰にあると分析されていますが、都心や準都心では土地代の値上がりもあったことは想像に難くありません。


●郊外都市や工場地帯の土地は長谷工の独壇場か?

用地不足は取得価格の上昇をもたらすと述べましたが、都心・準都心、あるいは郊外の人気駅周辺は、先に述べたように今も売地はあるというものの多くはありません。


人気の駅・街ばかり狙っても、年間の売り上げ目標に届かないので、やむを得ず人気度では低い次の街を探します。それでも足りないので、郊外都市や環境に懸念がある工場跡地なども検討します。

そこで登場するのが長谷工コーポレーションです。同社は、同業のゼネコンと一線を画す強みを持っていると言います。それは、圧倒的な人員を擁する用地取得部隊にあります。

ゼネコン業界は、常に価格競争にさらされて来ました。競り合うために儲からないのです。それが根底にあるので「談合」が常態化したのです。

とまれ、特に繊細さが要求されるマンションは薄利と言われます。そんな業界事情の中で生き残る策として長谷工コーポレーション(旧、長谷川工務店)は、「土地も探しますので、施工も特命発注でお願いしたい」という作戦を編み出しました。

そのとき、「施工費も高くありませんから」とアピールしました。

これは大きなアドバンテージでした。昭和40年代の後半から規格型マンションなら安く建てられることをセールスポイントに、同社は独自路線を歩んで来たのです。

一時期、「安かろう・悪かろう」の評判が立って、経営的にも窮地に立ったのですが、今では長年の経験が「安いが悪くもない」マンションを建てる設計と施工技術、設備機器の調達力等、同業他社が追いつけない力を備えるに至っています。

他社が設計した建物を単純に請け負う形では同社の利点が発揮できないので、基本は設計も施工もセットという条件が付くものの、マンション業者は同社を有り難い存在と受け止めているようです。

特に、販売価格が高くなっても、高額所得者層を集めて販売可能な都心・準都心と違い、郊外や工場跡地などでは、販売価格を一定線に抑えなければなりません。そのためには建築コストを切り詰めるほかないので、土地込み、予定販売価格の企画込みの長谷工案件はマンションデベロッパーにとって何より有り難い存在となっています。


土地は長谷工コーポレーションがデベロッパーに持ち込んだ案件と推測できる、そんなマンションが今日も首都圏で多数販売されています。いつもの同社の流儀で、「長谷工の設計による規格型の建物であれば施工費を安くできるから、土地代が多少高くても販売価格はこのくらいで行けるのでどうか」とアプローチしたのでしょう。

長谷工の提案に乗り土地取得に成功したデベロッパーは、工事業者を決めるときに予算オーバーばかりで、その後のネゴシエーションに苦労して来た経験から、提案と大きな差がない金額で施工してくれる長谷工のかかわりは頼もしい存在に映るのでしょう。

最近は同社と関係のないデベロッパーを探すのが難しいほどです。少し前は特定の数社だけでしたが、今は大手の野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産、、東急不動産をはじめ、大和ハウス、積水ハウス、大成有楽不動産、新日鉄興和不動産などが名を連ねています。

いかに土地が買いにくい状況にあるかを示す事実だと言えますし、同時に建築費高騰が生んだ長谷工への秋波の実態と言えましょうか?

長谷工との蜜月はいつまで続くのでしょう。



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新築未入居マンションという選択 [マンションの値引き販売]

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

完成してから5年も6年も経て未だに売れ残っているマンション、今も少なからずあることをご存知でしょうか?

地方都市や超郊外の物件の話ではありません。23区内にある少しも悪くない物件のことです。中には、最寄り駅から徒歩1分といった利便性において文句のつけようのない物件さえあります。

筆者の知る限り、最も長い例は築9年を経過した物件で、今も10戸以上の在庫を抱えています。このペースなら築10年で分譲中という稀有な新古マンションとなることでしょう。

売れ残っている原因は、ほぼ例外なく価格にあります。売主で多いのはS社とG社です。この2社は価格が高いと分かっていながら値引きを一切せずに販売活動を持続しています。

買い手は売れ残っている物件なら値引きしてくれるだろうと期待しますが、頑強に拒み続けるのです。

筆者も関わった江東区のある物件で経験したのですが、現場の営業マンは値引きしてでも早く完売して新しい物件を担当したいと本音を語っていました。しかし、上司は一切耳を貸さないのだそうで、結局のところ値引き交渉は埒(らち)が開かなかったのです。

その物件は、完成後4年を経過していましたが、そのときから2年後にようやく完売に至った有名マンションでした。

当該デベロッパーのポリシーはよく分かりませんが、とにかく5年も6年も流れに任せるのです。財政的にもバランスシート上も、大した問題ではないのでしょうが、不思議でなりません。

ところが、最近「時価販売」が会社の方針だとかで、8000万円から6000万円に2000万円もの値引きを実施しているG社の物件に遭遇しました。

首都圏のマンション価格は、3年前から平均で20%以上も上がったので、割高だった売れ残り物件も相場に近づいたはずでした。ところが、調べてみると、25%・2000万円も値引きしたに関わらず、まだ現状の相場に並ぶレベルではありませんでした。いかに当初の価格が高かったかが分かるというものです。

新古物件で、かつ●年を経た物件、買い手から見れば心理的にも価値の下落感があるので、現相場に並んでも「高い」となるケースもあります。その一方で、例えば8000万円が6000万円になると聞くと、お買い得と感じる買い手もあるのでしょう。

販売状況はいくぶん好転し、在庫は少しずつ減って行きます。


●売れ残った新築マンションの最後は値引き処分が常識

築5年、6年を経ても強気を通し営業を続ける売主は稀有な存在です。殆どのデベロッパー(売主)は、全体的なビジネス効率を考えて、長期間の在庫を嫌います。

細かなことでデメリットを挙げると、未販売住戸の管理費を負担しなければなりません。在庫品の維持管理に手間と費用も掛かるものです。売れても、壁クロスがめくれてしまったり、ドアの建て付けが狂っていたりするので、補修費用も必要です。

無論、広告費とモデルルーム経費、営業マンの人件費が大きな出費となります。

一番の問題は、物件のイメージダウンかもしれません。いつまでも売れないマンションを買ってしまったことに落胆している入居者の心理と不信感も見えない損害です。

こうした点を計算すると、長期にわたって売れ残ることに益はないのです。

別のデベロッパーの役員から聞いた話です。仮にX社とします。

「当社は、売れないようなマンションを建てたことによる社内外のマイナスイメージを恐れます。X社たるものが売れないようなマンションを造ったと思わせてはならない。だから、値引きしてでも早期完売を目指せ」と、売れ残った現場に檄を飛ばすとのこと。


●売れ残りの要因

X社に限らず、必要なら予算を超過しても広告を増やし、必要なら家具や諸費用をサービスし、必要なら本体値引きも辞さず、建物完成から半年か長くて1年以内に完売させるのが業界共通の考え方です。

ところで、売れ残りの原因はどのようなところにあるのでしょうか?

売れない原因の中で一番多いのは「立地条件」の悪さです。 駅から遠いか、駅には遠くないものの環境が悪い、坂道がきついなどの物件が最も販売に苦労しています。

他には、間取りが悪いとか、設備・内装が安っぽい、売主が無名、施工会社が心配、天井が低い、梁が目立つ等々、挙げればキリなく出て来ます。百点満点のマンションはないと知りながら、買い手は可能な限り理想像を求めるものです。

最後は、予算を睨みつつ妥協して購入することになるものですが、高額マンションになると予算に余裕を持っている人が多いので、価格だけでは動きません。

高額なマンションは、大体が好立地にあり、建物も大規模で超高層で、共用部分が豪華にできており、加えてコンシェルジュが入居者をに対して「うやうやしく」接するといった付加価値があるものです。

このような、購買層を満足させ得るの品質を誇る物件が売れ残るとしたら、多くの場合、販売戸数が多いことに起因します。しかし、全体的には優良な物件であっても一部の住戸に限って良くない間取りであったり、そこだけが眺望を阻害するものがあったりすると、最後まで売れ残るということもあるのです。


●残り物に福はあるか?

書き出しが築5年も6年もの長い期間、売れ残った物件の存在についてでしたので、誤解を招きそうですが、今日の記事は建物が完成していて販売中の物件(完成売れ残り)について語ろうとしています。

「完成売れ残り」の中に、隠れた逸品がないこともないと述べるつもりでした。

先に述べたように、高級マンションでも条件の良くない住戸ができてしまうのがマンションです。 

なにしろ土地が高いので、容積(建設可能な平面積)を100%使い切ることがデベロッパーにとって不可欠な設計指針として設計者・企画担当者に立ちはだかります。

結果的に、変形間取りや凸凹の天井、暗い部屋、狭いバルコニー、プライバシーが侵害されてしまいそうな住戸位置、その他の好ましくない住戸が誕生してしまいます。

プロの設計士やデベロッパーの経験豊富な企画担当者が懸命に知恵を絞ったにも関わらず、できてしまった「感心しない商品」が送り出されてしまう。これが現実です。

売主は当該住戸の価値の低さを知っています。そこで最後は価格の安さで勝負に出ます。

条件の良い住戸との差を大きくし、割安感をアピールしようとするのです。ところが、その価値判断を誤るためか、買い手は反応しません。 何割かは、その価格戦略が奏功して売れますが、売りきれずに何戸か何十戸かが残ってしまうというわけです。

売れ残り住戸には、やはり福はないのでしょうか?

そうとも言いきれません。

条件が悪いから安いのですが、売主は「もっと下げておけばよかった」と悔やみます。

価格が安くても高級・高額マンションの購買層は動かないと書きましたが、もう二段も三段も下げると別の購買層が表れるからです。

例えば、高級マンションが建つにふさわしい都心のアドレスではあるが残ってしまうケースがあります。例えば、北向きで眺望も良くない住戸、裏のマンションから覗かれる住戸。

そんな家は、いくら安くても欲しくないという購買層が集まるからでしょう。案の定、売れ残ってしまったのです。

そんな住戸でも、安くすれば、「寝るだけのセカンドハウスだからとか、個人事務所として使いたいので気にしない。ただ予算に限界があるので、この価格なら文句ない」と語るような買い手が表れます。

このようなニーズの人にとっては、残り物から福を見つけたことになるのでしょう。


今まさにマンションを買おうと探している人が、このようなニーズでないとしても、安く買っておけば、売却の際には安く手放す余裕があることになり、上述のような需要層をキャッチできるかもしれません。

ごく一般的なファミリーマンションを探している人が、ときどき次のようなメールを下さいます。

「設備のグレードも高く、間取りも角部屋で、階も8階なので、とても気に入りました。ただ、価格が高い気がするのです。適正価格を教えて下さい。交渉の材料にしたいので」と。

全体の価格が高い物件でよく取られる価格戦略の結果、異常に高くなった角部屋の売れ残り事例です。

常識的なバランスで値付けすると、数の多い中部屋の価格に魅力がなくなり、大量に売れ残る危険が高い。そこで、中部屋の価格を可能な限り安くし、そこで減った売り上げ・利益を角住戸にONして売ろうとしたケースです。

ところが、ONする先の角部屋の数は中部屋の数に比べて少ないので、結果的に「角部屋で条件は確かに良いが高過ぎる」という住戸が誕生し、市場の厳しい評価を受けたというわけです。

条件が良く、問題のない角部屋でしたが、高過ぎて中々売れないので、仕方なく竣工後は値引きやむなしという販売方針となったようです。

このような例は多くはありませんが偶に見られます。


●価格交渉を頑張りましょう

関西人や名古屋の人は価格交渉が上手と聞きます。「おまけして。勉強して。なんぼにしてくれる?」の類の言葉が平然と口から飛び出すシーンを筆者も何度か目撃したことがあります。店側もいつものことと予想しているのか、少しも慌てず返す言葉も上手。そんな印象を受けたものです。

これに対して、関東の人は値引き交渉が下手とされます。 というより、値引きを要求する習慣がないのです。 

しかし、売れ残りマンションに遭遇し、物件としてのネックはあるが妥協の範囲にあるとした場合、最後はできるだけ安く買う交渉は非常に重要です。思い切った値引きを要求し、それを勝ち取ることです。

独りごとでも言うように「〇〇〇万円くらいは安くなるかしら」などとつぶやいてみましょう。

担当営業マンは「〇〇〇万円ですか、それは無理です」とか「当社は、値引きはしない方針です」などと拒絶するかもしれませんが、「〇〇〇万円ならどうですか」などと勇気を出して声にしてみることです。

値引き額の根拠など、全く不要です。根拠を示すと、売主に反論のきっかけを与えるだけだからです。

売れ残りなのだから、そのくらいは当然でしょという感じで、しかも業界の常識とか、値引きの限界とか、そのようなものは何も知らない顔をして、あっけらかんと言うのがコツです。

言いにくければ、「私たちにとっては大きな買い物なので、少しでも安くしてほしいのです」とか、「いくらくらい勉強してくださるの?」と言うのも悪くないでしょう。

 値引きやむなしという状態にあれば、売主はあらかじめ値引きの枠を現場に与えている場合もあります。そうでない場合も、過去の値引き決裁事例から「いくらくらいならOK」を現場の営業マンは知っています。

その範囲を超えるくらいの大きな要求であれば、「とても無理です」とか「売れ残りではない。売り出し時期が遅かったからだ」などと抵抗するに違いありませんが、そこで引き下がっては交渉になりません。

「出してみないと分かりませんが、お客様のご要望の〇〇万円は無理ですが、〇〇万円くらいならOKが出るかもしれません」という答えを引き出すまで先ずは頑張ることです。

その先は展開次第ですが、「もうひと声なんとかなりませんか?」などと粘ることが成功の必須条件です。







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高くつく中古マンション。「やっぱり新築」の声に思う [中古マンション]

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「中古マンションを購入してリノベーションする事も考えましたが、築年数がたっている物件は修繕費が高い事もあり、毎月の支払い総額を考えると、中古で購入するリーズナブル感があまり無さそうなので新築がいい」――このような考え方をする方にネット上で遭遇しました。

「新築と中古、どちらがいか」、その経済性のみを検証してみます。


1)物件代金:言うまでもなく新築の方が高いわけですが、稀に中古でも新築並みというケースがあります。しかし、ここでは平均像で比較して行くことにします。

※平均像を設定した方がよいので、70㎡の新築が6000万円、70㎡の中古が4500万円とします。 (これは、新築なら6000万円の予算が組めることは組めるが、先行きの不安から予算をもっと減らしたいと考えて中古物件を探してみたところ、築年数が新しいものは中々見つからないので15年までと妥協した結果の4500万円の物件を発見するに至ったという設定)


2)物件代金以外の購入時におけるイニシャル費用(登記料・不動産取得税・ローン保証料など):新築には修繕積立基金(一時金)が必要ですが、一方、中古には仲介手数料がかかります。

新築は修繕積立基金を除くと約200万円、中古はローンの利用額(後述)を減らせるので、約170万円で足りるとします。

これに修繕積立基金として50万円を加えて新築のトータルは250万円とします。中古は物件代金の3%+6万円(+消費税)の仲介手数料が必要なので、約150万円を加えてトータル約320万円の諸費用が必要となります。

築15年では、リフォーム費用がかかる中古も多いですが、設備はまだ交換の必要がないので、壁紙の張り替え・洗面所とトイレの床材の交換程度とし、費用は50万円とします。

中古はトータルで370万円


※物件代金を加えたトータルの購入費用は、新築が6250万円、中古は4870万円となります。


※頭金が1000万円出せる買い手だとした場合、住宅ローンの利用額は新築なら5000万円、中古は3500万円ですが、35年返済の10年固定金利0.8%で融資を受けたとすると、10年間の金利負担は次のようになります。

(10年としたのは、10年後に売却することを想定=後述=しているためです)

10年間の金利は、新築は350万円、中古は240万円となります。しかし、ここから住宅ローン控除を差し引くと、5000万円の借入が可能な買い手の所得は500万円以上であることは確かなので、10年間の金利負担は、新築も中古も実質ゼロとみてよいでしょう。

3)毎年かかる固定資産税土地+建物):新築マンションの場合、建物部分の課税は5年間に限り半分に軽減されます。尚、建物は完成後に課税されるので引き渡しの翌年からの納税となります。中古の場合は、軽減措置がない代わりに建物の課税価格が安いので、トータルでは大差ないものとします。


4)毎月の修繕積立金:新築の場合、初年度の設定は安く、5年か10年ごとに増額される計画になっています。70㎡の標準的な物件では、初年度が6000円、6年目7500円程度です。中古は、築15年クラスの標準的な積立金が12,000円なので、それぞれの10年間で比較してみます。  新築は81万円、中古はその後の増額がないもとすると10年で144万円となります。その差は中古が63万円多いだけです。

※ここまでの総費用(10年合計)で新築が6331万円、中古は5014万円となりました。中古は約1200万円少ない費用で住むことができるというわけです。


5)10年後に売却するとしたときの損失額:ここまでの試算で、10年間の総費用は中古の方が1200万円も少ないわけですが、問題は資産価値の差です。 

新築は10年後に築10年となります。築15年の中古は築25年となります。 どのくらいで売れるのかは、市況や物件の立地条件と建物価値などによって大きく変わるのですが、平均的なデータを用いて比較してみます。

23区の平均では、築10年マンションは新築相場の80%程度になっています。築15年マンションは同75%程度です。25年マンションは同55%程度です。

新築は10年で100から80へ20%ダウンし、中古は10年後に75から55へ27%ダウンするという理屈です。

ただし、これは10年後の新築相場が購入時とレベルだった場合です。新築相場が上がれば中古も連動します。 過去のデータは新築相場が10年で20%以上上がったために、上記のような値下がりは起こっていません。しかし、ここでは10年後も相場が変わらないもとして試算します。

6000万円の新築は×80%で4800万円となります。中古は4500万円×27%ダウンなので3285万円に値下がりします。損失額は、新築が1200万円、中古も約1200万円です。つまり差はありません。

ここまでの計算で欠落しているのは住宅ローンの元本返済金です。借入額に1500万円の差がありますから、毎月の返済額で13万6千円と9万5千円、差額4万1千円の120か月分、合計で約490万円が中古の負担軽減額となります。

一方、中古は25年に達する間に設備の交換が必要になるかもしれません。その分を200万円と見積ったら、負担軽減額は290万円になります。

以上から、10年間の総費用の差は、1200万円+290万円、計1490万円となり、中古の方が明らかに少ない負担で居住することができると分かります。冒頭に掲げた「中古で購入するリーズナブル感」は十分にあるわけです。

しかし、購入物件が築15年でなく、築30年を超える物であった場合、全面的なリフォーム、つまりリノベーションを要することでしょう。その場合は数字が変わって来ます。

リフォーム費用を当初の50万円と後の200万円を計上していましたが、ここがプラス500万円としたら、それでも中古は約1000万円もの負担軽減になるのです。さらに、購入時のイニシャル費用も大きく減るはずです。

中古購入にはやはり「リーズナブル感」はあるのではないでしょうか?

鍵は、売却額が握りそうです。 この試算では新築も中古も約1200万円の損失としましたが、ここに差が出るほど「リーズナブル感」は変動します。

詳しくは割愛しますが、筆者が提供する「将来価格の予測サービス」の経験値から言えることは、新築も中古も物件次第で損得の数字は大きく変わって来ます。 新築であっても、選択を誤れば総費用は無論のこと、売却損も大きくなるのです。




 
中古は到底考えられないという人もありますし、反対に積極的に中古から選ぼうとする人もあります。 

新築がいいと思っているが中々見つからないので、次善の策として築浅の中古を検討している人もある一方、築年数にこだわらずに中古を探している人もあるのです。


 新築にこだわるか、中古も検討するか、あるいは中古に絞って探すか、どれにするかは個人の価値観になるのでしょう。その意味では中々微妙な問題です。

購入時のイニシャル費用は中古の方が負担感が軽いとしても、また毎月の負担感も同様としても、売却時に大きな損失が出るようなら、元も子もないということになります。

とはいえ、筆者は新築にこだわるべきでないと考えています。


関連記事:「基本の新築VS.中古」http://mituikenta.blog.so-net.ne.jp/archive/20160320

「築30年のマンションに10年住んで売却の構想」http://mituikenta.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25


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マンション ブランド力と品質の関係 [マンション設計]


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「品質は高いが価格は高くない」商品がある一方で、「品質は高いが価格も高い」ものもある、それが経済の実態というものです。

「品質の割には価格が安い」ことで売れ行きを伸ばし、企業として大発展を遂げたのがユニクロブランドを展開するファーストリテイリング社ですが、その反対の「高価格だが、裏切らない品質。英国王室の御用達としても知られる」ブランドバッグとか、「世界中のセレブに愛される」宝飾の最高級ブランド、中古でも高いブランド時計といったものが世界には少なからず存在します。


 高級ブランド品はブランド戦略と言われる企業の商品戦略、広告戦略によって高いブランド価値が作られ保たれています。

決してディスカウントセールはしない。その厳格なポリシーを守るために、直営店でしか販売しないというブランド商品も少なくありません。

分譲マンションにもブランド戦略は存在します。


●マンションの品質と立地条件がもたらすブランド価値

マンションは、建物品質だけで価値判断をすることができない特殊な商品です。高い品質の建物を作っても、立地条件の良し悪しによって評価が変わるからです。場所が良くないと市場が判断するマンションの場合、建物品質を高くしたところで、価格を低く設定できなければ販売は難しいのです。

消費財との大きな差がここにあります。

立地条件の価値を押し上げる要素、例えば地域ぐるみの開発・再開発などが伴わければ、建物だけを高品質にしても価格の高さに市場は理解を示さないのが実態です。

逆に、新設の鉄道路線、新設の駅、その前に大型SCなどとともに建設されるようなとき、そのマンションの建物品質を上級にし、価格もそれなりの高さに定めても市場は評価するというケースがあります。

このような特別な場合を除けば、立地条件の劣るマンションは建物品質も価格抑制のために中級以下にするしかないのです。

一方、別格とされる高級住宅地や駅に直結しているような立地条件では、土地の取得費も高いため、分譲価格が高くなるのは必定です。加えて、高額商品の買い手を満足させるための建物品質が必須となります。良い場所には良い建物というのが定石なのです。結果的に分譲価格はそれなりに高くなります。


高級マンションは、モデルルームを見ると、設備も建具・ドアハンドルも、また床や壁、天井の仕上げ材もハイグレードですが、それだけではありません。

共用玄関やロビー、廊下の床や壁、規模の大きい物件であればラウンジやゲストルームなどの共用施設の仕様も含めて中級以下のマンションとは明確な差別化が図られます。

場所が良いというだけで建物は中級マンションと大差ないという商品もないわけではありませんが、高級マンションと言われる物件は、建物品質はも高く、価格も飛び抜けて高いものです。

そして、そのような高級マンションの多くが、年月を経て資産価値を維持し、やがて「ヴィンテージマンション」と呼ばれるようになるのです。


工場生産品と異なり、マンションは手作りの一品生産品です。しかも、高級住宅地では限定生産品(稀少価値がある)だけに、資金調達が可能な買い手にとっては比べるものもなく、3億円と言われれば3億円を、5億円というなら5億円をそのまま受け入れて購入契約を結ぶことになります。

高級住宅地と言われる街として知られる千代田区の三番町や港区の麻布・青山・三田綱町・白金渋谷では広尾、・代官山といったアドレスのマンションでは、2億円から5億円もする高額住戸が複数用意されます。



●マンションメーカーのブランド戦略

数億円の部屋も含まれる高級住宅地のマンションを商品化できるマンションメーカー(デベロッパー)は多くありません。ご存知のように財閥系の大手業者と、それに続く大手業者、全部で5社か6社を数える程度です。

高級マンションには、ふさわしいブランドネームを用意し、同じ業者が販売する他のエリアの中級マンションのブランドと区別するのが普通です。買い手の優越感を満足させることが必須と考えるためです。

三井不動産レジデンシャルを例に引くと、最高級ブランドは「パークマンション」ですが、中級マンションは「パークホームズ」で、これが販売商品の大半を占めます。

タワー型を「パークシティ」というブランドにしていますが、「パークコート〇〇タワー」という高級タワーマンション」もあります。

明確なブランド戦略が見て取れます。


●ブランド名より企業名

しかし、マンションメーカーの場合、ブランド名より売主の知名度を優先しているように感じます。複数のブランドを持っている三井不動産レジデンシャルても、広告では「三井に住んでいます」というのがメインコピーです。

パークホームズだけのPRもたまに見たような気がしますが、印象に残るのは「三井に住んでいます」の方です。

三井は、最高級ブランドであろうと中級ブランドだろうと、また、都心・郊外を問わずに確かな品質のマンションを供給していますとアピールしているようです。

三菱地所レジデンスも、「三菱地所を見に行こう」のキャッチコピーが有名です。こちらは、親会社の三菱地所のビジネスまでを包括的にPRしていると感じます。


東急不動産は「ブランズ」を、野村不動産は「プラウド」を、東京建物は「ブリリア」をCMでアピールしていますが、こちらは複数ブランドを持たない企業なので単純です。それでも、広告ではブランドと企業名を同時に謳っています。

(注)野村不動産は、3年くらい前に「オハナ」という新ブランドを郊外の大型マンションを廉価で展開していますが、「プラウド」のブランド価値が低下することを恐れたためでしょうか、物件広告以外では一切登場して来ません。


ユニクロがCMで企業名のファーストリテイリングを同時にアピールすることはありません。そのせいかどうか、ユニクロを展開している企業がファーストリテイリング社であることを知らない人が多いのも事実です。

マンション業界は対称的です。マンションのブランド戦略は、ブランド名より売主名を意識したものなのかもしれません。


郊外の普通の住宅地には高級マンションは建てないものですし、数少ない高級住宅地の高級マンションのブランドを浸透させたところで、その商品開発が簡単でなく滅多に販売できない以上、あまり意味はないのです。

かといって、数が多い中級品のブランドばかりPRしても、そのイメージが定着すれば困るわけで、結局のところ、高額マンションであろうとなかろうと、「わが社のマンションの品質は確か」、または「どこで開発したマンションでも高級品」というイメージ作りをして行かざるを得ないのです。

「プラウド」という野村不動産のマンション名に対するイメージを何人かの人に尋ねたところ、「高級な感じがする」という答えが返って来ました。東急不動産の「ブランズ」も、最近1~2年の集中的なCM投下が効いてか、「何となく高級な感じがする」と言います。

野村も東急も、立地条件を問わず、すべての販売商品に高級なイメージが浸透したらCMは成功と言えるわけです。

そして、買い手がイメージ通りのマンションと感じて満足できれば、それはそれで結構なことです。


●同じブランドでも品質は違う

しかし、現実はどうなのでしょう。「ブランド名」は同じでも、品質(グレード)には差があるのも事実です。先述のように、立地条件によって変えざるを得ないからです。

ところで、マンションメーカー各社は、自社の品質基準・設計基準のようなものを持っています。 

廊下幅やパイプシャフトの寸法から、設備のグレードなどについて、細部に渡って内部基準を設けているのです。

しかし、基準を順守しているか疑わしい物件もあります。

基準が緩いのか、基準に一定の幅があるのか、内部に通じているわけではないので確証はないのですが、間取りや設備などの資料を見ているだけでも、一定ではないように感じるケースによく遭遇します。

建物が完成し内覧会に立会いさせてもらうと、その感は一層強くなります。

ともあれ、同じブランドなのに「先月見た物件はディスポーザー付きなのに、こちらは付いていないのですね」といった声や、「ミストサウナが欲しいのに、今度の物件は付いていない」といった声を聞きます。

ディスポーザーは多額のコストを要するので、設計基準書の中では採否が柔軟に扱われているのでしょう。

これらは目に見える部分の差異ですが、見えにくい点では「二重床と直床が混在したブランド」があります。

同様に、住戸の玄関に「アルコーブがあったり、なかったり」も最近はよく見かけます。

設計基準は事実上、形骸化してしまったのか、そんなことも感じます。とまれ、買い手の立場で考えてみると、ブランドに騙されないことが大事です。

得難い高級住宅地や駅直結マンションなど、差別化が明白はっきりした物件であれば、価格が高くても売れるはずと売主は強気です。そのような物件は、「さすがは〇〇社の〇〇ブランド」と、買い手を喜ばせる標準以上のスペックで設計されているものです。

ところが例外もあることを知っておかなければなりません。 都心の高級住宅地に建てられた大手A社の内覧会で実物を見たとき、大きく下がった天井がやたら目立ち、閉塞感のような違和感を覚えたことがあります。

大梁が下がり天井となっているほか、排気ダクトがキッチンからバルコニー方向へ走っているのですが、その両方の下がりが天井に凸凹状態を作り出し、大きな抵抗感をもたらしていたのです。早い話が、「高級マンションの割には随分天井が低いなあ」と思わせるものだったのです。

こうした例は挙げればキリがありません。モデルルームは欠点が少ないタイプを展示しているので、気付かない買い手も少なくありません。契約完了後に気づいて失望するのです。

購入するタイプがモデルルームでない場合は気を付けなければなりません。しかし、平面図だけ見ていても、頭の中で3D化することは難しいものです。

そこで、ひとつだけコツをお伝えすると「下がり天井=2150とか、同=2050などといった表示と、その範囲を表す点線に注目します。

下がり天井の範囲が分ったら、そこにマーカーか色鉛筆で着色します。これだけでも、天井面にスッキリ感があるかどうか、圧迫感がないかどうかの見当をつけることができます。

それでもピンと来ない場合は、当該住戸の断面図を売主に要求することをお勧めしたいと思います。


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