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第565回 新築の価格は「メーカー希望小売価格」のようなもの [マンションの価格]

★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツーをご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください★★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

家電量販店では、メーカーから大量に仕入れることを条件に売り渡し価格を下げさせることに成功し、同じ商品を小売店より安く販売するビジネスモデルを確立しています。しかし、家電量販店同士の競争も激しく、一時「当店の価格より安く売っている他店があったら、差額はお返しします」などと、大胆なPRをしていた販売店もありました。

その後、「価格ドットコム」などの価格比較サイトも登場し、優れた家電製品が家庭に安く届くようになったのです。

それ以前は、メーカーが小売価格の決定権握っていました。電器製品は全国に張り巡らせた特約店網を使って販売するという形態でした。メーカーごとに「松下電器特約店」「東芝特約店」などとなっていて、様々な販売促進の支援をする代わりに販売価格はメーカーが決めた「メーカー希望価格」で販売していたのです。

小売店はメーカーの指導に従っていれば、品物は勝手に売れて行くものと信じてメーカー支配に甘んじていましたが、やがては商品の価格はメーカーが決めるものはなく、小売サイトが決めるものだとする量販店の主張が通った格好で、メーカー支配の構図を崩したのです。

これは、歴史的な構造変化と受け取られています。

家電メーカーは、製品を生み出すために研究部門・企画部門などを擁し、特約店の販売支援要員も抱えています。当然ながら多額の研究費をつぎ込みます。そして、原材料を仕入れ、製品を製造するための機械装置と工場を設置して完成品に仕上げていくわけです。

そうして出荷した製品が、投入した製造費と研究費等、さらには広告宣伝費、小売店に供与する販促費(小売店の利益)などを回収してメーカー利益を生み出すには、販売価格はいくら以上でなければならないという採算分岐点があります。

そこからはじき出した小売価格が、メーカー希望の小売価格になっていたのです。

この構造を突き崩した家電量販店は、個人商店の委託販売ではなく全台買取り販売なので、返品リスクもなく、販促費も不要なので、メーカーとしても大助かりのはずでした。ところが、量販店の要求する買取り価格はメーカーにとって屈辱的なものであったそうです。しかし、今では安値で売り渡しても大量に売ってくれる量販店はメーカーから見ても有難い存在になったのです。

この格安・大量仕入れは、その源流がスパーマーケットの礎を作ったダイエーの創業者中内功さんの経営哲学にあったのではないかと思いますが、メーカー主導から小売店主導、言い換えれば消費者が市場の支配者であることを私たちに教えてくれたのかもしれません。

しかし、他の小売分野ではメーカー希望価格が厳然と今も存在しています。身近なところでは新刊書籍です。価格は書籍本体に刷り込まれており、書店が勝手に価格を変えて(下げて)販売しているという話は聞いたことがありません。

正式には再販売価格維持制度といい、自由な価格競争を促進するための独占禁止法上は原則として禁止されている再販売価格の指定を例外的に認める制度として書籍、雑誌、新聞及びレコード盤、音楽用テープ、音楽用CDの6品目については例外なのです。言論の自由や文化の保護という見地から、1953年以来、再販売価格の指定が認められているからです。

かつては化粧品なども例外とされてきた時代があったのですが、自由競争の見地から例外の範囲が狭められて来ました。

家電製品は再販売価格時事制度の指定品目ではありませんが、実質的にカルテル的な商慣習というか、業界秩序というか、上述の「特約店方式」で販売されていたわけです。

●新築マンションの価格構成

家電製品は研究費と製造装置・工場などの設備投資、原材料費などによって原価が構成されるわけですが、大量に売れれば売れるほど原価分が回収されるとともに、利益をメーカーにもたらすはずです。(売れば売るほど赤字になるという例外もあるのかもしれませんが)

一方、新築マンションは1プロジェクトごとに見ると、売れる数は最初から決まっていますから、家電製品のような考え方は成り立ちません。どんな場合も利益を上げるための計算方法は一定です。つまり、家電製品のように1万個売れた場合と10万個売れた場合などという「変数」は存在しないのです。

マンションは、土地代+建築費(設計料・工事代・近隣対策費など)+販売経費+利益という構成で価格が決まります。昔は、これを原価積み上げ式などと呼んでいました。今も基本は変わりませんが、積み上げた価格が市場の支持を受けるかどうかという検証が厳しく問われるようになったため、利益率は一定ではなくなりました。

昔は10%以上の利益(粗利ベースでは20%)を基準に置いていましたが、地価の高騰などのために価格が上がり過ぎて売れそうにないと判断し、利益率5%とか6%とかに下げて売り出すこともあるからです。

しかし、これが限界で、それ以下では最悪の場合(値引き販売を強いられるなど)は赤字に転落するかもしれないので、販売を断念する、言い換えると土地のままでしばらく置いておく(塩漬けにする・凍結する)しかないのです。こうした例は、過去にも多数見られました。

ともあれ、新築マンションの価格は売主(デベロッパー)の利益が出る価格、売りたい価格なのです。いわば「メーカー希望価格」というわけです。この形を突き崩すことは殆ど不可能といって過言ではありません。


●売れそうな価格とは

売れそうにないと判断して利益を削ると述べましたが、反対に、売り出したマンションは売れそうだと判断したことになるのでしょうか?

「ちょっと苦しいなあ。完売まで時間もかかりそうだが、まあ何とか売れるだろう」などと判断して着工に踏み切り、やがて販売にかかるのは確かです。しかし、売れそうな価格と判断したものの、絶対的に自信の持てるケースは少なく、「売り出してみないと分からない」ことも多いのが最近の実態です。

急激な価格上昇トレンドの初期は爆発的に売れることもあって、売り手の予想は大きく外れて「うれしい誤算だ」などと言わしめますが、高値がピークに差し掛かるころは苦戦物件が増え、その様子を眺めているときは「予想外の不振」を嘆き、「新築マンション冬の時代」などと言われるようになります。

つまり、プロといえども需要予測は簡単ではないのです。売れなかったら最後は値引き作戦を採るしかなくなります。現に、そういう事態に陥ってしまった物件は至る所に見られます。

●買い手の反撃
メーカー希望価格とは、非難を恐れず言えば一方的な押し付け価格なのです。買い手はそれを黙って受け入れしかないのでしょうか? 言い換えると、デパートでは値札の金額で買うのが常識であり、価格交渉はご法度のようなものですが、新築マンションもそうなのでしょうか?

そうとも言えますね。しかし、それは二つとない品を提供している売り手の傲りなのです。この場所でこの階のこの間取り、この設備・仕様の住まいは他に存在しない以上、それが是非とも欲しいと思った人は、何も言わずに購入申込書にサインして証拠金とともに差し出し、その後の契約手続きにも黙々と従うほかないのかもしれません。

それでも、その品を手にする喜びがあれば問題は何もありません。売り手は、このような買い手を待ち望みます。ところが、買い手が「良い品だけど高い」と思ったら、黙ってはいません。未練は残しつつも購入を諦めます。

そのように背を向ける人が増えれば、売り手は慌てます。強気な姿勢は、やがて媚びを売る姿勢に変わるのです。そうなると、価格の引き下げ(値下げ)の実行に踏み切ります。ズバリと言わなくても、ニュアンス的に伝えて来る時期が来ます。そうなったらしめたものです・・・

ところで、そのような売り手の態度が変わるまでは値引きはしないものでしょうか?

基本的にはしないと思うべきです。「値引きしない品は良い品」と思うのが買い手の心理でもあり、値引きして商品価値を売主自ら下げることはしないのが常識と考えられているからです。

●中古マンションの価格は市場価格

新築マンションは「メーカー希望価格のようなもの」ですが、中古マンションはどう捉えればいいのでしょうか?その点についても少し触れておきましょう。価格決定メカニズムが対照的なので、より理解が深まることでしょうから。

中古マンションは売り出し価格を決めるとき、仲介業者の選定に当たって「査定価格」の提示を受けます。これは類似物件比較法によって導かれるものです。 つまり、成約事例の中から依頼物件に類似のものを探し出し、条件の違いによる増減補正を行って査定価格を決めます。

補足すると、仲介業者を複数選んで査定依頼した場合、数字は少しずつ違ったものが出てきます。計算方法が違うのではなく、類似物件として選んだものが違う場合があることや、高い査定価格を提示した方が依頼を獲得しやすいからです。依頼者が、高く売ってくれそうな業者と錯覚する心理を狙ってのことです。

さて、売主が「このくらいで売れるといいな」と思っている希望額と査定価格の間にギャップがあったときは、査定額に少しONして「売り出し価格」を決めて売却活動を開始するのが普通です。

それがうまく行くこともあれば、中々売れず、一度ならず値下げしてようやく成約に至ることがあります。結果的に査定価格に近い所で決まることもあれば、査定額を大幅に下回ってしまうこともあります。

いずれにせよ、決まった価格が「市場が認めた適正な価格」と言えます。これを「市場価格」と呼ぶことにしますが、人気マンションの場合は売り物がもともと少ないので、出るとすぐ買い手が着くことがあります。売り出し価格から100万円未満、多くは売主の言い値(売り出し価格)のままで決まってしまことも多いのです。

いずれにせよ、成約に至った価格が「市場価格」と言えます。ここが新築マンションと異なる点です。

新築マンションでも、最後は売れなければ売れる値段にしなければなりませんが、その交渉にさえ中々応じないうえ、「高いまま買って下さい」と言っているように聞こえます。市場価格でなくても買ってしまう人が一定数あるという事実に、売主は「高くない」とか「単純比較では高いですが、立地が違います。仕様が違います」などと言い張って、自分たちの一方的な価格を買手に認めさせようと必死です。

もちろん、中古オーナーの中にも強気を押し通そうとする個人がいないわけではありません。しかし、それを貫き通すのは至難の業なのです。売ることを諦めない限り、市場(買い手)に抗しきれず値を下げることが多いものです。

物の値段は需要と供給の関係で決まるものですが、その市場原理を鮮明に映し出しているのが、中古市場です。新築市場には残念ながら市場原理は働きにくいと言えるのです。

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以上の現実を知ったうえで、新築は新築なりに、中古は中古なりに、お得にマンションを購入する術を身に着けられるよう祈念したいと思います。


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