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諦めかけの人へ「頭金増額作戦」のススメ [マンション投資]

このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。


値上がりが続き、住みたいマンションが遠ざかって行く。もはや諦めるしかないのか?そんな境地に陥ってしまった人へ提案します。

1年以上マンションを探し続けて来たけど、中々決められず、最近は疲労感も強い。1年後には主人が転勤になりそうだし、買っても住むことができる時間は短い。いっそのこと、次に帰って来るときまでマンション探しは休止しよう。

こんな気持ちになってしまった人へ、「住む」マンションではなく、「賃貸する」マンションの購入を提案したいと思います。マンション投資で頭金を殖やすのです。

これまで希望条件を満たす物件の購入ができなかったのも、きっと理想が高かったからに違いありません。それを「住むのではなく貸す」ということにすれば条件を下げることができるでしょう。例えば3LDKだったところを2LDKにするのです。そうすれば、決断がしやすいはずです。新築ではなく中古にするという手もあるでしょう。

投資というと、リスクを感じ抵抗感を持つ人が多いことと思います。ところが、この提案は、少し条件を下げるだけなので最悪でも住めるマンションの選択を前提とする投資です。従って、リスクは殆んどありません。

お勧めは駅近の2LDK物件です。例えば、一度検討し気に入ったものの、欲しい3LDKは予算が足りないので見送った物件などがいいですね。その中にある小ぶりの住戸(2LDKなど)が狙い目です。

狭いとしても、今の住まいと変わらない広さであれば住めないことはないのですから、そこにさえ目をつぶれば、マイホームは確保できたことになります――ここが、ただの投資と異なるところです。

ともあれ、基本は「確保したマンションを売却して利益を得る」ことです。当然ながら、売却するまでは賃貸します。

利便性の高い物件なら、値上がりする確率も高いものですが、甘くはありません。なぜなら、今はとても高い時期だからです。

値上がりしたとしても僅かでしょうし、譲渡所得税を納めなければなりませんから妙味はなさそうです。売却の時期にもよりますが、高くは売れないと思った方がいいかもしれません。

ところが、以下で述べるように、それでも投資するメリットは低くないのです。メリットの第一は、当分貸すとしてもマイホームを「持った」という安心感を得られることにあります。


●買い値で売れればメリットは大きい

第二に、マンション投資の面白いところは、値上がり益(キャピタルゲイン)がなくても手取り金額が増えることがあるという点です。

例を挙げて説明しましょう。

60㎡前後の2LDK物件・5000万円を頭金500万円、ローン4500万円で購入した場合で、ローン期間は最長の35年、金利は2%(賃貸用なので高い)とします。

毎月返済は、約150,000円となります。賃貸料は月額170,000円と仮定します。これは、都区内でも現実的な想定です。

賃料の全てが住宅ローン返済と管理費等に充当され手元には一銭も残らないこととします。つまり、毎月の維持費を見ず知らずの他人に代わって負担してもらうのです。
(固定資産税も年間に15万円程度必要ですが、ここでは簡便のために無視します)

7年間、全く同じ条件が続いたとします。7年後のローン残債は3800万円となります。返済金15万円の7年分(×84)1260万円のうち、金利分560万円は消えてしまいますが、元金部分700万円(4500-3800)は資産として残ります。

5000万円で買ったものが仲介料差し引き5000万円で売ることができたとします。その場合、ローン残債が3800万円なので、手取り額は1200万円となります。

頭金は500万円でした。これが1200万円に化けた格好です。7年間の儲けは700万円、表面利回りは年20%(700÷500÷7)にもなります。

では、売値が4500万円に下がってしまった場合はどうなるでしょうか?4500万円-3800万円(ローン残債)なので、手取りは700万円となります。頭金と登記料その他の初期費用が200万円だったとすると、その部分が回収できただけで利息(利益)はゼロです。

この試算で分かったのは、5000万円の物件が7年後に4500万円以上で売れれば損はないということです。幸い元値で売れたら、年利回り20%もの高い利殖を実現することになるのです。この数字のからくりは、第三者(賃借人)が住宅ローンの返済を肩代わりしてくれるところにあります。

2016年、都区内の築10年マンションのリセールバリューは平均で95%超でした。これは、この10年で値下がりしたマンションが少なかったことを意味します。
過去10年間に東京都区部の新築マンションは、25%も上昇したため、中古マンションも連動して上昇したことによるものです。

向こう7年間に同様の値上がりはないでしょう。むしろ値下がりする確率は高いかもしれません。しかし、大きな下落はないはずです。

(根拠は別のブログサイトで述べていますので、そちらをご覧ください。
第67回 「値下がりが始まる。待って買う」は正解か?
https://www.e-mansion.co.jp/blog/archives/6681/ )

7年後どうなるかは保証の限りではないですが、物件を厳選しておくことで成功確率は上がります。そのうえに、貯蓄計画を実行すれば備えは十分です。

繰り返しますが、最悪でも住める広さの物件を買えばリスクはゼロです。


●試算してみよう

投資がリスキーと思う人は、ひたすら貯蓄に励むに限ります。そして、チャンスを待つのです。しかし、併せて投資も検討しましょう。

賃貸マンションのままなら、勤務先の補助等で毎月の住居費が50,000円ですむ人もあるでしょう。その人が、マンションを買えば毎月の負担が150,000円になるという場合、その差10万円を「つもり」貯金できるはずです。

景気回復でボーナスも増えるかもしれません。役職について所得が増えるかもしれません。それらが貯蓄率を高め、毎月10万円以上を可能とするかもしれません。共稼ぎのご家庭なら、配偶者の給料を全部貯金に回すことだって可能のはずです。

結果的に7年で1000万円くらい貯金が増える人も少なくないと思います。しかし、希望的観測ですから、より安全に、投資マンションの売却で得た資金と合わせて1500万円を7年後の頭金としましょう。

一方、購入を長く中断した場合、当初35年だった住宅ローンが加齢によって30年以下にしなければならない人もあるでしょう。そうなれば、返済負担は変わって来るでしょう。それでも頭金が増えれば差はないかもしれません。

例えば5000万円の予算・頭金500万円、ローン4500万円を金利1.0%(自己居住の場合)の35年返済で利用する予定だった人が、諦めて7年後に1500万円の頭金・4500万円のローンで少し広い6000万円の物件を購入することになったとしましょう。

金利が上昇して1.5%になったとし、ローン期間も7年短縮の28年返済で利用するとした場合、毎月の返済額は164,000円となります。

7年前に4500万円・35年でローンを利用していたら、毎月の返済額は12万7千円ほどですから、月々3万7千円も増えてしまいますが難しくないはずです。
7年後の返済能力は所得増によって可能になっているかどうか、個人差のあることなので何とも言えませんが、非現実的な想定ではないと思います。金利が上がってしまうと決まったものでもないですし。

金利が上記想定以上に大きく上昇すると、また、7年後のマンション相場が予想に反して値上がりしていたら、この試算は狂います。いずれにしても不確実なことばかりです。読者の皆さんは7年後をどう読まれますか?

ともあれ、当分マンション購入を休止するつもりの気持ちに傾いているなら、その前に「貯蓄計画・マンション投資計画」を、数字を入れ替えながら読者自身でシミュレーションすることをお勧めしたいと思います。

●おまけです

ここまで、「希望の広さに足りないので済まずに賃貸し、7年後に改めてマイホームを買うときの頭金増額作戦に切り替える」お話しをしました。7年間で頭金を増やす高利回りの利殖のススメでもありました。

賃貸した場合は、賃貸住宅(社宅等)に住み続けるわけです。つまり、狭い家でしばらく我慢しようということになります。としたら、広さは変わりないので不満かもしれませんが、いっそ自分で住むという選択もあり得るのではないでしょうか。

ワンルーム投資などとは異なり、そのマンションは広さが少し足りないだけです。自分で住んでもいいわけです。その方が金利も安いし、住宅ローン控除も受けられます。

つまり、住みながら利殖になる・住みながら儲けるマンション投資という考え方もできるのではないでしょうか?

この記事は「1年後に転勤になり、戻って来るのは6年くらい先だから、買っても住めない・住んでも最長で1年のファミリー」という設定でしたが、転勤のない人が単純に7年後に改めて買うとし、それまでは利殖に励みましょうという提案でもあるのです。

買って貸すか、買って住むか、どちらも十分メリットがあることをお伝えして今日の締めくくりとします。

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主寝室を外廊下から遠ざけよう [リフォーム・リノベーション]

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間取り図を見ていると、どれもこれも同じ田の字型ばかりで飽き飽きしてしまいます。それでもマンション選定の優先順位は立地条件であったり建物全体の価値であったりで、間取り優先と行かないのが現実ですね。

しかし、できることなら住みやすい間取りを選びたいと懸命な買い手の姿に触れるたび、どうしたら解決できるのか、そんなことにときどき思いをいたします。

もし、昔のように間取りプランまで携える立場に戻れたらどんなに幸せなことだろう。そんな思いにかられることすらあるのです。

とまれ、ときどき感激する間取りに遭遇することもあります。そんなとき、作り手のご苦労、作りたくてもできない社内事情などが分かる筆者だけに拍手喝さいを送りたくなります。

さて、現在の定番間取り「田の字」が主流でなくなることはないはずで、買い手はこれを受け入れるほかないのでしょうか?

いいえ、ある程度は希望を入れてカスタマイズすることはできます。

●新築マンションの間取り変更

ひとつは、ご存知の新築マンションのメニュープラン(無料のチョイス)の中から発見する方法です。

方法の2は、メニュープランは限定的だが、さらなる改造(設計変更)を有料で行うことです。

方法1も方法2も、工事の遅れを嫌がる売り手は受付期限を定めています。しかも、期限は竣工時期のはるか手前にあります。また、2の買主希望の設計変更は一切お断りとしていることも多いのです。

例外的に、S不動産が採用している竣工後もメニュープランのチョイスや設計変更を受けるという例はあるのですが、特定住戸に限定されるので、これまた買い手の希望は叶えてもらえないことが多いのです。


●中古マンションの間取り変更

中古ならどうでしょうか?大掛かりになるものの、中古なら間仕切り変更は可能となりましょうか?いわゆるリノベーションです。

しかし、現実問題としては難しいことも多いものです。何故なら、立地条件や広さがぴったりで、かつリノベーションも自由にできる中古マンションはないと言って過言ではないからです。

築浅の中古では、室内をスケルトン状態に解体してリノベーションするのは「勿体ない」と思うでしょうし、築古の中に希望条件を満たす物件と遭遇できたとして、浴室や洗面台、キッチンなどの耐久性は結構長いので、少なくとも15年~20年を経過していることが前提になるはずです。築25年~30年などの古い物件は、リノベーションして10年未満であったりするので、やっぱり「勿体ない」となるわけです。

立地も良く、面積も建物全体の品質や格調なども満足できて、かつリノベーションしたくなる優良中古もしくは条件に合致する中古を見つけるのはかなりの難関です。

部分的な変更で、希望の間取りに変えられる間取りがあるかもしれませんが、発見できる確率はとても低いはずです。

ようやく見つけても、リフォーム業者に調べてもらうと、構造上ご希望のようにはなりませんとの答えが返ってきたりして落胆させられることも多いのです。

構造上できないケースは、直貼りの床構造で、配管類を通す床の空間が希望の位置にないため、水回りの移動が極めて困難であるとか、トイレ用のパイプスペース(PS)がど真ん中に位置しているため、間仕切りを変える範囲が制限されてしまうといったことです。

結局、中古だから室内はどのようにもできるというわけではないのです。


●リノベーション物件の大手に声をかけておく?

新築マンションをどんどん供給する時代は終わった。これからは中古ビジネスが主体になる。これが不動産業界の合言葉のようになっているようで、最近は大手も子会社を通じてリノベーション物件の販売に力を入れています。

販売の前には仕入れをしなければなりませんが、社宅等を1棟まるごと購入してリノベーションの後に販売するケースと、1戸単位に取得してリノベーション工事をして販売するケースとに大別されます。

どちらにしても、出来上がってしまった物件では新築マンションを選ぶのと変わらないわけですから、間仕切り変更をしたかったら、リノベーション工事に着手する前に売り出し予定物件を知る必要があります。

その情報をもらうためには、各社の「友の会」の会員になったり、リノベ物件の販売現場などに出向いて希望を伝えたりして、物件取得と同時に知らせてもらうことが必須です。

もっとも、リノベ物件の大半は築30年以上と古い物件であることを覚悟しておかなければなりません。


●お勧めの改造ポイントは寝室

マンションの間取りは受け入れがたいものもありますが、大半は買い手のニーズを組み入れて作っているので、少なくとも最近20年以内の物件はバルコニーに面してリビングルームが設けられていたり、浴室も1317~1418といったサイズになっていたりと、一定水準を超えています。

しかし、無視しているのか、そういうニーズに気付かないのか全く配慮に欠けるものが少なくありません。その代表例が、主寝室のありかたです。

筆者がいつも気に入らないと感じているのは、「寝室が外廊下に面しているために、通行人の足音が気になる間取り」を百年一日のごとく作っていることにあります。

ガラス一枚とルーバー面格子と称するブラインド型のシャッターではプライバシーが確保されるとは限らない。できたら、窓の前に廊下がないカタチが望ましいはずです。しかし、多くのマンションは玄関側が共用廊下になっていて、そこに寝室が二つ面しています。

通行人との距離(廊下との距離)を長く取る設計は、可能ではあってもコストと無関係ではないので、「実際はガラス一枚で外」が現実なのです。図➀は、この点を少し意識したと思われる間取りです。

主寝室(洋室1)がアルコーブを寝室の前まで広げたことによって廊下から距離を取っています。

しかし、これでは不十分と感じる人も多いことでしょう。
          jio-sumiyosi-madori (2).jpg


(画
像:ジオ深川住吉 公式HPより)

リフォームするとき、設計変更を計画するときは是非着眼して欲しいと思うのです。
共用部分の窓を変造したり、今さら廊下から距離を取ったりするような改造工事は不可能なので、例えば下図のような形を提案したいと思います。

              dentuki-masterbedroom (2).jpg


図の左サイドにご注目ください。水回りがないので自由に間仕切り位置を変えることができますね。

このようなケースなら、主寝室と外廊下との間に緩衝地帯としてのDEN(アトリエ・書斎など)を設けることができます。こうすれば主寝室のプライバシー性は各段にアップすると思いますが、いかがでしょうか。


・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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新築は遅いが中古の値下がりは早い [マンション市場]

このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。


マンションの価格動向を注視していると、この先どのように動くが見えて来ます。
マンション価格の最近の推移から、今後を占ってみようと思います。

●新築マンションの値動き(不動産経済研究所のデータより)

2012年が前回の価格安定期の最後の年でした。2013年から価格上昇は始まったのです。2016年の価格は首都圏平均で2012年比+23%、23区だけでは+26%となったことは既報通りですが、注目すべき点は、2016年の動きです。上半期は前年同期比+9.2%と、上昇気配に陰りは見えなかったのですが、後半で上昇スピードにブレーキがかかったことでした。

2016年7月以降の月別価格(坪単価)を前年同月比でチェックしてみると、7月:▲5.2%、8月:▲3.2%、9月:+3.4%、10月:+4.5%、11月:▲18.4%、12月:▲14.0%となっています。半分がプラス、半分がマイナスとなっています。

結局、年間では前年比1.8%の上昇に留まりました。

2017年1月以降も前年同月比を追ってみましょう。1月:+24.8%、2月:+2.0%、3月:▲0.9%、4月:+3.6%となっており、前年同月比でマイナスだったのは3月だけです。

1月の異常な値上がりは、23区が前年の@342.2万円から@435.6万円に27.3%も跳ね上がったためですが、1戸平均価格でも7149万円から9148万円と28%の上昇となりました。ご想像いただけるように、都心物件・億ションが多数売り出されたためです。

さて、こうした価格動向に注目していると、新築マンションの価格はようやく頭打ちになった感があった2016年下半期から、再び上昇を懸念させる動きを見せています。

しかし、値下がりに転じる兆しも窺い知ることができます。


●新築マンションはいつ値下がりに転じるのか

売れ行きの悪化が価格上昇にブレーキをかけ始めました。売れ行きの悪化は、新築マンションの場合、月間契約率を追うことで推察することができます。

月間契約率とは、毎月「新発売される戸数」が当月末までに何戸売れたかで計算されます。10日に売り出したものも、20日に売れたものも月末で何戸売れたかを集計するのです。

ご存知の方も多いと思いますが、「分割販売」または「期分け販売」と称し、100戸のマンションを50戸、30戸、20戸などと分割して売り出すのが定着しています。いっぺんに100戸売り出して20戸しか売れないと80戸の売れ残りが瞬間的でもできてしまうことを売り手は嫌うのです。そこで、第1期で20戸しか売れないと見たら、売り出し戸数は高々25戸とか30戸と、見込むより少しだけ上積みして発売します。

結果として30戸売り出して20戸しか売れなければ、契約率は66.7%となるわけです。事前のセールスで好感触があったら、売り出し戸数を例えば50戸にします。そして期待通りに50戸とも買い手がつく状況になることがあります。契約率100%となるわけで、これを即日完売と呼びます。

市況のよいときは即日完売物件が増え、即日完売しなくても90%、80%といった好成績を収めます。こうなるときは、第2期も時間を置かずに売り出すことができ、その数も多く、かつ全戸がほどなく完売してしまうものです。結果的に100戸全部が完売するのは建物竣工の半年前であったりします。

これに対して、市況の悪いときは1回当たりの売り出し戸数が少なく、このため第2期や第3期では終了せず、第7期・第3次などと販売回数(期分け回数)不明の長期化物件が増えるのです。

好調のときは、売主の期待を上回る契約率が生まれ、不調の時は発売戸数を絞ったにもかかわらず期待を下回る戸数しか売れないもので。好不調の分かれ目は70%と言われています。

では、月間契約率は最近どのように推移しているのでしょうか?2016年から先月までを辿って見ましょう。

2016年1月:58.6%、2月:72.9%、3月:67.6%、4月:66.4%、5月:70.9%、6月:69.6%、7月:68.4%、8月:63.3%、9月:66.6%、10月:72.0%、11月:61.6%、12月:62.5%・・・一進一退を繰り返し、2016年平均は68.8%でした。

2014年、2015年の年平均は、それぞれ75.1%、74.5%だったので、売れ行き悪化が明白です。

2017年に入ってからも、1月:61.6%、2月:68.4%、3月:66.2%、4月:66.3%となっています。

これでお分かりと思いますが、売れ行きの低迷が1年以上続いているのです。

さて、売れ行きの悪化は価格の低下につながるのでしょうか?先に見たように頭打ちの感じもしますが、まだ下落トレンドに転じたとは言えません。

新築マンションは生鮮食品とは異なります。通常でも値引き販売はありますが、その数字(値引き率)を公表することはしません。公表するのは、完成済みマンションの売れ残り住戸、しかも、その中のごく一部、モデルルームとして何か月か使用した住戸だけなのです。

新築マンションの価格は硬直的です。

ともあれ、完成物件を中心に水面下では値引き販売が増えています。これは、統計に表れにくい価格低下現象です。

統計上の価格も下がる可能性があるとしたら、まだ着工していないマンション、着工はしているが未発売物件からです。しかし、それも急に下がることはありません。

何故なら、土地代という原価も建築費という原価も確定済みだからです。販売経費を加えて得られる利幅は通常10%程度しかないのがマンション事業ゆえに、下げ余地は小さいのです。

赤字販売を余儀なくされる状況になったときは、開発を凍結、もしくは着工を中止して時期を待つ策を採る大手デベロッパーもありますが、手持ち商品の少ない中堅以下はそうも行きません。

建築費が決まっていない、つまり原価が決まっていないケースでも、現状では発注金額(建築費)が下がる可能性は低いので、新築マンションの価格が急落することはないと言って過言ではありません。

工事費が下がるのは、東日本大震災と熊本地震の復興工事がなくなるか、東京オリンピック関連工事がなくなること、東京都心の再開発工事が止まることなど、建設業界の繁忙が落ち着くこと、建築資材が値下がりすることなどが条件になるのです。

ところが、建設業界の人手不足は相変わらずで、建築費の45%は労務費(人件費)と言われるだけに、建築費が大きく下がる材料は見当たりません。

結局、最後はマンション分譲会社(デベロッパー)が赤字覚悟で価格を下げるしかないのです。しかし、マンション事業はそもそも大きな利幅があるわけではないので、売り出し前から赤字事業を進めるのは企業としては中々できないことです。

赤字が必至の物件(プロジェクト)は凍結し、安い土地を新たに取得してコストダウン策を徹底するなどの策を講じるにしても、それは短時間でできることではありません。
地価が急に下落するとも思えません。むしろ、上昇の報道が続いています。

以上から、安くなった物件が出て来るとしても、それが販売開始されるまでは早くても2年以上も先のことになると見るほかないのです。

結局、手持ち商品は利益を削るほかないので、徐々にその策が業界内で浸透し、価格は緩やかに下がることでしょう。

その転換点はいつ頃になるでしょうか? 先のデータから転換点はまだ見えませんが、頭打ちになりつつあるのは確かでしょう。統計的には、おそらく上昇は緩やかながらまだ持続するのではないか、期待を込めて言うならば来年初頭あたりが転換点となるかもしれません。

●中古の値動き

次に中古マンションの値動きについても見て行くことにします。

先ず、中古マンションの価格は、どのように決まるかについて説明します。

新築住宅の価格は土地代、建築費、諸経費・利益から成り立っているのに対し、中古住宅は少し事情が違います。

【周辺の市場動向】+【物件個別の条件】+【売主の事情】=中古価格と考えられます。

3要素のうち、市場動向を【需給関係】と【新築価格の動向】に分解し、売主の事情を除いて説明して行きます。

1.中古マンションの価格決定メカニズム:需給関係

中古マンションの価格は需給関係で決まります。新築の供給が少なければ、中古が取引の中心になり、上質な中古物件は新築並みの価格になるものです。人気の高い街や駅周辺では、新築の供給が何年も途絶えていたりすると、過去の新築相場を超えてしまう高値の中古マンションが生まれます。
また、ある面積帯の物件が稀少という場合、その面積帯だけが高い価値をつけることもあります。

平均的には20年もすると新築相場の半値くらいになるもの(都心では30~40%下のレベル)ですが、タイミングによっては需給バランスが変わり、高値になったり安値に戻ったりするのです。

2.中古マンションの価格決定メカニズム:新築価格の動向

中古マンションの価格は、新築価格に連動します。新築が上昇中のときは、割安な中古に需要が向かいます。すると、やがて中古も値が上がるのです。
従って、新築マンションの価格が先に上昇し、遅れて中古マンションが値上がりするパターンとなるのが普通です。

築20年の中古マンションは新築の半値程度になると述べましたが、新築相場が2倍になっていれば、20年経たマンションは新築時から値下がりしない理屈になります。

3.中古マンションの価格決定メカニズム:物件固有の条件

マーケット全体の動向とともに、物件固有の条件が中古マンションの将来価値(リセールバリュー)を決めるものであり、その条件とは次のように考えられます。

中古価格を決定する要素は、①立地条件(利便性と環境)、②スケール(存在感)、③外観・玄関・空間デザイン、④建物プラン(共用施設、間取り、内装や設備など)、➄ ブランド、⑥管理体制です。
この中で一番比重が高いのは①の立地条件なのです。立地さえ良ければ建物は何でもいいという単純なものではないのですが、大きな要素であることは確かです。逆に、どんなに素晴らしい建物でも立地条件の悪さを補うことはできません。

20年後に新築相場の半値になるという統計データも、その中には30%もの低いレベルの物件もあれば、80%相当に評価される優良物件とに分かれるという事実を知っておかなければなりません。

●中古マンションの値動き(REINSのデータより)

中古マンションの価格のトレンドは今どの方向にあるでしょうか?東京都だけ拾ってみると、毎月の成約単価は2016年1月以降ずっと前年同月比でプラスを続けています。

2016年9月以降を転記すると、9月:+5.8%、10月:+3.2%、11月:+6.6%、12月:+9.9%、1月:+2.3%、2月:+5.2%、3月:+0.9%、4月:+8.0%なのです。

これだけ見ると、下がる気配は微塵も感じられない動きが続いています。

●中古マンションの値動きのスピード

新築マンションの場合、値下がりするときも動きはゆっくりしています。企業が売主なので、利益を確保しなければならないという目的があるからです。消費財のように売れないものは在庫一掃セールなどで処分し、新しい売れ筋商品と入れ替えるという策が採れますが、マンションはそうも行きません。

これに対し、個人所有の中古マンションは事情が異なります。勿論、個人も5000万円で買ったマンションを5000万円以上で売りたいと考える人は多いはずです。最近は5000万円で買ったマンションを6000万円で売ったなどという事例が多数見られます。

これは、先に述べた価格決定の3要素が絡んだ結果であり、無論その逆になることもあるのです。

中古マンションの価格が下がる局面では、どのような動きになるでしょうか?新築マンションのように下げ渋るのでしょうか? そうはならないのです。タイトルでお分かりの通り、中古マンションの値動きは新築マンションに比べて早いものです。理由はこうです。

中古マンションを売却する人は投資家を除けば、買い替えのための資金の一部に充てるものです。買い替え先の代金支払い期限が迫っていますし、基本的にダブルローンを組むこともできないので、スムーズに売却できないと困るわけです。

中古マンションをお探しの相談者からの情報では、稀に引き渡し時期が1年後という例があります。何故1年後かというと、その時が買い替え先・新築マンションの完成時期なのです。中古を探している人で、引き渡しが1年後で結構ですなどという人は聞いたこともないので、取引は成立しないはずですが、売り手もそのことを知っていて敢えて売り出しているというのです。

理由は明白です。我が家の売却を早く確定させたいのです。

こうした売り手心理も、実際にはあまり奏功しないようで、半年くらい前から売却活動を開始しても、買い手が中々決まらず、期限は着実に近づいて行きます。仕方ないので、価格を下げます。仲介業者も媒介契約の期限3か月を前に価格の引下げを勧めて来ます。

中古から中古への買い替えの場合は、自宅が売れないので引き渡しを先延ばししてという交渉もできません。買い替え先が新築なら、多少の無理は通りますが、個人所有の中古の場合は相手をひどく困らせることになるからです。

今はまだ中古価格が下げに転じる気配は見えませんが、下がり出すと一気に下げに変わる可能性があります。筆者の知る範囲では、少なくとも強気一辺倒に見えた中古マンションの売主が売り出し価格を下げている例が多数出て来たからです。

売れないので、少しだけ値下げしたという事例は山ほどあるのです。半年売れないので、さらに下げ、最終的に買い手の要求に応じて当初の売り出し価格から10%下げて成約などという例もチラホラ出ているようです。中古の値下がりは早いかもしれません。

ただ、本音を言えば確証を持てないのです。新築が下がらないこと、新築の販売戸数が少ないことが中古価格を下支えしているとも考えるからです。引き続き、注視して行こうと思います。



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ブランドマンションの安心感・中古マンションの安心感 [マンション購入アドバイス]

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マンションという商品を買うにあたり、品質を心配する人は少なくないと思います。一般の耐久消費財(家具や家電)と違って、見た目だけでは品質への安心感を持ちにくいためです。

ガスコンロや風呂、トイレ、洗面台、エアコン、床暖房といった住設機器は新築なら家電製品と同じようなもので、メーカーの保証が付くので万一の場合も困るようなことはあるまいと思うことでしょう。

しかし、コンクリートはどうなのか。地震に強いか?液状化が起こったら?耐久性はどうか?雨漏りしたら? バルコニーや壁にひび割れができたら?

隣の家から音漏れがする、上階の居住者がうるさいといった現アパートの不愉快さが分譲マンションでは起こらないのか、管理費や修繕積立金の値上げで苦しむことはないのか。

中古マンションの場合では、保証が何もないケースが少なくありません。また、古いマンションほど耐久性や耐震性に不安を感じても不思議ではありません。

このような疑問や心配は、個人差があるとはいえ購入者の多くが購入時に悩みますが、どうにかして不安と疑問を克服しています。みなさん、一体どのようにして品質に関して不安と疑問を消し去っているのでしょうか。


●新築マンションの安心感はブランド力から得る

新築マンションの場合、その多くが未完成の状態で売買契約が結ばれて行きます。モデルルームとパンフレットと模型・CG映像などから購入する部屋をイメージして買うわけです。

そのイメージと完成後の実物との間にギャップがあったとしても、購入を止めてしまいたいほどの差異を感じるケースは多くありません。

分譲主は、様々な方法・ツールを用いてイメージギャップを埋めつつ安心感を買い手にもってもらうべく販売努力を行うのです。

その努力の中には、売り手の信用度やブランドイメージという、長年積み重ねて来たものもあります。過去の実績と経験の長さが信用とブランド価値を高め、販売ツールと営業員の懇切丁寧な説明をもって安心感を買い手に植え付けていくのです。

納得と安心感がなければ買い手は購入という決断に踏み切れません。住宅ローンの返済を35年も続けて行くことの不安や通勤など場所に関するものは別問題ですが、少なくとも建物品質に関しては売主の信用力・ブランドなどによって担保されます。


●中古マンションの安心感は何から?
これに対して中古マンションを購入するときの安心感はどこからもたらされるのでしょうか?

新築マンションと異なり、建物を想像して買うことはありません。出来上がったものを、手に取って買うことができるのですから。

しかし、中古マンションの販売資料を見ると、新築のように整備されていないケースが多いのに驚かされます。仲介業者に依頼すれば、大抵のものは取り寄せてくれますが、存在しないものもあります。また、頼まなければ何も出て来ないのです。初めての買い手は何を質問すればよいかも分からないのに、何と不親切なことでしょう。

また、聞いても的確な答えが返って来ないことも多いようです。新築の営業マンは特定の物件のエキスパートなので商品知識は万全ですが、仲介業者の場合は複数の物件を一人で担当するためという営業体制の差もあるのですが、頼りない感じがして仕方ないと語る買い手も多いようです。

営業マンに言わせると「中古取引は見たままですから」だそうで、「眺望も室内の広さも設備の状態も、また共用部もみんな見えるでしょ。内覧で全部分かるはずですよ」と。
こんな乱暴な本音を聞いてしまうと筆者なら怒ってしまいそうです。

賢明な読者は違うと思いますが、それでも中古マンションの場合、見るだけで安心してしまうようです。清掃が行き届いていれば「管理状態が良さそうだ」となり、室内が綺麗であったり、眺望が良かったりすると「すぐにでも住みたい」となり、「耐久性・耐震性」などには関心を払いません。

見た目が良ければ、結露の問題が見逃され、直貼りの床構造も気づかない人もあります。
築30年を優に超えているのに、地震は大丈夫か、あと何年住めるかに不安を覚えない人も少なくないのです。

何故でしょうか?ブランドでしょうか?それも一部にありますが、そうではないのです。

そこに30年以上もどっかりと立ち続けていたという事実、そこに長年、人が住み生活を営んで来たという事実、それが安心感を生むのです。築40年を超えた旧耐震基準の建物であっても、そこを気にせず「安さ」に惹かれて買ってしまう人も大勢います。

不安を感じない理由は、建物のキャリアにあるのだと思います。


●新築マンションの品質で気を付けることはあるか?

品質の差はあっても、暮らしを不快な気分にさせるほどの粗悪なマンションはないと言って過言ではありません。規格型の大量生産品であっても、住み心地が著しく良くないというマンションは少ないものです。

モデルルームと断面図で確認し、かつ住宅性能評価書でグレードを確認して中級品と知って、またノンブランドと知って納得づくで購入したとすれば、完成したマンションに不満も不安もないでしょう。

しかし、それでも気を付けたい部分があります。図面を見慣れていない人は見落とす箇所があるからです。

このブログで何度か指摘した項目ですが、例えば、3基あった方がよいエレベーターを2基に減らしているとか、ラウンジやロビーを狭くしてその分の面積を住戸に充てて価格をわずかでも下げるといったコストダウンマンションもあるのです。

つまり、利便性・居住性に支障がない程度に品質を落とす、豪華さや贅沢を排除する、素材や設備を高級品から中級品にするといった方法が主体ではあるのですが・・・具体的には、本ブログで人気の高い記事でもある「アルコーブのないマンションに注意」と「15階建てマンションに注意」、そして「直床構造の何が問題?」などで指摘した問題マンションです。

他にも、ホームページやパンフレットでは見えない、または見落してしまいそうなところでコストダウンを図った例も少なくありません。

例えば、「タイル貼りと謳いながら、張る面積は最小限である」などが最たるものです。他にも、「排水管の遮音性に配慮」と書きながら、専門家が見ればC級グレードの対策に過ぎないといった例もあります。

万全を期すなら、チェック項目は少なくありません。


●中古マンションで気を付けること

中古マンションでも新築同様に、目に見えない部分を調べることが大事ですが、目に見えるものの中では、管理の良し悪しが一番重要なチェックポイントです。

しかしながら、管理の良し悪しは、ぱっと見て分かるようなことでもないので、少し説明を加えます。

◆「整理・整頓・清掃状態」はどうか?
多言を要しない問題ですが、床が綺麗に磨かれているというだけでなく、集合郵便受けの周囲にごみが落ちていないか、ゴミステーションはきちんと分別され整頓ができているか、自転車が指定通りに置かれているか、植栽周りの落ち葉などが片付いているか、掲示板の張り紙がめくれていたりしていないかといった点検は内覧時でも可能です。

◆「管理費の滞納」はないか?
管理費を滞納する人には、のっぴきならない事情があると考えられますが、ルールはルールなので納めてもらうことが不可欠です。
管理費の滞納者が多ければ多いほど管理費が不足し、日常管理はおぼつかなくなります。管理会社は、清掃回数を少なくするなどの対策を提案して来ることでしょう。

その提案に管理組合が従わなければ、他の方法で管理費用の節減を図ることとなります。その内容次第では、長い間に資産価値の下落につながらないとも限らないのです。

◆「賃貸比率」が高くないか?
国土交通省の2012年調査によれば、賃貸比率0%のマンションは約10%、20%以下は約18%、20%以上が約60%もあるのだそうです。

一方、管理組合が抱えるトラブルの第1位は、①「居住者間の行為・マナーをめぐるもの」が55.9%と最も多く、次いで②「建物の不具合に係るもの」が31.0%、③「費用負担に係るものが28.0%」となっています。

「賃貸比率の高さ」と「居住者間の行為・マナーをめぐるトラブル」との関連は同調査にはないのですが、想像に難くありません。

◆「大規模修繕の履歴」をチェックしましょう
仲介業者に頼んで管理会社から「修繕履歴」を取り寄せましょう。小修繕から大規模修繕まで、できるだけ細部に渡っての記録を欲しいと言ってみましょう。それが何を意味するかはお分かりいただけることと思います。

◆「修繕積立金の残高」もチェックを
積立金残高が潤沢にあれば、着実に必要な改修工事を実行できるわけですが、潤沢かどうかの判断は簡単ではありません。過去に何もしなかったために多額に残ったのかもしれないからです。

大事なことは、適切な時期に適切な修繕を実施して来たかどうかにあります。工事履歴のチェックの方が大事です。しかし、その上で潤沢な残高があるとすれば、良い管理を成し得ることは確かです。

・・・・・より詳細は2016/7/20の記事「中古マンション見学。管理状態はこうしてチェックする」をご高覧いただきたいと思います。


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同一エリアに3000戸もの大量供給。将来、売り物多数で値崩れしないか? [マンション市場]

 このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。


標題のご質問をときどき頂きます。新築マンションの供給が減っている時ですが、特殊な集中エリアもあるためのようです。

例えば、都区内では月島や勝どきといった中央区の湾岸エリア、品川シーサイド駅や天王洲アイル駅、国際展示場駅といった品川区、港区、江東区などの湾岸エリア、川崎市の武蔵小杉エリアなどでしょうか?

筆者の答えは、「ご心配は無用」です。

沢山のマンションがあれば、中古物件の流通も増える、市場に多数出回れば価格競争が起こって値崩れする。理に適ったご心配ですが、現実はそんなことになりません。売りに出す人の心理や動機から考えてみましょう。

 「中古マンションが急騰していて我が家も随分高く売れそうだ。売るなら今がチャンスだ」。そう言って自宅を直ちに売りに出すでしょうか? 売った後はどうするのでしょうか?子供の学校は?通勤は?同じエリアのマンションは、我が家と値上がりしています。買い替えのメリットはあるでしょうか?

たまたま「転勤になった、丁度いい、愛着のあるマンションだが、この際売って多額の現金を手に入れよう」――このような人もあるでしょうが、そんな人が市場価格を攪乱するほど多数重なる可能性は低いはずです。

 同じようなライフステージにある所有者が多ければ、子供の成長とともに住み替え時期が重なることもあるかもしれませんが、一斉に売り出されることは考えにくいものです。

 もちろん、転居者が多い時期やマンション売買が急増するシーズンというのがあることは確かですが、その時期は売る人も多いかわりに買いたい人も多いことを意味します。

 しかも、特定の地域だけに集中して起こるわけではないはずです。人口が多い地域では、それなりの沢山の売買が行われます。高齢化によって取引が活発でないエリアもあるでしょうが、新築マンションが大量供給されるエリアは、人口流入が多いわけですし、商業施設も増えて活気ある街になっているか、そうなる期待を抱かせる街です。

そのような街では、マンション需要も多いので、売りに出される数が多かったとしても問題はありません。

ただし、100戸のマンションから売りに出る数より1000戸のマンションから売り出される数は多くなるものです。従って、同一マンション内での競争と同一エリア内の競争は起こります。その意味では、できるだけ競争力の高い物件(住戸)を選択することは必要です。

 しかし、極端な悪条件を抱えている物件でなければ、市場原理に従って売買は成立します。つまり、買い叩かれてしまうことはありません。

 東京の場合、買い手は地元の狭い区域のみで探すということはなく、広域に探す傾向があります。従って、広域の中で需給がバランスしていればよいのです。

最近は、新築の供給が大幅に減っている関係で、例えば10年後あたりを展望すると、築浅中古が市場に少ない状況を迎えるはずです。その意味でも、全体的に中古マンションの価格が落ち込む確率は低いのです。数字を見ましょう。

 
  首都圏の新築マンション年間供給戸数の推移をみると、最近数年は10年前と比べると半減しています。23区も同様で、40%近くも減りました。

2004年、2005年、この頃は35,000戸ほどが供給されました。
(39,147戸・31,025戸)
最近は、22,000戸程度に減っています。
(2012年:19,398戸、2013年:28,340戸、2014年:20,774戸、2015年:18,472戸)

これは、次の10年後に築浅マンションの流通戸数が非常に少ない状況を予想させるデータです。

 どうしてこんなに減ってしまったのでしょうか? 理由は二つと考えられています。

ひとつは、中小デベロッパーの減少です。つまり、作り手がいなくなったのです。

2008年秋に起きた「リーマンショック」は世界金融危機と世界同時不況を招きました。日本も例外ではなく、百年に一度の不景気が来るとの危機感が広がり、とりわけ金融機関はバブル崩壊の過程で巨額の不良債権を抱えてしまった経験から、守りの姿勢を強めました。その影響を最も強く受けたのが、負債比率の高い中小マンション業者とゼネコンでした。

マンション供給戸数で一度は大手「大京」を抜いて全国一位になったA社を筆頭に個性派のマンション業者が、株式上場企業も含めて銀行から資金を止められ、多数倒産してしまいました。

大手は大規模マンションを、中小は大手が手を出さないエリアと中規模以下のマンションをと、住み分けしていた業界でしたが、その構図が崩れ、中小業者の分がごっそりと減ったのです。

理由の二番目は、用地の取得ができなくっていることです。

良い土地が中々ないと嘆きながらも用地を確保し、マンション供給を続けていた業者に強い順風が吹いた時期がありました。

バブル崩壊後の地価下落過程で、法人・団体は一斉に土地を放出し出したのです。それまでは一度取得したら手放さないで抱え込むことが含み経営のメリットであり根幹をなすものでしたが、右肩上がりの土地神話が崩壊し、並行して会計基準が国際化されたことなどによって、方針転換する企業が続出しました。

社宅、グラウンド、工場、倉庫、資材置き場、廃校や移転で空いた学校など、マンション業者にとって垂涎の土地が次々と売り出され、マンション業者の手に渡りました。その結果、バブル期には殆んど途絶えていた(※)と言って過言でない新築マンションが息を吹き返したように急速に開発され、市場に送り出されたのです。

(※1991年の首都圏全体の新規発売戸数は、20数年ぶりの低水準だった2016年の戸数35,772戸すらも下回る26,248戸と極端な数だった)

2000年からリーマンショック前年の2007年までの年間供給戸数は、平均80,000戸を超えることとなりました。首都圏の年間需要は50,000戸くらいと言われていましたが、バブル期の供給不足がウエイティング需要を蓄積させていたことによって爆発的な売れ行きをもたらしたのです。

ところが、その後はマンション用地の取得が極端に減少しました。企業のリストラ(土地の置き換え・単純放出)が一巡してしまったのです。特に大規模敷地は湾岸エリアに限られてしまったかのようです。地価の高騰もあって、2007年以降の供給戸数は減少トレンドとなったのです。

供給が減っても、需要も減ればバランスするわけですが、最近数年の40,000戸前後の供給戸数に対して需要はどのくらいあるのでしょうか?

この答えとなる適切なデータは見当たりません。しかし、市場実感として言えるのは、50,000以上はあるということです。

超長期で見れば、人口の減少が住宅需要の減少をもたらすことは間違いないですが、首都圏、とりわけ東京都区部は減少スピードが遅いと考えられています。最近も全国の傾向と逆の人口増加傾向にあります。

こうした背景を見ながら考察して行くと、向こう10年程度で需要が2割も3割も減ってしまうことはないでしょう。しばらくは50,000戸程度の新築需要はあると見てよいのです。まあ、減っても40,000戸くらいは維持できるはずです。

そんなマクロ市場とは別に、都区部・都心などという特定エリアになると需要は底堅く、むしろ増えると見てもよいかもしれません。
 需要が供給を上回る状況になれば、どんな中古物件でも底上げされる期待が持てることになります。

あとは、物件固有の条件格差ということになるわけです。いかに競争力の高い物件を手にするか、この一点に検討課題を絞っておけばタイトルの「供給過剰問題」は心配無用なのです。

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旧耐震マンションの救世主現る [中古マンション]

このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています


2017年4月26日の報道によれば、東京都は旧耐震基準のマンション(単純には1981年5月以前に着工されたマンション)の建て替えを促進する究極の策を打ち出したようです。その策の内容は後述するとして、先ず旧耐震基準のマンションの問題点を整理しておきましょう。

勉強熱心な読者はご存知のことと思いますが、マンションの建て替えはとても難しく、これまで実現にこぎつけられたのは全国で230件足らず、そのほとんどが旧住宅公団と公社(各地の住宅供給公社)が分譲したもので、民間マンションの建て替え例は多くありません。

参考までに、最近の有名マンションを拾ってみると、次のようなものが見られます。

◆桜上水ガーデンズ:1965年(昭和40年)竣工の桜上水団地(日本住宅公団の分譲マンション)404戸が2015年(平成27年)8月、878戸の分譲マンションとして生まれ変わったのです。建て替えマンションの竣工から50年後でした。

◆Brillia多摩ニュータウン:1971年(昭和46年)に入居が始まった多摩ニュータウンで最も古い建物のひとつ「諏訪2丁目住宅640戸」が1249戸のマンションに生まれ変わり2013年(平成25年)10月竣工しました。建て替えマンションの竣工から42年後でした。

◆プラウドシティ阿佐ヶ谷:1958年(昭和33年)竣工の旧公団住宅350戸が、580戸のマンションに生まれ変わり2016年(平成28年)に竣工しました。建て替えマンションの竣工から58年後でした。


●建て替えの必要が起こる原因

上記3例は建て替えで生まれ変わるまでの時間は短いもので42年、長いものが58年でした。解体されるまでなら、40年~55年くらいでしょうし、建て替えの必要性を感じたのは、30年~45年くらいと短いと推察できます。

どうしてこんなに早いのでしょうか?もともと寿命の短いマンションだったのでしょうか?

その答えはともかく、桜上水団地の場合では、➀エレベーターのない4~5階建のため、高齢者の居住継続が困難になると予想された、②建物及び給排水設備の老朽化(漏水・ガス漏れ事故の頻発)、③防災(耐震性など)や防犯に対する不安、④居住性の改善(天井高さ、遮音・断熱性能等)などが理由として挙がっていたそうです。

同団地は、竣工から僅か20年で「建て替え」を念頭に動き始めたようです。建て替え完了までの経緯を調べてみました。

●建て替えの難しさ
桜上水団地の場合

平成元年 6月 「桜上水団地の将来を考える会」発足
平成6年 10月 「桜上水団地の将来計画推進委員会」設置
平成10年 7月 「建替基本計画委員会」発足
平成11年 6月 ㈱日建設計を事業コンサルタントに選定
平成13年 6月 「建替検討委員会」設置
平成14年 5月 野村不動産㈱・三井不動産㈱を事業協力企業に選定・二社の要請により、㈱大林組・清水建設㈱が参加
平成18年 4月 建替え決議不成立 (同意率:全体4/5達成、各棟2/3未達成)
平成19年 12月 建替え決議不成立 (同上)
平成21年 9月 一括建替え決議成立
平成22年 7月 建替組合設立認可
平成25年 6月 解体工事着工
平成25年 9月 本体工事着工
平成27年 8月 竣工

平成6年の「将来計画推進委員」の設置から、建て替え決議が成立するまで14年を要しています。そして建て替え工事が完了するまでは27年の長い時間を経過していたことになります。

分譲マンションの場合、地権者が多数にのぼるため、協議が整うまで長い時間がかかることが多く、他の事例も10年、15年という時間を要しています。

マンションの建て替えが難しいのは、合意形成の壁が高いことです。


●旧耐震基準マンションの危険度

建て替えの必要性は、上記4つのどれかに該当するに違いありませんが、中でも耐震性能に関する不安が一番の問題と考えられます。そもそも1981年以前のマンションは建築基準法に定めた耐震基準が現基準より低いのです。

旧・耐震基準のマンションに住む人たちは、巨大地震が来たときの不安を抱えているはずです。古いマンションの全てで耐震性能が劣っているわけではないはずですが、どの程度の耐震性があるかは専門機関に「診断」を依頼してみるほかありません。「多分大丈夫だろう」では不安は消えません。

ところが、診断すら行っていないマンションが全国で70%もあるのだそうです(国土交通省調べ)。

東京都も独自に「マンション実態調査」と称するアンケート調査を実施しました。
アンケートは震災の余韻がまだ覚めない2011年8月で、実際のアンケート回答率は25.6%でした。
アンケートに回答したマンションのうち旧耐震基準の分譲マンションからは2322棟から回答があったそうで、耐震診断の実施状況を見ると、実施済が17.1%、実に残り82.9%が未実施と分かりました。

未実施の82.9%の物件について耐震診断の検討状況を確認すると、「今後実施予定」のマンションが11.7%。「検討中」が29.5%、そして「検討していない」が58.9%だったのです

8割以上のマンションで耐震診断すら行っていない。しかも、あのような震災があった直後に、耐震診断すら行っていない・あるいは行わないとしたマンションが多数を占めるという実態がこの調査によって明らかになりました。

何故、診断を受けないのでしょうか? 巨大地震が来てからでは遅いのです。危機感が薄いのでしょうか? 


●耐震性能を知るのが怖い所有者たち

実はそうでなく、診断結果を知るのが怖いのです。

ちなみに、実際に耐震診断を行った物件の結果を見ると震度6〜7程度の規模の地震がきたときに「倒壊の可能性がある」と診断されたマンションが約40%、「倒壊する可能性が高い」と診断されたマンションが約20%あり、調査したマンションのうち過半数にあたる約60%のマンションでは「耐震補強の必要あり」という結果が出ているとの情報があります。

やはり旧耐震基準のマンションで耐震診断を行った場合、大半の物件で強度不足という調査結果が出るようです。

耐震診断には数百万円の費用がかかります。

数百万円かけて耐震診断を行った結果、もし性能不足という判定が出たならば、そこで耐震改修工事を行わなくてはなりません。

しかし、その工事はどのような内容になり、費用はどのくらいになるかが全く想定できないのです。数千万円かける大工事になるかもしれません。

その費用の捻出に困ることになるでしょう。一般のマンションの積立金では数千万単位の補強工事を行うことは、現実的には不可能に近いものです。

しかも、すでに居住中のマンションですから、当然工事中の住環境は悪化します。窓に補強用の筋交いを入れた不細工な公共建物をご覧になったことがあると思いますが、窓が半分ふさがれた格好です。

あのような工事になるかどうか、それすらも分かりませんが、果たしてその工事を実施するのが適切な事かどうかすら疑問が生じます。さらに、可能性としては「補強工事自体が不可能」のケースもあり得ます。

抜本的な補強が必要だという結論、つまり、解体して建て替えるしか方法はないかもしれません。

つまり、数百万円かけて耐震診断はできても、その先の「耐震工事」が費用負担の問題で頓挫する可能性が高いのです。

また、耐震診断を行った場合、売買時に交付される重要事項説明書に「耐震診断実施済み」である旨を明記しなければなりません。さらに、「耐震補強工事が必要」と記載する法的義務が生じるのです。耐震診断を行ってしまうと、診断はしなかったことにはできないのです。

重要事項説明書に耐震補強工事を要すると明記されてしまったマンションを買う人はいないでしょう。そうなれば、価格は極端なレベルまで下がってしまうかもしれませんん。耐震診断自体を行わなければ、目に見える資産価値の低下は発生せず、工事費用も全く発生しないわけですから、耐震診断を行わないでおこうと判断するマンションが多いわけが分かろうというものです。


●東京都の建て替え促進策とは

長くなりましたが、東京都が発表した「建て替え促進策」とは、一定の条件を満たせば容積率を割り増ししてあげますというものです。

都が対象地区を指定。指定地区内の旧耐震マンションは、周辺の住宅などとの共同建て替えを条件に容積率の上限の緩和を受けられる。集約する敷地数などに応じて、割増容積率を算定する・・・というものです。

建て替えしやすくする条件緩和策によってサポートするというわけです。容積率の緩和とは、敷地面積の200%の建物を建ててよいとする容積率200%区域の中に建つ旧耐震基準マンションの敷地を、例えば容積率400%まで増やしてくれるというわけです。

100戸のマンションが200戸に増やすことになるので、100戸分を販売すれば多額の資金が生まれます。その金で建て替え費用を捻出できる理屈です。

先に紹介した建て替え実例は、もともと容積率に余裕があったのです。つまり、200%の容積率の土地に150%程度しか建物を建てていなかったので、最初から50%分の余裕があったうえ、様々な開発手法を絡めることでプラスの容積を生み出し、結果的に150%の建物が300%の建物に生まれ変わっているのです。建て替え前の戸数と建て替え後の戸数の差がそれを表しています。

容積率に余裕がある建物は公団・公社のマンションに多く、民間マンションには容積率の余裕が殆んどありません。建て替えが進まない最大の原因はここにあるのです。

50戸のマンションを50戸のまま単に建て替えるというのでは、各オーナーの建築費用の負担が大きく、合意形成は不可能と言って過言でありません。

容積率の割り増し策は目新しいものではありません。再開発プロジェクトでは、公開空地を設けるなどの条件付きで容積ボーナスを事業者に提供しています。容積率は、建蔽率とともに、都市計画上の必須アイテムで、地区ごとに線引きをして決められています。

今回の策は、都市防災の観点から旧耐震建物の性能強化が進まない現状(ちなみに、公共施設や百貨店やホテルなど不特定多数の人が集まる大規模施設に耐震診断を義務付けていますが、私有財産である分譲マンションは義務化されていません)を打破するために苦肉の策として登場したものと考えられるのです。


●資金が要らないというなら話に乗るよと

資金がなくても建て替えられるとしても、解体費を含む工事費の支払い条件や工事期間中の仮住まいの費用など先行する資金をどう調達すればいいのか、第一、販売をどのようにすればいいのかなど、素人には難しいことばかりです。

そこでデベロッパーを協力企業として担ぎ出す必要があります。デベロッパーとしても、土地代を寝かすことなく事業用地を確保できるので、渡りに船のような話です。

マンション用地は交通、環境、広さなどの要件が難しく、簡単に入手できるものではありません。このため争奪戦は激しく、デベロッパー各社は日ごろから条件の良い土地を何とか無競争で入手できるよう努力を続けています。

先述のとおり、建て替えプロジェクトは短時日に走り出せるものではないのですが、早い段階から参画しておけば、確実にものにできると考えるのでしょう、大手デベロッパーは横並びで今日も取り組んでいるはずです。

ともかく、建て替えを希望するマンション管理組合はデベロッパーを指名し、資金から何から依存して行くわけです。逆に言えば、資金を出してくれる企業があるからこそ、建て替え計画が進むとも言えるわけです。

建て替え希望のマンション管理組合とマンションデベロッパーは「持ちつ持たれつ」の関係になるわけですが、鍵を握るのはプラスの容積率です。


●デベロッパーがメリットを感じる緩和策

用地不足がデベロッパーの事業意欲を萎えさせていると聞きました。

人口減少が予期され、空家問題が日常的な論議となる中、新築住宅の建設はもはや必要ないなどという暴論まで飛び出す昨今、新築マンションの開発より中古(ストック)ビジネスが主力にすると発言するデベロッパーも増えています。

すなわち、リフォーム・リノベーション事業、管理受託事業、仲介業、建て替え事業に力を入れると方針転換したデベロッパーが目立つようになって来ました。

しかし、新築マンションの需要がなくなったわけではありません。東京圏には、先行きも一定量の需要ボリュームが存在することをデベロッパーも感じ取っています。然るに方針転換したかのごとくストックビジネスを標榜するのは、実は用地難という壁にぶつかっているためです。

たまに良い土地が売りに出ても入札で競り負けることが多く、購入できても採算ラインを超える高値になってしまうことが多い。また、確実に取得できる土地があっても、あまり積極的に取り組みたいと思わない交通条件の良くない土地であったりもします。

容積率緩和によって古いマンションの建て替えが進むことになれば、デベロッパーにとっては、それこそ宝の山を掘りあてることになるのかもしれません。

築40年を超えるマンションは都内で3700棟もあるのです。これが全て東京都の指定地域に入るかは分かりませんが、デベロッパー各社がシェアしながら案件に取り組むことができるかもしれません。

スタートまでには多少時間はかかりますが、回り出せば、次々と建て替え案件が実現するかもしれません。

また、過去の建て替え案件は、建築内容(プランニング)に優れたものが多いこと、古いマンションは大体において好立地であるものが多いことなどに鑑みると、優良マンションが多数供給できるのではないか。そんな期待も膨らむのです。

都の策は、耐震性能で劣る古いマンションの救世主というだけでなく、デベロッパー用地難を救う一石二鳥の策になるかもしれません。


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 評価項目:①立地条件(最寄駅までの距離・都心へのアクセス・生活利便性)②全体計画(配棟計画・駐車場・空間利用計画・共用施設・外観デザイン・セキュリティ)  ③建物の基本構造(耐震性・耐久性・遮音性能・将来の更新性) ④管理内容(管理体制・管理費・修繕積立金・管理会社) ⑤専有部分の計画(間取り・設備・仕様)⑥売主 ⑦施工会社
・・・・これらの項目を5段階評価(新築の場合)した後に、価格の妥当性を含め 総合的にコメントをつけて「マンション評価レポート」として、メールでお届けしています。どうぞご利用ください。
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