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第582回 「2022年の生産緑地の宅地化でマンション用地は増えるか?」 [マンション市場]


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生産緑地として指定され、固定資産税などの優遇措置を受けている都市農地が、2022年に期限切れを迎えると、一斉に売却に動く地主が現れ、地価は暴落する。こんな論調の週刊誌やインターネットの記事が出ているためか、「どう思いますか」という質問をときどき受けるようになったので、今日は生産緑地の宅地化とマンション価格の関係について述べようと思います。


●生産緑地とは?

1974年に公布された生産緑地法では、市街化区域内の宅地化を促す目的で大都市圏の一部自治体では農地の「宅地並み課税」が行われ、これにより都市近郊の農地は宅地化が進むことになりました。

その後、1992年の生産緑地法改正により市街化区域内の農地は、保全する「生産緑地」と、宅地などに転用される農地に区分されました。

自治体が指定した土地については、固定資産税は農地なみに軽減され、また相続税の納税猶予が受けられる「生産緑地制度」が適用されたのです。生産緑地とは、生産緑地法に基づき、市街化区域内の土地のうち、一定の要件を満たす土地の指定制度(生産緑地地区制度)に沿って、管轄自治体より指定された土地ことです。言い換えると、生産緑地とは、都市計画で保全することを決定した大都市圏における市街化区域内の農地のことです。

生産緑地はもともと三大都市圏の市街化区域を念頭に定められた規定のため、「都市農地」と表されることもあります。指定地区数、面積とも東京都が最も多く、国土交通省がまとめた資料によれば、全国合計のうち地区数の約5分の1、面積の約4分の1が東京都にあるのだそうです。また、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府の6都府県で全体のおよそ8割を占めるようです。

東京の場合、大半は市部にあります。23区は約13%、千代田区や中央区のような「生産緑地」が全くない区もあります。比較的多いのは、江戸川区、練馬区、世田谷区の3区です。

生産緑地に指定されるには、次のような要件を満たすことが必須です。
①農林漁業などの生産活動が営まれていること、または公園など公共施設の用地に適していること。 ⓶面積が 500㎡以上であること ③農林漁業の継続が可能であること(日照等の条件が営農に適している等)。

生産緑地の指定を受けると、農地としての維持管理を求められ、建築物を建てるなどの営農以外の行為が制限され、また農地以外としての転売はできなくなります。一方、それ以外の農地は、宅地並みの固定資産税を課せられることになったのです。

宅地並みの課税をされた農地は、売却へ動くことになり、地価の高い区域では農地が次第に減少し、住宅・マンション等の建設が進みましたが、営農を決断した農家は「生産緑地」として今日も耕作を続けているというわけです。

●生産緑地の指定解除

法は、「以下のいずれかに該当する場合に市区町村の農業委員会に買取り申し出を行い、市区町村が買収せず、農業経営者への買取りあっせんを経て生産緑地として買収する者がいない場合には生産緑地の指定が解除される」と定めています。

①生産緑地の指定後30年経過。②土地所有者または主たる従事者の疾病・障害等により農業等の継続が困難な場合。③土地所有者の死亡により相続した者が農業等を営まない場合。

このうち、報道が過熱しているのが、「生産緑地の指定から30年経過したとき」です。

所有者が死亡または農業従事できなくなった場合に、所有者は市町村に対し買い取りの申出を行うことができ、市町村は特別な事情がない限り、時価で買い取らなければならないのです。

しかし、財政負担が難しいという事情から、これまでに申出を受けて市町村が買い取るケースはほとんど無かったと言います。市町村が買い取らない場合、及び市町村の斡旋によっても生産緑地として買う者がいない場合は、この生産緑地指定が解除されます。

1992年に最初の指定を受けて30年が経過する2022年以降、一斉に買い取りの申出が行われたても、大部分が買い取られず、その結果、生産緑地の指定が解除されて宅地化が進む、その可能性が非常に高いと見込まれています。

これまで、相続が発生したとき相続人が農業を継続しないことから生産緑地が解除されると、固定資産税が一気に跳ね上がる為に相続人は維持できず、売却や有効活用を選択してきました。

有効活用とはアパート建築が典型的な策でした。アパートを建てれば、固定資産税は農地ほどではないものの、大きく軽減されるからです。

●2022年問題に乗じるアパート建設業者

今、建設会社が2022年問題というセミナーを各地で盛んに催しているようです。

建設会社は生産緑地指定解除を絶好の商機として賃貸住宅の販売先として生産緑地所有者を虎視眈々と狙っているのです。

生産緑地にマンションやアパートが建設されれば、建設戸数は飛躍的に増加します。賃貸住宅の建設戸数が大幅に増えるとどうなるのでしょうか?

空き家が社会問題として大きくクローズアップされている昨今、建設業者の提案にやすやすと乗せられる農家が大量発生するとも思えません。

生産緑地の大半が「一気に」放出され、そのぶん空き家が大量発生するという論調も多く見受けられますが、必ずしもそうはならないはずです。

●営農継続か売却かの選択

 これまで、相続が発生したときに「生産緑地」の継続を選択したケースはどのくらいあったか知りませんが、多くはなかったことは間違いありません。

生産緑地とすることによって、相続税評価額も非常に低廉になり、納税猶予制度の適用を受けることが出来ますし、固定資産税も今まで通り少ないままで良いというメリットがある反面、デメリットとしては、生産緑地を相続したら終身営農が義務付けられ、万が一途中で農業をやめてしまうと、相続当時の相続税納税額を3.6%の利息を付けて払わなければなりません。

そのことを懸念して、売却という選択をした場合でも、これまでは一斉に相続が発生するわけではないので、大量に売り出されたこともなく、売り出される都度、建売業者などが競い合うように購入して行きました。

しかし、2022年には相続の発生とは無関係に生産緑地の解除によって一斉に大量の土地が市場に出まわることになるかもしれません。その土地を買うのは、建売業者と考えられます。しかし、住宅立地としてふさわしくない農地も多いので、買い手がつかずに、叩き売りになる事も考えられます。

●マンション用地に限定して考えてみる

1992年以降、減り続けて来た農地ですが、売却に回った農地は、駅に至近の価格の高いものが中心でした。早い段階で換金されていたのです。今、残っている生産緑地は駅から徒歩10分以上、遠い地域ではバスでも15分かかる場所ばかりと言われます。

従って、マンション用地として提供される可能性は低いと思います。世田谷区には何故か徒歩10分圏内で小型マンション建設に丁度いいと思える生産緑地が散在していますが、無数にあるわけではありません。

駅から徒歩10分を超えると、人気の高い世田谷区でもマンション販売はとたんに厳しくなるので、手を出すデベロッパーは多くないと見ます。また、大型マンション建設が可能な広い生産緑地は殆どないと思います。

駅に遠い、規模も小さいとなれば、購入するのは建売業者やアパート建設業者が中心になるでしょう。

しかし、既にアパートは供給過多と言われていることから、建売業者が安く買い叩いて事業用地にするケースが多くなるのではないかと思います。その結果、地価動向に影響を与える(下落する)のは必至と考えるのが自然です。

そのおかげで、マンション用地も下落して買いやすくなればマンションデベロッパーは喜ぶでしょうが、そもそも適地が少ないので、結局は競いあって地価を吊り上げてしまうのではないか。筆者は、そんな予想を立てています。

飛躍しますが、1住宅当たりの敷;地が広くて価格が安い建売住宅が増えれば、マンション市場にも影響を与える可能性は出て来るかもしれません。しかし、マンションを求める階層は駅から遠い建売住宅と競合する確率は低いとも思います

つまり、マンションユーザーにとって、「2022年問題」は期待もできないし、危惧もない問題かなと考えているところです


・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。



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第579回 三菱地所レジデンスの「オイコス」シリーズ誕生の陰で [マンション市場]


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過日、三菱地所レジデンスが、ファミリー向けマンションの設計と施工を得意とする長谷工コーポレーションとコラボレーションした「ザ・パークハウス」の新シリーズ「オイコス」を発表しました。

この新シリーズは、どのような意図で生まれたのでしょうか?経緯はともかく、マンション業界が置かれた苦しい事情が透けて見えて来ます。

時代が求めるニーズに呼応するイノベーティブで、デザイン性の高いマンション。ザ・パークハウスの安全性や品質のもとに、自由度の高い、お客さまにあった自分らしい住まい方を提供していきます・・・同社のHPにはこうあります。

実際に供給された物件は、本日(2017年9月30日)現在、以下の3物件です。

1:「ザ・パークハウス オイコス赤羽志茂」(東京都北区志茂・東京メトロ南北線「志茂」駅より徒歩6分・2019年1月中旬竣工予定・総戸数502戸)~近日発売~

2:「ザ・パークハウス オイコス八潮」(埼玉県八潮市・つくばエクスプレス「八潮」駅から徒歩5分・竣工/2018年2月予定・総戸数/66戸)~先着順受付中~

3:ザ・パークハウス オイコス金沢文庫(横浜市 金沢区泥亀2丁目・京浜急行線「金沢文庫」駅より徒歩7分・2018年11月完成予定・総戸数323戸)~近日発売~

価格は、オイコス赤羽志茂が65.26~84.52㎡で3900万円台~7500万円台となっています。平均坪単価は、推定@250~260万円くらいになるでしょうか?とすると、JR京浜東北線「東十条」駅徒歩5分・東京メトロ南北線「王子神谷」駅徒歩6分の販売中・大規模物件「ザ・ガーデンズ東京王子」の平均@258万円とほぼ同じレベルということになりそうです。

オイコス八潮は、受付中の9戸が62.45~81.68㎡で3498~5028万円、平均坪単価@195万円前後で販売中です。これは、2016年9月発売の「シティテラス八潮493戸(八潮駅より徒歩8分)が@180万円台だったので単純比較だけでも10%ほど高いようです。

オイコス 金沢文庫は、58.11~85.02㎡で3,500万円台~7,500万円台とのこと。平均単価は不明ですが、@250万円くらいでしょうか?金沢文庫の供給事例が最近は極端に少なく、相場は形成されていませんが、推定@200万円前後と見ます。としたら、詳しく調査していないので断定はできないですが、2割くらい高いと感じます。

三菱地所レジデンスの物件は、都心や都心でなくても高級とされる住宅地の高級なマンションというイメージがありましたが、藤和不動産と合体(2011年)してからは郊外も下町も、何でも扱うデベロッパーというイメージに変わってしまいました。

合体を機に、ブランドも「パークハウス」から「ザ・パークハウス」に変わりました。「ザ」が冠されても、別に高級路線の物件というわけでなく、どこで開発したマンションでも、グレードが変わらなくても「ザ・パークハウス」なので、失望感を覚えたものです。(最上位の高級ブランドとして「ザ・パークハウス グラン」はありますが)

つまり、「低額マンション・中級マンション、従来の高級・高額マンション。需要があれば何でもやります」というスタンスになったわけですが、現在販売中の物件(近日発売を含む)を通覧してみると、超都心から準都心、郊外まで、城西、城南、城東、常北、都下(市部)、千葉、埼玉、神奈川と全方位・首都圏広範に亘ります。

ここに新たに加わった新シリーズ「オイコス」は、どのようなものになるのでしょうか?わざわざ「オイコス」というサブネームを付けたのは、ブランド戦略の一環であることは間違いありませんが、商品内容はいかがなものでしょうか?想像してしまうのは、野村不動産「オハナ」シリーズです。

オハナは、外周部で開発。「上質な住まいを魅力的な価格でお届けしています」とHPで謳っています。

オハナシリーズの第1号は確か2012年発売の「平塚」だったと思いますが、現在、「船橋習志野台146戸・価格未定」「オハナ 北習志野241戸・3LDK/2,298万円~」「オハナ 相武台225戸・3LDK/2,500万円台~」、「オハナ 淵野辺ガーデニア516戸・3LDK/2,400万円台~」「オハナ 東川口」「オハナ 蕨錦町129戸・3LDK/2,900万円台~」「オハナ 町田オークコート310戸・3LDK/2,800万円台~」「オハナ 昭島中神(東京都昭島市)価格未定」など多数展開中です。

最低価格は、どれも2000万円台に設定していますね。


オイコスもオハナと同じような中身だろうと連想してしまうのは、両方のシリーズの展開にかかわる設計・施工会社が長谷工コーポレーションだからです。

長谷工コーポレーションは、廉価版マンション・規格型マンションの施工で最も強みを持つゼネコンと言われています。その設計と施工なら、売主が変わっても中身は似たようなものと思うわけです。

商品企画を主導するのは、あくまでデベロッパーであり売主なので、本来ゼネコンは無関係です。商品企画という業務をゼネコン任せにしたのでは、デベロッパーの存在意義はありません。しかしながら、現実はというと、土地を探してくるのも長谷工、基本プランを企画して設計図を持ち込むのも長谷工、施工も長谷工というプロジェクトが多数ありますし、年間の販売物件の90%が長谷工絡みなので、まるで「おんぶにだっこ」と揶揄されているデベロッパーもあるのです。

一般にゼネコンは、デベロッパーの選出した設計事務所によって作られた設計図に基づいて工事費を積算し、同時にライバル・ゼネコンとの競争に勝って初めて工事請負という仕事の受注に至るのですが、稀に再開発などの案件で地権者と密接な関係を築き上げたゼネコンが、そのまま施工を特命で受注できることがあります。

この場合の発注者は、再開発組合から選ばれたデベロッパーが途中からプロジェクトに加わるので、そのデベロッパーとなります。

ゼネコンは、土地所有者から受注します。普通、発注者はマンションデベロッパーです。しかし、デベロッパーは「競争入札」方式で発注先を決めます。いくら銀座で飲み食いしても、見積もり競争に勝たない限りゼネコンは仕事をもらえないのです。

そこで、先に述べた再開発プロジェクトのようにデベロッパーが土地を取得する前から開発予定地を押さえることが必要になります。マンション用地を日々探し続けるデベロッパ―より先回りして土地を買ってしまえば、欲しがるデベロッパーに対し、当該用地を譲る代わりに工事を無競争で(特命で)発注してもらうことができます。

かつて、ゼネコン自ら売主になって分譲した時代がありました。自ら売主になれば「分譲利益」と「工事利益」のダブルで利益を取れると思ったからです。また、ライバル社と工事費の叩き合いをしなくて済みます。

ところが、「餅は餅屋」でした。マンション販売事業のキーになる部分がよく分かっていなかったゼネコンは失敗続きで、とうとう自ら売主になるのはリスクが大き過ぎることを思い知らされるのです。やがて、ゼネコン各社はマンション販売事業から撤退しました。

今でも、たまにゼネコン(施工会社)が自ら売主として販売している物件を見かけますが、これは不本意ながらそうなってしまった特別なケースです。

自ら売主になって事業展開しているゼネコンは、経営破綻し「株式会社大京」の傘下で再建中の穴吹工務店が有名です。見積もり参加しませんかと声がかかるのを待っていたのでは生き残っていけないと、自ら土地を取得して仕事を造り出そうという戦略「造注(ぞうちゅう)」を積極的に展開し、一時は当時日本一の供給戸数を誇った大京を抜いて全国トップに立ったのです。

長谷工も、かつては子会社の長谷工都市開発やファミリーといった企業に土地を買わせ、特命受注で業績を伸ばしたときもあったのですが、「造注」先を子会社から資本関係のない一般デベロッパーだけに特化しました。どういうことかを説明しましょう。

長谷工コーポレーションの強みは、廉価版マンションの建築ノウハウだけではありません。土地を探す能力に優れています。本来プロのはずのデベロッパーより土地を見つけて来るスピードに長けているのです。

見つけた土地をデベロッパーに紹介しつつ工事を受注するだけでなく、時には先に自社で買ってしまう(一時的に抱く)という思い切った策も講じています。

工事がしやすい土地(面積の大きい土地)、単名地主(工場跡地などの法人)に目を付け、そこに工事費が安く上がるプランと予定工事見積、さらには事業採算の計画書(収支計算)、市場調査レポートまでをセットしてデベロッパーに案件を持ち込むのです。筆者は、その場面と計画書一式を過去何度も目にしたものです。

「この土地をお買いください。当社ならこの建築費で建てられますので、分譲価格は〇〇になります。これで販売なされば、市場調査レポートにあるように僅かなリスクで事業は成功裏に終わるはずです」と甘言をささやくのでした。

長谷工コーポレーションは、設計も自社で行うことを前提にしています。そうでなければ工事費を安くすることができないのです。詳細は割愛しますが、工事費を下げる基本は「省力化」と「規格化」、「単純化」、「部材の大量調達」といった方法になります。

窓枠、窓、バスユニット、洗面台、便器、玄関ドア、室内ドア、屋外階段などの部材ひとつひとつの形やサイズ、品質もさることながら、間取りの形まで決めておけば、コストダウンが図れます。さらに、施工手順や工程の管理によってもコストダウンは大きく変わります。

長谷工コーポレーションの設計・施工の定番は「直床構造(非二重床)」と言われますが、これだけでも手間は3分の1、材料費も半分ですむ、全体の工期も他社より1か月は短縮できると聞いたことがあります。

ただ、誤解のないように断っておかなければなりませんが、設計図まで長谷工にお任せにしたのでは、デベロッパーの色がなくなりますし、「売れる商品づくり」を目指すデベロッパーは、差別化という味付けを考えます。

大昔、長谷川工務店といった時代の設計は、外観だけでそれと分かってしまうのですが、今の長谷工は外形的には分からないように設計しています。

定番と述べた「直張り」も、デベロッパーの意向で二重床になっているケースは少なくありませんし、他の面でも定番のスペックを上回っているものもあるのです。


話を元に戻しましょう。三菱地所レジデンスのオイコスはなぜ生まれたのでしょうか?その背景について語りましょう

東日本大震災以降に起きた建築費の上昇は、マンション価格の高騰を招き、その結果、販売不振マンションを続出させるに至りました。

都心の一等地など、好立地では価格が高騰しても購買力の高い需要層が分厚く存在するので、売れ行きが鈍ったとはいえ、所定期間(遅くとも竣工時)には完売に至りますが、郊外物件や立地条件に弱点を持つ物件などは建物完成後も長く売れ残る事態になっているのです。 購買力が価格の上昇に追い着かない状態にあるためです。販売期間は想定以上に長くなり、最後の方は値引きによる販促もやむを得ない事態になってしまいました。

これは、三菱地所レジデンスのことではなく、市場全体・業界全体の問題です。もちろん、同社も例外ではありません。

とまれ、三菱地所レジデンスは価格をいかに抑制するかという課題に長谷工コーポレーションの力を借りる形で取り組み始めたのでしょう。野村不動産のオハナ着手に遅れること5年でしょうか? 

これまでも同社と三菱地所レジデンスの取引はあったのですから、なぜ今なのか理解に苦しむところです。現に、長谷工コーポレーションの施工で「ザ・パークハウス花小金井ガーデン(西武新宿線・花小金井駅7分)468戸」を今も販売中です。

多分、新たな厳しい段階に入ったのでしょう。

筆者が知る限り、三菱地所レジデンスの場合、「設計基準書」は、どのデベロッパーと比べても厳格です。正確には厳格でした。詳しくは覚えていませんが、「そこまで徹底するのだ」と品質へのこだわりに感心させられたことが記憶に残っています。

オイコスの仕様について、具体的な中身が分からないので現段階で論評はできませんが、他社の長谷工案件を見ていると、もはやこれ以上のコストダウンはできまい、筆者はそう感じています。

それを一段と踏み込んでオイコスでは断行するつもりなのかと訝しく思います。しばらくは三菱地所レジデンスの動向から目を離せないとも思っているところです。

背景のもうひとつは、用地不足です。都心でなくとも首都圏には人気のある街が多数あります。人気が高い場所のマンションなら多数の需要が集まり、価格が上がっても購買力の高い需要ボリュームも多く集まるので販売には苦労しないものです。

しかしながら、人気エリアにマンション用地はもともと少なく、それを多くのデベロッパーが虎視眈々と狙っていることもあって、取得は非常に難しい状況にあります。たまに、思い切って高値で入札しても、その上を行くライバル社や異業種が土地をさらってしまうというのです。

2012年12月に始まった「アベノミクス景気」が、1990年前後のバブル経済期を抜いて戦後3番目の長さになった。世界経済の金融危機からの回復に歩調を合わせ、円安による企業の収益増や公共事業が景気を支えている。ただ、過去の回復局面と比べると内外需の伸びは弱い。雇用環境は良くても賃金の伸びは限られ、「低温」の回復は実感が乏しい・・・最近の新聞にはこんなふうに書いてあります。


消費が相変わらず伸び悩んでいますし、節約志向もずっと続いています。先行きの不安を感じている人も多いようです。これが家を買おうとする気運が盛り上がらない要因なのだと思います

都心のマンションが比較的好調なのは、フルタイムの共稼ぎ族・パワーカップル(日本経済新聞の命名)の増加のためですが、郊外にパワーカップルは行かないのです。郊外マンションは夫だけの収入で予算を組む階層向けになるため、パワーカップルと比べると購買力は低いのです。

購買力に乏しい需要階層向けに低額マンションを開発しても、価格とのギャップはまだ大きいのでしょうか。上述の「ザ・パークハウス花小金井ガーデン」も西武新宿線「花小金井」駅南口 徒歩7分・8分と近くはないが遠くもなく、環境も静かな住宅街の中にあって悪くないのですが、Ⅰ街区:平成28年7月建物完成済、Ⅱ街区:平成29年1月建物完成済で、今も売れ残っています。平均坪単価は@210万円と決して高くはないのですが。

最近、バス便の物件も散見されますが、駅近よりは安いので買いやすく、それで手を伸ばす人もあるようです。しかし、販売は長期化の傾向を見せています。

結局、マンションが売れるか売れないかは、価格と購買力がマッチしているかどうかという点にかかってきます。

もちろん、立地条件との関わりによるのですが、「この立地では5000万円を超えたら売れない」とか、「この立地で5000万円の部屋を買ってくれる人はせいぜい10人だ」といった会話を業界内部では日常業務の中で繰り返しています。つまり、地域ごとの「限界価格」が存在するのですが、「価格の壁」という用語も生まれました。

最近数年の間に、地価が上がり建築費が上がって、限界価格を超えてしまうプロジェクトばかりになったのです。その壁を突破するために、マンション業者は知恵を絞り、様々な努力をして販売促進を図ろうとしています。それ以前に、いかに魅力あるマンションを造るかに知恵を結集しています。

しかし、地価は下がらないし、建築費も高くなったまま下がる気配は微塵もない。高い物件は売れない。この難題をどう乗り切るのか。各社、大きな課題を突き付けられています。

三菱地所レジデンスのオイコスシリーズが、この課題を克服するひとつの答えになるのでしょうか?


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第575回「大規模マンションは値崩れすると心配する人へ」 [マンション市場]


「このマンションは建物価値も良さそうだし駅にも近いので購入しようと思うのですが、心配なことがひとつあります。それは数が多いので、将来リセールのときに売り出す人も多く、お互いに競争しあって値崩れするのではないかという点です」

このようなことを心配する人があります。少数派かもしれませんが、当該マンションだけではなく、周辺に第2第3の大規模マンション計画があると、そのトータルでは膨大な数が供給されることが将来のリセールに悪影響を与えるのではないかという漠然とした不安を抱くようです。

今日は、局地的な大量供給という現象について考えてみました。


●局地的な大量供給がもたらす問題――売り手の不安

かつて売り手デベロッパーに属していた筆者は、つい売り手のことを今さらながら心配してしまうクセがあります。「Aマンションが売りだされたら、Bマンションは打撃だろうな」とか「どれも“帯に短かし・タスキに長し”の物件だから互いに足の引っ張り合いになるだろう」、「これだけの大規模物件が同じ駅に3つも出たら、総客数が足りなくて、どれも長期化は免れないだろう」などと考えてしまうのです。

先刻承知の売り手は、差別化に腐心します。ユニクロ的マンションにして「価格で勝負だ」とか、「室内の設備・仕様はライバル物件を凌駕するレベルに」とか、「駅まで3分の近さを最大限にアピールしよう」などと知恵を絞るのです。

しかし、その知恵も作戦も圧倒的な力には中々なりえないものです。

首都圏のマンション供給は全体で見れば、ひと頃の半分しかありませんから、供給過多ではないのですが、局地的には大量供給現象がときどき見られます。

例えば、武蔵小杉駅、今も「パークシティ武蔵小杉ザ・ガーデン」と「シティタワー武蔵小杉」が販売中ですが、合計で1800戸もあります。今後も大規模タワーが複数建設される予定です。

品川シーサイド駅では「グランドメゾン687戸」と「プライムパークスシーサイドの2件335戸+687戸」が妍を競っています。国際展示場前駅では、1社だけで1539戸(3棟)も販売を開始しています。

国分寺駅でも、少し前まで販売中だったものを含めると「シティタワー国分寺ザ・ツイン584戸」、「ザ・パークハウス国分寺四季の森494戸」、「ザ・パークハウス国分寺緑邸82戸」、「プラウド国分寺125戸」など、大小合わせて、総戸数で1200戸余も供給されています。

中央区の月島や勝どきという駅も、過去を辿り、今後の予想をすると大量供給が続いて来ましたし、続く見込みです。

千葉県では、津田沼駅の「奏の杜」と名付けられた一角を中心に大量供給が続きました。横浜では、みなとみらい地区が典型的な大量供給エリアでした。


●大量マンションの買い手はどこから来るの?

局地的な大量供給は、何をもたらすのでしょうか?

大量に売るには、大量の顧客を動員する必要があるので、それを可能とする宣伝広告が必要になります。

定番のインターネット広告、無料の住宅情報誌SUUMOの配布、大量のチラシ配布、電車内の“中吊り広告”、駅張りポスター、TVコマーシャル、新聞刷り込み広告などを使って大々的なキャンペーンを行います。これらが首都圏中に露出され、発信されて広く知れ渡ります。

新築マンションを購入する人は、首都圏全体では昨年だけで4万人弱、買わなかったが近々買うつもりの人も入れると6万人くらいはあるので、少なくとも、それくらいの人が注目します。

それら広告に触れた人のうち、条件に合う(少なくとも候補エリアにある)物件と思えた人が資料を請求したり現地を訪問したりするわけですが、もともと考えていなかった場所だが、魅力的な物件に見えたので資料請求しました、見学に来ましたといった反応を見せます。

魅力的な物件は多くが大規模物件です。その集客パワーが、首都圏各地から関心客を呼び集めるのです。大規模物件の場合、売主がHPで高らかに謳う「資料請求10万件突破」とか「来場者5000組突破」などに、多少の水増しはあるものの、極端な誇張ではないはずです。

中小規模のマンションは広告予算が少ないので、大量広告も高額の新聞広告やTV-CMも実施できませんから、顧客動員数は限定的です。簡単に言えば、建設地周辺「地元需要」と呼ばれる顧客が大半です。遠くから来る人も、昔その辺に住んでいたからとか、親が地元だからといった「準地元需要」で、その数はしれています。

要するに大型マンションは大量の宣伝広告によって首都圏中から買い手を集めているのです。「シティタワー武蔵小杉」を建設した住友不動産の来場者アンケートによると、契約者の7割は川崎市中原区外からの転入者だと聞きました。

集まるのは、広告の分量のおかげだけではありません。物件の魅力こそが、遠くまで足を運ばせる原動力になっているのです。広告予算がたっぷりと取れる大型マンションは、ただ図体が大きいだけではなく大型なりの付加価値があり、かつ立地条件に優れているものです。

話題の新商品の発売やイベント開催、スポーツの試合があると聞くと、朝早くから並んで買いに行く、観戦に行くといった行動を取る光景をよく見ますが、魅力のない商品やイベントは広告費をいくらかけても客は集まりません。

かつて、武蔵小杉駅の周囲は工場・倉庫・研究所・駐車場といったエリアで、夜間人口が少ない街でした。豊洲もそうでした。大正時代まで海だったこの土地で、1923年に発生した関東大震災のがれき処理で埋め立てられて誕生した街ですが、かつては典型的な工業地帯だったのです。今では、住宅地や商業地、オフィス街へ転換が進みました。NTTデータや日本ユニシスといった大企業の本社もあります。

生活する街としては魅力に乏しかった街でも、そう遠くない将来、きっと生活インフラも整い、暮らしやすくなると信じるに足る情報や計画があったので、遠くからやってきて購入したのです。

地元の人は、生活に慣れています。買い物が少し不便でも最低限度の施設はあるので、何とかなっているので、抵抗なく買ったかもしれませんが、地元住人はそもそも少ないので、大戸数を売り切るには方々から顧客を集めて来る必要がありました。売り手はそう考えたのです。

こうして、商業施設(ららぽーとやグランツリーなど)を同時開発し、建物に中小規模のマンションではあり得ない付加価値を用意するととも、タワーの魅力である「眺望」価値を加えてダイヤモンドの輝きを持つ商品に仕立てて販売を始めたのです。

その結果、豊洲は10年で3倍に人口が膨れ上がり、武蔵小杉のある川崎市中原区の人口は、再開発が始まった約10年前から毎年1000人から5000人超の勢いで増加。川崎市7区の人口順位で2005年から1位を続け、人口密度も2016年6月1日時点で1平方キロメートルあたり1万6901人の1位。2015年の国勢調査では10年と比べた人口増加率が5.8%と県内市区別で1位だったと市の広報が伝えています。

増えた人口は、言うまでもなく他の町からやって来た人たちです。急に子供が多数誕生する「自然増」ではなく、「社会増」によるものです。


●成熟した街の未来は?

街の魅力は、そこに何があるかで決まります。もちろん通勤の便が良い、言い換えれば都心へのアクセスが良いことですが、それ以上に「賑わい」や「自然環境」、「街並みの美しさ」などが挙げられます。

リクルート社が毎年調査している「住みたい街ランキング」で関東圏1位に毎年輝くのが「吉祥寺」ですし、争うのが「恵比寿」です。上位に武蔵小杉や豊洲が入っているのもご存知のとおりです。

こうした街の魅力的なマンションは、人気上昇の過程で多数の商業施設・飲食店・教育施設(学習塾・英会話教室など)が増加して人びとを引きつけます。洒落たカフェや雑貨店、インテリアショップ、有名レストラン、ファミレス、コンビニエンスストアなどが軒を連ねて、休日にはよその町からもたくさんの人々がやってきます。料理店は、週末ごとに回っても1年では回り切れないほどの多種多様な店が増えて行きます。カフェもスターバックス、タリーズコーヒー、エクセルシオール、珈琲館、ドトールコーヒーなどが勢ぞろいします。

人口が増えると、採算が合うと見た新規出店が続くのです。それが好循環を生みます。こうして街の魅力が一段と増し、多方面から「あの街に住みたい」と評価されるわけです。魅力ある街は、マンションが新たに供給されても地元以外のエリアから新たな客を集めることができます。そうして人口がさらに増えると、商業店舗、エンターテインメント施設が新たに加わり、となるのです。

魅力的な街は、マンションの買い手に事欠かないのです。言い換えると需要が多いので、いざ売却というときも心配は少ないものです。もちろん、物件個別に見れば格差はあるので、なんでも心配ないというほど短絡的ではないのですが・・・

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第574回「マンション用地がない」 [マンション市場]

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新築マンションの供給戸数がひと頃の半分に減ってしまったことについて書いたことがありますが、簡単におさらいしておくと、10年前の前後5年は平均8万戸(首都圏全体)も供給されたが、直近5年は平均4万戸と半減しているのです。

この現象は、一時的なもので東京五輪後は価格も下がって供給戸数は再び増えると、どなたかが書いていましたが、筆者は意見を異にしています。

●マンション用地がない
数年前から「新築は伸びない。これからは中古の時代だ」と予測して来ましたが、その根拠は土地がないことにあります。

マンション用地の希少性が急に薄らいだのは2000年代初頭でした。あり得ないほど貴重な一等地が多数放出されたからです。法人所有者の土地に対する考え方が激変したためでした。

社宅、運動場、学校、倉庫、工場などの大量放出が始まったのです。歴史ある企業が保有していた社宅は、その多くが取得時は田舎・郊外だったかもしれない場所にありましたが、近年は住宅地として最高の条件を有する、将に「一等地」に変貌していました。それが雪崩をうったように市場に出たのです。

学校跡地が売り出されたのは、郊外への移転によるもので、都心の本部ビル・校舎は残しながら一部を切り売りした資金で、売った土地の10倍の広さを郊外に買ったのでした。廃校になったためという売却例も確かあったはずです。

ある製造業の会社は、製造拠点の海外移転によって不要になった工場を売却しました。倉庫を売却した例も多数ありました。それらは工場・倉庫なのに市街地にあったので、マンションにとっては適地だったのです。

こうした企業・団体の土地放出は、景況の悪化で資金繰りに窮したというような理由ではなく、新時代を迎えての積極的な「リストラクチャリング」の一環でした。創業から100年にもなろうかという老舗企業でなくても、戦後誕生した50年企業は「含み益」のある優良な土地資産を数多く保有していました。

今も、毎年少しずつ社宅を整理統合したり単純売却を計画的に実施したりする企業はありますが、2000年初頭に始まった社有地放出の潮流は7~8年くらいで一巡し、もはや売地は底を着いてしまったのです。

●2017年9月1日の新聞報道で明らかに

このような経過が最近5年ほどの供給戸数の少なさにつながっているのですが、実は筆者にもこの動向にかすかな疑問を感じていました。

それは、新規の供給戸数が増えないのは着工と発売を遅らせているだけで、用地は多数保有しているのではないのかというものでした。

ところが、2017年9月1日の日経新聞に「販売用不動産2年ぶり減・大手5社の保有高・用地確保難しく」の文字が躍っていました。筆者の疑問は解けました。やはり、大手業者も用地確保に苦労しているのだと確信めいたものを感じたのです。

記事によれば、ホテル建設などの不動産投資が活発で用地確保が難しくなっているとありました。ホテル建設はオリンピック目当てなので、あと1年もすれば峠を越えるかもしれませんが、オリンピック後も訪日客の増加傾向は続くから建設ラッシュはなくならないという向きもあります。

交通利便性の高さを条件とする点など、ホテル用地とマンション用地は類似点が多いのです。このライバルがマンション適地をさらってしまうらしく、マンション業者は土地不足に嘆くことになりました。今後も競争は続くのでしょうか。

マンションは開発時間を考慮し、少なくとも2年先の販売商品用に早めに用地を買収して行くのですが、大手が扱う大規模敷地は5年先を見越しているものもあります。再開発案件になると10年先のプロジェクトが普通です。

●今後注目されるのは再開発物件か?

用地難はおそらく長く続くだろうと見ています。

需要がある以上、マンションデベロッパーは用地を求め続けるでしょう。しかし、無理な仕入れをしても利益を削るだけのこと、売り上げだけ増やしても意味はない。だから、販売が確実に成功する立地条件の良い土地を厳選して仕入れると語るデベロッパーも増えています。

先頭を切ったのはライオンズブランドで一世を風靡した(株)大京でした。かつては供給戸数でナンバーワンを長く続けた業界トップ企業でしたが、10年前にはトップの座を明け渡し、数を追うことは止めたようです。

郊外に目を向ければ、マンション用地になりそうな売地はあるので数を追うことは可能だそうですが、都心から遠い物件は販売に苦戦するので積極的には取り組めないと多くのデベロッパーは語ります。

今後デベロッパーはどこへ向かうのでしょうか?

1棟リノベーション物件の開発、郊外の駅前マンションに絞る、木造密集地の再開発、建て替え事業など、メニューは揃っています。しかし、柱になるほどのものはありません。それぞれに高いハードルがあるためです。

そんな中で注目できるのが「再開発」です。戦後の焼け野原から無計画に家が建てられた街は東京中に数多くありますが、そんな中の「木造密集地」は、災害の危険度が高いとされます。

巨大地震などによって火災が発生すると、道が狭いために消防車が入って行けず、延焼して被害が広がるという心配があるのです。すなわち、新潟県糸魚川市で起きた大火のようなことが現実味を帯びているのです。木造密集地は、下町だけでなく世田谷区などにも見られます。

最近販売が始まった密集地の再開発マンションが注目を集めています。大井町と武蔵小山のことですが、少し前の国分寺、竣工済みの蒲田や大泉学園なども駅前の再開発案件だったはずです。

再開発は地権者が数多くいるので、合意形成に時間がかかると言われ、成功事例も少ないのですが、最近はスピードアップしているような気がしています。少なくとも、分譲マンションの建て替え事業より早いのは間違いないようです。

糸魚川大火のような規模ではなかったものの、実際に火事が発生し、鎮火に苦労した事態を目の当たりにして危機感を持った住民は、デベロッパーの提案に全員が賛同するのに長い時間を要しなかったという話も聞きました。

行政側も積極的に協力する姿勢を見せていると聞きます。

武蔵小山駅前の再開発計画は第2弾、第3弾と続くとあります。連鎖なのでしょうか?古くからの地元住民が街の活性化に前向きに取り組んでいるということでもあるのでしょう。

東京の古い駅前商店街などが、街の衰退を未然に防ぎ、魅力ある街づくりに取り組もうとする波は本格的にやって来る気配を感じます。

武蔵小杉や豊洲など、最近10年くらいで急発展した街は、もともと夫人所有の大規模敷地が多数あった場所なので、開発を進めやすかったという背景がありますが、個人住宅や商店が密集する場所の再開発は合意形成に時間がかかるため、デベロッパーも取り組みに消極的だったのですが、用地不足に悩む中で最近は姿勢が変わってきたようです。

ゼネコンも将来の工事量確保のために再開発プロジェクトには昔から積極的でしたが、最近は拍車をかけているのかもしれません。デベロッパーとゼネコンが地元住民とタッグを組んで街づくりを行う、災害予防のためにも結構なことです。

とはいえ、再開発で生み出されるマンションの戸数は1カ所で500戸~1000戸です。用地不足を補うまでには至らないでしょう。しかも、再開発マンションは決まってバカ高い売値になるのが普通です。最近の国分寺も大井町も、また間もなく売り出される武蔵小山でも、ものすごい人気だそうですが、購入できる人はごく一部です。大変な数の関心客が集まるものの、価格を聞いて大半が諦めると聞きます。

どれとは言いませんが、再開発マンションの価格は、それまでの相場の5割高であったりするからです。価値あるマンションには違いないけれど、そこまでも価値があるのでしょうか?買えないこともないという人から、その種のご相談が筆者の所にもよく届きます。

●新築は数がなく、買いたくても買えるものがないと思いましょう

今後は魅力的な駅前再開発マンションが続々と登場してくるかもしれません。しかし、価格は驚くほど高いので、それでも値打ちあるものと、価値に見合わない高値のものとを見極めなければなりません。

うかつに高値で買えば、将来の資産価値は期待外れとなりましょう。駅前マンション、再開発マンションというだけで飛びつかないことが大事です。

ともあれ、マンションを買ってみんなで喜べる時代ではないので(少なくとも、あと10年は)、マンション選びの難しさもしばらく続きます。少なくとも、新築にこだわったらよい物件には巡り合えない、そう思った方がよいでしょう。

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第573回「優良マンションから売り物が大量に出るわけは?」 [マンション市場]

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昨今(2015~2017年)、有名・優良マンションに売り物がどっと出て来る現象に遭遇します。

「勝どきザ・タワー」「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」、新豊洲の「SKYZタワー&GARDEN」、同「BAYZタワー&GARDEN」、汐留の「東京ツインパークス」、「富久クロスコンフォートタワー」といった物件がとりわけ目立ちます。

共通点は「大規模タワーマンション」だということです。

これは異常事態です。平時は、有名マンションほど売る人は少ないものです。売るのは惜しいと考えるためです。戸数が多いので、売り物も多くなって当然とも言えるのですが、筆者の印象では多過ぎるのです。

ちなみに、「勝どきザ・タワー」はSUUMOせ検索すると、2017年8月29日現在、13件の売り出し中物件が見られます。汐留「東京ツインパークス」では、リハウス店だけで売り出し中の物件が14件もあります。44㎡のワンルームから198㎡の3LDKまで、内11件が億を超える(最高5億円)売り出し期価格となっています。

「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」は45.65㎡4580万円から71.23㎡7800万円まで6件、「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」では16件(5400万円~1億5900万円)も売り出されています。

湾岸を離れて、チェックしてみましたが、「富久クロスコンフォートタワー」にも野村不動産アーバンネット店だけで14件の売り物がありました。1LDK5580万円~1億4500万円とあります。

これらは、現在売り出し中の戸数に過ぎないので、過去1年を遡ったら全部で一体どのくらい売り出され、取引が行われたことでしょうか?

●「住んでみたら問題が見つかった。だから売る」のではない

中古マンションの検討者から、「何か問題があって売り物件が多いのでは」というご質問がよく届きます。同一マンションの中に検討中の住戸以外にも多数の売り物があることに気付くためでしょう。つまり、欠陥や何らかの問題点があるマンションなのではないかの心配からのお尋ねなのです。

ここに掲げた物件は、おそらくそんな欠陥や建物外の問題は何もないはずです。

仲介業者でない筆者でも、売却の希望理由を知る機会はありますが、それぞれに「なるほど」と思わせるものが窺えます。

上記の物件と離れて少し紹介すると、「転勤命令が出たため」、「距離があるので大丈夫と思ったが住んでみると高速道路の音が意外に近いので不快である」、「子供が大きくなって手狭に」、「営業マンの押しに負けて買ってしまったが、駅の周囲に店が少ないので不便と気付いた」、「環境重視で買ったが通勤時間が長く苦痛である」、「前のビルがどのくらい迫って来るか心配だったが予想以上に近いので住むことなく売ってしまうことにした」、「子供が独立したので都心の便利なマンションへ住み替えたい」等々。

こうした一般的なもの以外には、「欠陥マンションだった」という理由も考えられますが、欠陥マンションかどうかは最近なら全てインターネットの掲示板に書き込まれてしまうので、事前に検討者は直ぐ気付くものです。

騒ぎが収まるまでは売るに売れずということもあります。欠陥であることを隠して売却することはできないので、売りに出す人は少ないのですね。騒ぎが収まって問題が解決してから嫌気していた人が売りに出すということはあっても、ずっと後のことですし、その数も多くはないというのが過去の欠陥マンションの経過を見ていた筆者の実感です。
そうでないマンションがあるかどうかは寡聞にして知りません。

●ミニバブル現象

少し前まで、湾岸エリアを中心に「マンション投資ブーム」が起きました。中国人の爆買いの一種で、国際的に割安とされた東京のマンションに投資する外国人が増えた(流行した)ことに加えて、2015年から税率が上がった相続税対策として日本人富裕層がタワーマンションの高層階は有利という情報を得て買いまくったからです。ある種の「バブル」状態になったようで、世間は「ミニバブル」と呼びました。

この間に東京オリンピックの誘致が決まった2013年秋以降、会場になる湾岸エリア(晴海・有明エリア)はマンション購入者の注目を集めました。そして、販売中だったマンションの売れ行きが急に伸びて事業主を喜ばせたのです。

「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」は、2012年4月の発売で、しばらくの間は売れ行きがぱっとしなかったのですが、竣工間際の2013年秋以降は販売スピードが急速に伸びました。そして、竣工の2013年11月には883戸完売のメドが立ったのでした。

2013年8月に売り出した隣地の「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」も予想外のスピードで完売したと聞きます。

ミニバブル現象は湾岸に留まらず各地のタワーマンションに波及しましたが、このとき投資目的ではない人も将来の値上がりを期待して各地の駅前タワーマンションなどに向かったのです。

価格は売り主の強気を誘うこととなり、初期の計画を上回る値上げを決めたり、販売途中で値上げしたりした企業もありました。その当時、投資対象にされた物件においては自己居住狙いで真剣に検討していた買い手から、「検討中に値上げすると半ば脅されながら慌てて買った」という声も多数聞きました。

ともあれ、ある種の熱狂の中で購入したマンションの多くは今から見れば安い買い物であったことは確かです。投資目的で買った人は、賃貸目的というよりは、「キャピタルゲイン(転売利益)」が狙いだったのです。それが僅か3~4年で、引き渡しから2~3年で売却し利益を狙っているというわけです。売り物が多いのは、そのせいです。

中には「オーナーチェンジ」の売り物件も散見されます。賃貸してしまったからです。賃貸していた人でも、たまたま空き家になったので売り出すことにしたという話も聞きます。

当初はもっと長く持つ予定だったが、思いのほか値上がりしたこと、ピークアウトが近いことから売るなら今だと考えて売り出す人が次々に出て来たとうことらしいのです。

筆者の知人は、賃貸にも出さず機をうかがっていたようで、「新築未入居」のキャッチフレーズで売却にかけ利益を得たのです。仲介業者の中にも、5戸、10戸とまとめて購入して転売したという情報も伝わって来ました。

その昔、「土地ころがし・マンション転がし」が大流行したことがありましたが、そのミニ現象が直近で起きていたということです。もう沈静化したようなので他人事ながら筆者も休心しています。バブル的な動きで被害を受けるのは、いつの時代もマイホームを求める人たちだからです。

ともあれ、有名・優良マンションから売り物が続出している現象の原因は「投資ブーム」にあったと言えそうです。

●家は売らなければ損も得もないのです

値上がりして喜ぶのは投資家だけです。一般居住者は自宅が値上がりしても何も関係ありません。

バブル期のことですが、購入した物件・場所によって差はあるものの、短期間に我が家が2倍、3倍になったことで驚いた人も少なくなかったのです。しかし、現に住んでいる家の値段が何倍になろうと、何の得もありませんでした。

一方、売却した人は、高値に驚くとともに手にした金額に喜び一杯だったことでしょう。ただし、その資金でもっと良い住まいを手に入れようとすると、郊外のまだ値上がりの波が及んでいない街へ行くほかにありませんでした。

売却した場所の近くは同じように値上がりしていたからです。売却して得た金銭に(新たなローンなどで)プラスしなければランクアップした家は買えなかったのです。

反対に、バブル期に高額な住まいを購入した人は、その後の値下がりを体験して悲哀を味わうこととなりました。何かの事情で売りたいとなったとき、現実の厳しさにぶつかったからです。売却して得る金銭では住宅ローンの残債を清算できないことを知ったのです。いわゆる追い銭が必須でした。

その金額の大きいこと。結局、売却を断念した人も多かったはずです。これは含み損を抱えてしまったものの、損失が確定しないで済んだというケースです。

つまり、売却しなければ損も得も表面化しないことを意味します。

●「利益確定売り」という居住者の大胆な判断

最近のご依頼で急に増えた「将来価格の予測サービス」に、筆者は嬉しい悲鳴を上げています。もともと休日に無縁な筆者ですが、最近の作業量は半端ではなく寝る暇もないほどです。

多くは、従来通り「買ってよいマンションか」と「それを10年、15年先に売るかもしれないが損(利益)はどのくらいになるか」というマイホーム検討者からのものですが、中には3年前に購入した人、居住して2年しか経っていない人などからのご依頼も増えています。この現象に、時代を感じます。

購入して間がないのですが、「今売るのがいいか。それとももう少し先がいいか」ということを考えているので、先の予測数字を知りたいというご依頼です。売却動機が書いてあって「思いがけず高値で売れそうなので売ってしまおうか」というお考えを持つ人が少なくないのです。

売ったあと、住む家はどうするのだろうか?そんな疑問を抱きますが、ひとつの答えがありました。それは、売って当分実家で暮らすという単身者の行動でした。独身寮に入るという人もあったかもしれません。ファミリーの場合の答えはありません。

湘南ライフに憧れているという人が都心のマンションを売却し、茅ケ崎のマンションを購入した人にもお会いしました。価格差が大きいだけに、ひょっとすると多額の現金を手元に残しつつ買い替えを成功させたのかもしれません。これは例外的です。

結局、一時的な利益に目がくらむのかどうか、「利益確定売り」という行動に出る人もありそうです。売った後に別のマンションを買うのでしょうか?我が家が高く売れても、同時期の買い替え先も(地方や郊外に移住する場合を除けば)高いはずで、そうする意味があるのかどうか、理解に苦しむところです。

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老婆心ながら、こうした売却では譲渡益が多額に発生したはずなので、譲渡所得から3,000万円の特別控除(自身で居住していた場合)を受けたとして、新たに購入する住宅をローンで購入したとき、住宅ローン控除が使えなくなる場合があるのです。大丈夫だったのかどうか。

後になって何人かのご相談者に「大丈夫か」とメールを送ったのですが、連絡がないままなので、今も気がかりです。

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第571回 「相変わらず高いマンション価格」1~7月の動向 [マンション市場]

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新築価格の動向を毎月注視していますが、中々値下がりに転じないようです。

●新築マンションの動向

2017年1~7月の7か月の価格を見ると、前年同月比でマイナスになった月は3月の1回だけでした。1~6月の平均では前年同期比4.0%上昇となった模様です。7月単月では16.0%も高い(不動産経済研究所)と発表されました。

首都圏の半分弱を占める東京23区の上昇率が最も高く、その影響力が高いことは確かですが、他の地域も東京市部を除き少しずつ上昇しており、首都圏全体の傾向と言えます。

売れ行きは相変わらず低調で、毎月の契約率(新規発売分が当月の月末までに売れた初月契約率のこと)は好不調の分かれ目とされる70%を超えた月は5月と7月だけでした。

売れ行きが低調のときは、売り出し戸数も減るものですが、この1~7月は前年同期比2%ほどの伸び(7か月合計17,880戸)となったようです。といっても、前年が最近10年で最低の35,772戸(年間)だっただけに低調ぶりは変わっていません。年間では、8月以降に増える見込みらしいのですが、それでも前年並みに留まるのではないかと思います。

品薄感が続き、価格も高い。買いたくても買えるものは少ない。このような状況は相変わらずというわけです。筆者は、2018年でピークアウトすると読んでいますが、その兆しはちらちらしていますが、はっきり前倒しになる様子は見られません。

最近聞いた話ですが、水面下では数百万円単位の値引き提案が行われている売れ残りマンションは10物件以上あるのだそうです。筆者の実感では、そんなものではないと思うのです。売れ残りを「竣工後に継続販売中のマンションのこと」と定義すると、365件(23区だけで119件)もあるからです。これらのうち、竣工後1年以上を数えてみると、72物件もあるのです。2年以上も少なくありません。


●マンション業者の姿勢に異変?
建物竣工後のマンション販売で「第●期・新発売」の広告が目立ちます。これを見て、違和感を強く覚える人もあると聞きます。筆者もその一人です。何故なら新築マンションは遅くとも竣工完売が業界共通の目標で、竣工後に「新発売」というのはあり得ないことだったからです。

竣工までに完売できないと悟った売主は、腹を決めたのでしょう。とにかく売れる数だけ、1期00戸、2期00戸・・・と小出しにして売るのが最近のスタイルです。しかし、そうしながら販促を進めても、竣工までに完売できそうにないので、長期戦を覚悟したというわけです。

入居が始まり、居住者のいるマンションに外部から見学者を多数、しかも長期間招き入れる図は好ましいものではないはずですが、管理費は売主が負担するのだからご迷惑をおかけすることはない、そう割り切っているかのようです。

業者の中には、竣工前だろうが竣工後であろうが、「新発売マンションであって売れ残りではない」と開き直り、値引きなどとんでもないと語るデベロッパーもあります。

しかし、ホンネは違います。早く完売して別の物件の販売にかかりたいのです。販売が長期化すれば販売要員も足らなくなります。販売委託先の人員も限られるので、経験不足のスタッフが増え、顧客サービスに不満や説明の誤りによるトラブルなども出てきます。

早く完売しなければ、そのためには、値引きもやむを得ません。そう考える売り手が大多数です。

先週(2017.8.8)のSUUMOの中から「旧価格6468万円を新価格5800万円に(約10%引き)。1戸販売中」という物件を見つけました。竣工が2016年2月となっていますから、1年半経過したことになります。残戸数(販売戸数)は6戸とありました。

売れ残れば、やむなく値引き販売に踏み切って早期完売を図るか、定価で(値引きなしで)買ってくれる人を何年かかろうと待ち続けるしかありません。後者は、筆者の知る限り、関東では2社しかありません。大多数の売り主は「モデルルームだから」の大義名分(先行契約者に対する言い訳)を設けて、「家具付きモデルルーム販売」をメーンに、実質的な値引き販売に踏み切るものです。

しかし、そうしても「売れないマンション」とか、「高いマンション」とかの烙印を押されてしまうせいか、上記の例のように竣工後1年半、2年となって完売にはまだ遠い状況に陥ったりするのです。

中には販売初期から値下げを開始する例も見られます。といっても、この場合は利幅の中で住戸間のバランスを調整する程度のようです。例えば、北向きは不人気だから、もう少し下げようというようなケースです。発売前なら、モデルルーム来場者にも「予定価格」としか伝えませんから、訂正は可能なのです。

さて、売れ残った物件がすべて条件の悪い住戸とは限りません。条件の良くない住戸は最初から価格を目玉商品的に下げているので、案外初期に売れてしまうからです。残ったのは存外角部屋などの条件の良い部屋なのです。上述の値引き事例も実はルーフテラス付きの角住戸です。

売れ残るのは、価格が高いからです。買い手は、こうした住戸を狙えばいいのです。ただし、もともと高過ぎるので少し引いてくれたくらいでは、忽ちお買い得住戸になるとは限りません。値引き後の価格が適正かどうかをしっかり判断しないといけないのです。


●中古マンションも全体的には値上がりが続いている

新築価格が上がれば、連動して中古も値上がりします。2013年に始まった今回の価格上昇サイクルは、「高値警戒感」を経て「諦めるしかない高値水準」へ至り、売れ行きの悪化、そして価格上昇のピークアウトが近づいていますが、中古も同様の傾向が感じられます。とはいえ、はっきりと値下がりに転じたとは言えません。

レインズ(東日本流通機構)のデータによれば、2017年7月の成約単価は前年同月比で4.5%上昇、成約価格も前年比で5.4%上昇し、ともに2013 年1 月から55か月連続で前年同月を上回ったからです。

これは首都圏全体の動向ですが、都県別にみても大きな変化は見られません。しかし、ミニバブル的だった湾岸エリアでは値下がり物件も増えていますし、7月5日の本ブログ記事「中古マンションがもうすぐ買いやすくなる??」の中で紹介しましたが、東京都区部の中古マンションの3分の1が値下げに踏み切ったという調査データがあるのです。

調査したのは東京カンテイ社で、中古市場に出ているマンションのうち、直近3か月で値下げに踏み切った住戸の割合は5月時点で32.4%だったそうです。そして、このデータは早晩価格下落サイクルに移行するシグナルだと、同社はコメントしています。

筆者の読みは、新築同様、来年には中古マンションもピークアウトし、値下がりに転じるか、多少読みが外れても前年比で横這いになると思っています。

このような動静を見ながら、購入判断をしていかなければなりませんが、待って得策とは思えないので、うまく探す、うまく値引き交渉する、そんな買い手の行動が重要な時期にあると言えましょう。
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★決断の後押しをしたい「マンション評価サービス」★
これまで数えきれないほどの評価サービスを提供して来ました。その中で、対象マンションの中には手放しで称賛できる物件もなかったわけではありませんが、微々たる数です。大半の物件は何かしら問題点を指摘せざるを得ませんでした。

立地条件に問題があるもの、建物グレードの劣るもの、有名業者の割には品質が二流というもの、品質は申し分ないものの価格が異常に高いもの、管理態勢に疑念があるもの、管理費が高過ぎるものなど、ここで具体的は述べませんが、満点にはほど遠い物件が多いのです。
100点満点で、60点から70点の間の物件が大半というのが実感です。

評価レポートには、必ず私の所見をお付けしています。また、ご依頼者が不安・疑問に思う質問や相談メッセージを下さった場合には、当然ながら回答をお付けします。
このとき、いつも迷うことがあります。ご相談者は、既に現地を確認し、モデルルームを見学しているものの、購入にどれくらい前向きなのかが分からないため、言葉の選択に迷うのです。

基本的は、客観的、かつ具体的に所見を述べることにしていますし、それがモットーでもありますが、言葉選びを誤れば相談者の感情を害することもあるでしょうし、購買意欲を一気に覚醒してしまうこともあるでしょう。それが良い場合もありますが、購買意欲が一層盛り上がるように言ってあげた方が良い人だってあるはずです。
誤った選択をしようとしているのであれば、「冷静に」と呼びかけることが必要ですが、そもそも理想のマンションはないのです。「ダメ出し」ばかりでは、買えるマンションはなくなってしまいます。
従って、枝葉末節の部分は大らかに見ることも必要であり、その点を念頭に置きながら、慎重に言葉を選ぼうと努めています。

このサービスは、単にマンションに点数を付けるのが目的ではないのです。どちらかと言えば、「マンション購入の迷いを解いて決断の後押しすること」にあります。

評価した結果を淡々と伝えるだけでいいか、このマンションはやめた方がいいと踏みこんで言うべきか、あるいは立地条件に少々問題がある気がするが、現地を見ていないのでと曖昧なコメントで逃げるべきか、立地に問題はあっても購入する価値はあるという理由をコメントすべきか等々、表現方法にひとしきり悩みます。
単に評価ポイントを出し、短所・欠点ばかりを重箱の隅をつつくように探して「ダメ出し」レポートをお届けしても、このサービスの価値はないと考えているからです。



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第570回 「新築マンションの価格は急落しないものである」 [マンション市場]

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2013年から始まったマンション価格の上昇を嫌って模様眺めに転じた人は大勢いるようです。インターネットその他の情報に触れて「東京オリンピック」以降に下がると信じ、今も待機中という人も多いのでしょう.。

新築を嫌って中古にも目を向けたが、その中古も値上がりしてしまったので、もはや買うものはないと半ばあきらめ顔の人もいるようです。

では、いつまで待てば購入可能な価格になるのでしょうか?このブログでは過去にどこかで何度か触れて来た所感ですが、今日は改めて表題に絞って根拠とともにお伝えしましょう。

●新築マンションは価格上昇が行き過ぎて売れなくなったが・・・

新築マンションは、価格が少々上がっても根強い需要に支えられて売れて行くものですが、度を越すと買える人の数が少なくなり、売れ行きにブレーキがかかります。言い換えると、需要は一時的に減退するのです。

売れるだろうと造ったマンションがさっぱり売れないという状況は、売れ残りマンションが多数という状況を創り出すのです。売り手は、販売促進の策をあれこれ打ち出しますが、最後の手段は「値引き販売」です。

潜在需要は間違いなくあると考えられるので、価格さえ購買力に近づけてやれば売れないことはないからです。2012年を底として2016年の価格はざっと25%も上がったために売れ残ったのですから、15%くらい下げることができれば売れ行きは回復するに違いありません。

しかし、15%も下げるなどということは売主各社が「やけくそ」にならない限り不可能なのです。

理由の一番は、既に定価(売主の所定の利益が取れる価格)で買った購入者との間で著しく公平さを欠くことになるため、したくてもできないことにあります。

「マンション氷河期」と言われた何十年も前のことですが、そうした行為を暴挙として非難した買い手が集団訴訟を起こして売主に差額返金を求めたことがあります。

実は、この係争で売主は勝訴しています。しかし、売主は値下げ販売で目に見えない損害を被ったのです。信用や企業のイメージダウンなどでしょうか?

そのころ、同様の騒ぎが頻発したため、大手の売主は先行契約者に値下げ率に応じて差額代金を返したのです。当時のマンション価格が3000万円だったとして、500万円とか600万円といったプレゼントを受け取った契約者(既に入居済み)は、半分が喜び、半分は値下がりした自宅の行く末を案じたりしたと聞きました。

とまれ、返金ののち、売れ残り住戸を「最高800万円値下げ」といった大胆なコピーで広告を展開、ほどなく完売したのです。

今はそこまでの窮地に陥っている物件・売主は少ないのでしょう。値引き広告は限定的です。すなわち、「モデルルームとして数か月使った部屋なので安く売りますよ」という広告キャンペーンが精いっぱいです。この方法なら一応の大義名分(言い訳)ができるからです。実際は、その方法を繰り返しながら複数住戸を売って行くのですが・・・

理由の2番目は、大きな値引きすると売主の経営に重大な悪影響を与えるからです。そもそも、新築マンションの利益は大きくないのです。

マンション用の限られた土地を仕入れるための競争は熾烈で、常に高値になってしまうため、採算に乗る(つまり売れそうな価格に抑える)ギリギリの、ときには販売が困難なラインを超えてしまいそうな価格で取得しているのが実態です。

建築費もしかりで、採算に乗る価格からはじき出した建築予算で請け負ってくれるゼネコンを探すことは簡単でないのです。

新築マンションの粗利は高々20%、そこから販売経費や広告費などを差し引くと10%も残らないのです。こう説明すると驚く人も少なくないのですが、商品の価格が大きいので、10%でも事業としては妙味があるのです。ただし、うまく回転した場合のことで、新規参入しては消えて行ったマンション業者は数限りなく、過去の栄枯盛衰は激しいものであったことも事実です。

利益を何とか出したいという売主にとって、10%の値引きは死守ラインとなるのです。しかし、それは全体の利益率のことなので、半分の住戸を定価(利益10%で)売ったとすると、残り半分を10%引きで売っても、平均したら5%は利益を確保できるわけです。ただし、そう考える経営者はありません。そこまでの結論に至る状況は販売が長期化し、既に決算期をまたいでいるので、新年度では値引きした分がそっくり減益もしくは赤字になってしまうからです。

値引きしなければ売れない物件ばかりではありません。高くても、駅直結マンションのような、あるいは憧憬の街における久々の高級マンションのように、高くてもたちまち売れてしまう例は不況下でもあるのです。従って、値引き販売が横行しているとはいえ、全体の何割もあるわけではありません。

つまり、値引きの幅は業界全体でみると極めて小さいのです。しかし、個別交渉では10%の要求が通ることがないわけではありません。竣工してから1年半も経って、2回目の決算が近いなどという物件では「やけくそ気味に」に、「こっそり2割も引くという例も稀に見られます。


●売れなくなれば次からは価格を抑えて来るのでは?
売れ残りマンションを安く売るというのは難しいことがお分かりいただけたことと思います。

業界として何か良策はないものでしょうか? 次の物件からコストを抑え、利益率も下げれば売れそうな価格にできるのでは?外部の人は、そう考えるのですが、コトは簡単ではありません。

コストのうち、土地は2年も前に買っていますから、確定原価です。もうひとつの原価である建築費も今はとても下がる見通しがありません。下げるには、設計から見直すことが必要です。しかし、粗悪品を作ることはできませんし、廉価版マンションではかえって売れないものです。コストダウンには限界があるのです。

以前指摘したことがありますが、見えないところでコストを下げたマンションが増えていますし、間取りもつまらない田の字型ばかり、出来上がってから安物と分かるコストカットマンションは、4年も前から当たり前になっています。これ以上のコストダウンはきっと逆効果になるでしょう。

トヨタ自動車がかつて「乾いた雑巾をしぼる」と言われるほど徹底的なコストカット策で一世を風靡しましたが、マンション建設では既に実施済みです。

では、利益を削ればいではないかという声も聞きますが、先に述べた通り幅が小さいのです。おそらくは焼け石に水だと判断するデベロッパーが多いでしょう。中には、「そこまで下げなければ売れないのであれば、しばらく駐車場にするかイベント会場として貸すかを考えろ、マンション用地としては凍結だ」などと決断するデベロッパーも出てきます。

つまり、値を下げるデベロッパーが続出して全体として新築マンション価格が顕著な下落のトレンドを見せることはないのです。

●急騰後の値下がりが小さかった前回不況期

過去のデータを見てみましょう。首都圏全体の価格推移から説明します。

バブル経済崩壊後の下落が止まった2002年から2004年(3年間)は価格の底で、かつ安定期にありましたが、この頃の新築マンションの平均坪単価は約180万円(首都圏平均)でした。

ところが、翌年2005年から2008年(4年間)にかけては、毎年上昇して2008年には214万円となったのです。2004年からの上昇率は19%弱です。(今回の上昇率は23%)

価格急騰によって販売不振物件が続出し、各地で値引き販売が増えました。そのことで起きた不公平感が買い手の不興を買い、テレビ報道でも取り上げられたのです。

2008年の秋、米国で「リーマンショック」が起こりました。これが契機となって世界同時不況が起きかけました。日本でも景況の悪化が心配され、マンションどころではなくなったのです。

マンション業界にとっては、高値が売れ行き不振を招いていたところに、リーマンショックで「泣きっ面に蜂」という状況になりました。

しかし、翌年(2009年)の新築価格は@214万円から@212万円に下がっただけでした。その後も大きな下落にはならず、2012年まで@213万円前後の高値安定で推移し、値上がり前夜の2012年に至りました。2013年には再び上昇し@230万円、2016年には、どうとう@262万円となった(2012年比で23%アップ)のです。

23区だけに絞ってデータを見ると様相は変わります。簡単に言えば、値上がり幅も大きいために値下がり幅も少し大きくなったのです。

2005年@226万円、2008年@281万円。この間の上昇率24%と首都圏平均より5ポントも大きかったのですが、2009年には@263万円と急落(6%)。しかし、その後2012年までは@274万円、@268万円、@264万円と推移。つまり、6%下がっただけで底を打ったというわけです。
地域的な差はあるにしても、値下がりはせいぜい5%か6%と見るべきということを歴史が語っています。


●金利が上がったら値下がり分は吹き飛ぶかもしれない

郊外部は値上がり率も比較的緩やかであったために値下がり率も低いが、都心部は値上がり率が大きいために、下げ幅も郊外よりは大きかった過去ですが、この先は同様の傾向を見せるでしょうか?

5%程度の値下がりがあると仮定しましょう。平均的なグロス価格を5000万円としたら、4750万円になるわけです。4000万円くらいの地域なら3800万円になるということですね。

この200万円か300万円の差は、金利が上がれば意味をなしません。ちなみに、今なら4000万円を1.0%、35年返済で借りた場合、年間の返済額は135万円になりますが、これが値下がりによって3700万円の借り入れで足りることになっても、金利が1.5%に上がってしまうと年間返済額は136万円となり殆ど変わらないのです。

金利が上がったらという「タラレバ」論ですが、上がってからでは遅いのです。つまり、ひたすら金利上昇はないと祈るしかありません。

さもなければ、5%の下げではなく、10%くらいの下げを期待するしかないのです。

********


値下がり期待はむなしい。それでも期待して待ちますか?負担する家賃がない人、購入時期が5年先でも構わない人、ローン年限にゆとりある若い人などは待てるかもしれません。しかし、多くの買い手は、仕事や家庭の事情が許さないはずです。

高くても買うのことで得られる喜びが大きければ今買うという選択は悪くないものです。筆者の経験からも信念を持って「買い」をお勧めするところです。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。
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第568回 建物代ゼロ評価の一戸建てを売却してマンションへ買い替えるシニア層 [マンション市場]

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数年前から駅前マンションの動きに注目して来ましたが、注目の理由は「価格が異様に高い。誰が買うのか」というものです。

高くてもいい。金に糸目はつけない。このような需要階層が存在します。絵画、宝石、骨とう品、宝飾時計、競走馬などの世界のことかもしれませんが、実はマンションにも同様の富裕層が存在します。彼らは「不動産コレクター」とでも言うべき人で、必要に応じて何軒目かマンションを購入したとき、それまで住んでいた所有マンションは売却しないのです。

購入する物件は地域一番の物件、話題のマンション。しかも、その中の「プレミアム」にグルーピングされた住戸、またはそれに準ずる住戸を購入しています。元の家はどうするのかを尋ねると、「子供が使う」や「もうすぐ結婚する親戚の若い夫婦に貸す」などと言います。「一般に賃貸する」という人も無論あります。希少価値あるマンションなので、売りたくないようです。

さて、今日の話は、これらの富裕層とは少し違うタイプの富裕層についてです。プチお金持ちと言ってもよいかもしれません。

冒頭述べた「高い駅前マンション。誰が買うのか」の答えは、「便利な住まいが欲しい。高くても構わない、そこに住みたい層」が分厚く顕在化したということでした。

筆者が気に留めた駅前マンションの所在地は、都区内ではなく東京郊外のマンションでした。新築だから目に留まるのですが、新築の供給がないエリアでは中古マンションにもその種の需要が押し寄せるようだと、最近その種の物件購入者とお会いしました。指値はできない。買い手が列をなしている。だから売主の言い値で買うしかないという話でした。地域の中古相場をから大きくかけ離れた値が付いていました。

*****************************

駅前だったら当然ではないのか、そんな疑問をお持ちの読者もいらっしゃると思いますが、その価格が「ちょっと高い」ではなく「突出プライス」なのです。具体の物件を出して解説することはできませんが、何とか市場実態をお伝えして行こうと思います。

筆者は、「気に入っているマンションがある。しかし、どうも高過ぎるように思う。客観的な意見を聞きたい」にお答えする仕事が日課のようなものなので、買い手の心情が何となく、ときには痛いほど分かる立場にあります。

お答えのための作業過程で、対象マンションの性格・特徴、そして位置づけを分析して把握します。そして「高い・安い」を判定し見解をお届けするのですが、郊外マンションの場合は、たとえ駅前でも「高過ぎる」というお答えになることが多いのです。

レポートお届けの後の反応は、「高過ぎることは分かったけれど買いたい」というのがご相談者の結論です。圧倒的な差別感のあるマンション、ただひとつの希少価値。だから資産価値としても間違いないと考えての結論ではないのです。なぜなら、筆者の答えは少し違うからです。

第三者の見解としてはネガティブであっても、買うことにしたという買い手は、どのような動機や心情、あるいは欲求があってそう決断するのでしょうか?筆者の分析を申しましょう。

「その便利さを買いたい。だから金に糸目をつけない。いざ換金というとき半値以下では困るが3割なら下がってもいい」という鷹揚な買い物をする階層なのです。しかし、そうだとして、そこまで割り切っても欲しいと思う動機や購買心理はどこから来るのでしょうか? 

「ただ今」の住まいが不便な場所にあるからです。大きな一戸建て、最低でも200㎡以上の敷地、広い庭、150㎡以上の2階建て、そんなイメージでしょうか?

働き盛りのころ、家族のためにと遠距離通勤をいとわず建てた家だったが、ローンも完済した今、既に住む家族は二人だけ、高齢になって階段の上り下りも辛い、何より広すぎる、使っていない部屋が3つもある、庭の手入れも面倒になって来た。もともと買い物も不便だし、どこへ行くにも車が必要な場所。高台で景色も環境も良いが、車は危険と妻が言うし、夫婦二人が豊かな老後を送るには何かと不便だ。

なにせ老後は長い。もはや余生とは言えない長寿命時代です。元気に、そしてアクティブに暮らすには、コンパクトサイズでいいから便利な駅前マンションに住み替えるのが賢明だ。

このような潜在需要は全国各地で膨れ上がっているようです。筆者に届くお便りは氷山の一角です。

しかし、我慢ならない状況に追い込まれているわけではないので、何かきっかけがなければ需要は顕在化しないはずです。つまり、何かが行動させるのです。ひとつが、新築マンションの販売キャンペーンに接したときです。チラシ、看板など大々的な宣伝とモデルルームの開設・公開が潜在需要をごく自然に行動に駆り立て、結果的に購入の決断へ導くのです。

木造住宅は20年も経過すると土地代だけの評価になってしまうものが大半です。既に30年。しかし、ローンがないので、売ればそこそこに大きな現金を手にすることができるでしょうし、金融資産もあるので無理なく買えてしまうシニアが多いのです。個人によって予算に差はあるものの、駅前マンションのどこかの部屋が買えてしまうのです。

駅前でなく、駅5分でも似たようなものではないか。ライバル物件の営業マンは恨めしそうにこう語りますが、そちらの方が価格はかなり安いとしても、最高の物件に触れてしまった人は他には目がいかないのでしょうか。

結局、インパクトある駅前・駅直結マンションは、これらシニア層に一般需要層も加わって、短期間で完売に達しています。そうした例は、思い出すだけでも過去5年くらいに10物件をくだらない(都下、埼玉、千葉、神奈川)のですが、これらの物件の資産価値は将来どうなるのだろうか。調査・分析作業のたび、悲観的に思うことが少なくありませんでした。

一戸建てを売れば、みんな駅前の便利なマンションに住み替えられるわけではなく、また広すぎて持て余している家とはいえ、そこには家族の思い出がいっぱい詰まっているので売りたくないシニアもたくさんあるようです。

バス便の一戸建てから駅前マンションへの住み替え需要は、首都圏全体で見れば大きなボリュームになっているのは確かですが、地域ごとに見たとき、その数は膨大ではなく、まして10年後20年後はどうかというと、今と同じような分厚いボリュームがあるとは思えないのです。

圧倒的な優位にある駅前物件といえども、金に糸目はつかない需要層は減り、「それなりの価格」でしか売れないことになるはずです。

中古マンションとして売り出したとき、所有者の期待通りになるかどうかは「需要がどれだけあるか」にかかって来るのですが、そのボリュームを読むのは容易ではありません。郊外都市の人口は間違いなく減少します。そのスピードは都心より早いのです。従って、駅前マンション・駅直結マンションというだけで飛びつくのはリスクの高い行動です。

中古マンションを新築マンションのように大々的なキャンペーンによって販売することはないので、人気物件といえども列をなすかは疑問です。

誤解のないよう補足しておきますが、郊外都市ほど駅の近くの物件を選択すべきだというのが筆者の主張です。しかし、価格が高過ぎる物件は将来価値に疑問が残るのです。第567回の記事で「最重要ポイントは購入価格」と述べましたね。そこが問題だからです。

今日の話で登場したプチお金持ちは限られた特殊需要層なのです。同調して「高過ぎるものは買わない方がいい」そうお伝えしたいと思います。


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第564回「売れていないマンションを物語るチラシ配布作戦」 [マンション市場]

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7月14日金曜日、たくさんのチラシが新聞に折り込まれました。いつもの週より随分多いなと思ったら、今日から3連休でした。
「それにしても、遠いところから宣伝にやって来たなあ」と感じさせるものが3件も混ざっていることに、改めて「売れていないのだなあ」と実感した次第です。

読者の皆さんのお住まいでも同様の事象が見られませんか?

短期間に高くなった新築マンションも、連動して上がった中古マンションも、さすがに買い手に見放されて売れ行き不振に陥ってしまったわけで、多くのマンションが店ざらしになっています。

新築の場合は、店ざらしというと正確ではありません。売れる数しか店頭に並べないからです。それ以外の在庫は倉庫の中に眠っているというわけです。
ともあれ、新築は表立って値下げすることもできないので、顧客の動員に苦労しています。広告のデザインを変えたり、価格を未定としてみたり、あの手この手を使って集客を図るものの、思うに任せず、とうとうこんな遠くまでチラシ配布作戦に出たのだと分析せざるを得ないのです。

●値下げすれば忽ち売れるのに

どんなマンションでも価格が安ければ、人里離れた山の中でない限り買い手はつくものです。売れ行き不振は、究極のところ価格が高いことに原因があるのです。
環境が素晴らしい、駅にも近い、建物もハイクオリティである。それでも売れないのは、価格に魅力がないだけのことです。

こう筆者が語ると、一部売り手は「高くないよ」と反論するかもしれません。しかし、高くないとする根拠が近隣の競合マンションと比べているだけだったら、どちらも高いことを意味しています。

その立地では、手の届く需要層が薄いのです。安かったときは100人いた層が、高くなったことで50人に減ったのです。減った顧客をライバル社とともに分け合って結果的に共倒れ状態にあるのです。

こうなると解決策は、価格を下げるしかありません。しかし、これまで買って下さった顧客の前では、たとえ5%でも値下げ販売は打ち出しにくいものです。

メーカーの監視外で小売店が値下げ販売することがあるとブランドに傷がつくから、全て直営小売店にしているのだというブランドバッグメーカーの話を聞いたことがありますが、新築マンションでもこれに似た不文律があるのです。

しかし、それで売れるならまだしも、やっぱり売れないとするなら値引き作戦しかありません。一部のデベロッパーを除き、たとえブランドマンションでも最後は値引き販売に踏み切ってしまうのが現実です。

最後というのは、建物竣工後の在庫販売のことですが、そのタイミングをじっと待つという作戦も買い手にとって悪くないものです。


●中古の値下げは早い
一方、中古マンションは値動きの動きは早いものです。新築マンションの価格引き下げは硬直的ですが、中古マンションは柔軟だからです。

10日前の本ブログ記事「中古マンションがもうすぐ買いやすくなる??」の中で紹介しましたが、東京都区部の中古マンションの3分の1が値下げに踏み切ったと出ていました。
調査したのは東京カンテイ社で、中古市場に出ているマンションのうち、直近3か月で値下げに踏み切った住戸の割合は5月時点で32.4%だったというのです。

新築と違って、中古の売主は殆ど個人です。個人の裁量で、もしくは都合で売り出し価格を決めることができます。同じマンションの別のオーナーの中には、「安く売らないで。自分の部屋を売る価格に影響するのだから」と言う人もあるかもしれませんが、それでトラブルになったという話は聞いたことがありません。

新築マンションは青田売り(建物未完成の段階で販売)するので、売れないから値下げしようと決断するまで平均したら1年くらいの猶予期間がありますが、中古は3か月で変動すると言えそうです。

売りを依頼するとき、仲介業者と交わすのが「媒介契約」ですが、この期間が3か月なので、もちろん契約後2か月で値下げしても問題はないものの、普通は3か月様子を見て決まらないとき、媒介契約を更新するか、他社に乗り換えるか、それとも売却を断念するかを考え、売却を継続するオーナーは、その際に価格を改定することが多いのです。
3か月経過して売れないと、仲介業者は「少し下げていただけないでしょうか」と提案して来ます。経過を見ていたオーナーは、仕方なく値下げ提案(要求)を呑むというわけです。

筆者に情報提供してくれるW不動産の売り出し価格を見ていると、以下のような事例が毎週見られます(抜粋)。最近の情報では130万円から1100万円、2%~8%ほどの幅で価格改定していることが分かります。

(改定前価格⇒改定後価格)(値下げ幅)
6,270万⇒5,980万円  ▼290万円(4.6%)
4,880万⇒4,750万円  ▼130万円(2.7%)
6,450万⇒6,250万円  ▼200万円(3.1%)
7,380万⇒6,980万円  ▼400万円(5.4%)
5,480万⇒5,230万円  ▼250万円(4.6%)
5,380万⇒5,100万円  ▼280万円(5.2%)
7,980万⇒7,690万円  ▼290万円(3.6%)
4,480万⇒4,280万円  ▼200万円(4.5%)
7,280万⇒6,980万円  ▼300万円(4.1%)
6,980万⇒6,420万円  ▼560万円(8.0%)
9,480万⇒8,990万円  ▼490万円(2.0%)
14,000万⇒12,900万円 ▼1100万円(7.8%
10,980万⇒10,480万円 ▼500万円(4.6%)

個人オーナーが自宅マンションを売却するのは住み替えのためです。
売り先行の人もありますが、買い先行の人も多いはずです。つまり、住み替え先を既に契約済みであり、一定額以上で売れないと資金計画が大きく狂うのです。
このため、早く金額を確定させてしまいたいと考えるのでしょう。

人気マンションの場合は中々売り物がないので、出たらすぐ買いたいという人もあるため、何か月も売れずに残っていることも、価格改定に至るとうことは少ないかもしれません。

そのような物件を待ち焦がれる人は、新築のようにじっくり待つというわけには行かないものですが、もし物件を特定していないのであれば、今は慌てない方が良いと言えるでしょう。良い物件に出会えたときも、腰を据えて価格交渉することをお勧めしたいと思います。


・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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中古マンションがもうすぐ買いやすくなる?? [マンション市場]

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2017/5/20の記事「新築は遅いが中古の値下がりは早い」の中で、「中古マンションの値下がりが近く始まる、その兆しは既に見られる」とお伝えしましたが、先日(2017年6月23日)の新聞でこれを裏付けるような報道があったので、お伝えしようと思います。

新聞には、東京都区部の中古マンションの3分の1が値下げに踏み切ったと出ていました。調査したのは東京カンテイ社で、中古市場に出ているマンションのうち、直近3か月で値下げに踏み切った住戸の割合は5月時点で32.4%だったというのです。

同社の分析では、値下げ例が30%を超えると「値下げが活発な」と言えるそうで、近い将来の価格下落につながりやすいとのこと。値下げが広がる背景には需要の鈍化があると付記しています。

この分析が正しければ、中古マンション購入を検討中の人は焦らない方がよさそうということになりますね。

ただ、意中の物件なり、価格交渉中の物件のある人はどうでしょうか?見送った方がいいのでしょうか?上記の記事を読んだと思われる人からの問い合わせが筆者のところに続けて届いたので、ブログでも所感を述べることにしました。

具体の物件名を書くことは憚りますが、以下は一般論としてご賢察ください。


●売り急ぎのオーナーさんも増えています

中古マンションを売り出す人の事情は一般的にいくつかのパターンがありますが、最も多いのは「ランクアップ住み替え」です。

手狭になったから、もっと職場に便利な場所に住みたいから、子供の通学の便を考えて、眺望の良いタワーマンションに憧れて・・・などです。

もう一つは、「キャピタルゲインを狙った投資家の転売」です。

最近(この1年くらいで)気付いたことは「売りを急いでいるオーナーが増えている」らしいことです。2年前は「売り惜しみ」を感じたものでしたが、逆転したようです。少なくとも筆者の印象はそうです。

マンション価格の値上がりも、もうすぐピークアウトすると盛んに喧伝され始めたからでしょうか?専門家や業界関係者などが「もうピークだ」「高止まった」などと語るからでしょうか?

原因はともかく、高値警戒感は買う側にも売る側にもあるようで、今まさに分水嶺にあるのかもしれません。

売り手は、「下落のトレンドに移りそうだ。早めに売って利益を確定させよう」と強気の姿勢から現実的な姿勢に転換しだしました。筆者に毎週届く中古物件の「値下げ情報」を眺めていると、確信が持てます。

「6980万円で売り出している我が家だけど、6780万円に書き換えてもらいたい。もし買い手さんが指値をしてきたら、6500万円までなら覚悟するつもりもある。とにかく早いとこ決着つけたいので、よろしく」・・・こんな電話が仲介業者に頻繁に届くようになっているとも聞きます。

中には、来年3月に完成する新築マンションに移るための自宅売却を9か月も前の6月から始めた人もありました。値下がりしないうちに買い手を決めておきたいという思惑なのでしょう。もっとも、中古マンションを探している人で9か月先の入居という条件を容認して買ってくれる人があるかは甚だ疑問ですが。


●不動産は夫婦の縁と同じ。大事にした方が良い物件もある

この先、中古マンションの値下がりが始まるとして、それが確実なら慌てて決めることもないわけですが、本当はどうなのでしょうか?

筆者はご相談のあった方には「慌てないで」と言っています。ゆまり、これはという物件に巡り会うまで「じっくり」探すという基本方針をお伝えしています。

ただし、誤解のないようにお断りしておきたい点を最後に書こうと思います。「チャンスかどうかは後になって分かるものであること」、「不動産は夫婦の縁と似ている」ということです。後者について補足しましょう。

夫婦の縁とは「条件」で結ばれるわけではなく、もっと深い何かによって結ばれるものと考えます。

マンションでも同じで、「高いとは思うけど、自分たちにとってふさわしい物件だと思う」や「前々から気になっていたマンションだけど、売り物がめったに出ないので、これを逃すと次はない気がする」、「予算より500万円オーバーです。あと少し頑張るとしても300万円が限界。そこまで下げてくれたら買いますが、300万円下がらないなら縁がなかったと思って諦めよう」などといった決め手を見いだせれば、その物件を買ってよいのではないかと筆者は考えます。

夫婦の絆は損得で結ばれるものでもありません。マンションも優先順位は「生活の向上」や「家族の幸福」などが先で、次が「資産価値」なのです。筆者が常々述べるのは「資産価値」についてですが、「生活の向上」以下、本来の目的を後回しにしていいと述べているわけではありません。個人個人、選択条件も基準も異なるからこそ、他人の筆者が恣意的に言えないだけのことです。

大事なことは、経済的損失を被っても、金銭で測れない精神的価値が高ければ満足度は高いはずです。

見学したとき、この場所、このマンションに住みたいと感じた、その気分を大事にすることも必要です。

自分と家族にとって「ほしいと思うなら、経済的な損得計算は二の次」と敢えて申しましょう。もっとも、「でもやっぱり大損はしたくない」のも人間心理です。そんなときは、筆者の提供する「将来価格の予測サービス」をご利用なさるとよろしいのです。きっと得心できるお答えをお届けできるはずです(笑い)。


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