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第592回 「中古も視野に入れるべきという根拠」 [マンション市場]

★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツ―をご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください☆★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。



2013年秋から筆者は繰り返して「中古マンションも視野に入れましょう」と言い続けてきました。しかし、ご相談者に限って言えば、中古物件より新築志向の人が多いのか、単に筆者の広報が足りないのかは不明ですが、最近も新築のご相談・お問い合わせが圧倒しています。

 価格の高騰によって、新築に手が届きにくくなってしまい、中古も検討し始めたという人も増えた感じはありますが、中古の取引数が大きく伸びているというデータもないのです。新築の契約戸数が減少していることと比較すれば、中古の取引は活発で、成約件数も減っていないので、想定的には中古へ目を向ける人が増えていることは間違いないようですが。

 今日は、なぜ中古に目を目けるべきかという根拠についてお話ししようと思います。

①新築マンションの供給戸数がひと頃の半分に減ってしまったから

いくら欲しくても店頭に品物が置いていなければ買い物はできないのです。数があるようでも、実はひと頃の半分に、23区は60%に減ってしまったのですから、目指す品はなく手ぶらで帰ってくるしかありません。
今は、そんな状況にあるのです。昨年は35,000台、今年も今のところ昨年並みしか品数は揃っていません。これに対し、買いたい人は少なくとも45000人はあります。昨年も、一昨年も買えなかった人が大量にあるので、ひょっとすると5万~6万もあるかもしれないのです。

②新築価格が恐ろしく高いから

 新築マンションの価格は、「メーカー希望小売価格」のようなものです。売れるかどうか分からないが原価と経費がかかった分は少なくとも回収したいから、この価格で売りたい。これがマンションの売り手希望額、言い換えれば購買力を無視した一方的な価格設定というわけです。

小売りの世界では、値上げはたちまち買い控えの態度に変わるので値上げを我慢すると聞きます。逆に値下げして買い手の支持を受ける例も少なくありません。その結果、売上個数が増えて全体の売り上げが伸びるということもあるわけです。

マンションでも安くして売り上げが上がったらいいのですが、売れる数が決まっているので、安くしたら赤字にないなることも多いのです。もともとの利益幅が小さいのからです。
消費財では、「円高の影響で原材料費が高騰し・・・。値上げにご理解を」などと言い訳しながら値上げに踏み切るわけですが、マンションは二つとして同じ品物がないこともあり、「建築費が上がったので値上げすることをお許しください」うあ「昨今、地価高騰が続いておりますので・・・」という言い訳は全くなしに、一方的に価格を決めて販売を始めるものです。

こうして発表された「定価」を受け入れて買うしかないのが新築マンションの世界です。無論、売れ残ったら値引き販売はありますし、安く買いたい人は売れ残りを待てばいいわけです。ところが、マンションは全て一品ものなので、買いたい品が長く残るという保証もないので、値引き販売の時機を逸することになりかねません。

こうして、原材料費(土地代+建築費)が上がったために高騰した価格の品を渋々受け入れて買うしかないのです。

高くても買える人もありますが、一定の金額を超えたら手が出ない人もあるわけです。2012年を100としたとき、現在の新築価格は130くらいになっているのです。地域限定になる住まいという特殊な商品だけに、ある地域はそれまでの相場の50%も高いものしか売っていないこともあり、気に入った物件が予算の範囲では見つからないという実情に今はあるのです。

 ③市場が適正と判断した価格で売られるのが中古

新築のマンション価格は、メーカー(分譲主)希望価格ということでしたが、中古の場合は一方的な希望価格は通用しません。売主は、多くが一般個人です。個人は、仲介業者によるナビゲーションを経て売値を決める流れになっています。

仲介業者の世話になりながら市場に我が家を出品するのです。この習慣が定着し、その時々で変動はしつつも、市場価格が自然に出来上がっています。いくらで買ったか、いくらのローンを使い、その金利をいくら払ったかなどという、いわば売主の原価は一切考慮されずに価格は決まるのです。

査定は、このマンションならいくらで売れそうですという査定によって価格は導かれます。売主にとって気に入らない価格であっても、ONできる幅はせいぜい5%です。それも買い手からの値引き交渉の結果消えてしまうものです。新築のように、「これが定価だ。定価で買って下さい」が通用するのは例外的です。

ここまでを整理すると、「売れなくても下げない新築」、「市場の圧力で下がりやすい中古」という差異があるのです。言い換えると、価格の硬直性が高い新築、価格に柔軟性のある中古ということになりますね。

続きはこちらhttps://mituikenta.com/?p=1785
(ただいま引っ越しの途中です)続きの記事の小見出しは以下の通りです

④新築は売主に肩入れするが中古は買主に味方する営業マン ⑤発想を転換すると予算を1000万円も下げることが可能になるのが中古 ⑥新築は広さと立地の妥協が必要



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第589回 新築・中古マンション市場動向 [マンション市場]

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買いたい人が多数あるのに、買える物件がない。数はあるが高いものばかりで予算が届かないために買えない人が多い。このような状況を早く脱して欲しいと願いながら毎月のデータ発表を注視している筆者ですが、良い情報は中々お届けできません。

ともあれ、今月は中古マンションも加えて解説しようと思います。


【新築マンション】

●発売戸数は停滞
1~10月:26,052戸と月平均で2600戸余、このままのペースなら年間31,000戸か32,000戸と昨年を下回ることになりそうですが、最近は11~12月に大量の発売を行う傾向があるので、仮に前年並みの9700戸が一気に売り出されれば約37,000戸となり、2016年(35,772戸)を上回るのですが、果たしてどうでしょうか?

どちらにしても、2013年の56,478戸、2014年の44,913戸、2015年の40,449戸には届きません。売り出し戸数は停滞が続いています。

●売れ行き低迷

2017年1月以降の初月契約率を見ると、1月:61.6%、2月:68.4%、3月:66.2%、4月:66.3%、5月:72.2%、6月:67.2%、7月:71.9%、8月:68.2%、9月:64.9%、10月:60.7%(23区は68.3%)と5月を除いて60%台が続いています。

好調・不調の分岐点70%を下回るペースが昨年からずっと続いているのです。売れないので発売戸数を絞らざるを得ません。着工している100戸のマンションを売れそうな数の30戸だけ売り出すという「分割販売」を強いられているとも言えます。
好調時でも分割して販売するのが慣習ですが、その回数が好調時は50戸、50戸のように2回なのに、今は5回も6回にも、小刻み(小出し)になっています。少し大型のマンションになると、10回を超えるものも珍しくない現況にあるのです。

1期5次発売とかになっていれば6回目の売り出しを意味します。この「期」と「次」の数字が大きいほど販売は順調でないことを指しています。

1回当たりの戸数を絞るのも、売れないという予測が前提にあるためです。売り手の期待は、100戸売り出して80戸くらい売りたいのですが、70戸も売れないという状況が続いているわけです。売れ残りマンションとして市場で棚ざらしになることを恐れての「分割販売策」ですが、予想(期待)下回っているということです。

1回当たりの売り出し戸数が3戸とか5戸といった少数のケースも多々見られる最近は、買い手から見て、慌てなくとも購入できることを示唆するものですし、売れ行きの悪い物件は「価格が高い」と見なされていると見るべきなのです。


●価格動向は?

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第587回 減った新築マンション。リセールバリューに期待 [マンション市場]



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新築マンションの数がひと頃の半分になってしまったという情報は以前にどこかの記事の中で書きましたが、この意味するところは大きい。今日は、そんなお話です。


●首都圏も近畿圏、中部圏も供給戸数が大幅減

首都圏の新築マンション年間供給戸数の推移をみると、最近数年は10年前と比べると半減しています。23区だけは40%減。

2004~2005年頃は8万5千戸も供給されました。ところが、10年後の2014年、2015年は4万2千戸に半減したのです。

この前後も同様で、10年前は8万戸、最近は4万戸、ざっくりと言えば数字はこうです。2016年は3万5千戸台とさらに減少、2017年も10月までのペースを見ていると年末までに4万戸には乗らないことが明らかです。
 
近畿も、中部も同様の傾向にあるのです。

どうしてこんなに減ってしまったのでしょうか?理由は二つ考えられます。

この話は前にもしたので、要点だけにしますが、ひとつは、中小デベロッパーの減少です。つまり、作り手がいなくなったのです。

理由の二番目は、用地の取得ができなくなっていることです。

昔からマンション用を買収することは簡単ではなく、デベロッパーを泣かせて来ましたが、この数年の状況は半端ではないと現場の諸氏は語ります。「土地がない。買えない」と嘆いているのです。

大量に土地を買収して5年分の用地を取得済みという噂が聞こえて来るのは住友不動産だけらしいとも。

●マンション開発は長い時間がかかるもの


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第584回 マンション価格と東京大改造計画 [マンション市場]

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マンション価格が急騰し、購買力が追い付かない状態。これが現状のマンション市場です。新築も中古も同様です。

新築が上がれば連動して中古も値上がりするという構図なので、安いはずの中古も随分高くなってしまいました。統計数字をグラフで表せば、中古が新築価格の下のラインを推移しているのは間違いないものの、特定エリアの特定物件を見ると、新築相場を超える価格で取り引きされている例もあります。

中古を検討している人から、「中古がこんなに高いなら新築の方がいい」といった声も上がっています。一般論としては、正しい見方かもしれません。

新築の供給が少なくなってしまったので、勢い中古に人気が集まり、結果として中古の価格が上がってしまうという状態にあるのです。

購買力が追い付かないほど高くなってしまい、買えなくなった人はどうするのでしょうか? 昔なら安いマンションを求めて郊外へ向かったものですが、最近の人は郊外へ目を向けない傾向が強いようです。

このため、郊外マンションは元々郊外に住んでいる人だけが買うということになるので、都心・準都心需要を誘引できないため、分譲主は販売促進に苦労しています。

「希望するエリアに買えるものがない」と嘆いていた人たちはどこへ向かったのでしょうか?そうです。ウエイティング中なのです。

買いたいものが出て来ると信じて新発売の物件を待ち続ける人も多数ありますが、ふたを開けてみると驚愕の価格。出し惜しみするかのような新築マンションの価格公表の仕方にいら立ちつつ、期待して待つ。しかし、どれも期待外れに終わるようです。

頭打ちになりつつあるとはいえ、まだ下がる気配を見せない。一体いつになったら手が届くマンションが出て来るのだろう。そんな思いを持ちながら、今日も新発売の物件を追いかける日々。

とっくに検討を諦め、「オリンピックが終わるまでは様子見だな」とか、「当分休憩するよ」などと仰る人も多いと感じます。

●無責任な「五輪後に価格は下がる」発言

筆者は滅多に他人のブログを覗くことはありませんし、掲示板も自分から探して見に行くことは年に1回あるかどうかというほど縁遠いのですが、偶然に何かの記事で「東京オリンピックが終わったらマンション価格は下がる」というくだりに遭遇することがありました。不動産関連の経済誌などにも同様のフレーズを見つけていました。

その種の記事は、2014年か15年あたりが一番目についたように記憶していますが、最近はどうなのでしょうか?

多くの識者が五輪後の景気失速を心配し、贅沢品(住宅もそのひとつ)が売れなくなるだろう、売れなくなれば当然のごとく価格が下がると発言していたものです。その受け売りで発言するブロガーや似非(えせ)専門家も続きました。

変人の筆者は、「そうかな」と疑念を持ち続けています。

筆者に届くメールには「今は買うべきではないのでしょうか?」や「オリンピックがお終わるまで待った方がいいでしょうか」という質問が頻繁です。インターネットや週刊誌の記事に影響を受けたのでしょうか。筆者は「買い時は今です」という趣旨のお答えをすることにしています。

その根拠についてはこのブログでも発信して来ましたが、今日は別の角度で自分の意見を強化しようと思います。


●マンションの原価は「土地代+建築費」
新築マンションの原価構成は「土地代」+「建築費」です。これで売値の80%を占めます。粗利は20%しかありません。ここから、広告費やモデルルーム建設費・運営費、販売手数料などを差し引くと利益は10%。大まかに言うと、こんな内訳になっています。

つまり、価格に影響を与えるのは土地代と建築費なのです。土地代は都心で高く、郊外は安いわけですが、建築費はどこでも大差がないので、都心は土地代と建築費が50:50くらいで郊外は30:70といったシェアになります。

マンション用地は、ある程度の広さが必要ですし、駅に近いもの、環境もできるだけ良いものをとデベロッパーは探し求めます。しかし、中々良い用地はありません。日常、たくさんの売地情報が飛び交いますが、「千三つ」の確率でも買えるかどうか、デベロッパーの用地担当者は「買えない・買えない」と嘆く日々を送っています。

都心部では、たまに中小ビルの所有者が廃業や相続に伴って売りに出すことがあります。最近3年くらいに急に増えた東日本橋当たりの新築マンションは、大半が中小ビル跡地ですが、中堅・中小のデベロッパー各社は、これらをこぞって仕入れ、小型マンションを建設しています。小型は大手は参入しないかというと「さにあらず」で、大手の三井、三菱、野村、東急なども顔を見せています。

「こんな小さな物件まで大手が」と感じるものすら大手が手掛けているのです。売り上げを大きく上げたい大手業者は、50戸建てるも500戸建てるも苦労は大差ないので、小規模マンション(小規模売地)は見送ることが多いのですが、適地がないので「背に腹は代えられない」と参入することもあるのです。

マンション用地は社宅跡地がふさわしいものですが、多くの企業が社宅を手放してしまい、最近はとんと売りものがないのです。倉庫跡地は湾岸エリア、工場跡地は板橋区や北区などから出て来ることはありますが、数が足りません。

最近は訪日客の増加でホテル需要が高まり、ホテル業者に横取りされてしまうとも聞きます。

嫁一人に婿10人状態のマンション用地は、高値になりがちです。立地条件がよく、まとまった広さの土地にデベロッパーが殺到し、互いに買収額を競り上げてしまうからです。

今後も、この傾向は続くことでしょう。郊外部はともかくも、都心・準都心、郊外でも駅前などの限られたマンション用地は下がる見通しが全く立ちません。


●建築費も下がらない

次に、もうひとつの柱である建築費について見ましょう。

東日本大震災以降、復旧・復興工事で建設業界は多忙を極めています。人手不足のために建築費は2割も3割も上がったと言われます。

建設という仕事は、ブルドーザーやクレーン車、杭打機といった機械も使うものの、過半は人力なのです。だから、建築費の45%は人件費と言われます。人がいないとどうしようもない仕事です。しかも一定の熟練者でなければなりません。鉄筋工、配管工、とび職、タイル工、大工といった専門職ばかりです。

官公庁から降りて来る仕事を業界内で分け合いながら存続していた建設業界が、あるときから劇的に減る方向へ潮流は変わってしまいました。このため、建設業界は統廃業や倒産が増えて、専門職は業界に見切りをつけて減少しました。

仕事が増えたから戻ってこいと言っても今更戻れません。高齢化も進んでいるので、人手は慢性的に不足しています。女性を雇用したり、外国人研修者を活用したりしていますが、殆ど焼け石に水と言われます。

結局、全国から職人をかき集めて不足を解消させているわけですが、日当(人件費)は上がらざるを得ません。人件費の上昇が一服したという声もありますが、人手不足は解消されていないために(2017年4月21日報道)、建築費が値下がりに転じることにはならないようです。

ときどき、建築資材(鋼材など)がいくらか値下がりしているという報道に触れることもありますが、先述のように建築費の45%は労務費(人件費)と言われるだけに、建築費が大きく下がる材料とはなりにくいのです。

今後の見通しについても、建築費に関しては悲観的な見方が圧倒的です。つまり、まだ東日本震災の復興需要は残っていますし、国土強靭化の名のもと、公共投資が急増しているうえ、今年(2017年)は東京オリンピック関連需要が本格化して来たからです。

今回のオリンピックは可能な限り既存の施設を利用しようとしています。大規模な競技場は「国立競技場」くらいですが、大きいのは中央区晴海に予定されている選手村の建設です。これは、オリンピック終了後に民間に払い下げられます。取得する民間企業は、これを住宅に改修して一般に分譲または賃貸することになりますが、選手村の建設費は全部で5600戸もの大規模なものだけに、周辺整備費も含めると数千億円にもなると見込まれています。

老朽化した高速道路の改修をはじめとする道路工事などを含めると、オリンピック関連工事は、兆円単位で発生すると言われます。

これらの建設は五輪後になくなるわけです。特需的なものがなくなれば、必ず反動減になり、価格も下がる。これが常識です。マンションの工事費が下がるとしたら、東日本大震災の復興工事がなくなり、東京オリンピック関連工事がなくなって建設業界が暇になることですが、急激な落ち込みはないという見方も少なくないのです。

これまでもそうであったように、新たな仕事は生まれて来るものです。代表的なもの、それが、東京都心の再開発です。公共工事も出て来るはずです。

●再開発が建設業界を後押しする

過去の景気対策を見ると、政府が打ち出すのは決まって公共工事です。高速道路やダム建設、庁舎の建て替え、学校の建て替えといったものでした。これらの一部は「箱もの行政」という批判のもとに消えたかのようですが、形を変えて続けられています。

アベノミクスも異次元の金融緩和と公共工事が柱といって過言ではありません。景気対策を前面に出すかどうかは別として景気浮揚策は政権が決して手放さない政策の柱です。何故なら国民が常に望むテーマだからです。

今後の公共工事は老朽化したインフラ(橋梁や道路など)の改修工事が中心になるかもしれません。50年を経過して問題になっている施設・設備が無尽蔵にあると言われるからです。小池都知事が打ち出している「無電柱化」も公共工事として浮上して来ることでしょう。

東京だけでなく地方の大都市でも再開発ブームが続いています。老朽化インフラと同じで、街も老朽化しています。人口の集中が続く大都市では、土地の効率活用、すなわち高度化が必須になっています。容積率のプラスによって再開発を誘導しようという動きも活発ですが、これもアベノミクスの一部です。規制緩和の一環というわけです。

東京を見ると、10本の指では収まりません。次で具体的におさらいしてみますが、既に工事が始まっていて東京五輪までに終わるものもありますが、五輪後も続く大型案件、これから始まる案件が目白押しにあります。これらが、建設業界の繁忙を支えることになるはずです。

とすると、マンションの建築費が下がるという見通しは出て来ません。


●東京大改造プロジェクト

オリンピック用のホテル建設は急ピッチかもしれませんが、とても足りません。民泊で対応しても足りるのかどうか微妙と言われます。東京オリンピック以降も訪日外国人は増えると見込まれていますから、ホテル建設ブームは続くことになるのでしょう。

さらに、品川駅のリニア新幹線関連工事や山手線の「新駅」の開設と関連工事、浜松町駅周辺開発、日本橋呉服町再開発など、都市再開発が目白押しに予定されています。

品川地区・・・JR東日本が車両基地の活用で新駅(山手線・新田町)とオフィスを開発する。JR東海がリニア新幹線を計画

虎ノ門~麻布台地区・・・森ビルが中心に、虎ノ門ヒルズ周辺で外資系企業を誘致するためのオフィス備(虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー・虎ノ門トラストタワーなど)やインターナショナルスクール、住宅などを整備するほか、日比谷線の「虎ノ門駅」の新設や空港リムジンバスも発着可能なバスターミナルなども設ける予定で、六本木ヒルズに匹敵する規模のグローバルなビジネスセンターとする予定。
330mの超高層ビル(一時的に日本一の高さとなる)など、一部は2022年に完成予定。

日本橋~八重洲地区・・・三井不動産が商業施設を併設したオフィスビルを整備

渋谷地区・・・東急電鉄などが駅ビルを超高層化(渋谷キャストをはじめとする複数の商業ビルが誕生する。ほかにも代官山Rプロジェクト=東急東横線の地下化でできた渋谷―代官山間の線路跡地にビル2棟建設。ホテルやオフィス、保育所などが入居予定)

浜松町地区・・・世界貿易センタービルの建て替え・ニッセイ浜松町クレアタワー・竹芝ウオーターフロント開発事業

田町地区・・・三菱地所と三井不動産がオフィスビルやホテル建設中

有明地区・・・住友不動産が商業施設や外国人向け住居を整備

その他・・・・日比谷三井ビル建設/三井物産本社ビル建て替え計画

●2020年以降も続く東京大改造計画

東京駅常盤橋地区・・・三菱地所が日本一の高さ390mとなる大手町常盤橋B棟を建設する。27年に完成する予定

東京駅八重洲地区・・・三井不動産による八重洲二丁目地区再開発

中野地区・・・中野サンプラザ・区役所一体開発

東京都だけではありませんが、リニア新幹線の計画は、トンネルなどの土木工事と、品川駅・名古屋駅などの新設工事が2025年頃までかかるようです。


●結論:マンション価格が下がらないかも

マンション価格は下がりにくいことがお分かり頂けたと思います。土地代も建築費も下げ余地が少ないのです。

しかし、価格を下げなければマンションは売れません。既に2年前の秋以降、販売不振状況にあるのです。昨年は価格が頭打ちになりましたが、今年もじわりと値上りが続いています。このままではけがをする、そんな危機感をデベロッパー各社は抱いています。しかし、有効な策は描けていません。

最後の策は、利益率10%を5%に圧縮することしか考えられません。設計変更をして建物グレードを下げる策も限界に来ているからです。

買いやすい価格のマンションを郊外に作るとか、駅から遠い立地に建てるのも決め手にはなりません。デベロッパー各社は八方ふさがり状態です。もはや最後のカードを切るほかないのです。しかし、利益率10%をゼロにして販売することはありえません。せいぜい5%程度の圧縮が限度です。つまり、これから値下がり局面を迎えるとしても、その程度なのです。

2009年、2010年頃も同じ状況でした。2005年頃から2008年にかけて急騰したとき、各社が取った策は利幅の圧縮でした。土地はもう既に高値で購入していたので原価は変わりませんでした。建築費も、大きく下がる環境にはなかったのです。建物をシンプル設計にしたり、グレードを下げたりという策も取ったものの、それだけでは足りず、仕方なく利幅も圧縮したのです。

当時の価格(坪単価)の推移を見てみましょう(23区平均)

2005年:226万円
2006年:236万円(上がり出した年)
2007年:282万円(前年比19%もの急騰)
2008年:281万円(頭打ち)
2009年:263万円(6%の低下)
2010年:274万円(再び上昇したが前・前年比3%の下落)
2011年:268万円(前年比2%の下落)
2012年:264万円(今回の値上がり前の最後の年。2013年以降は再び急騰。2007年比6%の下落に過ぎなかった)

*******************

2012年が今回の急上昇局面での最後の安値の年でしたが、ピークの2007年・08年から僅か6%しか下がりませんでした。この年が東日本大震災の翌年に当たっています。

蛇足:2015年:326万円(2013年以降急上昇。2012年比23%アップしてようやく頭打ち)/2016年:332万円(しかし、昨年も僅かに上昇。2017年も同様の傾向が続いている)

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。



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第582回 「2022年の生産緑地の宅地化でマンション用地は増えるか?」 [マンション市場]


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生産緑地として指定され、固定資産税などの優遇措置を受けている都市農地が、2022年に期限切れを迎えると、一斉に売却に動く地主が現れ、地価は暴落する。こんな論調の週刊誌やインターネットの記事が出ているためか、「どう思いますか」という質問をときどき受けるようになったので、今日は生産緑地の宅地化とマンション価格の関係について述べようと思います。


●生産緑地とは?

1974年に公布された生産緑地法では、市街化区域内の宅地化を促す目的で大都市圏の一部自治体では農地の「宅地並み課税」が行われ、これにより都市近郊の農地は宅地化が進むことになりました。

その後、1992年の生産緑地法改正により市街化区域内の農地は、保全する「生産緑地」と、宅地などに転用される農地に区分されました。

自治体が指定した土地については、固定資産税は農地なみに軽減され、また相続税の納税猶予が受けられる「生産緑地制度」が適用されたのです。生産緑地とは、生産緑地法に基づき、市街化区域内の土地のうち、一定の要件を満たす土地の指定制度(生産緑地地区制度)に沿って、管轄自治体より指定された土地ことです。言い換えると、生産緑地とは、都市計画で保全することを決定した大都市圏における市街化区域内の農地のことです。

生産緑地はもともと三大都市圏の市街化区域を念頭に定められた規定のため、「都市農地」と表されることもあります。指定地区数、面積とも東京都が最も多く、国土交通省がまとめた資料によれば、全国合計のうち地区数の約5分の1、面積の約4分の1が東京都にあるのだそうです。また、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府の6都府県で全体のおよそ8割を占めるようです。

東京の場合、大半は市部にあります。23区は約13%、千代田区や中央区のような「生産緑地」が全くない区もあります。比較的多いのは、江戸川区、練馬区、世田谷区の3区です。

生産緑地に指定されるには、次のような要件を満たすことが必須です。
①農林漁業などの生産活動が営まれていること、または公園など公共施設の用地に適していること。 ⓶面積が 500㎡以上であること ③農林漁業の継続が可能であること(日照等の条件が営農に適している等)。

生産緑地の指定を受けると、農地としての維持管理を求められ、建築物を建てるなどの営農以外の行為が制限され、また農地以外としての転売はできなくなります。一方、それ以外の農地は、宅地並みの固定資産税を課せられることになったのです。

宅地並みの課税をされた農地は、売却へ動くことになり、地価の高い区域では農地が次第に減少し、住宅・マンション等の建設が進みましたが、営農を決断した農家は「生産緑地」として今日も耕作を続けているというわけです。

●生産緑地の指定解除

法は、「以下のいずれかに該当する場合に市区町村の農業委員会に買取り申し出を行い、市区町村が買収せず、農業経営者への買取りあっせんを経て生産緑地として買収する者がいない場合には生産緑地の指定が解除される」と定めています。

①生産緑地の指定後30年経過。②土地所有者または主たる従事者の疾病・障害等により農業等の継続が困難な場合。③土地所有者の死亡により相続した者が農業等を営まない場合。

このうち、報道が過熱しているのが、「生産緑地の指定から30年経過したとき」です。

所有者が死亡または農業従事できなくなった場合に、所有者は市町村に対し買い取りの申出を行うことができ、市町村は特別な事情がない限り、時価で買い取らなければならないのです。

しかし、財政負担が難しいという事情から、これまでに申出を受けて市町村が買い取るケースはほとんど無かったと言います。市町村が買い取らない場合、及び市町村の斡旋によっても生産緑地として買う者がいない場合は、この生産緑地指定が解除されます。

1992年に最初の指定を受けて30年が経過する2022年以降、一斉に買い取りの申出が行われたても、大部分が買い取られず、その結果、生産緑地の指定が解除されて宅地化が進む、その可能性が非常に高いと見込まれています。

これまで、相続が発生したとき相続人が農業を継続しないことから生産緑地が解除されると、固定資産税が一気に跳ね上がる為に相続人は維持できず、売却や有効活用を選択してきました。

有効活用とはアパート建築が典型的な策でした。アパートを建てれば、固定資産税は農地ほどではないものの、大きく軽減されるからです。

●2022年問題に乗じるアパート建設業者

今、建設会社が2022年問題というセミナーを各地で盛んに催しているようです。

建設会社は生産緑地指定解除を絶好の商機として賃貸住宅の販売先として生産緑地所有者を虎視眈々と狙っているのです。

生産緑地にマンションやアパートが建設されれば、建設戸数は飛躍的に増加します。賃貸住宅の建設戸数が大幅に増えるとどうなるのでしょうか?

空き家が社会問題として大きくクローズアップされている昨今、建設業者の提案にやすやすと乗せられる農家が大量発生するとも思えません。

生産緑地の大半が「一気に」放出され、そのぶん空き家が大量発生するという論調も多く見受けられますが、必ずしもそうはならないはずです。

●営農継続か売却かの選択

 これまで、相続が発生したときに「生産緑地」の継続を選択したケースはどのくらいあったか知りませんが、多くはなかったことは間違いありません。

生産緑地とすることによって、相続税評価額も非常に低廉になり、納税猶予制度の適用を受けることが出来ますし、固定資産税も今まで通り少ないままで良いというメリットがある反面、デメリットとしては、生産緑地を相続したら終身営農が義務付けられ、万が一途中で農業をやめてしまうと、相続当時の相続税納税額を3.6%の利息を付けて払わなければなりません。

そのことを懸念して、売却という選択をした場合でも、これまでは一斉に相続が発生するわけではないので、大量に売り出されたこともなく、売り出される都度、建売業者などが競い合うように購入して行きました。

しかし、2022年には相続の発生とは無関係に生産緑地の解除によって一斉に大量の土地が市場に出まわることになるかもしれません。その土地を買うのは、建売業者と考えられます。しかし、住宅立地としてふさわしくない農地も多いので、買い手がつかずに、叩き売りになる事も考えられます。

●マンション用地に限定して考えてみる

1992年以降、減り続けて来た農地ですが、売却に回った農地は、駅に至近の価格の高いものが中心でした。早い段階で換金されていたのです。今、残っている生産緑地は駅から徒歩10分以上、遠い地域ではバスでも15分かかる場所ばかりと言われます。

従って、マンション用地として提供される可能性は低いと思います。世田谷区には何故か徒歩10分圏内で小型マンション建設に丁度いいと思える生産緑地が散在していますが、無数にあるわけではありません。

駅から徒歩10分を超えると、人気の高い世田谷区でもマンション販売はとたんに厳しくなるので、手を出すデベロッパーは多くないと見ます。また、大型マンション建設が可能な広い生産緑地は殆どないと思います。

駅に遠い、規模も小さいとなれば、購入するのは建売業者やアパート建設業者が中心になるでしょう。

しかし、既にアパートは供給過多と言われていることから、建売業者が安く買い叩いて事業用地にするケースが多くなるのではないかと思います。その結果、地価動向に影響を与える(下落する)のは必至と考えるのが自然です。

そのおかげで、マンション用地も下落して買いやすくなればマンションデベロッパーは喜ぶでしょうが、そもそも適地が少ないので、結局は競いあって地価を吊り上げてしまうのではないか。筆者は、そんな予想を立てています。

飛躍しますが、1住宅当たりの敷;地が広くて価格が安い建売住宅が増えれば、マンション市場にも影響を与える可能性は出て来るかもしれません。しかし、マンションを求める階層は駅から遠い建売住宅と競合する確率は低いとも思います

つまり、マンションユーザーにとって、「2022年問題」は期待もできないし、危惧もない問題かなと考えているところです


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第579回 三菱地所レジデンスの「オイコス」シリーズ誕生の陰で [マンション市場]


★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツーをご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください★★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

過日、三菱地所レジデンスが、ファミリー向けマンションの設計と施工を得意とする長谷工コーポレーションとコラボレーションした「ザ・パークハウス」の新シリーズ「オイコス」を発表しました。

この新シリーズは、どのような意図で生まれたのでしょうか?経緯はともかく、マンション業界が置かれた苦しい事情が透けて見えて来ます。

時代が求めるニーズに呼応するイノベーティブで、デザイン性の高いマンション。ザ・パークハウスの安全性や品質のもとに、自由度の高い、お客さまにあった自分らしい住まい方を提供していきます・・・同社のHPにはこうあります。

実際に供給された物件は、本日(2017年9月30日)現在、以下の3物件です。

1:「ザ・パークハウス オイコス赤羽志茂」(東京都北区志茂・東京メトロ南北線「志茂」駅より徒歩6分・2019年1月中旬竣工予定・総戸数502戸)~近日発売~

2:「ザ・パークハウス オイコス八潮」(埼玉県八潮市・つくばエクスプレス「八潮」駅から徒歩5分・竣工/2018年2月予定・総戸数/66戸)~先着順受付中~

3:ザ・パークハウス オイコス金沢文庫(横浜市 金沢区泥亀2丁目・京浜急行線「金沢文庫」駅より徒歩7分・2018年11月完成予定・総戸数323戸)~近日発売~

価格は、オイコス赤羽志茂が65.26~84.52㎡で3900万円台~7500万円台となっています。平均坪単価は、推定@250~260万円くらいになるでしょうか?とすると、JR京浜東北線「東十条」駅徒歩5分・東京メトロ南北線「王子神谷」駅徒歩6分の販売中・大規模物件「ザ・ガーデンズ東京王子」の平均@258万円とほぼ同じレベルということになりそうです。

オイコス八潮は、受付中の9戸が62.45~81.68㎡で3498~5028万円、平均坪単価@195万円前後で販売中です。これは、2016年9月発売の「シティテラス八潮493戸(八潮駅より徒歩8分)が@180万円台だったので単純比較だけでも10%ほど高いようです。

オイコス 金沢文庫は、58.11~85.02㎡で3,500万円台~7,500万円台とのこと。平均単価は不明ですが、@250万円くらいでしょうか?金沢文庫の供給事例が最近は極端に少なく、相場は形成されていませんが、推定@200万円前後と見ます。としたら、詳しく調査していないので断定はできないですが、2割くらい高いと感じます。

三菱地所レジデンスの物件は、都心や都心でなくても高級とされる住宅地の高級なマンションというイメージがありましたが、藤和不動産と合体(2011年)してからは郊外も下町も、何でも扱うデベロッパーというイメージに変わってしまいました。

合体を機に、ブランドも「パークハウス」から「ザ・パークハウス」に変わりました。「ザ」が冠されても、別に高級路線の物件というわけでなく、どこで開発したマンションでも、グレードが変わらなくても「ザ・パークハウス」なので、失望感を覚えたものです。(最上位の高級ブランドとして「ザ・パークハウス グラン」はありますが)

つまり、「低額マンション・中級マンション、従来の高級・高額マンション。需要があれば何でもやります」というスタンスになったわけですが、現在販売中の物件(近日発売を含む)を通覧してみると、超都心から準都心、郊外まで、城西、城南、城東、常北、都下(市部)、千葉、埼玉、神奈川と全方位・首都圏広範に亘ります。

ここに新たに加わった新シリーズ「オイコス」は、どのようなものになるのでしょうか?わざわざ「オイコス」というサブネームを付けたのは、ブランド戦略の一環であることは間違いありませんが、商品内容はいかがなものでしょうか?想像してしまうのは、野村不動産「オハナ」シリーズです。

オハナは、外周部で開発。「上質な住まいを魅力的な価格でお届けしています」とHPで謳っています。

オハナシリーズの第1号は確か2012年発売の「平塚」だったと思いますが、現在、「船橋習志野台146戸・価格未定」「オハナ 北習志野241戸・3LDK/2,298万円~」「オハナ 相武台225戸・3LDK/2,500万円台~」、「オハナ 淵野辺ガーデニア516戸・3LDK/2,400万円台~」「オハナ 東川口」「オハナ 蕨錦町129戸・3LDK/2,900万円台~」「オハナ 町田オークコート310戸・3LDK/2,800万円台~」「オハナ 昭島中神(東京都昭島市)価格未定」など多数展開中です。

最低価格は、どれも2000万円台に設定していますね。


オイコスもオハナと同じような中身だろうと連想してしまうのは、両方のシリーズの展開にかかわる設計・施工会社が長谷工コーポレーションだからです。

長谷工コーポレーションは、廉価版マンション・規格型マンションの施工で最も強みを持つゼネコンと言われています。その設計と施工なら、売主が変わっても中身は似たようなものと思うわけです。

商品企画を主導するのは、あくまでデベロッパーであり売主なので、本来ゼネコンは無関係です。商品企画という業務をゼネコン任せにしたのでは、デベロッパーの存在意義はありません。しかしながら、現実はというと、土地を探してくるのも長谷工、基本プランを企画して設計図を持ち込むのも長谷工、施工も長谷工というプロジェクトが多数ありますし、年間の販売物件の90%が長谷工絡みなので、まるで「おんぶにだっこ」と揶揄されているデベロッパーもあるのです。

一般にゼネコンは、デベロッパーの選出した設計事務所によって作られた設計図に基づいて工事費を積算し、同時にライバル・ゼネコンとの競争に勝って初めて工事請負という仕事の受注に至るのですが、稀に再開発などの案件で地権者と密接な関係を築き上げたゼネコンが、そのまま施工を特命で受注できることがあります。

この場合の発注者は、再開発組合から選ばれたデベロッパーが途中からプロジェクトに加わるので、そのデベロッパーとなります。

ゼネコンは、土地所有者から受注します。普通、発注者はマンションデベロッパーです。しかし、デベロッパーは「競争入札」方式で発注先を決めます。いくら銀座で飲み食いしても、見積もり競争に勝たない限りゼネコンは仕事をもらえないのです。

そこで、先に述べた再開発プロジェクトのようにデベロッパーが土地を取得する前から開発予定地を押さえることが必要になります。マンション用地を日々探し続けるデベロッパ―より先回りして土地を買ってしまえば、欲しがるデベロッパーに対し、当該用地を譲る代わりに工事を無競争で(特命で)発注してもらうことができます。

かつて、ゼネコン自ら売主になって分譲した時代がありました。自ら売主になれば「分譲利益」と「工事利益」のダブルで利益を取れると思ったからです。また、ライバル社と工事費の叩き合いをしなくて済みます。

ところが、「餅は餅屋」でした。マンション販売事業のキーになる部分がよく分かっていなかったゼネコンは失敗続きで、とうとう自ら売主になるのはリスクが大き過ぎることを思い知らされるのです。やがて、ゼネコン各社はマンション販売事業から撤退しました。

今でも、たまにゼネコン(施工会社)が自ら売主として販売している物件を見かけますが、これは不本意ながらそうなってしまった特別なケースです。

自ら売主になって事業展開しているゼネコンは、経営破綻し「株式会社大京」の傘下で再建中の穴吹工務店が有名です。見積もり参加しませんかと声がかかるのを待っていたのでは生き残っていけないと、自ら土地を取得して仕事を造り出そうという戦略「造注(ぞうちゅう)」を積極的に展開し、一時は当時日本一の供給戸数を誇った大京を抜いて全国トップに立ったのです。

長谷工も、かつては子会社の長谷工都市開発やファミリーといった企業に土地を買わせ、特命受注で業績を伸ばしたときもあったのですが、「造注」先を子会社から資本関係のない一般デベロッパーだけに特化しました。どういうことかを説明しましょう。

長谷工コーポレーションの強みは、廉価版マンションの建築ノウハウだけではありません。土地を探す能力に優れています。本来プロのはずのデベロッパーより土地を見つけて来るスピードに長けているのです。

見つけた土地をデベロッパーに紹介しつつ工事を受注するだけでなく、時には先に自社で買ってしまう(一時的に抱く)という思い切った策も講じています。

工事がしやすい土地(面積の大きい土地)、単名地主(工場跡地などの法人)に目を付け、そこに工事費が安く上がるプランと予定工事見積、さらには事業採算の計画書(収支計算)、市場調査レポートまでをセットしてデベロッパーに案件を持ち込むのです。筆者は、その場面と計画書一式を過去何度も目にしたものです。

「この土地をお買いください。当社ならこの建築費で建てられますので、分譲価格は〇〇になります。これで販売なされば、市場調査レポートにあるように僅かなリスクで事業は成功裏に終わるはずです」と甘言をささやくのでした。

長谷工コーポレーションは、設計も自社で行うことを前提にしています。そうでなければ工事費を安くすることができないのです。詳細は割愛しますが、工事費を下げる基本は「省力化」と「規格化」、「単純化」、「部材の大量調達」といった方法になります。

窓枠、窓、バスユニット、洗面台、便器、玄関ドア、室内ドア、屋外階段などの部材ひとつひとつの形やサイズ、品質もさることながら、間取りの形まで決めておけば、コストダウンが図れます。さらに、施工手順や工程の管理によってもコストダウンは大きく変わります。

長谷工コーポレーションの設計・施工の定番は「直床構造(非二重床)」と言われますが、これだけでも手間は3分の1、材料費も半分ですむ、全体の工期も他社より1か月は短縮できると聞いたことがあります。

ただ、誤解のないように断っておかなければなりませんが、設計図まで長谷工にお任せにしたのでは、デベロッパーの色がなくなりますし、「売れる商品づくり」を目指すデベロッパーは、差別化という味付けを考えます。

大昔、長谷川工務店といった時代の設計は、外観だけでそれと分かってしまうのですが、今の長谷工は外形的には分からないように設計しています。

定番と述べた「直張り」も、デベロッパーの意向で二重床になっているケースは少なくありませんし、他の面でも定番のスペックを上回っているものもあるのです。


話を元に戻しましょう。三菱地所レジデンスのオイコスはなぜ生まれたのでしょうか?その背景について語りましょう

東日本大震災以降に起きた建築費の上昇は、マンション価格の高騰を招き、その結果、販売不振マンションを続出させるに至りました。

都心の一等地など、好立地では価格が高騰しても購買力の高い需要層が分厚く存在するので、売れ行きが鈍ったとはいえ、所定期間(遅くとも竣工時)には完売に至りますが、郊外物件や立地条件に弱点を持つ物件などは建物完成後も長く売れ残る事態になっているのです。 購買力が価格の上昇に追い着かない状態にあるためです。販売期間は想定以上に長くなり、最後の方は値引きによる販促もやむを得ない事態になってしまいました。

これは、三菱地所レジデンスのことではなく、市場全体・業界全体の問題です。もちろん、同社も例外ではありません。

とまれ、三菱地所レジデンスは価格をいかに抑制するかという課題に長谷工コーポレーションの力を借りる形で取り組み始めたのでしょう。野村不動産のオハナ着手に遅れること5年でしょうか? 

これまでも同社と三菱地所レジデンスの取引はあったのですから、なぜ今なのか理解に苦しむところです。現に、長谷工コーポレーションの施工で「ザ・パークハウス花小金井ガーデン(西武新宿線・花小金井駅7分)468戸」を今も販売中です。

多分、新たな厳しい段階に入ったのでしょう。

筆者が知る限り、三菱地所レジデンスの場合、「設計基準書」は、どのデベロッパーと比べても厳格です。正確には厳格でした。詳しくは覚えていませんが、「そこまで徹底するのだ」と品質へのこだわりに感心させられたことが記憶に残っています。

オイコスの仕様について、具体的な中身が分からないので現段階で論評はできませんが、他社の長谷工案件を見ていると、もはやこれ以上のコストダウンはできまい、筆者はそう感じています。

それを一段と踏み込んでオイコスでは断行するつもりなのかと訝しく思います。しばらくは三菱地所レジデンスの動向から目を離せないとも思っているところです。

背景のもうひとつは、用地不足です。都心でなくとも首都圏には人気のある街が多数あります。人気が高い場所のマンションなら多数の需要が集まり、価格が上がっても購買力の高い需要ボリュームも多く集まるので販売には苦労しないものです。

しかしながら、人気エリアにマンション用地はもともと少なく、それを多くのデベロッパーが虎視眈々と狙っていることもあって、取得は非常に難しい状況にあります。たまに、思い切って高値で入札しても、その上を行くライバル社や異業種が土地をさらってしまうというのです。

2012年12月に始まった「アベノミクス景気」が、1990年前後のバブル経済期を抜いて戦後3番目の長さになった。世界経済の金融危機からの回復に歩調を合わせ、円安による企業の収益増や公共事業が景気を支えている。ただ、過去の回復局面と比べると内外需の伸びは弱い。雇用環境は良くても賃金の伸びは限られ、「低温」の回復は実感が乏しい・・・最近の新聞にはこんなふうに書いてあります。


消費が相変わらず伸び悩んでいますし、節約志向もずっと続いています。先行きの不安を感じている人も多いようです。これが家を買おうとする気運が盛り上がらない要因なのだと思います

都心のマンションが比較的好調なのは、フルタイムの共稼ぎ族・パワーカップル(日本経済新聞の命名)の増加のためですが、郊外にパワーカップルは行かないのです。郊外マンションは夫だけの収入で予算を組む階層向けになるため、パワーカップルと比べると購買力は低いのです。

購買力に乏しい需要階層向けに低額マンションを開発しても、価格とのギャップはまだ大きいのでしょうか。上述の「ザ・パークハウス花小金井ガーデン」も西武新宿線「花小金井」駅南口 徒歩7分・8分と近くはないが遠くもなく、環境も静かな住宅街の中にあって悪くないのですが、Ⅰ街区:平成28年7月建物完成済、Ⅱ街区:平成29年1月建物完成済で、今も売れ残っています。平均坪単価は@210万円と決して高くはないのですが。

最近、バス便の物件も散見されますが、駅近よりは安いので買いやすく、それで手を伸ばす人もあるようです。しかし、販売は長期化の傾向を見せています。

結局、マンションが売れるか売れないかは、価格と購買力がマッチしているかどうかという点にかかってきます。

もちろん、立地条件との関わりによるのですが、「この立地では5000万円を超えたら売れない」とか、「この立地で5000万円の部屋を買ってくれる人はせいぜい10人だ」といった会話を業界内部では日常業務の中で繰り返しています。つまり、地域ごとの「限界価格」が存在するのですが、「価格の壁」という用語も生まれました。

最近数年の間に、地価が上がり建築費が上がって、限界価格を超えてしまうプロジェクトばかりになったのです。その壁を突破するために、マンション業者は知恵を絞り、様々な努力をして販売促進を図ろうとしています。それ以前に、いかに魅力あるマンションを造るかに知恵を結集しています。

しかし、地価は下がらないし、建築費も高くなったまま下がる気配は微塵もない。高い物件は売れない。この難題をどう乗り切るのか。各社、大きな課題を突き付けられています。

三菱地所レジデンスのオイコスシリーズが、この課題を克服するひとつの答えになるのでしょうか?


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第575回「大規模マンションは値崩れすると心配する人へ」 [マンション市場]


「このマンションは建物価値も良さそうだし駅にも近いので購入しようと思うのですが、心配なことがひとつあります。それは数が多いので、将来リセールのときに売り出す人も多く、お互いに競争しあって値崩れするのではないかという点です」

このようなことを心配する人があります。少数派かもしれませんが、当該マンションだけではなく、周辺に第2第3の大規模マンション計画があると、そのトータルでは膨大な数が供給されることが将来のリセールに悪影響を与えるのではないかという漠然とした不安を抱くようです。

今日は、局地的な大量供給という現象について考えてみました。


●局地的な大量供給がもたらす問題――売り手の不安

かつて売り手デベロッパーに属していた筆者は、つい売り手のことを今さらながら心配してしまうクセがあります。「Aマンションが売りだされたら、Bマンションは打撃だろうな」とか「どれも“帯に短かし・タスキに長し”の物件だから互いに足の引っ張り合いになるだろう」、「これだけの大規模物件が同じ駅に3つも出たら、総客数が足りなくて、どれも長期化は免れないだろう」などと考えてしまうのです。

先刻承知の売り手は、差別化に腐心します。ユニクロ的マンションにして「価格で勝負だ」とか、「室内の設備・仕様はライバル物件を凌駕するレベルに」とか、「駅まで3分の近さを最大限にアピールしよう」などと知恵を絞るのです。

しかし、その知恵も作戦も圧倒的な力には中々なりえないものです。

首都圏のマンション供給は全体で見れば、ひと頃の半分しかありませんから、供給過多ではないのですが、局地的には大量供給現象がときどき見られます。

例えば、武蔵小杉駅、今も「パークシティ武蔵小杉ザ・ガーデン」と「シティタワー武蔵小杉」が販売中ですが、合計で1800戸もあります。今後も大規模タワーが複数建設される予定です。

品川シーサイド駅では「グランドメゾン687戸」と「プライムパークスシーサイドの2件335戸+687戸」が妍を競っています。国際展示場前駅では、1社だけで1539戸(3棟)も販売を開始しています。

国分寺駅でも、少し前まで販売中だったものを含めると「シティタワー国分寺ザ・ツイン584戸」、「ザ・パークハウス国分寺四季の森494戸」、「ザ・パークハウス国分寺緑邸82戸」、「プラウド国分寺125戸」など、大小合わせて、総戸数で1200戸余も供給されています。

中央区の月島や勝どきという駅も、過去を辿り、今後の予想をすると大量供給が続いて来ましたし、続く見込みです。

千葉県では、津田沼駅の「奏の杜」と名付けられた一角を中心に大量供給が続きました。横浜では、みなとみらい地区が典型的な大量供給エリアでした。


●大量マンションの買い手はどこから来るの?

局地的な大量供給は、何をもたらすのでしょうか?

大量に売るには、大量の顧客を動員する必要があるので、それを可能とする宣伝広告が必要になります。

定番のインターネット広告、無料の住宅情報誌SUUMOの配布、大量のチラシ配布、電車内の“中吊り広告”、駅張りポスター、TVコマーシャル、新聞刷り込み広告などを使って大々的なキャンペーンを行います。これらが首都圏中に露出され、発信されて広く知れ渡ります。

新築マンションを購入する人は、首都圏全体では昨年だけで4万人弱、買わなかったが近々買うつもりの人も入れると6万人くらいはあるので、少なくとも、それくらいの人が注目します。

それら広告に触れた人のうち、条件に合う(少なくとも候補エリアにある)物件と思えた人が資料を請求したり現地を訪問したりするわけですが、もともと考えていなかった場所だが、魅力的な物件に見えたので資料請求しました、見学に来ましたといった反応を見せます。

魅力的な物件は多くが大規模物件です。その集客パワーが、首都圏各地から関心客を呼び集めるのです。大規模物件の場合、売主がHPで高らかに謳う「資料請求10万件突破」とか「来場者5000組突破」などに、多少の水増しはあるものの、極端な誇張ではないはずです。

中小規模のマンションは広告予算が少ないので、大量広告も高額の新聞広告やTV-CMも実施できませんから、顧客動員数は限定的です。簡単に言えば、建設地周辺「地元需要」と呼ばれる顧客が大半です。遠くから来る人も、昔その辺に住んでいたからとか、親が地元だからといった「準地元需要」で、その数はしれています。

要するに大型マンションは大量の宣伝広告によって首都圏中から買い手を集めているのです。「シティタワー武蔵小杉」を建設した住友不動産の来場者アンケートによると、契約者の7割は川崎市中原区外からの転入者だと聞きました。

集まるのは、広告の分量のおかげだけではありません。物件の魅力こそが、遠くまで足を運ばせる原動力になっているのです。広告予算がたっぷりと取れる大型マンションは、ただ図体が大きいだけではなく大型なりの付加価値があり、かつ立地条件に優れているものです。

話題の新商品の発売やイベント開催、スポーツの試合があると聞くと、朝早くから並んで買いに行く、観戦に行くといった行動を取る光景をよく見ますが、魅力のない商品やイベントは広告費をいくらかけても客は集まりません。

かつて、武蔵小杉駅の周囲は工場・倉庫・研究所・駐車場といったエリアで、夜間人口が少ない街でした。豊洲もそうでした。大正時代まで海だったこの土地で、1923年に発生した関東大震災のがれき処理で埋め立てられて誕生した街ですが、かつては典型的な工業地帯だったのです。今では、住宅地や商業地、オフィス街へ転換が進みました。NTTデータや日本ユニシスといった大企業の本社もあります。

生活する街としては魅力に乏しかった街でも、そう遠くない将来、きっと生活インフラも整い、暮らしやすくなると信じるに足る情報や計画があったので、遠くからやってきて購入したのです。

地元の人は、生活に慣れています。買い物が少し不便でも最低限度の施設はあるので、何とかなっているので、抵抗なく買ったかもしれませんが、地元住人はそもそも少ないので、大戸数を売り切るには方々から顧客を集めて来る必要がありました。売り手はそう考えたのです。

こうして、商業施設(ららぽーとやグランツリーなど)を同時開発し、建物に中小規模のマンションではあり得ない付加価値を用意するととも、タワーの魅力である「眺望」価値を加えてダイヤモンドの輝きを持つ商品に仕立てて販売を始めたのです。

その結果、豊洲は10年で3倍に人口が膨れ上がり、武蔵小杉のある川崎市中原区の人口は、再開発が始まった約10年前から毎年1000人から5000人超の勢いで増加。川崎市7区の人口順位で2005年から1位を続け、人口密度も2016年6月1日時点で1平方キロメートルあたり1万6901人の1位。2015年の国勢調査では10年と比べた人口増加率が5.8%と県内市区別で1位だったと市の広報が伝えています。

増えた人口は、言うまでもなく他の町からやって来た人たちです。急に子供が多数誕生する「自然増」ではなく、「社会増」によるものです。


●成熟した街の未来は?

街の魅力は、そこに何があるかで決まります。もちろん通勤の便が良い、言い換えれば都心へのアクセスが良いことですが、それ以上に「賑わい」や「自然環境」、「街並みの美しさ」などが挙げられます。

リクルート社が毎年調査している「住みたい街ランキング」で関東圏1位に毎年輝くのが「吉祥寺」ですし、争うのが「恵比寿」です。上位に武蔵小杉や豊洲が入っているのもご存知のとおりです。

こうした街の魅力的なマンションは、人気上昇の過程で多数の商業施設・飲食店・教育施設(学習塾・英会話教室など)が増加して人びとを引きつけます。洒落たカフェや雑貨店、インテリアショップ、有名レストラン、ファミレス、コンビニエンスストアなどが軒を連ねて、休日にはよその町からもたくさんの人々がやってきます。料理店は、週末ごとに回っても1年では回り切れないほどの多種多様な店が増えて行きます。カフェもスターバックス、タリーズコーヒー、エクセルシオール、珈琲館、ドトールコーヒーなどが勢ぞろいします。

人口が増えると、採算が合うと見た新規出店が続くのです。それが好循環を生みます。こうして街の魅力が一段と増し、多方面から「あの街に住みたい」と評価されるわけです。魅力ある街は、マンションが新たに供給されても地元以外のエリアから新たな客を集めることができます。そうして人口がさらに増えると、商業店舗、エンターテインメント施設が新たに加わり、となるのです。

魅力的な街は、マンションの買い手に事欠かないのです。言い換えると需要が多いので、いざ売却というときも心配は少ないものです。もちろん、物件個別に見れば格差はあるので、なんでも心配ないというほど短絡的ではないのですが・・・

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第574回「マンション用地がない」 [マンション市場]

★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツーをご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください★★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

新築マンションの供給戸数がひと頃の半分に減ってしまったことについて書いたことがありますが、簡単におさらいしておくと、10年前の前後5年は平均8万戸(首都圏全体)も供給されたが、直近5年は平均4万戸と半減しているのです。

この現象は、一時的なもので東京五輪後は価格も下がって供給戸数は再び増えると、どなたかが書いていましたが、筆者は意見を異にしています。

●マンション用地がない
数年前から「新築は伸びない。これからは中古の時代だ」と予測して来ましたが、その根拠は土地がないことにあります。

マンション用地の希少性が急に薄らいだのは2000年代初頭でした。あり得ないほど貴重な一等地が多数放出されたからです。法人所有者の土地に対する考え方が激変したためでした。

社宅、運動場、学校、倉庫、工場などの大量放出が始まったのです。歴史ある企業が保有していた社宅は、その多くが取得時は田舎・郊外だったかもしれない場所にありましたが、近年は住宅地として最高の条件を有する、将に「一等地」に変貌していました。それが雪崩をうったように市場に出たのです。

学校跡地が売り出されたのは、郊外への移転によるもので、都心の本部ビル・校舎は残しながら一部を切り売りした資金で、売った土地の10倍の広さを郊外に買ったのでした。廃校になったためという売却例も確かあったはずです。

ある製造業の会社は、製造拠点の海外移転によって不要になった工場を売却しました。倉庫を売却した例も多数ありました。それらは工場・倉庫なのに市街地にあったので、マンションにとっては適地だったのです。

こうした企業・団体の土地放出は、景況の悪化で資金繰りに窮したというような理由ではなく、新時代を迎えての積極的な「リストラクチャリング」の一環でした。創業から100年にもなろうかという老舗企業でなくても、戦後誕生した50年企業は「含み益」のある優良な土地資産を数多く保有していました。

今も、毎年少しずつ社宅を整理統合したり単純売却を計画的に実施したりする企業はありますが、2000年初頭に始まった社有地放出の潮流は7~8年くらいで一巡し、もはや売地は底を着いてしまったのです。

●2017年9月1日の新聞報道で明らかに

このような経過が最近5年ほどの供給戸数の少なさにつながっているのですが、実は筆者にもこの動向にかすかな疑問を感じていました。

それは、新規の供給戸数が増えないのは着工と発売を遅らせているだけで、用地は多数保有しているのではないのかというものでした。

ところが、2017年9月1日の日経新聞に「販売用不動産2年ぶり減・大手5社の保有高・用地確保難しく」の文字が躍っていました。筆者の疑問は解けました。やはり、大手業者も用地確保に苦労しているのだと確信めいたものを感じたのです。

記事によれば、ホテル建設などの不動産投資が活発で用地確保が難しくなっているとありました。ホテル建設はオリンピック目当てなので、あと1年もすれば峠を越えるかもしれませんが、オリンピック後も訪日客の増加傾向は続くから建設ラッシュはなくならないという向きもあります。

交通利便性の高さを条件とする点など、ホテル用地とマンション用地は類似点が多いのです。このライバルがマンション適地をさらってしまうらしく、マンション業者は土地不足に嘆くことになりました。今後も競争は続くのでしょうか。

マンションは開発時間を考慮し、少なくとも2年先の販売商品用に早めに用地を買収して行くのですが、大手が扱う大規模敷地は5年先を見越しているものもあります。再開発案件になると10年先のプロジェクトが普通です。

●今後注目されるのは再開発物件か?

用地難はおそらく長く続くだろうと見ています。

需要がある以上、マンションデベロッパーは用地を求め続けるでしょう。しかし、無理な仕入れをしても利益を削るだけのこと、売り上げだけ増やしても意味はない。だから、販売が確実に成功する立地条件の良い土地を厳選して仕入れると語るデベロッパーも増えています。

先頭を切ったのはライオンズブランドで一世を風靡した(株)大京でした。かつては供給戸数でナンバーワンを長く続けた業界トップ企業でしたが、10年前にはトップの座を明け渡し、数を追うことは止めたようです。

郊外に目を向ければ、マンション用地になりそうな売地はあるので数を追うことは可能だそうですが、都心から遠い物件は販売に苦戦するので積極的には取り組めないと多くのデベロッパーは語ります。

今後デベロッパーはどこへ向かうのでしょうか?

1棟リノベーション物件の開発、郊外の駅前マンションに絞る、木造密集地の再開発、建て替え事業など、メニューは揃っています。しかし、柱になるほどのものはありません。それぞれに高いハードルがあるためです。

そんな中で注目できるのが「再開発」です。戦後の焼け野原から無計画に家が建てられた街は東京中に数多くありますが、そんな中の「木造密集地」は、災害の危険度が高いとされます。

巨大地震などによって火災が発生すると、道が狭いために消防車が入って行けず、延焼して被害が広がるという心配があるのです。すなわち、新潟県糸魚川市で起きた大火のようなことが現実味を帯びているのです。木造密集地は、下町だけでなく世田谷区などにも見られます。

最近販売が始まった密集地の再開発マンションが注目を集めています。大井町と武蔵小山のことですが、少し前の国分寺、竣工済みの蒲田や大泉学園なども駅前の再開発案件だったはずです。

再開発は地権者が数多くいるので、合意形成に時間がかかると言われ、成功事例も少ないのですが、最近はスピードアップしているような気がしています。少なくとも、分譲マンションの建て替え事業より早いのは間違いないようです。

糸魚川大火のような規模ではなかったものの、実際に火事が発生し、鎮火に苦労した事態を目の当たりにして危機感を持った住民は、デベロッパーの提案に全員が賛同するのに長い時間を要しなかったという話も聞きました。

行政側も積極的に協力する姿勢を見せていると聞きます。

武蔵小山駅前の再開発計画は第2弾、第3弾と続くとあります。連鎖なのでしょうか?古くからの地元住民が街の活性化に前向きに取り組んでいるということでもあるのでしょう。

東京の古い駅前商店街などが、街の衰退を未然に防ぎ、魅力ある街づくりに取り組もうとする波は本格的にやって来る気配を感じます。

武蔵小杉や豊洲など、最近10年くらいで急発展した街は、もともと夫人所有の大規模敷地が多数あった場所なので、開発を進めやすかったという背景がありますが、個人住宅や商店が密集する場所の再開発は合意形成に時間がかかるため、デベロッパーも取り組みに消極的だったのですが、用地不足に悩む中で最近は姿勢が変わってきたようです。

ゼネコンも将来の工事量確保のために再開発プロジェクトには昔から積極的でしたが、最近は拍車をかけているのかもしれません。デベロッパーとゼネコンが地元住民とタッグを組んで街づくりを行う、災害予防のためにも結構なことです。

とはいえ、再開発で生み出されるマンションの戸数は1カ所で500戸~1000戸です。用地不足を補うまでには至らないでしょう。しかも、再開発マンションは決まってバカ高い売値になるのが普通です。最近の国分寺も大井町も、また間もなく売り出される武蔵小山でも、ものすごい人気だそうですが、購入できる人はごく一部です。大変な数の関心客が集まるものの、価格を聞いて大半が諦めると聞きます。

どれとは言いませんが、再開発マンションの価格は、それまでの相場の5割高であったりするからです。価値あるマンションには違いないけれど、そこまでも価値があるのでしょうか?買えないこともないという人から、その種のご相談が筆者の所にもよく届きます。

●新築は数がなく、買いたくても買えるものがないと思いましょう

今後は魅力的な駅前再開発マンションが続々と登場してくるかもしれません。しかし、価格は驚くほど高いので、それでも値打ちあるものと、価値に見合わない高値のものとを見極めなければなりません。

うかつに高値で買えば、将来の資産価値は期待外れとなりましょう。駅前マンション、再開発マンションというだけで飛びつかないことが大事です。

ともあれ、マンションを買ってみんなで喜べる時代ではないので(少なくとも、あと10年は)、マンション選びの難しさもしばらく続きます。少なくとも、新築にこだわったらよい物件には巡り合えない、そう思った方がよいでしょう。

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第573回「優良マンションから売り物が大量に出るわけは?」 [マンション市場]

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昨今(2015~2017年)、有名・優良マンションに売り物がどっと出て来る現象に遭遇します。

「勝どきザ・タワー」「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」、新豊洲の「SKYZタワー&GARDEN」、同「BAYZタワー&GARDEN」、汐留の「東京ツインパークス」、「富久クロスコンフォートタワー」といった物件がとりわけ目立ちます。

共通点は「大規模タワーマンション」だということです。

これは異常事態です。平時は、有名マンションほど売る人は少ないものです。売るのは惜しいと考えるためです。戸数が多いので、売り物も多くなって当然とも言えるのですが、筆者の印象では多過ぎるのです。

ちなみに、「勝どきザ・タワー」はSUUMOせ検索すると、2017年8月29日現在、13件の売り出し中物件が見られます。汐留「東京ツインパークス」では、リハウス店だけで売り出し中の物件が14件もあります。44㎡のワンルームから198㎡の3LDKまで、内11件が億を超える(最高5億円)売り出し期価格となっています。

「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」は45.65㎡4580万円から71.23㎡7800万円まで6件、「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」では16件(5400万円~1億5900万円)も売り出されています。

湾岸を離れて、チェックしてみましたが、「富久クロスコンフォートタワー」にも野村不動産アーバンネット店だけで14件の売り物がありました。1LDK5580万円~1億4500万円とあります。

これらは、現在売り出し中の戸数に過ぎないので、過去1年を遡ったら全部で一体どのくらい売り出され、取引が行われたことでしょうか?

●「住んでみたら問題が見つかった。だから売る」のではない

中古マンションの検討者から、「何か問題があって売り物件が多いのでは」というご質問がよく届きます。同一マンションの中に検討中の住戸以外にも多数の売り物があることに気付くためでしょう。つまり、欠陥や何らかの問題点があるマンションなのではないかの心配からのお尋ねなのです。

ここに掲げた物件は、おそらくそんな欠陥や建物外の問題は何もないはずです。

仲介業者でない筆者でも、売却の希望理由を知る機会はありますが、それぞれに「なるほど」と思わせるものが窺えます。

上記の物件と離れて少し紹介すると、「転勤命令が出たため」、「距離があるので大丈夫と思ったが住んでみると高速道路の音が意外に近いので不快である」、「子供が大きくなって手狭に」、「営業マンの押しに負けて買ってしまったが、駅の周囲に店が少ないので不便と気付いた」、「環境重視で買ったが通勤時間が長く苦痛である」、「前のビルがどのくらい迫って来るか心配だったが予想以上に近いので住むことなく売ってしまうことにした」、「子供が独立したので都心の便利なマンションへ住み替えたい」等々。

こうした一般的なもの以外には、「欠陥マンションだった」という理由も考えられますが、欠陥マンションかどうかは最近なら全てインターネットの掲示板に書き込まれてしまうので、事前に検討者は直ぐ気付くものです。

騒ぎが収まるまでは売るに売れずということもあります。欠陥であることを隠して売却することはできないので、売りに出す人は少ないのですね。騒ぎが収まって問題が解決してから嫌気していた人が売りに出すということはあっても、ずっと後のことですし、その数も多くはないというのが過去の欠陥マンションの経過を見ていた筆者の実感です。
そうでないマンションがあるかどうかは寡聞にして知りません。

●ミニバブル現象

少し前まで、湾岸エリアを中心に「マンション投資ブーム」が起きました。中国人の爆買いの一種で、国際的に割安とされた東京のマンションに投資する外国人が増えた(流行した)ことに加えて、2015年から税率が上がった相続税対策として日本人富裕層がタワーマンションの高層階は有利という情報を得て買いまくったからです。ある種の「バブル」状態になったようで、世間は「ミニバブル」と呼びました。

この間に東京オリンピックの誘致が決まった2013年秋以降、会場になる湾岸エリア(晴海・有明エリア)はマンション購入者の注目を集めました。そして、販売中だったマンションの売れ行きが急に伸びて事業主を喜ばせたのです。

「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」は、2012年4月の発売で、しばらくの間は売れ行きがぱっとしなかったのですが、竣工間際の2013年秋以降は販売スピードが急速に伸びました。そして、竣工の2013年11月には883戸完売のメドが立ったのでした。

2013年8月に売り出した隣地の「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」も予想外のスピードで完売したと聞きます。

ミニバブル現象は湾岸に留まらず各地のタワーマンションに波及しましたが、このとき投資目的ではない人も将来の値上がりを期待して各地の駅前タワーマンションなどに向かったのです。

価格は売り主の強気を誘うこととなり、初期の計画を上回る値上げを決めたり、販売途中で値上げしたりした企業もありました。その当時、投資対象にされた物件においては自己居住狙いで真剣に検討していた買い手から、「検討中に値上げすると半ば脅されながら慌てて買った」という声も多数聞きました。

ともあれ、ある種の熱狂の中で購入したマンションの多くは今から見れば安い買い物であったことは確かです。投資目的で買った人は、賃貸目的というよりは、「キャピタルゲイン(転売利益)」が狙いだったのです。それが僅か3~4年で、引き渡しから2~3年で売却し利益を狙っているというわけです。売り物が多いのは、そのせいです。

中には「オーナーチェンジ」の売り物件も散見されます。賃貸してしまったからです。賃貸していた人でも、たまたま空き家になったので売り出すことにしたという話も聞きます。

当初はもっと長く持つ予定だったが、思いのほか値上がりしたこと、ピークアウトが近いことから売るなら今だと考えて売り出す人が次々に出て来たとうことらしいのです。

筆者の知人は、賃貸にも出さず機をうかがっていたようで、「新築未入居」のキャッチフレーズで売却にかけ利益を得たのです。仲介業者の中にも、5戸、10戸とまとめて購入して転売したという情報も伝わって来ました。

その昔、「土地ころがし・マンション転がし」が大流行したことがありましたが、そのミニ現象が直近で起きていたということです。もう沈静化したようなので他人事ながら筆者も休心しています。バブル的な動きで被害を受けるのは、いつの時代もマイホームを求める人たちだからです。

ともあれ、有名・優良マンションから売り物が続出している現象の原因は「投資ブーム」にあったと言えそうです。

●家は売らなければ損も得もないのです

値上がりして喜ぶのは投資家だけです。一般居住者は自宅が値上がりしても何も関係ありません。

バブル期のことですが、購入した物件・場所によって差はあるものの、短期間に我が家が2倍、3倍になったことで驚いた人も少なくなかったのです。しかし、現に住んでいる家の値段が何倍になろうと、何の得もありませんでした。

一方、売却した人は、高値に驚くとともに手にした金額に喜び一杯だったことでしょう。ただし、その資金でもっと良い住まいを手に入れようとすると、郊外のまだ値上がりの波が及んでいない街へ行くほかにありませんでした。

売却した場所の近くは同じように値上がりしていたからです。売却して得た金銭に(新たなローンなどで)プラスしなければランクアップした家は買えなかったのです。

反対に、バブル期に高額な住まいを購入した人は、その後の値下がりを体験して悲哀を味わうこととなりました。何かの事情で売りたいとなったとき、現実の厳しさにぶつかったからです。売却して得る金銭では住宅ローンの残債を清算できないことを知ったのです。いわゆる追い銭が必須でした。

その金額の大きいこと。結局、売却を断念した人も多かったはずです。これは含み損を抱えてしまったものの、損失が確定しないで済んだというケースです。

つまり、売却しなければ損も得も表面化しないことを意味します。

●「利益確定売り」という居住者の大胆な判断

最近のご依頼で急に増えた「将来価格の予測サービス」に、筆者は嬉しい悲鳴を上げています。もともと休日に無縁な筆者ですが、最近の作業量は半端ではなく寝る暇もないほどです。

多くは、従来通り「買ってよいマンションか」と「それを10年、15年先に売るかもしれないが損(利益)はどのくらいになるか」というマイホーム検討者からのものですが、中には3年前に購入した人、居住して2年しか経っていない人などからのご依頼も増えています。この現象に、時代を感じます。

購入して間がないのですが、「今売るのがいいか。それとももう少し先がいいか」ということを考えているので、先の予測数字を知りたいというご依頼です。売却動機が書いてあって「思いがけず高値で売れそうなので売ってしまおうか」というお考えを持つ人が少なくないのです。

売ったあと、住む家はどうするのだろうか?そんな疑問を抱きますが、ひとつの答えがありました。それは、売って当分実家で暮らすという単身者の行動でした。独身寮に入るという人もあったかもしれません。ファミリーの場合の答えはありません。

湘南ライフに憧れているという人が都心のマンションを売却し、茅ケ崎のマンションを購入した人にもお会いしました。価格差が大きいだけに、ひょっとすると多額の現金を手元に残しつつ買い替えを成功させたのかもしれません。これは例外的です。

結局、一時的な利益に目がくらむのかどうか、「利益確定売り」という行動に出る人もありそうです。売った後に別のマンションを買うのでしょうか?我が家が高く売れても、同時期の買い替え先も(地方や郊外に移住する場合を除けば)高いはずで、そうする意味があるのかどうか、理解に苦しむところです。

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老婆心ながら、こうした売却では譲渡益が多額に発生したはずなので、譲渡所得から3,000万円の特別控除(自身で居住していた場合)を受けたとして、新たに購入する住宅をローンで購入したとき、住宅ローン控除が使えなくなる場合があるのです。大丈夫だったのかどうか。

後になって何人かのご相談者に「大丈夫か」とメールを送ったのですが、連絡がないままなので、今も気がかりです。

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第571回 「相変わらず高いマンション価格」1~7月の動向 [マンション市場]

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新築価格の動向を毎月注視していますが、中々値下がりに転じないようです。

●新築マンションの動向

2017年1~7月の7か月の価格を見ると、前年同月比でマイナスになった月は3月の1回だけでした。1~6月の平均では前年同期比4.0%上昇となった模様です。7月単月では16.0%も高い(不動産経済研究所)と発表されました。

首都圏の半分弱を占める東京23区の上昇率が最も高く、その影響力が高いことは確かですが、他の地域も東京市部を除き少しずつ上昇しており、首都圏全体の傾向と言えます。

売れ行きは相変わらず低調で、毎月の契約率(新規発売分が当月の月末までに売れた初月契約率のこと)は好不調の分かれ目とされる70%を超えた月は5月と7月だけでした。

売れ行きが低調のときは、売り出し戸数も減るものですが、この1~7月は前年同期比2%ほどの伸び(7か月合計17,880戸)となったようです。といっても、前年が最近10年で最低の35,772戸(年間)だっただけに低調ぶりは変わっていません。年間では、8月以降に増える見込みらしいのですが、それでも前年並みに留まるのではないかと思います。

品薄感が続き、価格も高い。買いたくても買えるものは少ない。このような状況は相変わらずというわけです。筆者は、2018年でピークアウトすると読んでいますが、その兆しはちらちらしていますが、はっきり前倒しになる様子は見られません。

最近聞いた話ですが、水面下では数百万円単位の値引き提案が行われている売れ残りマンションは10物件以上あるのだそうです。筆者の実感では、そんなものではないと思うのです。売れ残りを「竣工後に継続販売中のマンションのこと」と定義すると、365件(23区だけで119件)もあるからです。これらのうち、竣工後1年以上を数えてみると、72物件もあるのです。2年以上も少なくありません。


●マンション業者の姿勢に異変?
建物竣工後のマンション販売で「第●期・新発売」の広告が目立ちます。これを見て、違和感を強く覚える人もあると聞きます。筆者もその一人です。何故なら新築マンションは遅くとも竣工完売が業界共通の目標で、竣工後に「新発売」というのはあり得ないことだったからです。

竣工までに完売できないと悟った売主は、腹を決めたのでしょう。とにかく売れる数だけ、1期00戸、2期00戸・・・と小出しにして売るのが最近のスタイルです。しかし、そうしながら販促を進めても、竣工までに完売できそうにないので、長期戦を覚悟したというわけです。

入居が始まり、居住者のいるマンションに外部から見学者を多数、しかも長期間招き入れる図は好ましいものではないはずですが、管理費は売主が負担するのだからご迷惑をおかけすることはない、そう割り切っているかのようです。

業者の中には、竣工前だろうが竣工後であろうが、「新発売マンションであって売れ残りではない」と開き直り、値引きなどとんでもないと語るデベロッパーもあります。

しかし、ホンネは違います。早く完売して別の物件の販売にかかりたいのです。販売が長期化すれば販売要員も足らなくなります。販売委託先の人員も限られるので、経験不足のスタッフが増え、顧客サービスに不満や説明の誤りによるトラブルなども出てきます。

早く完売しなければ、そのためには、値引きもやむを得ません。そう考える売り手が大多数です。

先週(2017.8.8)のSUUMOの中から「旧価格6468万円を新価格5800万円に(約10%引き)。1戸販売中」という物件を見つけました。竣工が2016年2月となっていますから、1年半経過したことになります。残戸数(販売戸数)は6戸とありました。

売れ残れば、やむなく値引き販売に踏み切って早期完売を図るか、定価で(値引きなしで)買ってくれる人を何年かかろうと待ち続けるしかありません。後者は、筆者の知る限り、関東では2社しかありません。大多数の売り主は「モデルルームだから」の大義名分(先行契約者に対する言い訳)を設けて、「家具付きモデルルーム販売」をメーンに、実質的な値引き販売に踏み切るものです。

しかし、そうしても「売れないマンション」とか、「高いマンション」とかの烙印を押されてしまうせいか、上記の例のように竣工後1年半、2年となって完売にはまだ遠い状況に陥ったりするのです。

中には販売初期から値下げを開始する例も見られます。といっても、この場合は利幅の中で住戸間のバランスを調整する程度のようです。例えば、北向きは不人気だから、もう少し下げようというようなケースです。発売前なら、モデルルーム来場者にも「予定価格」としか伝えませんから、訂正は可能なのです。

さて、売れ残った物件がすべて条件の悪い住戸とは限りません。条件の良くない住戸は最初から価格を目玉商品的に下げているので、案外初期に売れてしまうからです。残ったのは存外角部屋などの条件の良い部屋なのです。上述の値引き事例も実はルーフテラス付きの角住戸です。

売れ残るのは、価格が高いからです。買い手は、こうした住戸を狙えばいいのです。ただし、もともと高過ぎるので少し引いてくれたくらいでは、忽ちお買い得住戸になるとは限りません。値引き後の価格が適正かどうかをしっかり判断しないといけないのです。


●中古マンションも全体的には値上がりが続いている

新築価格が上がれば、連動して中古も値上がりします。2013年に始まった今回の価格上昇サイクルは、「高値警戒感」を経て「諦めるしかない高値水準」へ至り、売れ行きの悪化、そして価格上昇のピークアウトが近づいていますが、中古も同様の傾向が感じられます。とはいえ、はっきりと値下がりに転じたとは言えません。

レインズ(東日本流通機構)のデータによれば、2017年7月の成約単価は前年同月比で4.5%上昇、成約価格も前年比で5.4%上昇し、ともに2013 年1 月から55か月連続で前年同月を上回ったからです。

これは首都圏全体の動向ですが、都県別にみても大きな変化は見られません。しかし、ミニバブル的だった湾岸エリアでは値下がり物件も増えていますし、7月5日の本ブログ記事「中古マンションがもうすぐ買いやすくなる??」の中で紹介しましたが、東京都区部の中古マンションの3分の1が値下げに踏み切ったという調査データがあるのです。

調査したのは東京カンテイ社で、中古市場に出ているマンションのうち、直近3か月で値下げに踏み切った住戸の割合は5月時点で32.4%だったそうです。そして、このデータは早晩価格下落サイクルに移行するシグナルだと、同社はコメントしています。

筆者の読みは、新築同様、来年には中古マンションもピークアウトし、値下がりに転じるか、多少読みが外れても前年比で横這いになると思っています。

このような動静を見ながら、購入判断をしていかなければなりませんが、待って得策とは思えないので、うまく探す、うまく値引き交渉する、そんな買い手の行動が重要な時期にあると言えましょう。
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★決断の後押しをしたい「マンション評価サービス」★
これまで数えきれないほどの評価サービスを提供して来ました。その中で、対象マンションの中には手放しで称賛できる物件もなかったわけではありませんが、微々たる数です。大半の物件は何かしら問題点を指摘せざるを得ませんでした。

立地条件に問題があるもの、建物グレードの劣るもの、有名業者の割には品質が二流というもの、品質は申し分ないものの価格が異常に高いもの、管理態勢に疑念があるもの、管理費が高過ぎるものなど、ここで具体的は述べませんが、満点にはほど遠い物件が多いのです。
100点満点で、60点から70点の間の物件が大半というのが実感です。

評価レポートには、必ず私の所見をお付けしています。また、ご依頼者が不安・疑問に思う質問や相談メッセージを下さった場合には、当然ながら回答をお付けします。
このとき、いつも迷うことがあります。ご相談者は、既に現地を確認し、モデルルームを見学しているものの、購入にどれくらい前向きなのかが分からないため、言葉の選択に迷うのです。

基本的は、客観的、かつ具体的に所見を述べることにしていますし、それがモットーでもありますが、言葉選びを誤れば相談者の感情を害することもあるでしょうし、購買意欲を一気に覚醒してしまうこともあるでしょう。それが良い場合もありますが、購買意欲が一層盛り上がるように言ってあげた方が良い人だってあるはずです。
誤った選択をしようとしているのであれば、「冷静に」と呼びかけることが必要ですが、そもそも理想のマンションはないのです。「ダメ出し」ばかりでは、買えるマンションはなくなってしまいます。
従って、枝葉末節の部分は大らかに見ることも必要であり、その点を念頭に置きながら、慎重に言葉を選ぼうと努めています。

このサービスは、単にマンションに点数を付けるのが目的ではないのです。どちらかと言えば、「マンション購入の迷いを解いて決断の後押しすること」にあります。

評価した結果を淡々と伝えるだけでいいか、このマンションはやめた方がいいと踏みこんで言うべきか、あるいは立地条件に少々問題がある気がするが、現地を見ていないのでと曖昧なコメントで逃げるべきか、立地に問題はあっても購入する価値はあるという理由をコメントすべきか等々、表現方法にひとしきり悩みます。
単に評価ポイントを出し、短所・欠点ばかりを重箱の隅をつつくように探して「ダメ出し」レポートをお届けしても、このサービスの価値はないと考えているからです。



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