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(11/20の2)住友不動産 新築マンション市場を席捲か? [マンションの売主]

このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。 ~~~~最近は更新回数を増やしていいます~~~


新築マンションの発売戸数で、2年連続日本一になった企業が住友不動産で、同社の物件ホームページを覗くと、必ずポップアップの形で「2年連続マンション供給戸数 全国・首都圏第1位のアピール広告が出て来ます。

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どの物件でも同じように表示され、数の多さを誇示しています。ある業界人は言いました。情報誌SUUMOを通覧すると、まるで住友不動産専用の情報誌みたいだと。

そのような印象は確かにありますね。ちなみに、2016年9月13日号で同社が売主となっている物件数をカウントしてみました。

東京23区では112物件中24物件、横浜・川崎・湘南エリアで19物件中4物件、東京市部・神奈川県北部エリアでは27物件中7物件、埼玉エリアで17物件中3物件、千葉・茨城南エリアで、19物件中2物件となっています。合計では、194物件中40物件20.6%となっています。

供給戸数のレベルが高かった時代、中堅業者の元気だった時代には、「大手の寡占化」などと言われても上位20社の合計で20%台だったと記憶していますが、このシェアを住友不動産1社で達成した勘定です。

寡占の状況は、2015年だけのデータで見ると、20社合計で40489戸、全国シェア51.8%とあります。

寡占化が大きく進んだのは、中小デベロッパーが経営破たんしたり、撤退したりと元気がなくなってしまったことにもよるのですが、上位20社の中でも住友不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンスの4社が抜きん出ています。

絶対戸数は、かつての大京の年間1万戸以上には遠く及ばない戸数ですが、トップの住友不動産が5398戸、2位の野村不動産は4556戸、3位の三井不動産レジデンシャル:4308戸、4位の三菱地所レジデンス:4005戸と続きます。5位はがくんと下がって2770戸の大和ハウス工業がランクされています。

(データ出所:不動産経済所)

今後の新築マンション市場はどのような変遷となるのでしょうか?

個性的で大手に負けない中小デベロッパーは育って来ないものでしょうか?そんな視点で眺めていると、独特の成長戦略を持つ企業はあるものの、伸び悩んでいるという印象です。

建築費の壁、用地取得の壁に突き当たっているのでしょう。そんな中、伸びている企業もあるので、着目して見るのですが、商品企画の面で水準を下回り、安いだけが取り柄の粗悪な建物にしか見えなかったりするのが残念なところです。

今年は関西本社の京阪電鉄不動産や阪急不動産などが首都圏でも存在感を増していたように感じます。

業界がマンションの普及と発展に伴って成長した時代には、大京を筆頭に独立系のデベロッパーが大手と堂々と渡り合っていたものですが、すっかり影が薄くなってしまいました。

今後も、大手中心のマンション市場が続くと見られます。そうなると、「マンションを買うなら住友不動産で」などということになってしまうのでしょうか?

まあ、そんなことになるとは全く思いませんが、住友不動産の供給日本一のPRを何度も見せられると、住友不動産の総合マンションギャラリーへ行けば首都圏の新築マンションは全部そろっているかのような錯覚に陥ってしまう人もあるのではないかと思ったりもします。

ともあれ、新築マンションの多くが大手の手になる物ばかりというのは、品質の安定とアフターケアの観点から買い手にとっては安心材料ではあります。なにせ、財政基盤が異なります。いざとなれば、信用第一の措置をしてくれるに違いないからです。2015年に発覚した傾斜マンションで三井不動産レジデンシャルが取ったような行動を期待できるのですから。

財務基盤が強いのは先に述べた4社ばかりではありません。メジャーセブンと言われる他の3社も、準大手と言って良い、大和ハウス工業や積水ハウス、大成有楽不動産、新日鉄興和不動産、伊藤忠都市開発、阪急不動産、近鉄不動産といった企業も十分な力を有しています。

欠陥マンションが誕生しないことが一番ですが、大手のマンションですら起きることを私たちは学んだのです。ある意味で大手寡占化は歓迎すべきことと筆者は思います。

今日の最後に、いずれ詳しく書きますが、「瑕疵担保責任保険に入っているから(中小企業の)当社でも安心です」の甘言を鵜呑みにしない方がよいことを添えておきたいと思います。














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中々売り出さない価格未定マンション。その心は? [マンションの売主]

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。


分譲マンションの販売は、ご承知のように広告で関心客を「資料請求」の形で探知し、次の段階ではその関心客を「モデルルーム」に呼び寄せるところから始まります。

モデルルームに来訪した人が全部買ってくれるわけではないので、販売戸数の何倍もの集客を図ります。物件の魅力度によって差はあるのですが、平均的には販売戸数の10倍以上の集客数が必要とされます。

100戸のマンションを完売するには1000家族の来訪が必須となるのです。

1回の広告で1000家族がいっぺんに来てくれるわけではないので、例えば10回の広告で1回当たり100家族を動員するといった形になるわけです。

10回の広告を10日間で一気に露出しても効果はないので、広告媒体の特性や費用効果などを考えてバランスよく実施します。

テレビの30秒CMなら、1日10回くらいずつ1か月連続で出したりすることもありますし、インターネットの自社HPとSUUMOなどの検索サイトへの掲載と、ビルの壁面看板などは販売期間中ずっと出しっぱなしですが、新聞紙面広告やチラシの折り込み広告なら1週間に1回のペースで出したりします。

これらの広告は、初め「価格未定」となっています。これを「予告広告」と言います。これで顧客動員を狙うのです。

価格が未定でも、立地条件がとても良いとか、日本一の高さであるとか、人気物件ほど短期間にたくさんの顧客を動員できますが、並みの物件は反応が少なく、期待する顧客動員ができない状態が長く続いたりします。

筆者は、仕事がら住宅情報誌・SUUMOを毎週通覧します。すると、当然ながら物件は入れ替わりがあるものの、同じ物件を何度も目にすることとなります。

大規模マンションは、その販売戸数に見合う大量の顧客動員を必要とすることから、大量の広告を複数の媒体を使って実施します。3か月~6か月に渡り広告を流し続け、必要な顧客が集まったと見れば、そこで販売開始となります。

モデルルームの見学者は受け入れつつ、契約を要望する人には「待った」をかけ続けますが、機が熟したと見ると、「●月●日より受付開始」、もしくは「●月●日から●日まで」と期間を区切って「購入申し込み」の受け付けを始めるのです。

販売開始は、先着順受付、言い換えると「早いもの勝ち」という方式と、期間中の受付によって同一住戸に申込者が重なったときは買い手を抽選で決める方式(登録抽選方式と言います)とのどちらかで行われます。

どちらにするかは売主の任意で、反応の大きさや物件の戸数、その他いくつかの要素を考慮して決めて行きます。

どちらを選択するかは、広告の反応によります。まあ、簡単に言えば「先着順方式」は人気薄、「登録抽選方式」は比較的人気のある物件と言って間違いではありません。登録抽選方式でも期間が1週間タイプと2日か3日の短期タイプがあり、後者は人気薄と考えていいのです。



●プレ販売期間の意義

ところで、マンション業者は販売を開始するまでの期間を顧客動員という目的以外、どのような狙いを持っているかご存知でしょうか?

予定販売価格が受け入れてもらえるかを探ること、言い換えると、売りたい価格が通用するか否かを見定めることにあるのです。

その狙いを実のあるものにするためには、どうしても「予定価格」を提示しなければなりません。「まだ正式決定ではないのでお渡しするわけには行きませんが、一部を披露しますと、価格はこのとおりでございます」などと言いながら「予定価格表」をちらつかせます。

買い手は、希望の広さと間取りタイプ、階数などを睨み合わせつつ、「本当は角の〇〇タイプがいいのだけど、予算的に無理だわね。こちらの〇〇タイプが現実的な検討住戸ということになりそう。でも、ちょっと狭い。もう少し広い●●だと、2階か3階になっちゃうし・・・」などと感想を述べます。

そして「価格はいつ決まりますか」と質問しつつ、もう少し安くなることへの期待をにじませたりします。

一方、眺望の良い上階の特定住戸は価格が高いに関わらず、希望者は殺到する気配であったりします。

こうした顧客の反応は、会議の席などで「条件の良い上階住戸と角部屋は、もう少しアップしても大丈夫そうだが、80%を占める中部屋の中低層階住戸は、集まりが良くないうえに、申し込みは低額の下層階に偏ることが必至」などといった発言となります。

議論の結果、「では、次週は人気住戸を100万円ずつアップしよう。その分で中住戸を少し下げてみよう」などとなるのです。

しかし、この調整は全体の売り上げを変えない方法であり、単にバランスを調整するだけです。

20%の住戸を100万円ずつ上げても、80%の住戸は25万円下がるだけです。これでは、めざましい効果は出ないことが多いものです。

しばらく様子を見ますが、効果がないと分かると、仕方なく全体の売り上げを落とす、すなわち利益も圧縮して価格を下方修正します。

このようにして最終的な価格を決定するわけで、販売開始前の「予告広告」期間は適正価格リサーチ期間というわけです。



もう一つ、大きな狙いがあります。それは、売り出し戸数を決めることです。

短期間に大多数の戸数を売ってしまおうとするなら、それだけの大量動員が必要です。

しかし、実際に広告に反応した客の数は十分でなく、このままでは計画の100戸を半分に絞らないと売れ残ってしまうかもしれない状況にある場合、その悲観的な見込みが確実と見なされれば、販売戸数を計画より減らして売り出すことを決定します。

無論、その反対もあり得るわけで、その場合は計画戸数を積み増しして販売するわけです。

業者によっては、「価格が安過ぎだ。販売戸数はそのままで、値を上げろ」という指令が出されるケースも稀にあるのです。

マンション販売は、全部の戸数をいっぺんに売り出す企業もないこともないのですが、大半は「分割分譲(期分け販売)」という形式を採ります。

「第〇期○次販売 予告広告」という広告では、殆ど「販売戸数未定」となっています。この戸数未定表示こそが、売主に自信がない証拠で、どのくらいの数が成約に至るかが見えないからです。

ともあれ、予告広告の反応、商談してみての感触、「要望書」と称する、ある種の「仮申込書」の提出を顧客に出させ、その集まり具合を見るなどして販売戸数を決めるのです。


●いつまでも売り出さないケースは?

予告広告を繰り返しながらプレ販売を展開することで、価格決定と販売見込み戸数を読もうとするわけですが、思惑または計画から大きく乖離した結果(経過)であるとき、マンション業者はどうするのでしょうか?

先に述べた通り、売り出す戸数を減らすというのがひとつの選択肢です。プレ販売の途中で買い手に提示する「予定価格」を引き下げることにより販売見込み戸数をアップするという策もあります。

しかし、後者はスタートから敗北を認めるようなものなので、日本人の気質からか、この決定は容易ではありません。

SUUMOを毎週見ていると気付くのは、最初の広告から既に半年も経過しているのに、まだ「販売開始」されない物件の存在です。

広告予算も随分と累積したであろうと勘繰ってみたりしつつ、販売開始予定時期をときどきチェックしてみると、7月中旬とあったのがいつの間にか8月下旬に変わり、直近では9月にずれ込んでいたりします。

小規模物件では、予算に限りがあるので長く広告を繰り返すということはありえないので、上記のような例は大規模マンションの場合とご理解下さい。

大規模マンションは、付加価値も豊富で、魅力的な物件が多いとはいえ、集まりが悪いとする判断根拠は、初期で売ってしまいたい戸数自体がも多いからです。

例えば300戸の物件で、第1期で150戸は売りたいとする計画なら、少なくとも1500組の来訪者が必要になります。毎週末に100組ずつの来訪者があっても、1500組に達するまでに15週、約4か月の期間を要します。

実際に広告を開始したところ、週平均50組しか集まらないとなると、30週7か月以上を要することになるのです。

販売現場では、せっかく集めた顧客を競合物件に取られることを恐れ、早期の発売を望む声が高まります。しかし、「売れ残りを出したくないし、そうかと言って300戸の物件で第1期が30戸や50戸では先が思いやられるしなあ」などと悩みます。

立ち上がりからつまずくわけにいかないとの思いは全社共通なので、結局は予算を前倒しにして広告を増やす方向へと動きます。それまで以上の広い地域にチラシを配布したり、高額な新聞全面広告の実施に踏み切ったりするのです。

それでもめざましく効果が表れない状態が続きます。

いつまでも売り出さないでいれば、インターネット上の掲示板には歓迎できない書き込みが増えたりもします。 未定のはずの価格情報も洩れ始めます。それが、ライバル社の営業マンらしき匿名の書き込みで「高い」と批判されたりします。

長くプレ販売を続けることは、デメリットが大きいのです。しかし、完売までの道のりを考えるとき、「好評完売」や「第1期〇〇〇戸成約」などの好調ぶりをアピールするべきという思いに囚われるのでしょう。

その結果、発売を決断できず今日も広告は「予告」のままです。おそらくは、価格を見直そうと考えているのかもしれません。バランス調整などではない、抜本的なそれを。


●中々売り出さない物件・小出しの発売戸数は訳ありと思うべし

もうお分かりのように、販売開始が遅れている物件は客集まりが良くない物件と言えます。売り出したとしても第1期の戸数が全体の30%以下の場合も同様と見てよいのです。

また、分割回数が多い、既に何回かの売り出しを行なった物件のうち、第●期・第●次などの表示の数値が大きい物件は、1回当たりの発売戸数が少ないことを証明しているわけで、集客に苦労していることを示します。


●売れない物件の大半は「立地に問題があるか価格が高いか」どちらかである

規模を問わず、売れない物件の多くは、立地条件に魅力がないのです。

バス便がその代表ですが、バス便でも順調に売れるとしたら、徒歩圏物件を凌駕する魅力があるもので、例えば圧倒的なスケールの公園を眼前に見下ろすような位置関係にあるとか、圧巻の眺望が得られるといった別格の環境が備わった立地条件を持つ物件です。

それに加えて価格も安い(手頃な価格)ことが必須条件になります。

駅には遠くないが乗り換えを要する支線・枝線の駅が最寄りであることに加えて、もともと工業地域だったエリアにあり、当該物件の周りも特に環境が良いわけでない、そんな物件でも格別な安さであれば売れてしまうものです。

売れない物件は価格が割高なのです。利便性の高い物件は、よほど環境が悪くない限り、価格が少しくらい高くても売れてしまうことが多いのですが、駅から遠く、その弱点を補って余りある自然環境・眺望などの条件を併せ持たない限りは、中々売れません。

そのような物件の最後の手段は、価格を安くすることです。どのくらい安ければ適正な価格か、あるいは割安な価格と言えるのかは、個別に精査しなければ分かりませんが、一目瞭然、誰が見てもそう感じるといったインパクトが必須であることは確かです。

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どうせ買うなら、売れ行きの良い物件、すなわち大勢の顧客から支持される物件、評判の良い物件を買いたいと思うのが購入者心理です。やはり、売れ行きは軽視できません。


 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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長谷工とデベロッパーの蜜月は続く? [マンションの売主]

今日は作り手側の仕入れ事情に迫ってみることにしました。

というのも、この3年ほどの新築マンションの供給事情を俯瞰すると、施工会社である長谷工コーポレーションから土地情報が持ち込まれて事業化に踏み切ったと思われる物件と、その相手のデベロッパーが随分増えたと思うからです。

建築費の高騰のために、結果的に建築費の安い長谷工コーポレーションに発注するケースが増えたという背景があるのは確かですが、もうひとつの理由は同社の土地持ち込み攻勢が強まっているからではないか。そんな気がするのです。


●マンション用地はデベロッパーの生命線

マンション事業は、どんなに良い設計のアイディアがあっても、有能な建築デザイナーをかかえていても具現化するキャンパス、すなわち土地がなければ絵に描いた餅に過ぎません。


大手デベロッパーは、資金力と情報収集力に物を言わせて条件の良い土地を取得します。条件の良い土地とは、面積の大きな土地、利便性の高い土地を言います。

また、大きくはないものの、滅多に出ない高級邸宅地の中の億ション・スーパー億ションが似合う土地も大手ならではの仕入れ能力と言えます。

中小デベロッパーには真似のできない芸当なのです。

マンション事業が成功するかどうかは、土地の条件で80%は決まるとされます。どこにどんな土地を取得したかで先が見えてしまうとも言われています。

マンションデベロッパーにとって、生きるも死ぬも土地次第というわけです。

マンションを建てられる規模の広い土地は、便利な場所ほど少ないものです。鉄道が走り、駅ができると、駅の周囲から土地は開発されて店舗や住宅が立ち並びます。駅から遠い所から開発して駅前を空けておくという都市計画はまずありません。

駅前に公園や大規模スポーツ施設を配置する例はありますが、基本形は生活インフラを駅前に、その外に住宅を建てる。少なくとも過去はこの形でした。

戦後70年以上を経過し、焼け野原だった東京も空地はもはや見当たりません。

しかし、逆に70年を経過したからこそ、再建築という動きが増えたということになります。
古いビルを建て替えるか売却かで悩んだ所有者は、生業の後継ぎがいないなどの理由から売却を決断。企業は資産配分を換えるなど、リストラの一環として古い社宅や倉庫を売却。

都心から少し離れた世田谷区や杉並区、都下では、大手企業が所有していたグラウンドを手放すことを決定。同様に、住宅街に敷地面積で500坪もある邸宅を構えていた個人が相続税対策のために売却。

私学が都心の土地の一部を売却して郊外にキャンパスを移転。湾岸エリアでは倉庫や工場が、アジアへの移転に伴い不要になったので売却を決定。

このような土地所有者の事情からマンションメーカーに売り渡され、新しいマンションが建設されるのです。

稀な例では、団地の建て替えや商店街をまとめて再開発。こうした事例もありますが、これも戦後の歴史の長さゆえです。


 ●「土地がない」の嘆きはデベの常なる悩み

筆者がマンションメーカーの社員だった昔も、そして今も首都圏でマンション適地を取得するのは大変な仕事です。

デベロッパーによって差は当然あるのですが、1か月に数百件の売地情報が持ち込まれ、その中の5%か10%を選んで現地検分、その中の半分以下を購入の意思有りと持ち込んだ先(多くは仲介業者・銀行の不動産部門)へ返答。その中で実際に契約へ至るのはさらに半分以下となります。

「千三つ」と揶揄される低い確率で、やっとマンション用地は取得できるのです。

用地担当者は淡々と仕事をこなすのですが、本音は担当者自身も、また上司も社長も、土地がない、土地がないと嘆いています。

と言いながら、首都圏全体では、年間に100カ所前後のマンション開発を続けて来たのも事実です。 過去最高は年間に9万戸もの新規分譲を行ないました。その土地は、その2年か3年前に取得したものです。

その頃は、バブル後の企業改革(会計基準の変更が影響を与えたと言われる)がもたらした資産売却がマンション業者の用地取得を盛んにしましたが、それは用地取得の歴史的な取得合戦でもあったのです。

2000年代初頭のことでした。しかし、歴史的な合戦は短期間で沈静化しました。企業が売却する土地はなくなったのです。もちろん、今も出て来ますが、一大ブームは終わったということでしょう。

その結果、たまに出て来る土地は熾烈な争奪戦となってしまいます。マンション業者にとって用地は生命線なので、競争の果てに高値取得とならざるを得ません。

最近3年間にマンション価格は20%も上昇しましたが、その主因は建築費の高騰にあると分析されていますが、都心や準都心では土地代の値上がりもあったことは想像に難くありません。


●郊外都市や工場地帯の土地は長谷工の独壇場か?

用地不足は取得価格の上昇をもたらすと述べましたが、都心・準都心、あるいは郊外の人気駅周辺は、先に述べたように今も売地はあるというものの多くはありません。


人気の駅・街ばかり狙っても、年間の売り上げ目標に届かないので、やむを得ず人気度では低い次の街を探します。それでも足りないので、郊外都市や環境に懸念がある工場跡地なども検討します。

そこで登場するのが長谷工コーポレーションです。同社は、同業のゼネコンと一線を画す強みを持っていると言います。それは、圧倒的な人員を擁する用地取得部隊にあります。

ゼネコン業界は、常に価格競争にさらされて来ました。競り合うために儲からないのです。それが根底にあるので「談合」が常態化したのです。

とまれ、特に繊細さが要求されるマンションは薄利と言われます。そんな業界事情の中で生き残る策として長谷工コーポレーション(旧、長谷川工務店)は、「土地も探しますので、施工も特命発注でお願いしたい」という作戦を編み出しました。

そのとき、「施工費も高くありませんから」とアピールしました。

これは大きなアドバンテージでした。昭和40年代の後半から規格型マンションなら安く建てられることをセールスポイントに、同社は独自路線を歩んで来たのです。

一時期、「安かろう・悪かろう」の評判が立って、経営的にも窮地に立ったのですが、今では長年の経験が「安いが悪くもない」マンションを建てる設計と施工技術、設備機器の調達力等、同業他社が追いつけない力を備えるに至っています。

他社が設計した建物を単純に請け負う形では同社の利点が発揮できないので、基本は設計も施工もセットという条件が付くものの、マンション業者は同社を有り難い存在と受け止めているようです。

特に、販売価格が高くなっても、高額所得者層を集めて販売可能な都心・準都心と違い、郊外や工場跡地などでは、販売価格を一定線に抑えなければなりません。そのためには建築コストを切り詰めるほかないので、土地込み、予定販売価格の企画込みの長谷工案件はマンションデベロッパーにとって何より有り難い存在となっています。


土地は長谷工コーポレーションがデベロッパーに持ち込んだ案件と推測できる、そんなマンションが今日も首都圏で多数販売されています。いつもの同社の流儀で、「長谷工の設計による規格型の建物であれば施工費を安くできるから、土地代が多少高くても販売価格はこのくらいで行けるのでどうか」とアプローチしたのでしょう。

長谷工の提案に乗り土地取得に成功したデベロッパーは、工事業者を決めるときに予算オーバーばかりで、その後のネゴシエーションに苦労して来た経験から、提案と大きな差がない金額で施工してくれる長谷工のかかわりは頼もしい存在に映るのでしょう。

最近は同社と関係のないデベロッパーを探すのが難しいほどです。少し前は特定の数社だけでしたが、今は大手の野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産、、東急不動産をはじめ、大和ハウス、積水ハウス、大成有楽不動産、新日鉄興和不動産などが名を連ねています。

いかに土地が買いにくい状況にあるかを示す事実だと言えますし、同時に建築費高騰が生んだ長谷工への秋波の実態と言えましょうか?

長谷工との蜜月はいつまで続くのでしょう。



 ・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。


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新築マンションの値上げ分譲に違和感 [マンションの売主]

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。


利益追求が民間企業の目的なのだから、こんなことを書いたら馬鹿にされてしまうかなどと思い悩むのですが、最近のマンションデベロッパーの値上げ販売の動きに、どうしても取れない違和感を覚えています。


消費財では、全く同じ商品が店によって売値が違うのはよくあることです。同じ店でも、昨日と今日で値段が違う、生鮮食品になれば朝と夕方で値段が違います。

これらに私たちは全く違和感を覚えることはありません。理由や背景もよく知るところです。値上がりが大きいときは買い控えをし、値下がりしたら我先にと買い漁ったりもします。



しかし、マンション販売の世界は異質なので、価格が変わることに割り切れないものが残ります。

マンションが消費財との根本的な違いは、マンションには二つと同じ物がないという点にあります。場所も違いますし、同じ広さ・間取りでも階が違います。唯一無二の商品、それが不動産・マンションという商品なのです。

このため、価格もみな違って当然です。条件・品質・大きさ・広さがみな違うのですから、価格の比較もしにくい、それがマンションの価格というものです。

筆者に対し、検討マンションの価格が適正かどうかを教えて欲しいというご相談・ご質問が絶え間なく来るのも当然と言えば当然なのです。

買い手は自分なりの調査や勘などで「高い」と思ったり、「安い」と感じたりするようですし、最終的には「高いが買おう」か「安いけど〇〇だから止める」などと判断して行きます。



ところで、新築マンションの価格はどのようにして決めているのでしょうか?

基本的には「原価積み上げ式」です。土地代と建築費、販売経費、利益の合計が価格です。

利益は企業存続に必須の割合があります。新築マンショを開発し販売する「デベロッパー」の場合、平均は20%程度です。それ以上の利益を取りたいと思っても、価格が高ければ売れないので、仕方なく20%で我慢しているとも言えますし、20%あれば十分と考えているとも言えます。

「原価積み上げ式」と言いましたが、売れない価格になってはいけないわけですから、土地代と建築費の原価は売り値からの逆算であらかじめ決めてかかります。

この場所にこんなマンションを企画したら、きっとこのくらいで売れるだろうとの目算のようなものを各デベロッパーは持っています。経験値であったり、市場調査の結果であったり、目算の仕方は様々ですが、あくまで予測なので、強気なデベロッパーと弱気なデベロッパーとに分かれるのも事実です。

想定する分譲価格を強気に予測したデベロッパーは、土地を高く仕入れることができます。

マンション開発に向く土地というものは、実は中々ないもので、立地条件が良いとは言えない土地、変形の土地、傾斜地、道路幅が狭くて工事がしにくい土地といったふうに、何かしら問題を抱える土地が多いのが現実です。

このような原材料(?)事情があるため、取得競争は常に激しく、用地代は高くなりがちです。そして、マンション価格は常に上方に振れやすいという性格を持ちます。

価格が上がれば需要がついて来なくなる恐れがあります。いうまでもなく、勤労者にとってマンションは一生に一度の大きな買い物だからです。しかし、過去50年、マンション価格の推移を紐解くと、バブル後の一時期を除きほぼ上昇を続けて来ました。

その間に需要は減少と増加を一定範囲で繰り返しながらも、ゼロになることはなく、いつの間にか高値に追いついて来たのです。 そこには「購買力の上昇」という要因があったわけですが、購買力の上昇は所得の増加、貯蓄の増加、住宅ローン制度の拡充、同金利の低下、住宅購入応援の国策(住宅ローン控除や住宅贈与税の特例など)によるものです。

供給側のデベロッパーは、高値でも購買力が追い付く限界、平たく言えば高値でも販売は可能であるという限界点を知る経験と研究を積んで来ました。

マンション販売で利益を着実に上げるため、デベロッパー各社は並々ならぬ苦労を強いられて来ました。とりわけ、価格をいかに抑えるかに力を傾倒して来たのです。

それでも計画段階の価格に抑制することができないことの方が多い実態にあります。建築費が上がってしまったりするからです。ままよと高値で売り出して失敗し、売れ残った何割かの住戸はバーゲンセールのように10~20%引きで処分したという経験も少なくありません。

これまで、多くのデベロッパーは定価で完売することを目標にして来たと言って過言ではありません。言いかえれば、価格を下げることはあっても上げることはなかったのです

売れ残って仕方なく下げる場合も、先行契約者からのクレームに恐れつつ水面下で実施して来ました。過去に訴訟に発展した経験を持つからです。歴史を辿ると、一度公表した価格の変更は定価販売した顧客の目を気にしながらの値下げだけでした。


ところが、最近は歴史上なかった値上げ販売、つまり特定物件の販売途上で値上げするという、買い手から見たら暴挙に出ているのです。

といっても、価格は売り手の内部だけの秘密にしておき、販売状況を睨みながら強気に上方修正しているということです。  第1期、第2期というふうに分割して販売する戦略が定着し、第1期販売で予想以上に好評であったというとき、第2期では値上げに踏み切るという事例が大手デベロッパーを中心に増えています。 過去には見られなかった流行です。

次のようなお便りを頂きました。

「マンションギャラリーへ行く度に、第1期の販売部屋数が減っただの、予定価格が上昇だの、最上階は人気が高いので抽選ですと、条件が後になるほど厳しくなって行き、挙句、こちらの希望した部屋は第1期で販売されず、2期以降になると言われ、同時に2期以降は本社が価格を上げることを決定しましたと言われビックリしてしまいました」

別のお便りでは、「同じ面積・同じタイプの部屋が3階は5200万円なのに、11階は1200万円も高い6400万円なのです。11階は眺望が良いとは思いますが、1200万円もの付加価値があるとはどうしても思えないのです。これっておかしくないですか」というお尋ねもありました。

次期販売の価格は担当営業マンに聞けば「〇〇万円の予定ですが、変わるかもしれません」か「〇〇万円前後です」などと教えてくれます。しかし、建前上「未定」としています。下がる分には問題ないが、上げれば顧客心理は怒りに向かうことを知っているからです。

デベロッパーにとって、値上げは千載一遇のチャンスなのかもしれませんが、それにしてもやりすぎの感を覚えます。

「未定」としておいて、分割販売の中途から価格を上方修正して利益を増やす目論見に、どこかおかしいと感じるのは筆者だけなのでしょうか?

筆者の違和感は、もしかすると過去になかった慣習が変わったことから来るものなのだろうかと、自問自答していますが、そうではないような感じもします。

本来、企業は良いものを安く提供することに社会的使命や存在意義があるのではないか。そんな考えは「青い」感情論に過ぎないのかもしれません。

「価値あるものは高い値段で販売する」それが企業論理として正しいとする向きがあることも筆者は知っています。

しかし、マンションの場合は買い手の足元を見て価格を吊り上げている(買い手の顔色を見て値段を決めている)に過ぎないのではないか。これは節操の問題ではないか? 筆者はそんなふうにも思うのです。


この話は人気の高い少数の物件に限ってのことかもしれませんが、値上げするぞと言われたとき、あなたはどう思われるでしょうか?

値上げ前に希望住戸を変更しても購入を決断なさいますか? それでも買える保証はないかもしれません。そうしたスタンスの売り方を批判しても、価値あるマンションであることには変わりないと言えるのでしょうか? 

グレード、スペック、立地条件など、どれも価値あるものであることは間違いないのでしょう。ただ、価格は価値以上に高いはずです。

価値あるものを安く買ってこそ賢い買い物になりますが、反対の買い物は後悔につながることになるかもしれません。おそらく優良な物件なので将来価値に期待して買う人も多いはずです。

しかし、高値で買ってしまえば、いざ売ろうと考えて査定してもらったら全くの期待はずれであったということになるものです。

それでも貴方は買いますか? モデルルームの来場者の多さ、混雑するマンションギャラリー、マンションパビリオンの熱気に我を忘れていませんか? 確かに稀少価値の高い物件かもしれませんが、他にも選択肢はあるのでは? ここは冷静に判断したいところです。



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[黒ハート][黒ハート]購入済みの方にもお勧め!!「マンション価格の10年後を予測する」

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「売り急がない新築マンション」そのわけは? [マンションの売主]

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

分割販売という売り方をご存知のことと思いますが、その販売戦略に異変が起こっています。今日は、そのことについて書きます。

●従来型の分割販売の狙い

新築マンションの販売方式には、「一括分譲」と「期分け分譲」があります。

一括分譲とは販売予定住戸の全部を一気に店先に並べる方式で、期分け分譲は販売総戸数を何回かに分割して「蔵出し」しながら販売する方式のことです。

期分け分譲、すなわち分割販売方式が採用されるのは大規模物件だけでなく、中規模物件でも採用されることが珍しくありません。


数百戸もある大型で人気の高い物件は、初回で大量に発売し、かつ発売分を完売すると、次も1期ほどではないものの再び大量に発売し、次いで3期、4期と回を重ねて行きますが、全戸完売に至るまでの分割回数は多くても5回くらいが通例です。

対照的に、不人気な物件は分割回数がやたらと多く、1回当たりの発売戸数が10戸未満であったりします。たくさん売り出しても売れないので小分けするのです。

分割販売の本当の狙いはどこにあるのでしょうか? それは、売主にとってのメリット「完売」の2文字を使いたいのです。人気のある物件であることを端的に表す言葉、それが「完売」だからです。

裏返せば、「先着順受付中」では、売れ残り物件を順次販売中と言っているようなものだからです。

人間の心理は、売れたと聞くと、例えそれが不人気の品でも人気を博した品と思いたがるものです。「逃がした魚は大きい」という諺があるように、ないと分かるとよけいに欲しくなるという心理が働くのです。

売り手は、全部の戸数が売り終わるまで人気が続くようにしなければなりません。そのためには、「販売が好調に推移」していることを買い手に伝え、「良い部屋は早くしないとなくなる」と買い手に錯覚させるのがストレートで最も効果の高い方法です。

それを強く印象付けるには、抽象的な表現ではなく数字を用いるのが一番です。「販売が好調に推移」と言うより、「完売」すなわち「全部=100%」と言う方が良いのです。

この「100%」を繰り返すのが分割販売の狙いです。売り出しの都度「100%売れた」と言いたいのです。


買い手は、流行品・人気商品に引かれます。売れていないと聞くと、良くない品と思う傾向があります。売れていると、これだけの人が買っている商品なら良い品なのだろうと思うのです。

この人間心理は未来永劫、きっと変わらないはずです。人の好みは多様であるとしても、周囲のみんなと同じなら安心という心理も働きます。ゆえに、売り手は、そこにこだわるのです。


●最近の分割販売

分割販売は、販売促進のための戦略です。ところが、最近は狙いの軸が変化して来たのです。次の発言からそれを窺い知ることができます。

「次期の販売では値上げの予定ですから、購入するなら今です」と買い手を慌てさせる発言です。

これまでの分割販売では、次期販売住戸の価格は「未定」としてはいても、値上げするとは言わなかったものです。

微妙な価格調整はするにしても、基本は前後上下のバランスを考慮し、価格差について合理的な説明ができる範囲のことでした。

それを同じタイプ・面積の、価値に大差ない住戸でも堂々と値上げすると言うのです。5%か10%も短期間に値上げするのが常態化して来たようです。

これは言うまでもなく人気物件でのことですが、立地が良い都心などの複数の現場から聞こえて来るのです。

販売促進策のために考え出された分割販売戦略が、今や値上げの機会をうかがうための好都合な策に変貌したというわけです。


●急いで売るなの声が・・・

今年(2015年)に入ってからよく聞こえて来るものに、「建物が竣工してから半年くらいで完売できればいいので急いでいないのです」という声があります。しかし、これは欺瞞です。

「価格高騰のトレンドが市場で周知されるようになったのだから、黙っていても客は買い急ぐ。だから慌てて売り出さなくても心配ない。売り出しと売り出しのインターバルを長く取れ。そうすれば、値上げしても客は必ずついてくる」 こんな会話が社内で交わされているというのです。つまり、これがホンネです。

要するに、買い手の足元を見て高値で売り付ける行為です。それが複数の大手デベロッパーの昨今の姿勢なのです。大手がやれば、中小デベロッパーも追随します。


企業は利潤を追求する組織ですから、高く売ってどこが悪いのかと反論を受けるのは間違いないところですが、どうも素直に受け入れることができません。

企業は良い商品をできるだけ安く提供する使命があるとする考え方と、経営の持続のためには良い商品を造って高く売り、利益を増やして社内に留保するべきという二つの考え方があります。

仮に後者の考え方が肯定できるとしても、露骨な値上げ宣言を耳にした買い手の心情を察すると、割り切れないものが残るのです。


さて、どうしましょう。いくら人気の物件であるとしても高値掴みになってはなりません。では、値上げ前の段階で決断してしまいますか? 売り手の策略に踊らされるのもしゃくに触るではありませんか? そこまでして買い向かうべき価値ある物件なのでしょうか? 価値ある物件なのでしょうが、値上げ前の価格ですら価値に見合う価格ではなく、高過ぎる価格とは言えませんか?

心の中で反問しながら、冷静かつ慎重に判断されることをお勧めします。


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大京の順位が6位に後退。野村が初のトップ [マンションの売主]

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大京はかつて20年以上もの長きに亘り、新築マンション供給戸数で全国トップを続けました。このことを知る人は今どのくらいあるのでしょうか?

その数も驚くほどです。2000年は9007戸も供給していますが、これは2位の三井不動産(6149戸)を大きく引き離すものでした。ちなみに、10年前(2002年)のランキングを引っ張り出してみました。上位10社は、こんな顔ぶれでした。

1位:大京(7103戸) 2位:住友不動産(4580戸) 3位:穴吹工務店(4414戸) 4位:三井不動産(4350戸) 5位:藤和不動産=現、三菱地所レジデンス(4099戸) 6位:リクルートコスモス=現コスモスイニシア(3529戸) 7位:ダイア建設(3337戸) 8位:大和ハウス工業(3300戸) 9位:野村不動産(3064戸) 10位:ゴールドクレスト(2751戸)。
――大京が突出していますねえ。これは、この2年だけのことではありませんでした。

●2012年の事業主別ランキング発表される
では、2012年はどうだったでしょうか? 先ごろ、不動産経済研究所が発表したデータはこうです。
1位:野村不動産(6181戸) 2位:三井不動産レジデンシャル(5138戸) 3位:三菱地所レジデンス(4975戸) 4位:住友不動産(4209戸) 5位:大和ハウス工業(3176戸) 6位:大京(3130戸) 7位:あなぶき興産(2103戸) 8位:プレサンスコーポレーション(2006戸) 9位:近鉄不動産(2032戸) 10位:東急不動産(1765戸)
――大京は2010年も1位でしたが、2011年は4位、そして昨年はとうとうベスト5からも落ちて6位に後退しました。トップは野村不動産ですが、初めてのランキング1位です。

●野村不動産の躍進
時代は移り、マンションの大量生産はその必要がなくなりました。市場も減少傾向にあるはずです。その中にあって、野村不動産の躍進には衝撃を覚えます。

多分こうなるだろうと感じたのは、2年前でした。新ブランド「OHANA(おはな)」シリーズの立ち上げを発表したからです。
読者の中には、ご存知ない方もあると思いますので、簡単に紹介しますが、OHANAシリーズはプラウドシリーズと一線を画した、郊外で展開する普及型マンションです。
非難を恐れず言えば、マンションの「ユニクロ版」のような商品です。そこそこの品質を保ちながら価格は格安という商品なのです。

安く造るにはスケールメリットのある大規模建築が前提であるし、用地も安く仕入れなければならないので、おのずとパターンができてしまいます。
パターンとは、施工が日本一のコストダウン技法を持つ長谷工コーポレーションに発注、場所はすべて郊外というわけです。

これまでに、東京都東村山市141戸、神奈川県平塚市134戸、埼玉県ふじみ野市381戸、同 戸田市277戸、同 草加市127戸、東京都東大和市322戸、同 日野市151戸などで販売済みもしくは販売予定となっています。

話を元に戻しますが、大型開発を積極的に行うということは、戸数が伸びることを意味しますから、野村不動産がOHANAの展開を公表したとき、これでベスト3くらいに入るのだろうと予想しました。結果は、2011年が2位、そして昨年ついにトップに躍り出たのです。

もう数を追う時代ではないのに、野村不動産は順位だけでなく、全体戸数においても、2009年の2604戸から、2010年5036戸、2011年5034戸、2012年6181戸と大きく伸ばしているのです。
まさに衝撃的です。

少子高齢化時代、家余り時代などと言われる今日、これほど積極的な開発・供給の方針を続けるのは、どんな理由があるのでしょうか?

一定のマンション需要が今も根強くあるのは確かですから、そこを狙って事業展開するのは経営戦略として理解することはできますが、それにしても。

中小が担って来た市場が、リーマンショック後の大量倒産で供給が細りました。野村不動産は、この空白を埋めて需要に応えようという大義名分を得たのです。

やはり、これはビジネスチャンスをつかもうとする積極経営のなせる技ではないかと思えるのです。

●大京は量から質へ転換
かつて、日本一の販売力にものを言わせて圧倒的な供給戸数を誇って来た大京も、今は普通の会社になった感じがします。
昔の、一歩間違えばしつこいと非難されかねない営業スタイルが今も顔を出すときがあると聞きますが、私の知る猛烈営業はすっかり影を潜めたと言ってよいようです。

その代わり、商品の差別化に取り組む姿勢が近年は随分顕著になった気がします。

例えば、他社が例外的な採用でしかない先進設備やグレードの高い仕様を早くから標準化しています。
具体的には、Low-Eと呼ばれる薄い金属膜を張った複層ガラスが挙げられますが、どの物件でも採用していますし、フローリング材はワンランク上の突き板タイプを採用、またキッチンのカウンタートップも人造ではなく早くから天然石にしています。電気自動車用の充電設備の導入も一番早かったと思います。

また、ハードルが高く、僅か数例しかない「長期優良住宅」の認定マンションを発表(立川市のライオンズ立川グランフォート)したり、といった所にも表われています。

褒めすぎになってはいけないので、ここで終わりにしますが、大京の行動は将に、かつての戸数トップの企業が量から質に転じたことの証明であるかのようです。

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「価格未定」が多い新築マンションの不透明販売 [マンションの売主]

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お気づきでしょうか?新築マンションの価格の分かりづらさを。
予告広告では、価格を未定とするのが常識です。ついでに、販売戸数も未定となっています。

最低価格と最高価格の「価格帯」を「〇〇万円台」と明示してあっても、住戸ごとの価格表は正式決定ではないからと、見学者にコピーさえ渡さない。これも業界の慣習のようになっています。
数字の入っていない表を渡され、手書きしてお持ち帰りくださいと言うのです。

価格を決めないままの販売活動がしばらく続き、やがて「登録」という名の購入希望者の申込を受け付けるというスケジュールに至りますが、その寸前まで正式の価格は公表しないのです。しかも、第〇期〇次受付といった「期分け販売」が一般化し、公表する価格も僅かの戸数のみ。

このような販売手法には、どのような狙いがあるのでしょうか? 今日は、マンション業者の広告・販売戦略の一部を解剖してみようと思います。

●買い手が最も知りたいのは価格
どんなに素晴らしい物件でも、予算をはるかに超えていたら購入することは難しくなります。広告で肝腎の価格が分からなければ、知りたい人は資料請求をするか、モデルルームを訪問して知ろうと動きます。これがレスポンス(反響)ということです。

一定の商品情報を流さなければ買い手に魅力を感じてもらえませんから、売主は広告で誇張気味の商品特性をアピールします。欠点は伏せ、利点・長所のみを幾分デフォルメしながら広告するのです。

買い手は、売り手の策略に乗り、関心・興味を持ちます。しかし、肝腎の価格が出ていません。

そこで、「場所は最高だね。価格もきっと高いのだろうね」や「価格は高そうだが予算的に届くかな?どうなんだろう」などと、関心を持った買い手の多くが、期待しつつ業者にコンタクトを取ります。

●レスポンス客の分析をしたい業者
マンション販売において成否のカギを握るのは価格です。高く売りたい業者、安く買いたい客。
不動産は唯一無二の商品でもあるだけに、高いのか安いのかが判断しにくいものです。そこで、類似のマンション、近隣のマンションと比べながら妥当な価格、適正な価格を買い手は探ろうとします。

高く売りたい業者と述べましたが、暴利を取ろうとしているわけではありません。土地代+建築費+適正利益が売値となるのですが、業者の適正利益とは経営の継続に必要な利益という意味でもあるのです。

計画段階で立てた適正利益が実現できるかどうかは、買い手に商品が支持されるかどうかにかかって来ます。
短所もあるのが普通で、それでも価格が安いからという理由で買ってくれる人がいます。あるいは、近隣物件に比べて高いのは明白であっても、場所がいいからここに決めたという人など、例示すればキリがないですが、理由の如何に関わらず、支持者が現われます。

この顧客動向を見ながら、一定期間内に完売できそうかどうかを早く知りたいのが売主です。

見通しを立てるには、顧客分析が必須です。それには先ず多数のレスパンスを取らなければなりません。

●条件の悪い住戸を売れ残したくない業者
モデルルームの来訪者との商談の中で、「この客は暫定(予定)価格の〇階〇タイプなら買ってくれそうだ」と分かります。
しかし、その数は何割かの住戸に留まります。予告広告で動員できる数は限られるからです。数が少なければ顧客分析どころではありません。

そこで、広告の量を増やし様子を見ます。それでもレスポンスが大して増えないときは、価格の最低を決めて「3LDKが〇〇万円から」と広告します。もちろん、条件の悪い住戸を最も安い価格に設定するのです。

どのように条件が悪いかは広告上で明らかにしませんから、安さに魅かれて来場者が増えます。その結果、条件の良くない住戸と知っても、買い手にメドを立てることができるかもしれません。

●完売までの道筋が見えないとき
しかし、一番売りたい住戸は、条件の良い住戸でも条件の悪い住戸でもないのです。平均的な住戸、中間の住戸を売りたいのです。
100戸のマンションを売るには、少なくとも500家族以上、普通は1000家族のモデルルーム来場レスポンスが必要です。その数を短期間に集めることができれば成功は間違いないのですが、そうは問屋がおろしてくれません。

顧客が少なければ、少ない中から成約に結び付けようと販売担当者(売主)は考えます。その場合、値引き作戦が安直で最も効果が高いのです。

しかし、一旦正式決定した価格、いわば公示価格を簡単に値引きして売ることには問題があります。先行契約者の反感を買うからです。

公表した価格から値引き販売したことが分かれば、定価で購入した買い手から不当廉売だとして告訴された事例も過去に何度もあったからです。判決はいずれも業者の勝訴でしたが、企業イメージに傷が付きました。

今日、値引き販売は普通のことと言われますが、それでも好ましいことではないのです。まして、竣工してから半年、1年経過した時点で売れ残っているのでないとすれば、値引き販売は業者にとっても、経営上あってはならないのです。

しかし、何年も時間をかけて完売に漕ぎつけるというわけには行きません。できるだけ早く完売したい業者は、序盤から価格を動かしたいのがホンネなのです。

●価格を動かすには見せないに限る
ここまでの説明で、レスポンスを取り、顧客分析をしながら売れそうな価格を探る「リサーチ」と成約率を上げる「値引き作戦」が短期完売に必要ということが、おぼろげに分かっていただけたと思います。

そのためには、公示(公表)価格を最小限の戸数にしておくことが重要になります。先行契約者も定価が分からない以上、文句を言いにくいはずです。

実は、売りにくい住戸は極端に安くして「目玉商品」とし、ルーフテラス付きの角住戸など好条件の住戸は思いきって高く設定し、全体の利益を確保したいという狙いもあるのです。つまり、値引きで損する分を、他で取り戻そうというわけです。

予定価格とはいえ、一旦提示した価格を上げるのは、検討中の顧客の心理を考えると無理があります。まして、広告に明示してしまうと上げることは法的にも不可能なのです。

そこで、幅を持たせるか、少し高めの数字を告知するのです。

これらの戦術は、価格を見せているようで見せない、見せても一部分に留めるという手法です。業界で半ば共通化した「不透明」な広告・販売手法と言えるかもしれません。

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