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宅建主任者から宅建士へ。営業マンに望むこと [マンションの営業マン]

ブログテーマ:マンション業界出身者が業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

今までは、「宅地建物取引主任者」または「宅建主任者」といわれていましたが、平成26年に宅地建物取引業法の一部を改正することが決定し、名称が変更になりました。

「宅地建物取引主任者」を「宅地建物取引士」に改める(平成26年6月25日官報)となったのです。

略称として『宅建士』や『宅建取引士』と呼ばれることになりました。

他の格ある士業では、「弁護士」や「会計士」、「税理士」などがあり、宅建も3文字で『宅建士』となって、肩を並べるのですが、実態は何も変わりません。今日は、このことについて述べようと思います。

なお、改正の施行は平成27年4月1日以降で、旧「宅地建物取引主任者証(運転免許証のようなもの)」は「宅地建物取引士証」となって交付されています。


●法律に詳しい弁護士と不動産取引に詳しい宅建士の差

宅建試験に合格し、取引主任者証の交付を受けていた、昨年度までの「取引主任者」は今年度から文字通り「士業」となりましたが、何がどう変わったのでしょうか?

実態は単なる名称変更だけと言えますし、どうして現行の宅建主任者を「士」にしなければならないのか、その理由は全く分かりません。

アメリカでは宅建士はブローカーと呼ばれ、弁護士のように社会的信用度が高いのだと聞いたことがあります。しかし、筆者の知る在米日本人にブローカーがいますが、失礼ながらそんな感じはしません。

それはともかく、弁護士、公認会計士、税理士などは国家試験に合格しなければなりませんが、その難しさはつとに知られています。

同じ国家試験でも、宅建士は簡単に合格できると言われています。選択問題50問の30~35%(年度により変わる)正解で合格できるからです。記述問題も、面接試験もないだけでなく、年齢制限もないのです。

過去の最年少合格者は小学6年生ですし、最高齢者は90歳のおじいちゃんもいました。小学生や高齢者でも合格できる制度で誕生してしまう士業が、弁護士や税理士などと肩を並べるなんておかしいと思うのは筆者だけではないはずです。

宅建士は、単に重要事項説明書の説明文と売買契約書の条文を読んで聞かせるだけが仕事なので、年齢は関係ないということでしょうか?


●宅建士は、契約調印に至る過程にこそ存在感がある?

宅建士は、単に重要事項説明書の説明文と売買契約書の条文を読んで聞かせるだけが仕事と書きましたが、某大手不動産会社では10数年前に契約センターという、取引実務(契約業務)のみを扱う部署を立ち上げています。顧客の意思決定に係る営業との分離を図ったのです。

その部署は全員が宅建士で、説明を開始する際に宅建士証を「この紋どころが見えぬか」とばかりに顧客にかざします。その後、事務的に重要事項説明書を読み上げ、契約書を説明し、買主に署名捺印を求めます。

販売現場にも多数の宅建士が配属されています。営業は宅建士の資格がなくてもできます。しかし、多くの営業マンが宅建士の資格を有しています。 逆に言えば、宅建士の多くが営業マン・営業ウーマンとして新築マンション、中古マンション等の販売業務に従事しているのです。

営業の成果として、顧客の購入意思が固まり契約する運びとなると、担当営業マンは宅建士の資格を活かして契約業務も行います。兼務型が業界は多いのです。


●宅建士である前に単なる営業マン

多くの宅建士は営業・販売に充てるの時間の方が、取引実務(契約業務)よりはるかに長いのが実態です。

この実態から言えることは、本来、宅建士の役割は顧客の不安や迷いなどを解消し、購入に道筋をつけることにあるべきではないかと筆者は考えます。

これは理想論かもしれませんが、顧客の希望条件や家庭内事情、予算、購買活動の経過などを聞きながら、正しい選択に導くことに目的があるべきなのではないかと思っているのです。

顧客とのやり取りの中で、顧客が信頼し、顧客が満足する答えを得るところに宅建士の役割があり、格の高い職種になり得るのではないかとも思います。

理想論と述べたのは、現実には高い壁があるからです。 宅建士は企業に従属する営業マンであり、担当マンションを売らなければならない立場にあるため、顧客のために公正な助言や選択肢を提示することはできないからです。あくまで売り手の論理で助言をし、担当マンションの購買に誘導することが職務だからです。

担当物件が顧客の希望条件と大きく隔たりがあれば、あっさり諦めもつくことでしょうが、そうでない限り、顧客を説得して自社マンションとの距離を埋めようとします。決して、あなたはあちら(他社)の物件がふさわしいなどとは言いません。

やはり、宅建士の資格はあっても、それ以前に営業マンなのです。


●中古物件の担当なら誇り高き宅建士になれるかも

しかし、中古マンションの場合なら、顧客の条件や事情に鑑み、最適な物件を業者間のネットワークを使って探すことができるため、この矛盾は解決できそうです。

一生に何度もある買い物とは言えない高額な買い物、下手すれば欠陥マンションを掴んでしまうかもしれないし、その心配はしないとしても、売却で大きな損失を被るかもしれないリスクもあります。 

その不安やリスクを減らし、安心して契約に踏み切るために大きな役割を果たすのが宅建士であるとしたら、介在する宅建士本人も誇りを持つことができるでしょう。

ただし、そのためには、専門的な知識だけでなく、幅広い識見を持つことが必須です。

法に基づいた不動産取引事務をつかさどるだけでなく、購入者の意思決定の際に頼りになる立場であり、かつ崇められる(あがめられる)だけの識見を持ってこそ真の士業なのだろうと思います。

宅建士における必要な識見は、とても幅が広いものです。取引の実務は当然ですが、その手前、すなわち意思決定に至る過程では、不動産・建築に関する知識をはじめとして、金融に関する知識、経済・景気動向に関する知識、人口構造に関する知識、不動産市場に関する歴史と最新情報などが必要になるからです。

これらは、宅建試験の枠などには収まらない幅の広さと深さが必要なのです。住宅ローンの金利は今後どうなって行くのか、マンションの価格はどのように形成されるものか、今後の市況はどのように展望できるのか、今は待つべきときか決断のときかなど、挙げればキリはないのですが、これらの疑問や悩みなどに的確に答えて行くことが必要です。

残念ながら、それが可能な宅建士・営業マンは1%もいないのが現実です。

幅広い知識を有し、格の高い宅建士を要請するには、国家試験の試験科目に「金融」「経済」「人口構造」「国策」「市場原理」などを増やし、選択問題だけではなく、記述式も加えるなどの改定をしなければならないでしょう。

単に契約業務を担当するだけの場合は、これまで通りの「宅建主任者」か「宅建士補」とし、宅建士と区別すればいいのです。

しかし、そうなるには30年も40年もの時が必要かもしれない、そんな気がします。


●宅建士の資格を持つ営業マンに期待すること

新築にせよ中古にせよ、宅建士の資格を持つ営業マンは弁護士バッジのようなバッジを胸に着けることはないにしても、差し出す名刺に宅建士と刷り込む以上、それが顧客の信頼につながるように努めなければなりません。

仮に自社物件を売らなければならない責務を背負う営業マンは、宅建士か否かを問わず、本来は顧客からの信頼に足る人物でなければなりません。

しかし、現実はというと、寂しいことに、勉強不足の営業マンが無数にいるように感じます。そう思うのは、次のようなことがあるからです。

モデルルームで、見学者が「上階の音は大丈夫ですか」と聞いたら、「スラブ厚が25センチあるので心配ないですよ」と答えた営業マン。「バルコニー側の隣地に、将来マンションが建つ可能性はありませんか」と聞くと、「日照権がありますから心配いりません」と説明した営業マン。

少し勉強した営業マンなら、笑ってしまうような回答です。
「スラブが厚くても、他の条件次第では、薄いマンションと変わらない。音の聞こえ方は様々で、いろんな原因が考えられるので、遮音対策に力を入れたマンションでも、絶対大丈夫ということはない。ただ、このマンションの遮音対策は、コレコレシカジカとなっておりますので、性能は高い方です。とはいえ、マンションは、入居者が互いに気を付けて暮らすことが大切です」――こうした答えが用意できていない営業マンであったのです。

「日照権があるから・・・」も、無知な人は「そうなんですか?」と半信半疑の体でした。
将来の可能性としては、市街地ならどこにも建つのが建物です。ただ、都市計画がどうなっているかによって建つ高さや規模が異なるのです。ともあれ、南の土地の面積や所有者がどのような人かなどによって、ある程度まで予想はできます。

こうしたことも、少し勉強したら簡単な説明ですむのです。

「音はします」や「建物が建つ可能性があります」と答えたら買ってくれないという恐怖心が働くのでしょうか? 単に知識不足からの説明なのでしょうか?このような、お粗末な営業マンはマンション現場に少なくないようです。

中途採用の新人なのかもしれない。会社の教育が悪いのか、本人の勉強不足なのか。そんな感想を持ちました。

こんな現実に触れると、筆者がイメージする、尊敬される士業としての宅建資格者には距離が遠く及ばない思わざるを得ないのです。
 

●買い手は営業マンを選べない

豊富な専門知識と関連する幅広い識見を持ち、顧客の不安や悩みに的確に答えつつ適切に誘導するのが優秀な営業マンであるとするなら、そんな営業マンは各社にどれくらいいるのでしょう? どこで線を引くかで差はできますが、筆者の基準で言えば1%も存在しないのではないかと思うのです。

仮に、10倍の10%居るとしても、買い手はその営業マンを選ぶことができません。筆者へのご相談の中に「担当者が気に入らない、担当を替えてもらうにはどうしたらいいか」がときどき届きます。

極端な対応をする営業マンであれば、「担当を替えてくれ」とある種のクレームをつけることは可能ですが、そこまでひどいケースは少ないものです。

営業マンに対する不満を持ち、営業マンに期待もせず、買い手は自分で問題を解決しながら購買の決断に至る、これが現実なのでしょう。 言い換えれば、買い手は「営業マン頼りにならず」と思うほかないのかもしれません。

このような現実を思うにつけ、買い手の様々な不安、疑問、悩み、購買物件の選択に役立つよう、このブログとHPを通じて、情報発信を止めてはいけない、改めてそんな決意をさせられます。


・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://mituikenta.web.fc2.com)までお気軽にどうぞ。

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マンション営業の“ウソ”特集 [マンションの営業マン]

ブログテーマ:元、大京マンが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

マンション・不動産業界には独自の「公正取引協議会」という誇大広告やウソの広告を監視する機関があることをご存知でしょうか? 

正式には【公益社団法人 不動産公正取引協議会】というのですが、「不動産の表示に関する公正競争規約」(不動産広告のルール)及び「不動産業における景品類の提供に関する公正競争規約」(景品提供のルール)を全国9地区において運用するために設立された不動産業界の自主規制機関です。

関東甲信越地区の「首都圏不動産公正取引協議会」は昭和38年に設立されたとあるので、長い歴史を持っています。

自主規制ですから、自ら襟を正して公正な取引、適切な不動産取引をして行こうという趣旨によるわけですが、これは逆に考えると、昔はそれだけ極端な、いわば詐欺まがいの広告や販売・営業がまかり通っていた証左なのです。

悪質な事例を同会の広報誌で何度も目にしたことがありますが、「おとり広告」はその典型です。
実際には実在しない優良な物件を広告で使用し、レスポンス客には「さっき決まってしまいました。遜色ない別の物件がありますので、そちらをご案内しましょう」というのが常套手段でした。

また、駅から徒歩10分の一戸建ては、実際は車で10分だったという信じられないようなインチキな販売方法も昔は多数ありました。

どちらも中古物件と一戸建ての事例ですが、マンション販売でもこれに近い営業手法は存在したのです。

現在、このような悪質な例は消滅したと言われますが、ルール抵触ギリギリの広告・販売(営業)は今も巧妙に続けられています。

今日は、嘘ではないが真実でもない、「ウソっぽいマンション営業」を特集してみました。


【広告のウソ】

◆即日完売のウソ

売り出したその日のうちに、若しくは登録受付期間と称する1週間のエンドで全戸が完売に至ったとき、これを即日完売と言います。

正確には登録申し込みが全戸に入ったということであって契約はまだ先なのですが、業界では「即日完売」または「即完」と称しています。

販売予定戸数をいっぺんに売り出さず、小出しに分割して販売していく「分割販売(期分け分譲)」では、初回で即日完売になった場合、次の回で残りの何割かを売り出すわけですから、即日完売という事実を宣伝に利用しない手はありません。

そこで、売主は即日完売するほどの人気だったとアピールし、次期の即日完売へつなごうとします。

しかし、実際はどうでしょうか? 登録はしたものの、キャンセルは自由にできるので気が変わったから購入手続きには行きませんという人も少なくないのです。従って、しばらく経つと空き住戸が何戸も出て来て、契約完売には至っていないのが実態です。

このようなケースを「ウソ」と決めつけるのは言い過ぎですが、このような実態を知っておいて悪くはないでしょう。

ところで、即日で完売するなんて高額商品ではありえることでしょうか? 

当然ながら事前の宣伝で商品内容を明らかにし、一定の時間をかけて関心客を動員しています。その中から、実際に買ってくれそうな客が何人いるかの読み(選挙の票読みのようなもの)を働かし、一定の数に達したら、その数だけ売り出すのです。

つまり、即日完売はそうなるべくしてなるわけです。初めから即日完売になるようなスケジュールが組まれているということです。

100戸を一気に売りたいなら、確実に買ってくれそうな客が100人に達するまでプレセールスを続けるということでもあるのです。

このため、広告が何度も繰り返されながら、なかなか発売日(登録受付日)が明示されない物件は少なくありません。


◆最終期と言いながら次もある奇妙な販売(詳細は2014年8月30日の記事で)

「〇期〇次」という累計で何回目の売り出しかが分からないような分割販売方式は、すっかり業界に定着した感があるのですが、何回かの分割販売の末に、ようやく完売の目処が立ちそうになると、売主は「最終期」という広告表現を使います。

しかし、最終期は本当に最終ではないのです。お気づきの人もあると思いますが、「最終期1次」があり「最終期2次」があるのです。無論、「最終期・最終次」などというのもあります。

これは人間心理を巧みに利用した文言であり、いわば「人気のマンション。いよいよラストチャンスです。お見逃しなく」と言いたいわけです。

本当に人気だったかどうかは別として、残り物には福があるという見方もあるので、それまで関心なかった人に見に行ってみようと行動してくれることを売り手は期待するわけです。


◆新発売のウソ

日本人は「新しもの好き」らしく、何でも「新」がつくと期待感を抱き、同時に古い物より良いものという先入観を持つようです。

この心理を利用し、「新製品」「新型〇〇」「新発売」「新版」などの言葉が定着しています。

マンションでも「長いこと売り出し中です」という広告よりも「新発売」の方がイメージは良いはずで、関心客も多く獲得できると考えるのです。

そこで、完売までに半年、1年を要する場合は、「新」のイメージを持続させることを狙います。
そのためには、分割販売方式により、「第1期・新発売」、続いて「第2期・新発売」・・・「第5期・新発売」などという広告表現を繰り返します。

ここにウソはありません。しかし、巧妙です。


◆売れ行き・在庫を隠す

マンション販売では即日完売を期ごとに達成して人気を演出したいのが売り手のホンネです。「1期1次・2次・3次 連続即日完売(計000戸)」と大書してあるチラシをご覧になったことがあると思います。

また、「2013年度〇〇県内一の販売戸数000戸を達成」といったコピーに気付かれた人もあると思います。

これらは、「売れゆきの良さ」、言い換えれば人気マンションであることを誇示しているわけです。同時に、未発売分もを早く売りたいので「人気物件だよ。早く来ないとなくなるよ」とアピールしているわけです。

このようなケースは、全部で何百戸あって、既に000戸売れたと言っているので、残りは00戸とたちまち分かる広告であるわけです。

反対のケースはどうでしょうか? 調査員や同業他社の暇な人物、同じエリアで競合する物件を販売するライバル社などは、ターゲット物件を追いかけているので、「ここまでに何回に分けて何戸売り出した」というデータを入手することが可能です。

しかし、一般の買い手にとって、よほどの執心でない限り、特定マンションが合計で何戸売り出したかを知ることは簡単ではありません。「今回販売戸数」という項目を見て最新の売り出し戸数を知るのみです。

それまでの累計販売戸数が何戸であるかが分からないうえに、何戸売れているかは全く分からないのです。

売れゆきは買い手にとって大きな関心事です。仕方なく、モデルルーム見学のときに営業マンに尋ねることになります。

しかし、販売不振マンションの場合、営業マンは必ず曖昧な答えでお茶を濁そうとします。中には真っ赤なウソであることもあるのです。

入居してから、「あのとき7割は売れていると聞いたのに、実際は3割も入居していない。騙された」と買い手が憤るケースはたまに見られます。

ともあれ、広告では売れ行きも残り戸数も分からないようにしてあるのが実態です。


◆価格未定の不透明販売

戸数以外に、「見えない・見せないようにしている」のが「価格」です。

予告広告では、価格を未定とするのが常識です。

買い手が最も知りたいのは価格です。そこを明らかにしない広告。知りたかったら、モデルルームに来なさいと言われているかのようです。

しかし、現地へ行っても、住戸ごとの価格表は正式決定ではないからと、見学者にコピーさえ渡さない。これも業界の慣習のようになっています。

数字の入っていない表を渡され、手書きしてお持ち帰りくださいと言われます。

価格を決めないままの販売活動がしばらく続き、やがて「登録」という名の購入希望者の申込を受け付けるというスケジュールに至りますが、その寸前まで正式の価格は公表しません。

発売日ギリギリまで価格をベールに包んで明らかにしない。これもマンション業界の通弊になっています。

本当は決まっていても、顧客の反応を見て住戸別に微妙な調整(変更)をするためとして明示しないのです。

ウソではないですが、買い手にとってはどこか割り切れなさの残る対応ではないかと感じます。


◆完成予想図のウソ

マンションに限らず、広告は商品が売れるように見せなければなりません。ウソはいけませんが、より良いイメージを持ってもらうように工夫をします。

マンション広告の殆んど全てで採用するのが、全体像が見える「外観パース」です。いわゆる完成予想図です。

完成予想図の案が広告代理店から5点くらい提示され、どの角度から描いたものが最も立派に見えるかなどを会議で検討して決めます。

ところが、この絵には電線・電柱が省略されています。近隣の建物が描かれていない例も多く見られます。

それらを描くと、興ざめとなるからです。

また、しばしば誇張されたものであることにも注意しなければなりません。例えば、実際以上に高く見える外観や大きく立派に見える玄関、広々と見える敷地内庭園などです。

仏語では「デフォルメ」と言い、意識して変形させ、ゆがめることの意で、絵画の世界では当たり前の技法が使われます。

そこに目くじらを立てるわけにも行きませんが、度を超せば買い手を「誤認」させるものとなるだけに軽視はできません。


◆評論家の褒め言葉に注意

広告には、しばしば第三者のコメントが掲載されます。多くは、住宅評論家とか住宅ジャーナリストと呼ばれる人たちです。

この人たちの物件広告のコメントには、「ここが気になる」的なものは全くなく、期待と希望を買い手に与えるものばかりです。 

売り手が自ら語るより、同じことでも部外者が語る方が信憑性は増すので、この種の広告は他の業界でもよく使われています。

住宅評論家という立場なら、本来は公平に長所も短所も語るべきですが、広告ではそうもいかないのです。 結局、提灯記事になっています。

彼らのコメントはウソではないですが、見えにくい部分を指摘してくれるわけでもなく、単なる売主の代弁者に過ぎないと言うほかありません。


◆天井が高い。実は普通

当たり前のことでも、言い方ひとつで「すばらしい」ことに聞こえる・見えるということがありますが、広告でもこの手法が使われています。

ときどき、「一般マンションの天井高2400ミリ。このマンションは2500ミリ」という広告(HP)を見かけます。

最近のマンションは2500ミリが普通になりつつあるのです。特に優れているわけではありません。

しかし、研究し初めの買い手なら、それを真に受けることでしょう。そして「良いマンション」だと誤認するのです。


◆ダブル配筋のしっかり構造。実は普通

マンションの耐震性に強い関心を抱く買い手が増えたためでしょう。売り手は、当社のマンションは頑丈にできていると言いたいようです。

そこで、壁がダブル配筋であることや柱の鉄筋を巻いている帯筋(おびきん)のつなぎ目を溶接していることなどを図で解説した広告を見かけます。 ホームページには必ずといってよいほど掲載されています。

これらは、当たり前のことを、さも特別なことのようにアピールして「良いマンション」だと錯覚させていると言ったら「うがち過ぎ」でしょうか?


◆二重天井は当たり前

二重天井も当たり前のことです。ことさら広告で強調することではありません。ほかにアピールすることがない平凡な物件かと疑いたくもなる表示です。

◆「二重床で遮音性に配慮」の表示。実は当たり前

二重床誕生の背景には、マンションの黎明期に上下階の生活音が問題になっていたからです。

当初は絨毯敷きだったので、さほど大きな問題ではなかったのですが、ドスンドスンという音は解消できず困っていました。

そこで、施工会社と建築士、住宅設備メーカーなどを含めてマンション業界では、集合住宅における騒音問題の解消に努めることとなりました。

そんな中で二重床が誕生したのですが、誕生から既に30年以上を経過しています。その後、単に二重にするだけではダメと分かり、様々な改良を加えられて今日に至っています。

分譲マンションで「二重床」にするのは、特別なことではないのです。


◆「ホテル並み」の言葉に潜む欺瞞

共用廊下が内廊下設計のマンションの場合、その部分を「ホテル並みの内廊下方式を採用」などと表現しています。

ホテル並みと聞くと、一瞬「シティホテルの少し暗くて、おごそかな雰囲気を漂わせるフカフカな絨毯張りの廊下」を想像する人が多いと思います。

チェックインした直後、ポーターが洒落た専用台車にスーツケースなどを積んで部屋まで案内してもらったときの光景を思い出したりする人もあるでしょう。

マンションの内廊下が、ホテル並みなのはごく一部に過ぎません。

「ホテル並み」に誇張はありませんし、買い手が勝手に想像しているに過ぎませんが、大抵マンションの廊下幅は狭く、豪華な絨毯張りなどではないのです。

高級とは言えないモザイクのタイルカーペット、壁もただの無機質なビニールクロス張りというパターンが多いのです。同じなのは暗さだけかもしれません。


◆駐車場代ゼロ円のウソ

最近は少なくなりましたが、マンションの敷地内駐車場がゼロ円で利用できることをアピールしている物件があります。マイカーを所有している買い手にはとても魅力的な物件です。

駐車場使用料は、使用者が管理組合に納め、管理組合は管理費収入の一部として計上し、日常管理に支出するという構造になっています。

駐車場使用料をゼロにするということは、管理費の収入源が少なくなるわけですから、通常の管理費を高くするしかないことになります。

駐車場ゼロ円のマンションは、大抵戸数分の駐車スペースを確保してある大型物件で、台数が少ない物件では例を見ません。

少ない駐車スペースを奪い合うような形になる場合は、駐車料金を設定することで所有者間に公平感をもたらすことができます。 全住戸分が確保されている場合は奪い合いの形もないので、ゼロ円にしてもおかしくはないのです。

しかし、駐車場にも維持管理には費用がかかるわけで、その負担は受益者に向けるべきものという意見が出て来ます。

つまり、住戸分の台数が確保されていても使わない人もあるので、やはり無料というのはいかがなものかと思います。

「ゼロ円パーキング」は、マイカー所有者の中から、一人でも多くの買い手を獲得するのが狙いの広告(販売戦略)なのです。


【説明・営業のウソ】

◆「週末なので部屋がなくなるかもしれない」は恫喝?

「購入意欲が高まり、前向きに検討したいが即決はできない」などと言うと、担当営業マンからは「お早目の結論を」と返って来ます。

そして補足します。「週末はご来場者も多く、本物件は先着順販売中なので先にお申込みが入るかもしれません」と。

これは、ある種の恫喝です。焦燥感を煽り、結論を急がせる営業トークなのです。

営業マンに言わせると、後日申込みしたいと来られても希望住戸がなくなってしまったら、顧客を怒らせることになるからです。

一理はあります。しかし、販売状況によって、また在庫状況によっては、全くの杞憂に終わるようなことです。

あまり人気がない物件や在庫がまだ多数あるようなケースでは、前向きに考えようとしている客のために、希望住戸をキープすることは容易なはずです。

営業マンの使命は契約を取ることです。目の前の客から直ぐにでも「買います」の一言を聞きたいのです。しかし、「早くYESの答えをしないとなくなるよ」は無礼な態度と言わざるを得ません。

買い手が、どのような販売状況にあるのか、同タイプの在庫はあと何戸あるのかについて確証を得るのは難しいことかもしれません。

たとえそうであっても、疑ってみることが大事です。


◆次期で値上げする予定です

分割販売については先に述べましたが、この販売手法では価格表に未発売住戸の価格を表示しませんし、既分譲住戸の契約済み住戸も「成約済み」の文言で価格を隠してしまうのが普通です。

未発売住戸は「次期以降分譲」の文言で塞いであり、聞いても価格は未定と答えるかもしれません。しかし、同タイプの住戸は、階が上下のオープン価格から推定は可能です。

例えば、5階が4000万円で7階が4100万円なら次期発売予定の6階は普通なら4050万円となるでしょう。それを「値上げする」と言われることがあります。

これも、ある種の恫喝です。人気を博している物件では本当に値上げする売主もあるのは事実ですが、そうでない方が多いのです。

「値上げすると言えば、早く結論を引き出せる」と考える営業マンの姑息な(場当たり的な)セールストークと思った方が間違いありません。

筆者に言わせれば、そんな言葉より「買い手はなぜ結論を下せないのか、どこに問題があるのか、何が心配なのか」に思いを巡らせ、その解を見つけ、買い手を納得させるよう努力すべきなのです。

その努力を怠って恫喝に走るとは、何と高慢な営業姿勢なのでしょう。


◆「複層ガラスだから音は大丈夫」は真っ赤なウソ

空気層を挟んだ2枚ガラス(複層ガラス)は、断熱効果が高く結露の出にくい優れものとされます。最近の新築マンションは、複層ガラスでないものを見つける方が大変なくらい標準化が進んでいます。

この複層ガラスで組んだサッシは、従来の1枚ガラスより何となく防音効果もありそうですが、実は全く変わらないのです。

無論、防音効果も断熱効果も高い複層ガラスのサッシもないわけではありません。しかし、殆んどは断熱性高めただけのもので、防音効果はありません。

複層ガラスはらサッシが重くなって開け閉めがつらくなるので、ガラスを1枚ものより薄くしてあるのです。そのために音の透過率は2枚にしても1枚と変わらないというわけです。

サッシの防音効果が高いかどうかは、複層か単層かではないところにあるので、「複層ガラスだから音は心配ない」という説明は誤りなのです。

音が心配な場所にある物件を検討する際は、「遮音等級は?」と尋ねることが大事です。


◆錯覚に陥れるモデルルームの演出

どのような商品でも展示をするときは、その商品が最も輝いて見える展示方法を選択します。

あるものはショーケースに納め、明るいライトで照射します。また、あるものは商品の機能を理解し魅力を感じてもらうためにデモンストレーションして見せたりもします。

これらと同じで、マンションのモデルルームも買い手の購買意欲を掻き立てるような演出(展示方法)を施すのが一般的です。

しかし、そこには少々度を越した方法が採用されています。オプションの設備と仕上げ材を使っている点が代表的です。

例えば、装備されていない「食器洗浄乾燥機」や「エアコン」、標準ではフローリング材の床の廊下をタイル貼りにする、壁の一部が標準では白い無地系のビニールクロスであるところを別の洒落た素材とのコンビネーションにするといったことです。

もちろん、それらには「オプション」と書いたシールが張り付けられています。

それだけならまだしも、原型をとどめていないような変更がなされた間取りになっているモデルルームも少なくありません。

モデルルームの入り口には、図面による断り書きが掲示されています。標準プランはこうだが、モデルルームはこの部分がこう変わっていますと。

すべて違法でも誇大広告でもありませんが、カーテンや家具で演出されると、実際以上に素晴らしい部屋に見えて来るもので、ともすると買い手が大きな勘違いに陥る危険な展示方法が採られているのです。

完成したときの内覧会では、「スッピン」を見せられるので化粧と特別な衣装を施したモデルルームとの落差が大きく、「あれっ」という感じになるものです。

舞い上がらず、冷静な目で見学することが大事です。


◆「値引きは一切いたしません」のウソ

売れゆきが芳しくない物件は、最後の方で値引き作戦を採用するのが普通です。買い手の中には、売れ行きが良くないと見て値引きを打診する人も少なくありません。

ところが、「こちらでは過去にそのような例は1件もありません」とか「当社は一切そのようなことはしない方針です」などと答え、値引きには応じようとしない姿勢を見せる営業マンがいます。

これは、値引き要求をはねつける決まり文句のようなものです。

人間の心理は、値引きはゼロ円と言われると、たとえ10万円でも、また物品サービスでも何らかの戦利品が取れたら「やったあ!」という満足感を得られるものです。

「値引きなし」は、交渉のテクニックというわけです。


◆「製販一貫体制だから安い」はウソ

工務店やゼネコンがマンション開発を行い、自ら売り主になっている例がときどき見られます。

その販売現場では、ほぼ例外なく「製版一体なので安い」と説明しています。本当でしょうか?

実際は、土地を高く買ってしまえば売値は高くなりますし、複雑な構造であったり、工事のしにくい狭い道路沿いのマンションであったりすれば分譲価格は高くなるのです。

同じ条件で他社に工事を発注するよりは安くなるのは道理ですが、実態はそうでもありません。

中には、社内を部署ごとの独立採算方式を採っている企業もあり、販売部門は分譲利益を、施工部門は工事利益を取っているのです。

一見正しいような言葉の裏は実際と異なるという場合が多い。それが世の真理です。


◆工事中の現地見学会の欺瞞

買い手に、施工の途中で建物内を案内するというイベントを実行している売主をたまに見かけます。無論、現場が休日の日曜日に実施しているのですが。

実は、工事途上の現場に工事関係者以外の人が立ち入ることは、ゼネコンが非常に嫌がるのです。工事の仕方を見られるのが不都合だからではありません。落下物等のせいで怪我をしたり、工事材料などにつまずいて転んだりといった危険があるためです。

それを売主が交渉して現場見学会を挙行したとして、買い手にとってどれだけの意味があるのか、首をかしげざるを得ません。

完成してしまうと見えなくなってしまう天井裏、壁の裏がこんなふうになっているということは分かるでしょうし、マンションってこのようにしてできて行くのだという一面を垣間見たという感じにはなるに違いありませんが・・・

以下は、某社の都区内マンションで催した見学会のレポートで、売主の物件ホームページに掲載されたものです。

「建設工事は順調に進んでいますが、ご入居される皆様に工事経過の説明と施工状況をご覧いただく現場見学会を開催いたしました。 (中略) 3住戸での工事状況を見学していただきました。 (中略) 最初の住戸では断熱施工や設備の見学と説明が行われました。2番目の住戸では二重床の見学と説明。 (中略) 3番目の住戸では、内装仕上げをご確認いただくために、職人さんによるクロス貼りの実演も行われました。    現場見学会は、施工・設計関係者が責任をもって工事に取り組む姿勢をしっかりと感じていただくことが目的です。建物が完成してしまうと見ることができない工事部分を確認していただき、お客様に対して直接、工事経過を報告させていただく大変意義のある見学会となりました」

普通、工事経過は写真撮影がなされて買い手に送られて来るだけですが、ここまでやってくれると、売主と工事会社に対しての信頼感が増すでしょうし、商品に対する安心感も生まれるので歓迎すべきことです。

ただ、ここで勘違いしないことが大事です

施工の仕方や材料などは物件によって異なるわけですし、他ではどのような工事をしているかが素人には分かりません。この工事が普通のことなのか、1工程くらい端折った(省略した)ものか、材料もこれが普通なのか、それとも高級品なのかなどは判断できないはずです。

見学会は、普通のマンションを優良なマンションと信じ込ませる魔力を持っていることを覚えておきたいものです。


◆「建築費上昇前の物件だから安い」はウソ

内容・条件はともかくも、付近の物件より安いことを「売り」にしている物件を見かけます。

販売現場では、「建築費上昇の前なので」と安い理由を説明したりします。本当は全くのこじつけである場合が多いのです。

マンション工事の契約(請負契約)は当然ながら着工前に締結しますが、マンションの場合、工期は概ね階数に比例します。10階なら13か月前後、14階なら17か月前後(階数+3か月)を要するのです。

中には、事前に開発工事と言って地盤を大きく変更する土木工事を必要とするものもあり、そうした場合はもう少し時間がかかります。

マンションの工事費は、東日本大震災以降に上昇して来ました。つまり3年前くらいから上がり出したのです。従って、2年前以降の契約なら、かなり高値の発注だったと推察できます。

さて、「建築費上昇の前なので」と説明を受けた物件の着工はいつでしょうか?尋ねてみましょう。2年前なら、「安かった」というのはウソである可能性が高いのです。

昔より工期が短かくできるようになった超高層マンションの場合でも、30階建てなら2年くらいはかかるので、竣工が1年先という販売物件のケースであれば、契約は1年前に締結されたと考えられます。建築費が安かったとは考えにくいことになります。

その真偽のほどはともかく、販売価格が安い理由は他にあるのかもしれないということに着眼しましょう。「建築費が安かった」は、物件の欠点を指摘されないためのカモフラージュかもしれないのですから。


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