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第579回 三菱地所レジデンスの「オイコス」シリーズ誕生の陰で [マンション市場]


★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツーをご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください★★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

過日、三菱地所レジデンスが、ファミリー向けマンションの設計と施工を得意とする長谷工コーポレーションとコラボレーションした「ザ・パークハウス」の新シリーズ「オイコス」を発表しました。

この新シリーズは、どのような意図で生まれたのでしょうか?経緯はともかく、マンション業界が置かれた苦しい事情が透けて見えて来ます。

時代が求めるニーズに呼応するイノベーティブで、デザイン性の高いマンション。ザ・パークハウスの安全性や品質のもとに、自由度の高い、お客さまにあった自分らしい住まい方を提供していきます・・・同社のHPにはこうあります。

実際に供給された物件は、本日(2017年9月30日)現在、以下の3物件です。

1:「ザ・パークハウス オイコス赤羽志茂」(東京都北区志茂・東京メトロ南北線「志茂」駅より徒歩6分・2019年1月中旬竣工予定・総戸数502戸)~近日発売~

2:「ザ・パークハウス オイコス八潮」(埼玉県八潮市・つくばエクスプレス「八潮」駅から徒歩5分・竣工/2018年2月予定・総戸数/66戸)~先着順受付中~

3:ザ・パークハウス オイコス金沢文庫(横浜市 金沢区泥亀2丁目・京浜急行線「金沢文庫」駅より徒歩7分・2018年11月完成予定・総戸数323戸)~近日発売~

価格は、オイコス赤羽志茂が65.26~84.52㎡で3900万円台~7500万円台となっています。平均坪単価は、推定@250~260万円くらいになるでしょうか?とすると、JR京浜東北線「東十条」駅徒歩5分・東京メトロ南北線「王子神谷」駅徒歩6分の販売中・大規模物件「ザ・ガーデンズ東京王子」の平均@258万円とほぼ同じレベルということになりそうです。

オイコス八潮は、受付中の9戸が62.45~81.68㎡で3498~5028万円、平均坪単価@195万円前後で販売中です。これは、2016年9月発売の「シティテラス八潮493戸(八潮駅より徒歩8分)が@180万円台だったので単純比較だけでも10%ほど高いようです。

オイコス 金沢文庫は、58.11~85.02㎡で3,500万円台~7,500万円台とのこと。平均単価は不明ですが、@250万円くらいでしょうか?金沢文庫の供給事例が最近は極端に少なく、相場は形成されていませんが、推定@200万円前後と見ます。としたら、詳しく調査していないので断定はできないですが、2割くらい高いと感じます。

三菱地所レジデンスの物件は、都心や都心でなくても高級とされる住宅地の高級なマンションというイメージがありましたが、藤和不動産と合体(2011年)してからは郊外も下町も、何でも扱うデベロッパーというイメージに変わってしまいました。

合体を機に、ブランドも「パークハウス」から「ザ・パークハウス」に変わりました。「ザ」が冠されても、別に高級路線の物件というわけでなく、どこで開発したマンションでも、グレードが変わらなくても「ザ・パークハウス」なので、失望感を覚えたものです。(最上位の高級ブランドとして「ザ・パークハウス グラン」はありますが)

つまり、「低額マンション・中級マンション、従来の高級・高額マンション。需要があれば何でもやります」というスタンスになったわけですが、現在販売中の物件(近日発売を含む)を通覧してみると、超都心から準都心、郊外まで、城西、城南、城東、常北、都下(市部)、千葉、埼玉、神奈川と全方位・首都圏広範に亘ります。

ここに新たに加わった新シリーズ「オイコス」は、どのようなものになるのでしょうか?わざわざ「オイコス」というサブネームを付けたのは、ブランド戦略の一環であることは間違いありませんが、商品内容はいかがなものでしょうか?想像してしまうのは、野村不動産「オハナ」シリーズです。

オハナは、外周部で開発。「上質な住まいを魅力的な価格でお届けしています」とHPで謳っています。

オハナシリーズの第1号は確か2012年発売の「平塚」だったと思いますが、現在、「船橋習志野台146戸・価格未定」「オハナ 北習志野241戸・3LDK/2,298万円~」「オハナ 相武台225戸・3LDK/2,500万円台~」、「オハナ 淵野辺ガーデニア516戸・3LDK/2,400万円台~」「オハナ 東川口」「オハナ 蕨錦町129戸・3LDK/2,900万円台~」「オハナ 町田オークコート310戸・3LDK/2,800万円台~」「オハナ 昭島中神(東京都昭島市)価格未定」など多数展開中です。

最低価格は、どれも2000万円台に設定していますね。


オイコスもオハナと同じような中身だろうと連想してしまうのは、両方のシリーズの展開にかかわる設計・施工会社が長谷工コーポレーションだからです。

長谷工コーポレーションは、廉価版マンション・規格型マンションの施工で最も強みを持つゼネコンと言われています。その設計と施工なら、売主が変わっても中身は似たようなものと思うわけです。

商品企画を主導するのは、あくまでデベロッパーであり売主なので、本来ゼネコンは無関係です。商品企画という業務をゼネコン任せにしたのでは、デベロッパーの存在意義はありません。しかしながら、現実はというと、土地を探してくるのも長谷工、基本プランを企画して設計図を持ち込むのも長谷工、施工も長谷工というプロジェクトが多数ありますし、年間の販売物件の90%が長谷工絡みなので、まるで「おんぶにだっこ」と揶揄されているデベロッパーもあるのです。

一般にゼネコンは、デベロッパーの選出した設計事務所によって作られた設計図に基づいて工事費を積算し、同時にライバル・ゼネコンとの競争に勝って初めて工事請負という仕事の受注に至るのですが、稀に再開発などの案件で地権者と密接な関係を築き上げたゼネコンが、そのまま施工を特命で受注できることがあります。

この場合の発注者は、再開発組合から選ばれたデベロッパーが途中からプロジェクトに加わるので、そのデベロッパーとなります。

ゼネコンは、土地所有者から受注します。普通、発注者はマンションデベロッパーです。しかし、デベロッパーは「競争入札」方式で発注先を決めます。いくら銀座で飲み食いしても、見積もり競争に勝たない限りゼネコンは仕事をもらえないのです。

そこで、先に述べた再開発プロジェクトのようにデベロッパーが土地を取得する前から開発予定地を押さえることが必要になります。マンション用地を日々探し続けるデベロッパ―より先回りして土地を買ってしまえば、欲しがるデベロッパーに対し、当該用地を譲る代わりに工事を無競争で(特命で)発注してもらうことができます。

かつて、ゼネコン自ら売主になって分譲した時代がありました。自ら売主になれば「分譲利益」と「工事利益」のダブルで利益を取れると思ったからです。また、ライバル社と工事費の叩き合いをしなくて済みます。

ところが、「餅は餅屋」でした。マンション販売事業のキーになる部分がよく分かっていなかったゼネコンは失敗続きで、とうとう自ら売主になるのはリスクが大き過ぎることを思い知らされるのです。やがて、ゼネコン各社はマンション販売事業から撤退しました。

今でも、たまにゼネコン(施工会社)が自ら売主として販売している物件を見かけますが、これは不本意ながらそうなってしまった特別なケースです。

自ら売主になって事業展開しているゼネコンは、経営破綻し「株式会社大京」の傘下で再建中の穴吹工務店が有名です。見積もり参加しませんかと声がかかるのを待っていたのでは生き残っていけないと、自ら土地を取得して仕事を造り出そうという戦略「造注(ぞうちゅう)」を積極的に展開し、一時は当時日本一の供給戸数を誇った大京を抜いて全国トップに立ったのです。

長谷工も、かつては子会社の長谷工都市開発やファミリーといった企業に土地を買わせ、特命受注で業績を伸ばしたときもあったのですが、「造注」先を子会社から資本関係のない一般デベロッパーだけに特化しました。どういうことかを説明しましょう。

長谷工コーポレーションの強みは、廉価版マンションの建築ノウハウだけではありません。土地を探す能力に優れています。本来プロのはずのデベロッパーより土地を見つけて来るスピードに長けているのです。

見つけた土地をデベロッパーに紹介しつつ工事を受注するだけでなく、時には先に自社で買ってしまう(一時的に抱く)という思い切った策も講じています。

工事がしやすい土地(面積の大きい土地)、単名地主(工場跡地などの法人)に目を付け、そこに工事費が安く上がるプランと予定工事見積、さらには事業採算の計画書(収支計算)、市場調査レポートまでをセットしてデベロッパーに案件を持ち込むのです。筆者は、その場面と計画書一式を過去何度も目にしたものです。

「この土地をお買いください。当社ならこの建築費で建てられますので、分譲価格は〇〇になります。これで販売なされば、市場調査レポートにあるように僅かなリスクで事業は成功裏に終わるはずです」と甘言をささやくのでした。

長谷工コーポレーションは、設計も自社で行うことを前提にしています。そうでなければ工事費を安くすることができないのです。詳細は割愛しますが、工事費を下げる基本は「省力化」と「規格化」、「単純化」、「部材の大量調達」といった方法になります。

窓枠、窓、バスユニット、洗面台、便器、玄関ドア、室内ドア、屋外階段などの部材ひとつひとつの形やサイズ、品質もさることながら、間取りの形まで決めておけば、コストダウンが図れます。さらに、施工手順や工程の管理によってもコストダウンは大きく変わります。

長谷工コーポレーションの設計・施工の定番は「直床構造(非二重床)」と言われますが、これだけでも手間は3分の1、材料費も半分ですむ、全体の工期も他社より1か月は短縮できると聞いたことがあります。

ただ、誤解のないように断っておかなければなりませんが、設計図まで長谷工にお任せにしたのでは、デベロッパーの色がなくなりますし、「売れる商品づくり」を目指すデベロッパーは、差別化という味付けを考えます。

大昔、長谷川工務店といった時代の設計は、外観だけでそれと分かってしまうのですが、今の長谷工は外形的には分からないように設計しています。

定番と述べた「直張り」も、デベロッパーの意向で二重床になっているケースは少なくありませんし、他の面でも定番のスペックを上回っているものもあるのです。


話を元に戻しましょう。三菱地所レジデンスのオイコスはなぜ生まれたのでしょうか?その背景について語りましょう

東日本大震災以降に起きた建築費の上昇は、マンション価格の高騰を招き、その結果、販売不振マンションを続出させるに至りました。

都心の一等地など、好立地では価格が高騰しても購買力の高い需要層が分厚く存在するので、売れ行きが鈍ったとはいえ、所定期間(遅くとも竣工時)には完売に至りますが、郊外物件や立地条件に弱点を持つ物件などは建物完成後も長く売れ残る事態になっているのです。 購買力が価格の上昇に追い着かない状態にあるためです。販売期間は想定以上に長くなり、最後の方は値引きによる販促もやむを得ない事態になってしまいました。

これは、三菱地所レジデンスのことではなく、市場全体・業界全体の問題です。もちろん、同社も例外ではありません。

とまれ、三菱地所レジデンスは価格をいかに抑制するかという課題に長谷工コーポレーションの力を借りる形で取り組み始めたのでしょう。野村不動産のオハナ着手に遅れること5年でしょうか? 

これまでも同社と三菱地所レジデンスの取引はあったのですから、なぜ今なのか理解に苦しむところです。現に、長谷工コーポレーションの施工で「ザ・パークハウス花小金井ガーデン(西武新宿線・花小金井駅7分)468戸」を今も販売中です。

多分、新たな厳しい段階に入ったのでしょう。

筆者が知る限り、三菱地所レジデンスの場合、「設計基準書」は、どのデベロッパーと比べても厳格です。正確には厳格でした。詳しくは覚えていませんが、「そこまで徹底するのだ」と品質へのこだわりに感心させられたことが記憶に残っています。

オイコスの仕様について、具体的な中身が分からないので現段階で論評はできませんが、他社の長谷工案件を見ていると、もはやこれ以上のコストダウンはできまい、筆者はそう感じています。

それを一段と踏み込んでオイコスでは断行するつもりなのかと訝しく思います。しばらくは三菱地所レジデンスの動向から目を離せないとも思っているところです。

背景のもうひとつは、用地不足です。都心でなくとも首都圏には人気のある街が多数あります。人気が高い場所のマンションなら多数の需要が集まり、価格が上がっても購買力の高い需要ボリュームも多く集まるので販売には苦労しないものです。

しかしながら、人気エリアにマンション用地はもともと少なく、それを多くのデベロッパーが虎視眈々と狙っていることもあって、取得は非常に難しい状況にあります。たまに、思い切って高値で入札しても、その上を行くライバル社や異業種が土地をさらってしまうというのです。

2012年12月に始まった「アベノミクス景気」が、1990年前後のバブル経済期を抜いて戦後3番目の長さになった。世界経済の金融危機からの回復に歩調を合わせ、円安による企業の収益増や公共事業が景気を支えている。ただ、過去の回復局面と比べると内外需の伸びは弱い。雇用環境は良くても賃金の伸びは限られ、「低温」の回復は実感が乏しい・・・最近の新聞にはこんなふうに書いてあります。


消費が相変わらず伸び悩んでいますし、節約志向もずっと続いています。先行きの不安を感じている人も多いようです。これが家を買おうとする気運が盛り上がらない要因なのだと思います

都心のマンションが比較的好調なのは、フルタイムの共稼ぎ族・パワーカップル(日本経済新聞の命名)の増加のためですが、郊外にパワーカップルは行かないのです。郊外マンションは夫だけの収入で予算を組む階層向けになるため、パワーカップルと比べると購買力は低いのです。

購買力に乏しい需要階層向けに低額マンションを開発しても、価格とのギャップはまだ大きいのでしょうか。上述の「ザ・パークハウス花小金井ガーデン」も西武新宿線「花小金井」駅南口 徒歩7分・8分と近くはないが遠くもなく、環境も静かな住宅街の中にあって悪くないのですが、Ⅰ街区:平成28年7月建物完成済、Ⅱ街区:平成29年1月建物完成済で、今も売れ残っています。平均坪単価は@210万円と決して高くはないのですが。

最近、バス便の物件も散見されますが、駅近よりは安いので買いやすく、それで手を伸ばす人もあるようです。しかし、販売は長期化の傾向を見せています。

結局、マンションが売れるか売れないかは、価格と購買力がマッチしているかどうかという点にかかってきます。

もちろん、立地条件との関わりによるのですが、「この立地では5000万円を超えたら売れない」とか、「この立地で5000万円の部屋を買ってくれる人はせいぜい10人だ」といった会話を業界内部では日常業務の中で繰り返しています。つまり、地域ごとの「限界価格」が存在するのですが、「価格の壁」という用語も生まれました。

最近数年の間に、地価が上がり建築費が上がって、限界価格を超えてしまうプロジェクトばかりになったのです。その壁を突破するために、マンション業者は知恵を絞り、様々な努力をして販売促進を図ろうとしています。それ以前に、いかに魅力あるマンションを造るかに知恵を結集しています。

しかし、地価は下がらないし、建築費も高くなったまま下がる気配は微塵もない。高い物件は売れない。この難題をどう乗り切るのか。各社、大きな課題を突き付けられています。

三菱地所レジデンスのオイコスシリーズが、この課題を克服するひとつの答えになるのでしょうか?


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第578回 新築マンション。価格の下落は「プランの退歩」とともに [マンション設計]


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数年前から、東京五輪後にマンション価格は下がるとたくさんの識者やブロガー諸氏が発言していました。根拠は、五輪効果が消えて景気は減速するとか悪化するというもののようです。

しかし、コトはそう短絡的ではありません。 現状でもマンション価格は上がり過ぎて購買力との間にギャップができてしまいました。 言い換えると手の届く買い手が減って、新築マンションの販売は一昨年後半から不調が続いているのです。

売れないので、発売戸数も減らすほかなく、年間の供給戸数(発売)戸数も停滞しています。

しかし、販売価格は相変わらず強含みが続き、2017年も1~8月のデータを追ってみると前年比プラス(値上がり)の傾向が続いています。
(8/20 第571回 の記事「相変わらず高いマンション価格」1~7月の動向で詳しく解説しました)

マンション業界は、この危機をどのように乗り切るのでしょうか?方法はひとつしかありません。それは価格を下げることです。

しかし、価格の引き下げは利益の減少につながるわけですから、それを食い止める策も同時に打ち出すに違いありません。策とは、建築費の下げ交渉を強化することですし、プランの見直しを図ることです。

プランの見直しとは、間取りの単純化や設備のレベルダウン、仕上げ材のグレードダウンなどですが、これらは既に限界に達していると筆者は思っています。しかし、背に腹は代えられないと限界を超えて断行するのでしょうか? あり得ない話でもないなあとも思います。

ただし、目の肥えた買い手も少なくない今日、断行するとしたら「初めての購入者(一次取得者)」向けの物件、なかんずく低額物件が対象になるのだろうと予想します。

建物が完成すると「購入者を呼んで内覧会」が挙行されますが、ときどき同行業務で筆者もお邪魔します。

そのとき。品質低下に驚かされることが増えています。買い手の多くは、間もなく始まる新居での生活に心ウキウキ状態なので気付かないのか、そもそも「こんなものだ」と思っているか、本当のところは分からないのですが、「ここまでやる?」と筆者はしばしば売主の姿勢にがっかりします。

ここで具体的には述べませんが、ご興味のある方は今年1月に書いた記事「ここまでやる?賃貸マンション仕様の新築マンション」
http://mituikenta.blog.so-net.ne.jp/archive/20170120 をご高覧いただくとして、デベロッパーの多くは、乾いた雑巾を絞るがごとく、コストダウンに腐心しています。

品質を下げずにコストダウンしているなら拍手を贈りたいですが、そうではなく明らかな品質の低下や退歩によるものなので、残念な想いに襲われてしまうのです。
ある業界人は言いました。「これでも十分に喜んでくれるお客さんがいる。高級品を提供するだけが我々の責務ではない」と。また、「ユニクロのような規格品を大量に供給して市場の信頼を得ている製品もある」とも。

しかし、筆者には言い訳にしか聞こえません。ともあれ、今後は億ションや億に近い高額・高級マンションを除いて、品質の低下が一段と広まるのかもしれません。

ただ、これ以上のコストダウンを図っても焼け石に水のレベルだろうとも思っています。過去4年間は年平均で6%強の値上がりが続いてきたのです。それが需要の後退・減少となっているのですから、少なくとも2年前の水準まで価格を下げないと購買力とのギャップは埋まらない気がします。この間にマイナス金利の導入で購買力を下支えしてくれた側面もあるので、ざっと8%くらいは下がらないと市況が良くなるとは思えないのです。

市場全体で平均8%も価格を下げるのは至難の業です。建築費を10%下げても販売価格は5%程度しか下げることはできないからです。そもそも建築費の10%下げは現状では不可能に近く、最後はデベロッパー(売主)の利益を削るしかありませんが、それでも5%の引き下げが限度ではないかと考えています。

5000万円のマンションが4750万円になるというレベルなので、大きな市況好転の効果にはつながらないはずですが、個別に見て行けば、好調販売の成果を残す物件も現れるかもしれません。

新聞によれば、規格型マンションで格安請負に強みを持つ長谷工コーポレーションにさえ値下げ圧力がかかり出したのだとか。

「長谷工さん。あなたのところは随分利益も出ているようだが、こちらは大幅に利益を削っている現状にある。共存共栄のために今度は御社にも身を削っていただきたい」と言ったか言わないか、知る由もありませんが、マンション施工が70%を占める長谷工コーポレーションだけに、マンションデベロッパーの大半と取引していることは確かで、その中の大口顧客から強く要求されれば、いずれは呑まざるを得なくなるはずです。

当事者間のせめぎあいは激しくなることでしょう。

現在、長谷工コーポレーションとの取引がないマンションデベロッパーを探す方が早いと感じるほど、大半のデベロッパーが同社に工事を発注しています。その中で発注量が多いのは、野村不動産、住友不動産、三井不動産、積水ハウス、大成有楽不動産、名鉄不動産などですが、大手では三菱地所レジデンスや東急不動産、大京、東京建物なども取引をしています。

最近数年で大幅に増えたコストカットマンションは、筆者流の表現を許していただければ「田の字型」間取りの味がないマンションばかりで、「時代に逆行している」、「進化でなく退化したマンション」ばかりです。

室内の設備は、オプションを付けたり、古くなってリフォームするときに好みでグレードアップすれば満足度が上がるでしょうし、床も壁紙もこだわって選んだらいいのかもしれません。

しかし、床暖房を後付けするのは大きな予算が必要になりますし、ディスポーザーは後付けが不可能です。アルコーブのない平板な顔を彫の深い表情豊かな顔に変えたくても、それは全くできない相談です。玄関の横にエアコンの室外機が花台の下に納めることなく剥き出しのまま置くのが気に入らないと言っても、隠しようがありません。

間仕切りの変更まで手を入れるリフォームは大掛かりで、お金もかかります。10年やそこらで踏み切るのは勇気がいることです。仮に思い切ってやろうとしても、直床構造だったら間仕切りは不可能と思った方がいいのです。

コストカットのためにエレベーターの数を減らされたら、出勤時に5分も待たされるといった弊害が起こるでしょう。ホテルライクな内廊下と謳っていても、完成して壁を見たら安物の白い壁紙が貼ってあるだけで、センスも高級感もないことに失望させられても、もはやどうしようもないのです。

エントランスホールの床仕上げも天然石貼りが普通になった昨今、昔のタイル貼りという物件も見かけるようになりました。外壁の仕上げがタイル張りでない(タワーは大体そうですが)とか、張った面積が3分の1しかないないのに、「タイル張り(一部吹き付け)と表示しているマンション、共用施設が集会室兼キッズルームだけしかない大規模マンション、植栽が殆どないマンション、飾りも何もない最も安価なエレベーター。

こうした例を挙げればコストカット箇所は限りなく出て来ます。

このような退化マンションの増加がトレンドにならないことを祈りつつ本稿を締めたいと思いますが、こんな時期にマンションを買う必要がある買い手が進むべき道は、「古くても優れたマンション」を探すこと、若しくは「予算を上げて満足できる新築マンションを探す」しかありません。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。



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第577回「修繕積立金の高い中古より新築がいい」その判断は正しいか? [マンションの管理問題]

★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツーをご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください★★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。


ご存知のように、修繕積立金は「30年間の均等積立方式」を導入している物件も例外的に存在しますが、大半は「逓増方式」です。5年後、10年後、20年後といった節目に増額され、20年目には初期の5倍になっていたりします。
 
 初期は70㎡で7000円(月額)が標準的ですが、築15年くらいになると20,000円くらいになってしまう計画が一般的です。これを負担に感じる人も多いらしく、そうなる前に売ってしまおうなどと考える人もありますし、「中古の修繕積立金は高い」という先入観を持ってしまう人も少なくないようで、「買うならやっぱり新築だ」につながってしまうのでしょうか。

新築か中古かを検討するときは、別の見方も働くはずです、まさか修繕積立金が安い(当面10年くらいだけ)というだけで新築に決めているわけではないと思いますが、それがネックで中古に目を向けることをやめてしまうのは、いかにも惜しいので、今日は中古マンションの修繕積立金について調べて新築と比較してみました。

ご相談では、「ある中古マンションを検討しています。購入後5年くらいで修繕積立金が毎月20,000円以上に上がるらしいので、その先が心配です。新築の方が負担は少ないので、中古はやめた方がいいのでしょうか」という声をたびたび聞きます。

購入者心理としてはもっともなことと思います。では、新築にしたら心配は消えるのでしょうか? 新築で購入し10年か15年住んだ場合と、築15年の中古マンションを購入して10年か15年住んだ場合の積立金の差はいくらになるでしょうか?

まず、新築マンションを調べてみました。モデルとして、タワー大型と小規模マンション、その中間と3種類を比較してみましょう。

●新築マンションの積立金10年

シティタワー国分寺ザ・ツインWEST 300戸・36階建て・平成30年2月竣工予定
73.33㎡の例・・・1~5年:7,450円・6~10年:17,380円・11~15年:27,310円・16~30年:37,220円/一時金:186,250円となっています。
一時金を合わせた10年間の合計は、1,676,050円。平均は13,967/月です。

グローリオ田園調布  23戸・7階建て・平成28年8月竣工
専有面積:65.48㎡の例・・・1~5年:7,200円、6~10年:12,440円、11~15年: 18,990円、16~30年:24,880円 /一時金:691,200円となっています。
     一時金を含めた10年合計は1,869,600円。平均は15,580円/月です。

ザ・パークハウス浦和別所 117戸・8階建て・平成26年11月竣工
専有面積:70.01㎡の例・・・1-5年:7000円、6-10年:10164円、11-15年:13319円
16-20年:16,473円、21-30年:19628円/一時金:711,340円
一時金を含めた10年合計は1,741,180円。平均は14,510円/月です。

この3例を見ただけでは、大差ないことが分かります。

念のため70㎡換算しておくと、シティタワー国分寺ザ・ツインWESTは13,333円/月、グローリオ田園調布が16,656円/月、パークハウス浦和別所は14,513円/月となります。

最高と最低では約3000円の差なので、15年合計では54万円の差となっています。これを僅かと見るか大きいと見るかは意見が分かれるかもしれませんが、まあ差がないと言ってよいのではないかと思います。


●中古マンションの積立金

築15年くらいの中古マンションを購入するとして、先入観としては「積立金の水準はかなり高いのではないか」というものでした。確かに、そのような例もあります。

最近遭遇した例では、ライオンズマンション飯田橋駅前(築17年)が51.3㎡で15200円、1㎡当たり@296円、70㎡換算では20,741円/月でした。しかし、これは例外的です。

古いマンションは修繕積立金の必要性について認識が薄かったためか、十分とは思えない例が多く、調査データがないので不確かですが、築15年くらいで10,000円程度(150円/㎡)が平均的のように思います。

現在売り出し中の中古マンションを少拾ってみました。

東京テラス1036戸(築12年):70㎡換算11,496円
桜上水レジデンス35戸(築14年):70㎡換算10,364円

クレストフォルム鶴見グランステージ138戸(築17年):70㎡換算9,799円
クレッセント千歳船橋98戸(築17年):70㎡換算10,892円
パルテール目黒青葉台62戸(築17年):70㎡換算13,440円
中目黒サニーフラット31戸(築19年):70㎡換算19,387円
コスモ用賀46戸(築19年):70㎡換算11,108円

シャリエ横浜ベイグランデ97戸(築20年):70㎡換算14,374円
三軒茶屋シティハウス91戸(築22年):70㎡換算17,468円
恵比寿ガーデンテラス壱番館(タワー)290戸(築23年):70㎡換算13,957円

築15年前後は、10,000円~11,000円、築20年未満が11,000円~20,000円、20年~14,000円~17,000円となっています。筆者が感じていた10,000円程度よりは少し高いようです。

これを新築の3例の16年目以降の数字と比較してみましょう。

シティタワー国分寺ザ・ツインWESTは37,220円、70㎡換算で35,530円/月、グローリオ田園調布が24,880円、70㎡換算で26,597円/月、パークハウス浦和別所は16,473円でしたから、現在市場に出ている築15年前後の中古の実態は新築マンションの計画値と比べると遥かに少ないと気づきます。
ただし、パークハウス浦和別所は近似です。

これでお分かりのように、中古マンションを買うと高い修繕積立金が重くのしかかるかもしれないというのは当たっていないのです。むしろ、物件によっては新築マンションの方が負担は多いかもしれません。

もちろん、これら中古もその先で段階的に上がって行くものと考えられるので、新築10年間の比較と、中古10年間の比較をしなければ正確ではありません。しかし、購入した中古の積立金が入居して程なく3倍、4倍になるようなことがなければ「中古の負担は大きい」とも「中古は損だ」とも言えないのではないでしょうか。


●修繕積立金は多いほど良い/見直しがある

誤解のないように補足しておかなければなりません。

第一に、修繕積立金はマンションの劣化を防ぎ、資産価値を長く維持するためのメンテナンス費用として不可欠な貯蓄です。多ければ多いほど、潤沢な財政基盤を持つ管理組合ということになり、歓迎すべきことであるという点です。

第二には、修繕計画は3~5年ごとに見直しを行い、それに伴って徴収する積立金の額も変わる可能性があるということです。実際に大幅な見直しの結果、当初計画が大きく変わった例もあるのです。筆者が知る武蔵小杉のあるタワーマンションでは、6年目に一度増額したのち、残りの25年は増額なしになったのです。

どちらが損か得か、一概には言えないものであること、少なくとも「中古は修繕積立金が新築より高いというわけではない」ことがお分かりいただけたのではないかと思います。

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第576回「間取り変更はよく考えて実行しましょう」 [マンションの売却]


★マンション購入で後悔したくない方へ★このブログは、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線でハウツーをご紹介するものです★★特に資産価値を気にする方は是非ご高覧ください★★・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています。

特殊な間取りはいざ売却というとき買い手を限定的にしてしまうものです。限定的ということは、一般受けしないことの裏返しになるわけで、それだけ売りづらいと考えなければなりません。

新築の場合では、期限を設けて間取りのバリエーションを選択できる「メニュー方式」を取り入れている物件が多数あります。

定番は、リビングルーム横にある寝室をやめてリビングを広く使うという形にするものですが、これくらいはさほど問題にならない場合が多いのですが、あまり個性的なプランを選んでしまうと後年「しまった」となりかねません。

●中古マンションの場合

中古マンションを購入してリノベーションする場合も同様です。

リノベーションとは、壁紙や床の張り替えや、せいぜい設備を更新する程度のリフォームに対し、間仕切りを変え、新たな設備を追加するなど、「初期の性能以上の新たな付加価値を付け加えて再生させること」を指します。

部屋の中を、一旦スケルトン(skeleton骨組み。コンクリート剥き出し)状態に解体した後に新たな内装を創って行くので、いわば真っ白なキャンバスに絵を描くわけですから、自由度が高く、オーナーとしては楽しい夢を見ることができます。

キャンバスの上に自由な発想で自己のこだわりを表現することができるリノベーションは、人間の究極の欲求「自己実現」を満足させてくれるものと言えます。

理解できない人から言わせると、浪費するだけの趣味を持つ人が世の中には少なくないようですが、それと同じ感覚で間仕切りを特殊な形にしたり、奇抜な室内デザインを施したりする人がいても不思議ではありません。

そうして完成したマイホームで暮らすことは楽しくもあり、快適な住まいは実行者に新たな活力を与えてくれるのかもしれません。それはそれで結構なことであると思います。筆者も、マンションを買ったときは、いずれも少しばかり間仕切りと造作に知恵を絞ったものでした。

究極は一戸建ての注文建築でした。土地は平屋を建てるほどの広さがないので2階建てにせざるを得なかったのですが、自分で概略の設計をしました。それをハウスメーカーの設計士に渡して進めたのですが、それだけでも実に楽しい時間でした。

多忙な筆者でしたが、取り組み始めると寝食を忘れて図面を描いたものです。打ち合わせも万障繰り合わせて参加し、妻に任せたのは色選びだけでした。

もちろん、出来あがった新居での暮らしは満足できるものでした。

マンションの場合は外枠の決まった中でのことなので、限度があります。しかし、それでも「こだわり」を実現することはかなりの幅で可能です。

但し、あまりに個性的なプラン、奇抜過ぎる内装や色使い、例えばガラス張りのバスルーム、バーカウンターなどのこだわりは、一般的なニーズとマッチしないために売却時に足が遅い(買い手がなかなか決まらない)というリスクを負うことになります。

サウナ付きバス、シャワールーム付き寝室など特殊な装備は次の住まい手から評価されることはないと覚悟しておく方がよいでしょう。「こうするのに1000万円かけたから」などと主張してみても、その分がリセールバリューのプラスにはならないのです。

●新築マンションの場合

新築マンションに戻りましょう。新築マンションで用意される変更間取りは1タイプに5通りものバリエーションを用意している物件に遭遇することがあります。興味を持って眺めてみると、中には特殊な間取りが混じっていることに気付きます。

マンションでは限度があるものの、また購入時期によってはメニューを選べないこともありますし、こうしたいという部分が限られるので夢は浮かびにくいのですが、それでも少しくらいは自己主張したいものです。しかし、細かな部分ではともかく、間仕切りでは大胆さを抑えた方が良いのです。

例えば80㎡の3LDKを1LDKにしてしまう、変形の引き籠り部屋を作ってしまうといったことは注意が必要です。仮に作っても、比較的簡単に元の姿に戻るとか、可変性のある改造を施すといったことが可能かどうか、カギはここにあります。

誤解のないように補足しますが、立地条件とマンション全体の性格やグレードなどによってニーズは変わるものであり、80㎡の1LDKがその立地、そのマンションの中心的な形なのかもしれません。その物件では3LDKではなく、多くても2寝室(2LDK)でいいのかもしれないのです。

その意味から、当該マンションの買い手の傾向をよく聞いておくことも大事です。新築マンションの販売スタッフならニーズの把握をしているはずです。

趣味でかけたお金だから戻ってくることは期待していないという人もあるかもしれませんが、人間は誰でも欲があるものです。できることなら半分でも戻らないかなあ、などと期待してしまいます。

それだけなら大事には至りませんが、全く買い手が付かないで苦労することもあるので注意しなければならないのです。

●リッチな感覚が持てるかどうか

筆者が最後に売却したマンションには洗面台がふたつありました。ひとつは普通に脱衣所の中に、もうひとつはトイレの中でした。

最近はトイレのサイド壁に手洗いカウンターを設けるのが定番となっています。水槽の上が手洗いになった形は影を潜めつつあります。

手洗いカウンターは文字通り手洗い専用ですが、筆者の住んだマンションは手洗い器のあるカウンターが大きく、ボウルも大きなサイズでした。筆者はそこで顔を洗い、ひげを剃るということができたのです。トイレの幅は普通サイズより広くしなければなりませんでした。その分、寝室の広さが狭くなったのです。その寝室のサイズがベッドも置けないようでは困りますが、そこまでのことはなく、筆者はトイレ内洗面所の存在を気に入っていました。

家族の話では、知人が訪ねて来てトイレを使うと、必ず感嘆の声を聞かせてくれるというのです。ちょっとリッチな気分を味わうことができる箇所が、我が家の場合、トイレでした。
(トイレに長く滞在することになるので困ることないかという疑問をお持ちの読者のために補足しますが、そうはならない我が家だけの秘密があったとだけ言っておきましょう)

広さの決まっている家をどうレイアウトしてみても、どこかを広くすればどこかが狭くなり、どこかをリッチなスペースに仕上げれば、別のどこかが犠牲になるものです。しかし、それが極端なアンバランスでない限りは、リッチな気分に浸れる箇所をひとつだけ作ることをお勧めします。

玄関を入ると、靴脱ぎ(三和土)があって、その先にホール、そして廊下と続きますが、ここの演出にこだわることは、将来の売却時も威力を発揮する場合があります。広さが無理なら、床をフローリングではなくタイル張りか天然石張りにするだけでも印象は随分違って見えるものです。

これらの素材は、古くなってもフローリングよりは耐久性が高く、かつ見映えも良いものです。

ホールや廊下の壁紙もこだわる方がいいでしょう。あまり奇抜なものではなく、上質感のある、そしてただのビニールクロスでない素材を選んで張るといいですね。腰の位置までと、その上で張る素材を変えるのも方法です。

新築マンションのモデルルームを見学するなり、インテリア雑誌を見て研究をしましょう。

リッチな気分を味わえるマンションは買い手の購買意欲を刺激します。中古になれば、買い手はリフォーム前提で見学にやって来ることも多いですが、リフォームなしで住める方が安上がりなのですから、リッチな気分に浸れる空間があれば、ここはこのまま残したいと思ってもらうことができるでしょう。

これらが、我が家を高く売るコツでもあるのです。

●改造間取り。売却時の対策は?

間数で言えば、首都圏では3LDKを希望する人が一番多いのですが、購入したマンションが3LDKであって、自分たちの好みで2LDKに改造したら、安全のためには3LDKに変更できることを次の買い手が理解できる、予め変更プランを用意しておくのが最善の策です。

新築マンションの場合は、自分たちが選択しなかったメニュープランも捨てずに置いておきましょう。

ついでに言うなら、費用の「概算見積もり」もあるといいですね。売却を決めたら、依頼する仲介業者の紹介するリフォーム業者に作ってもらいましょう。

本来は、販売員がするべき行動ですが、そこまで期待できる営業マンはいないと思った方がいいのです。我が家は自分が売るというくらいの気持ちで取り組んだ方が成功するはずです。

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第575回「大規模マンションは値崩れすると心配する人へ」 [マンション市場]


「このマンションは建物価値も良さそうだし駅にも近いので購入しようと思うのですが、心配なことがひとつあります。それは数が多いので、将来リセールのときに売り出す人も多く、お互いに競争しあって値崩れするのではないかという点です」

このようなことを心配する人があります。少数派かもしれませんが、当該マンションだけではなく、周辺に第2第3の大規模マンション計画があると、そのトータルでは膨大な数が供給されることが将来のリセールに悪影響を与えるのではないかという漠然とした不安を抱くようです。

今日は、局地的な大量供給という現象について考えてみました。


●局地的な大量供給がもたらす問題――売り手の不安

かつて売り手デベロッパーに属していた筆者は、つい売り手のことを今さらながら心配してしまうクセがあります。「Aマンションが売りだされたら、Bマンションは打撃だろうな」とか「どれも“帯に短かし・タスキに長し”の物件だから互いに足の引っ張り合いになるだろう」、「これだけの大規模物件が同じ駅に3つも出たら、総客数が足りなくて、どれも長期化は免れないだろう」などと考えてしまうのです。

先刻承知の売り手は、差別化に腐心します。ユニクロ的マンションにして「価格で勝負だ」とか、「室内の設備・仕様はライバル物件を凌駕するレベルに」とか、「駅まで3分の近さを最大限にアピールしよう」などと知恵を絞るのです。

しかし、その知恵も作戦も圧倒的な力には中々なりえないものです。

首都圏のマンション供給は全体で見れば、ひと頃の半分しかありませんから、供給過多ではないのですが、局地的には大量供給現象がときどき見られます。

例えば、武蔵小杉駅、今も「パークシティ武蔵小杉ザ・ガーデン」と「シティタワー武蔵小杉」が販売中ですが、合計で1800戸もあります。今後も大規模タワーが複数建設される予定です。

品川シーサイド駅では「グランドメゾン687戸」と「プライムパークスシーサイドの2件335戸+687戸」が妍を競っています。国際展示場前駅では、1社だけで1539戸(3棟)も販売を開始しています。

国分寺駅でも、少し前まで販売中だったものを含めると「シティタワー国分寺ザ・ツイン584戸」、「ザ・パークハウス国分寺四季の森494戸」、「ザ・パークハウス国分寺緑邸82戸」、「プラウド国分寺125戸」など、大小合わせて、総戸数で1200戸余も供給されています。

中央区の月島や勝どきという駅も、過去を辿り、今後の予想をすると大量供給が続いて来ましたし、続く見込みです。

千葉県では、津田沼駅の「奏の杜」と名付けられた一角を中心に大量供給が続きました。横浜では、みなとみらい地区が典型的な大量供給エリアでした。


●大量マンションの買い手はどこから来るの?

局地的な大量供給は、何をもたらすのでしょうか?

大量に売るには、大量の顧客を動員する必要があるので、それを可能とする宣伝広告が必要になります。

定番のインターネット広告、無料の住宅情報誌SUUMOの配布、大量のチラシ配布、電車内の“中吊り広告”、駅張りポスター、TVコマーシャル、新聞刷り込み広告などを使って大々的なキャンペーンを行います。これらが首都圏中に露出され、発信されて広く知れ渡ります。

新築マンションを購入する人は、首都圏全体では昨年だけで4万人弱、買わなかったが近々買うつもりの人も入れると6万人くらいはあるので、少なくとも、それくらいの人が注目します。

それら広告に触れた人のうち、条件に合う(少なくとも候補エリアにある)物件と思えた人が資料を請求したり現地を訪問したりするわけですが、もともと考えていなかった場所だが、魅力的な物件に見えたので資料請求しました、見学に来ましたといった反応を見せます。

魅力的な物件は多くが大規模物件です。その集客パワーが、首都圏各地から関心客を呼び集めるのです。大規模物件の場合、売主がHPで高らかに謳う「資料請求10万件突破」とか「来場者5000組突破」などに、多少の水増しはあるものの、極端な誇張ではないはずです。

中小規模のマンションは広告予算が少ないので、大量広告も高額の新聞広告やTV-CMも実施できませんから、顧客動員数は限定的です。簡単に言えば、建設地周辺「地元需要」と呼ばれる顧客が大半です。遠くから来る人も、昔その辺に住んでいたからとか、親が地元だからといった「準地元需要」で、その数はしれています。

要するに大型マンションは大量の宣伝広告によって首都圏中から買い手を集めているのです。「シティタワー武蔵小杉」を建設した住友不動産の来場者アンケートによると、契約者の7割は川崎市中原区外からの転入者だと聞きました。

集まるのは、広告の分量のおかげだけではありません。物件の魅力こそが、遠くまで足を運ばせる原動力になっているのです。広告予算がたっぷりと取れる大型マンションは、ただ図体が大きいだけではなく大型なりの付加価値があり、かつ立地条件に優れているものです。

話題の新商品の発売やイベント開催、スポーツの試合があると聞くと、朝早くから並んで買いに行く、観戦に行くといった行動を取る光景をよく見ますが、魅力のない商品やイベントは広告費をいくらかけても客は集まりません。

かつて、武蔵小杉駅の周囲は工場・倉庫・研究所・駐車場といったエリアで、夜間人口が少ない街でした。豊洲もそうでした。大正時代まで海だったこの土地で、1923年に発生した関東大震災のがれき処理で埋め立てられて誕生した街ですが、かつては典型的な工業地帯だったのです。今では、住宅地や商業地、オフィス街へ転換が進みました。NTTデータや日本ユニシスといった大企業の本社もあります。

生活する街としては魅力に乏しかった街でも、そう遠くない将来、きっと生活インフラも整い、暮らしやすくなると信じるに足る情報や計画があったので、遠くからやってきて購入したのです。

地元の人は、生活に慣れています。買い物が少し不便でも最低限度の施設はあるので、何とかなっているので、抵抗なく買ったかもしれませんが、地元住人はそもそも少ないので、大戸数を売り切るには方々から顧客を集めて来る必要がありました。売り手はそう考えたのです。

こうして、商業施設(ららぽーとやグランツリーなど)を同時開発し、建物に中小規模のマンションではあり得ない付加価値を用意するととも、タワーの魅力である「眺望」価値を加えてダイヤモンドの輝きを持つ商品に仕立てて販売を始めたのです。

その結果、豊洲は10年で3倍に人口が膨れ上がり、武蔵小杉のある川崎市中原区の人口は、再開発が始まった約10年前から毎年1000人から5000人超の勢いで増加。川崎市7区の人口順位で2005年から1位を続け、人口密度も2016年6月1日時点で1平方キロメートルあたり1万6901人の1位。2015年の国勢調査では10年と比べた人口増加率が5.8%と県内市区別で1位だったと市の広報が伝えています。

増えた人口は、言うまでもなく他の町からやって来た人たちです。急に子供が多数誕生する「自然増」ではなく、「社会増」によるものです。


●成熟した街の未来は?

街の魅力は、そこに何があるかで決まります。もちろん通勤の便が良い、言い換えれば都心へのアクセスが良いことですが、それ以上に「賑わい」や「自然環境」、「街並みの美しさ」などが挙げられます。

リクルート社が毎年調査している「住みたい街ランキング」で関東圏1位に毎年輝くのが「吉祥寺」ですし、争うのが「恵比寿」です。上位に武蔵小杉や豊洲が入っているのもご存知のとおりです。

こうした街の魅力的なマンションは、人気上昇の過程で多数の商業施設・飲食店・教育施設(学習塾・英会話教室など)が増加して人びとを引きつけます。洒落たカフェや雑貨店、インテリアショップ、有名レストラン、ファミレス、コンビニエンスストアなどが軒を連ねて、休日にはよその町からもたくさんの人々がやってきます。料理店は、週末ごとに回っても1年では回り切れないほどの多種多様な店が増えて行きます。カフェもスターバックス、タリーズコーヒー、エクセルシオール、珈琲館、ドトールコーヒーなどが勢ぞろいします。

人口が増えると、採算が合うと見た新規出店が続くのです。それが好循環を生みます。こうして街の魅力が一段と増し、多方面から「あの街に住みたい」と評価されるわけです。魅力ある街は、マンションが新たに供給されても地元以外のエリアから新たな客を集めることができます。そうして人口がさらに増えると、商業店舗、エンターテインメント施設が新たに加わり、となるのです。

魅力的な街は、マンションの買い手に事欠かないのです。言い換えると需要が多いので、いざ売却というときも心配は少ないものです。もちろん、物件個別に見れば格差はあるので、なんでも心配ないというほど短絡的ではないのですが・・・

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。


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